法定相続分とその割合を詳細に解説!

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法定相続分とは、民法により「この立場の人には何分の1」という具合に定められた相続分のことです。要するに、被相続人(亡くなった人)とどのくらい関係が近いのかによって相続できる割合を決めているわけです。ただ、相続人が誰と誰になるのかによっても同じ立場の人の相続分が変わってきます。
では、具体的に誰にどのくらいの相続分があるのかを確認してみましょう。

法定相続分とは?

法定相続分というのは、法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)の誰に、どれだけ相続分があるのかということを決めた民法のルールのことです。民法の基本的な考え方としては、配偶者は被相続人(亡くなった人)の財産を形成することに貢献しており、被相続人が死亡した後もその生活をある程度保障しなければならないという観点から、離婚や死別などしていなければ無条件に相続人になりますし、その相続分も他の立場の相続人より多く定められています。極端な話をすれば、結婚して1日しか経たずに被相続人が死亡した場合でも、配偶者の相続分は50年連れ添った人と同じなのです。こういった背景から、高齢者の再婚がその子供によって反対される事例も珍しくありません。
法定相続人は基本的な親族の相続分を定めたものではあるものの、決してその通りでなければならないということではなく、たとえば遺言書で法定相続分と異なる相続分を定めてもかまいませんし、遺産分割協議が成立すれば結果的に法定相続分と異なる割合になったとしても違法ではないのです。実際、ほとんどの家庭では遺産分割協議を行って法定相続分と異なる割合で相続しているのが実情でしょう。

配偶者と子供の法定相続分

法定相続分では、配偶者と子供が相続人になる場合は、配偶者が2分の1、子供が2分の1を頭数で割るものとされています。つまり、子供が多ければ多いほど実際に相続する取り分は減ることになります。子供については実子と養子はまったく同じように扱われていますので、養子であっても実子と同じ割合で相続することができます。なお、養子には「普通養子(大人になってからでもできる、戸籍上すぐわかる養子)」と「特別養子(基本的に幼少の時に実親との関係を完全に遮断し、戸籍上もすぐにはわからない養子)」という形がありますが、普通養子の場合には実親との関係が切れるわけではないので、実親からの相続も養親からの相続も受けることができます。一方で、特別養子の場合は実親と完全に関係が切れることになりますのであらゆる法律的関係がなくなることになります(つまり遺産も相続しない)。
もし、子供が親より先に亡くなっていた場合、「代襲相続」といって、親の代わりに子供が相続することになります。その場合(=孫が相続する場合)は子供が相続するはずだった取り分を、その子供たちが「株分け」の形で相続することになります。つまり、子供が2分の1ならその子供2人の場合は4分の1ずつということになるのです。

隠し子がいた!非嫡出子の法定相続分

被相続人の中には、再婚しており前婚と後婚両方に子供がいたり、結婚する前に子供をもうけていたり、などの例もあります。このような場合、前婚と後婚の子供には何ら相続分に変わりはないのですが、以前の法律では結婚していない時の子供(いわゆる「非嫡出子」)は嫡出子の相続分の半分しかもらえないという規定がありました。この点については憲法の「基本的人権」の観点から不平等だとされておりかなり長期間議論されていたのですが、平成25年12月に改正され、結果的に嫡出子と非嫡出子の相続分は平等ということにされたのです。
たとえば、配偶者と嫡出子、非嫡出子が1人ずついた場合、配偶者の法定相続分は2分の1、嫡出子も非嫡出子もそれぞれ4分の1ずつとされています。つまり嫡出子と非嫡出子はまったく差別されず同じ相続分ということになったのです。

配偶者と親の法定相続分

たとえば夫婦に子供がおらず、親や祖父母がまだ生存している場合、配偶者は3分の2、親や祖父母は3分の1ということになります。もし、親が子供より先に死亡していて祖父母が相続人となる場合は、「代襲相続」ではなく、本来の相続人として相続することに注意が必要です。
なぜなら民法では「直系尊属」を第2順位としているからです。第2順位とは、「配偶者を除いた他の立場の相続人の相続するべき順位で2番目に来る者」ということですが、そこでは「親」とは言っておらずあくまで「直系尊属」と表現しているからです。
たとえば配偶者と生存している母だけが相続人になっている時は配偶者が3分の2、母が3分の1となりますが、父と母が両方生存している場合は配偶者が3分の2、父と母がそれぞれ6分の1ずつということになります。

配偶者と兄弟姉妹の法定相続分

夫婦に子供がおらず直系尊属もすべて死亡している場合は、兄弟姉妹が相続人になります。たとえば夫が亡くなり、配偶者と弟が1人というケースでは配偶者が4分の3、弟が4分の1を相続することになります。もし兄弟が複数いれば4分の1を兄弟の数で均等に分けることになります。
兄弟姉妹で気をつけるべきこととしては、兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっていたら兄弟姉妹の代襲相続人としてその子供が相続人になりますが、その子供も死亡していた場合はそこで終わりであり、さらにその子供には相続権が移らないということです(=再代襲しない)。つまり、まったく相続人がいなくなってしまうという事態も考えられ、そのような場合には「特別縁故者(被相続人と特別の関係があった者)で裁判所に認められた者、もしくは国庫(国)」に財産権が移っていくこととなります。
なお、兄弟姉妹以外の相続人には「遺留分」があるため、自分の遺留分を侵害されていればその減殺(取り戻し)を請求できます。遺留分というのは、ある程度被相続人と近い関係の者に対し「被相続人が亡くなった後の生活保障」を求めるために保障されている権利であり、基本的には「法定相続分の2分の1(直系尊属のみが相続人になっている時は3分の1)を取り戻す権利がある」とされています。しかし、兄弟姉妹は遺留分を請求することができないというのが大きな特徴です。
もともと、兄弟姉妹に相続権がいくのはどちらかといえばレアケースであり、そこまで近い関係でもなければ相続を期待している関係性でもないので遺留分までも認める必要はないという法律の考え方によるものです。そのような考えからすれば被相続人が遺言書で「全財産を配偶者に相続させる」と書いていたとしても兄弟姉妹にはそれ以上の手出しはできないことになるため、遺言書の内容に従うしかないということになります。

法定相続分は近親者の基本的な相続分を定めたものとしてひとつの基準にはなりうるものですが、家族というのはひとつひとつその関係やあり方が異なるものなのです。つまり、法定相続分に従って相続すれば公平になるということは稀であり、家庭の事情に応じて相続分を変えていく方がむしろ自然なのです。そのために日本の法律では遺産分割協議があればそれに従ってかまわないということになっているのですから、それを生かすためにも禍根を残さないような円満な協議をすることが重要です。
どのように分ければ公平といえるのかわからないという人もいるのですが、迷いが出てきた場合は、多くの事案を経験している税理士や司法書士にアドバイスを求めた方が早期の解決につながることもあります。

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