相続税の税務調査の時期内容、流れを徹底解説!

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相続税がかかりそうな人にとって、「税務調査」は怖い・嫌なものというイメージがあることでしょう。実は、対策をきちんとすれば過度に心配する必要はありません。今回は「税務調査」について詳しく説明します。

税務調査は何件くらい行われているの?

「税務調査」は、申告した相続税の内容に間違いがないか、主に故人の自宅などに税務署の職員が出向き、実際に話をしたり通帳を見たりして調査をすることです。きちんと納税している人に対して公平を保つのが目的で、KSKシステムと呼ばれる「国税総合管理システム」を活用して対象者を選ぶとされています。
国税庁のホームページには「無申告事案は、申告納税制度の下で自発的に適正な申告・納税を行っている納税者の税に対する公平感を著しく損なうものであることから、資料情報の更なる収集・活用など無申告事案の把握のための取組を積極的に行い、的確な課税処理に努めています」とあります。「税務署は財産に関する情報を持っているので、相続税逃れしようとしても追いかけますよ」と公言しているのと一緒だと言えるでしょう。
相続税の申告件数について、平成27年1月1日以降に発生した相続については「基礎控除額が40%下がった」ことが影響したと思われる数字が発表されています。「基礎控除額」は、相続税がかかるかどうかの基準になる金額です。平成26年12月31日までは「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でしたが、平成27年1月1日からは「3,000万円+600万人×法定相続人の数」になっています。例えば法定相続人が3人だった場合、平成26年までは、遺産総額が5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円以下だったら相続税はかかりませんでした。平成27年からは、遺産総額が3,000万円+600万円×3人=4,800万円を超えると相続税がかかることになり、納税者が大幅に増えるのでは?と予測されていました。
相続税の課税対象になる相続件数は、5万件台だったのが10万件を超えました。一方、相続1件あたりの課税される遺産総額は2億円台だったのが1億円台に下がり、相続税額も2,500万円程度だったのが1,800万円程度に下がりました。相続税の税収は4,200億円程度増えて、予測とおりの結果になったことが読み取れます。
相続税の税務調査が入るのは、相続税を払う必要のある件数の20%から30%、4件に1件程度だとされています。この数字で単純に計算すると、全国で年間5万件×25%=1万2,500件の税務調査数が一気に10万件×25%=2万5,000件に増えるということになります。税務署の職員数を一気に倍に増やすことも困難でしょうし、基礎控除額が下がったことを考慮して対策を講じた人も多いでしょうから、実際の調査数が倍増することはないかもしれません。しかし、税務調査が入ると80%から90%の確率で、追徴税が発生しているというデータもあります。ですから、遺産総額が2億円弱以上になりそうだという人は注意が必要です。
税務調査に入られる対象になるのは、遺産総額が億単位の大きなケース・遺産分割でもめてしまい複数の相続人が申告書を提出しているケース・ある程度の資産があるのに申告しないケース・家族名義の預金が多いケース・故人の口座から大きな金額が引き出されているケース・海外に資産があるケース・不慣れな一般の人が自分で申告して間違ってしまったケース・相続に不慣れな税理士などが申告したケース、などが多いようです。このようなケースに該当しそうで不安だという人は、早めに相続に詳しい税理士などの専門家に相談したほうが良いでしょう。税務調査に入られる確率が低くなることを期待できます。

税務調査はいつ行われるの?

相続税の「税務調査」は、申告書を提出して1年から1年半後に行われることが多いです。事前に綿密な調査が必要なケースなどでは、2年後、3年後に突然税務署から電話がかかってくるということもあります。無申告の疑いありと判断されたケースでは、故人が亡くなってから2年以内に連絡があると考えて良いでしょう。
8月から11月の秋頃には遺産総額が大きく手間がかかりそうなケース、5月から6月は問題が少ないケースを選んで調査が行われている印象があります。税務署の1年間の流れと関係していると考えられます。1月から3月は確定申告の季節で、申告書作成指導などをしなければならず、税務署の職員も忙しくなります。また、税務署の就業年度は7月始まりの6月終わりで、人事異動は7月にあります。年度末の6月に向けて、税務調査数のノルマ達成するために、問題が少ないと判断したケースを選んで調査していると考えられます。そして、人事異動が終わって落ちついた8月頃から、追徴税が多くなりそうな手間のかかるケースを綿密に下調べしたうえで調査しているようです。

税務調査は事前に連絡がある?

相続税の税務調査には「マルサ」のような潜入捜査、警察の「ガサ入れ」と呼ばれるような突然の家宅捜査もありません。税務署から必ず事前連絡があるので、怖がる必要はありません。調査に行く日の都合を聞かれますが、都合が悪ければ変更してもかまいません。怒鳴られるようなこともなく、紳士的な対応をする職員が増えている印象があります。
相続税がかかりそうでも申告していない人には、税務調査前の段階で連絡が入ります。申告期限2カ月から3カ月前に「相続についてのお尋ね」や「相続税申告書」が送られてくることがあります。中には期限1カ月前ということもあり、何も準備していない場合には間に合わないことあります。間に合わない場合は、相続税の本税に延滞税などが加算されてしまうこともあります。そんなことになっては大変ですから、相続税がかかりそうだという人は、早めに申告書を手に入れましょう。
相続税がかかりそうかわからないという人は、税理士などの専門家に相談したほうが安心できます。相続税の申告などを依頼する場合は有料でも、相続税がかかるかどうかの簡単な判断までは無料で対応してくれるところもあります。もし相続税がかかるようなことになっても、相続に詳しい税理士であれば「税務調査の対象になりにくい申告書」の作成も依頼できるでしょう。税務調査の対象になっても、税理士がかかわっていれば、その税理士への調査で終わることもあります。もし調査があっても代わりに対応してもらえるとわかっていれば、相続に対する不安が大きく軽減されるのではないでしょうか。

税務調査で調べられる財産は何?

国税庁が公表している相続税の課税対象になる財産は「現金・預金」が30%程度、「土地」40%程度、「株などの有価証券」が15%程度です。特に「現金・預金」はいろいろな角度から調査をされます。夫が亡くなり妻と子どもが相続人になった場合を例にして、説明しましょう。妻が専業主婦であったのに数千万円単位の預金通帳を持っている場合、夫から渡された生活費の余りをコツコツ貯めていた結果だったとしても、夫の遺産だと判断されて追徴税がかかることがあります。子どもの収入から判断して明らかに大きい金額の預金通帳があった場合なども同様です。子どものために夫が定期的に貯金していた場合でも「名義預金」だと判断されてしまうことがあります。「名義預金」は税金逃れをするために作られる預金を意味していますが、夫にも子供にも税金逃れするつもりはなかったとしても、隠し財産として「重加算税」がかかってしまう可能性があります。
税務調査に来る前の準備で、税務署の職員は故人の預金通帳のみならず親族の預金通帳の内容も、故人が亡くなる5年くらい前にさかのぼって調べてきます。1回につき50万円以上の出金があると、その用途について一つ一つ質問してきます。通帳が見られてしまうなら自宅の金庫へしまっておきたいと考える人もいるかもしれませんが、出金の記録が残っているので、何に使ったのか質問されます。それならば、いっそ海外へ送金すればわからないのでは、という人もいるでしょう。100万円以上の海外への送金があった場合は、「国外送金の調書」が金融機関から税務署へ提出されることになっています。海外に資産があったのが見つかって追徴税が課されるケースは意外に多いので、注意してください。
また「生命保険金」も注意が必要です。特に、被保険者が亡くなった夫で、契約者が妻や子どもになっているケースなどです。妻や子どもが契約者になっていても、実質的に保険料を負担していたのは亡くなった夫なので、受け取った保険金は相続財産であると判断されてしまうことがあります。これでは、せっかく受け取った保険金に追徴税が課されてしまいます。よく考えないで保険契約してしまった失敗例と言えるでしょう。
厳しい調査事例ばかり挙げましたが、早めの相続対策ができれば「現金や預金については相続税を取られるしかないのか」と諦める必要はありません。贈与税の仕組みを使って、子どもや孫に時間をかけて財産を移していく方法もあります。お金を不動産などの別の形の資産に変えておく、という方法も考えられます。資産のバランスや家族構成によっては、複数の方法を採ることもできます。このような相続対策について詳しく知りたい、さっそく取組んでみたいという人は、なるべく早い段階で相続に詳しい税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

税務調査の流れ

ここでは、税務調査を時系列に見ていきましょう。まず税務署から「税務調査で伺いたい」という電話連絡が、相続税を申告した代表者に対してあります。税理士がかかわっていた場合は、その税理士に連絡が入ります。調査に指定された日の都合が悪ければ、2週間から1カ月先くらいの範囲で変更してもかまいません。初回の電話で即答できなければ、後日の回答でも大丈夫です。指定された日に対応できなくても、特別に調査が厳しくなるということはありません。
調査場所は「故人が生活した場所」として、自宅になることがほとんどです。当日は、午前10時頃に2人の職員が調査に来ます。1人が質問役、もう1人はメモをとる役です。この職員は「国税調査官」と呼ばれ、事前に綿密な下調べをしてきます。金融機関から情報をもらい、故人と相続した親族のお金の動きを、故人の亡くなる前5年間分くらいを徹底的に調べてきます。「小規模宅地の特例」などを使った場合は、登記簿上の宅地の面積を確認し、申告書に間違いがないか目を光らせます。一般の人が普段目にしない書類でも、調査官はプロなので、小さな間違いやごまかしでも見抜いてしまうことでしょう。
その下調べをもとに、1度のチャンスでとにかく申告漏れがないか確認するのが彼らの当日の職務です。午前中は、医師の問診のようにたくさんの質問をされます。「(相続人に対して)どのようなお仕事されてますか」「奥様はお仕事されてますか」=所有している財産は身分相応か、実は名義預金ではないのか確認、「故人の亡くなった原因は」=亡くなったのは病気か事故か、入院費用、亡くなる前に引出された預金の使い道の確認、「遺言書はありましたか」=隠している財産がないか確認、など雑談のように思えるような質問でも調査官は冷静に見ています。故人の経歴や趣味、生活費についても質問されることがありますが、ここが一つのポイントです。故人の収入に対して生活費が少ないと判断されたら、残りのお金はどうしたのか質問されます。故人の手帳や日記なども見せてもらいたいと言われることもあります。お金に関する記録が残されていないか確認するためです。隠し事をせず、ない物はない、知らないことは知らないと答えるだけで大丈夫です。
12時になると調査官は休憩に入り、午後1時から再開します。午後は、帳簿や通帳を見ながらの確認になります。遺産分割協議書の内容とおりに、財産が分割されたかも確認していきます。そして、午後4時になると調査は終了です。1日で完了することがほとんどですが、2日に渡る場合もあります。2日目の調査は、1日目の午後と同じような内容です。調査終了後2週間から3週間で、調査結果のまとめが相続人の代表者に伝えられます。税理士がかかわっていた場合は、その税理士にも伝えられます。追徴税があるのか、追徴税がある場合はその理由と金額といった内容です。問題がなかった場合は電話のこともありますが、故人の自宅または税務署で伝えられます。
どんな内容かわかっても、税務調査は避けたいという人がほとんどでしょう。心配な人は、税理士法33条の2の書面添付制度の利用を税理士に依頼してみてはいかがでしょうか。この制度は「この相続案件については、税理士が責任をもって書面で説明します。税務調査の代わりに、税理士が税務署で調査を受けます」というものです。自宅での調査は100%なくなるとは言い切れませんが、相続人の不安感はグっと小さくなりそうです。この書面は書き方にコツが要るので、相続対策に強い税理士に依頼することをおすすめします。相続対策に強い税理士であれば、そもそも税務調査の対象になりにくい精度の高い相続税申告書を作成してもらえることでしょう。
 
税務調査パーフェクトガイドはこちら
http://www.venture-support.biz/media/investigation/tax-office/2771.html

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