相続税の申告書作成が必要なケースと方法を解説!

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一生のうちにそう何度も経験しないであろう「相続」、自分の場合は相続税がかかるのか、手続きはどうすればいいのか、見当がつかないという人も多いでしょう。そんな人のために、相続税の申告について説明します。

相続税申告が必要なケース

相続税申告が必要になるケースは「遺産総額が基礎控除額を超える場合」と「相続税の計算上、優遇される特例を利用して相続税が0円になる場合」です。相続税の申告期限は、故人が亡くなってから10カ月以内が原則です。しかし、遺産総額が基礎控除額以下の場合は、相続税もかからないし申告も不要です。
言葉で表すとこれだけで終わりですが、実際に「自分の場合は、相続税申告が必要か不要か」を判断するのは、とても大変なことです。まず、遺産総額を知るために故人の財産を全部把握する必要があります。相続財産に含まれるのは、現金・金融機関の預貯金・株式や債券などの有価証券・ジュエリーや貴金属・ブランド品・骨董品や美術品・ゴルフ会員権・自宅や別荘、アパートなどの不動産・自動車やクルーザーなどの動産・その他の家財などとたくさんあります。その他に、相続税の計算上は相続財産として考える「みなし財産」として、死亡退職金や死亡保険金も含まれます。マイナスの財産である借金も含まれます。これらの財産の総額がすぐに把握できれば良いですが、わからない場はひとつずつ調べる必要があり、たくさんある場合は大変です。
遺産総額が把握できて、やっと「基礎控除額を超えるか否か」を判断することができるわけですが、ここでも調べることがあります。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。法定相続人が何人いるのか調べるために、故人が生まれてから亡くなるまでの戸籍を調べなくてはなりません。故人に「隠し子」がいないかを調べるのが目的です。故人の戸籍に載っている「隠し子」が見つかれば、相続人が増えることになります。故人が本籍を何度か移しているなど、古い戸籍までたどる必要がある場合は大変な手間がかかります。
「優遇される特例」として良く利用されるのは、「小規模宅地等の特例」と「配偶者の税額控除」です。どちらの特例も、期限までに申告しないと利用できません。「小規模宅地等の特例」は、条件に当てはまる宅地だったら、相続税計算上の土地の評価額を最大80%引きにするという制度です。この特例を利用するには、どの宅地をだれに相続させたら最も有効かを判断し、「遺産分割協議書」を作成する必要があります。「配偶者の税額控除」は、配偶者が相続した財産額が1億6,000万円までか法定相続分までなら、相続税をかけませんという特例です。節税効果の高い特例ですが、配偶者の相続財産を明確にするために「遺産分割協議書」を作成します。「遺産分割協議書」は、遺産の分割について相続人全員で話し合って決めた結果をまとめた書類です。期限までに分割協議がまとまらない時のための救済措置は設けられていますが、いったん納税する必要があります。相続税の納税は一括現金払いが原則ですから、金額によっては負担が大きくなってしまうこともあります。

相続税申告をしないとどうなるの?

相続税申告をする必要があるのにしなかった場合は、罰金が課せられる可能性があります。100万円の相続税を申告していなかった場合で、具体的に計算してみましょう。
申告期限後2カ月経ってから自主的に申告した場合、「無申告加算税」100万円×5%=5万円と「延滞税」100万円×7.3%×60日÷365日=1万2,000円、合計6万2,000円が加算されます。1年後に税務調査が入って申告した場合、「無申告加算税」100万円×10%=10万円と「延滞税」100万円×14.6%×365日÷365日=14万6,000円、合計24万6,000円が加算されます。さらに「財産を隠していた」と税務署から見られてしまうと、「重加算税」100万円×40%×365日÷365日=40万円と「延滞税」14万6,000円、合計54万6,000円もの金額が加算されます。
また、申告期限を守っても、明らかに申告した相続税額が少ない場合に課される「過少申告加算税」もあります。市区町村役場からは「死亡届」「固定資産税評価額」などの情報、法務局からは「不動産」の情報、金融機関からは「1,000万円を超える預金がある人の情報」が税務署へと送られることになっています。これらの情報をもとに、相続税がかかりそうな人が税務署内でリストアップされているので、申告せずにいたり、財産を隠したりするのは非常に難しいでしょう。リストアップされている人が亡くなったのに相続税の申告がない場合は、申告期限1カ月前くらいに、税務署から申告書が送られてきます。それでも申告がない場合、税額が少ないのではと判断された場合、税務調査が入ることもあります。相続税申告・納付は、故人が死亡してから5年から7年で時効がくることになっていますが、常に税務署が目を光らせているので、なにごともなく迎えることは期待できないと言って良いでしょう。
また申告期限内に申告しないと、有効に活用したい「特例」が使えずに、多額の相続税を支払わなくてはいけない事態が起こることもありえます。例えば「配偶者の税額控除」の例で、計算してみましょう。配偶者が1億円相続した場合に「特例」を利用すると、相続税は0円になります。申告せずに特例が利用できなくなった場合は、相続財産1億円×税率30%-控除額700万円=2,300万円もの相続税の支払いを要求されます。そんなことにならないためには、申告期限内に「遺産分割協議書」を作成して、きちんと申告することが大切です。「知らなかった」では済まされないので、注意してください。

まずは申告書用紙を取り寄せる

相続税を支払うことになりそうだと判断できたら、まず「相続税の申告書用紙」を取り寄せましょう。ある程度の資産家が亡くなった場合は税務署から申告書が送付されてくることもありますが、申告期限の1カ月くらい前のことなので、準備が間に合わない可能性もあります。早めに取り寄せたほうが安心できそうです。最寄りの税務署から郵送してもらうこともできますが、その際の電話連絡でも「路線価図の見方なども教えてもらえますから、ぜひ税務署まで足を運んでください」とすすめられます。「路線価図」は、宅地の財産評価の基準になる価格が記載されている地図です。その他にも普段の生活では耳慣れない言葉がたくさん並んでいるので、自分で申告したいと考えている人は、実際に税務署で相談することをおすすめします。
実は、国税庁のホームページでもダウンロードできますが、申告書は第1表から第15表まで、さらに場合によっては付表もあるので印刷するだけでも大変です。申告書の記載方法についてのパンフレットも公開されていますが、字が小さめの書面が80ページ以上にも及びます。申告書、パンフレットのいずれも、どの部分が自分の相続に必要なのかを判断するだけでも困難に感じる人のほうが多いかもしれません。そのような場合は、早めに相続に詳しい税理士に相談してみてください。相続に詳しい税理士であれば、耳慣れない専門用語や難しい相続税額の計算方法について、わかりやすく説明してくれるでしょう。相続税を節税できる方法を熟知している税理士であれば、申告期限まであまり時間がない状況でも、ただ手続きをするだけでなく節税まで依頼できる可能性が高くなります。

必要な項目を記入する

取り寄せた申告書に必要な項目を記入できたら、必要書類を添付して、故人の生前の住所地を管轄する税務署に郵送または持参して申告終了です。相続税の納付は、税務署だけでなく金融機関でもできます。バーコードのある納付書であれば、コンビニエンスストアでも納付できます。
必要な項目を選んで記入することや財産評価の明細書を作成することは、慣れない人にとっては、とても大変です。税務署でも親切に指導してくれますが、計算や記入の代行までは依頼できないので、自分でするしかありません。
一般の相続人が記入するとされている申告書を順に挙げていくと「第1表・相続税の申告書」「第1表(続)・相続税の申告書(続)」「第1表控用・相続税の申告書控用」「第1表(続)控用・相続税の申告書(続)控用」「第2表・相続税の総額の計算書」「第4表・相続税額の加算金額の計算書」「第4表の2・暦年課税分の贈与税額控除額の計算書」「第5表・配偶者の税額軽減額の計算書」「第6表・未成年者控除額・障害者控除額の計算書」「第7表・相次相続控除額の計算書」「第8表・外国税額控除額・農地等納税猶予税額の計算書」「第9表・生命保険金などの明細書」「第10表・退職手当金などの明細書」「第11表・相続税がかかる財産の明細書」「第11・11の2表の付表1・小規模宅地等についての課税価格の計算明細書」「第11・11の2表の付表1控用・小規模宅地等についての課税価格計算明細書控用」「第13表・債務及び葬式費用の明細書」「第14表・純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産価額及び特定贈与財産価額・出資持分の定めのない法人などに寄付した相続財産・特定公益信託のために支出した相続財産の明細書」「第15表・相続財産の種類別価額表」「第15表(続)・相続財産の種類別価額表(続)」「第15表控用・相続財産の種類別価額表控用」「第15表(続)控用・相続財産の種類別価額表(続)控用」と、22枚もあります。漢字がずらっと並んでいるので、読むだけでも大変だったのではないでしょうか。
実際の申告書を見ても、どの部分に何を記入するのか、どの金額や合計額を記入するのか、書き慣れていないと迷ってしまいそうです。数字を書く欄を一つ間違えるだけで、相続税額が1ケタ変わってしまうなどということもありえない話ではないでしょう。細かい事務作業に自身のある人や、自分で申告してみたい人、相続税以外にお金を払うのは絶対に嫌だという人には必要ないかもしれませんが、難しくて自分でできそうもないという人には、相続に詳しい税理士に申告書の取り寄せから記入、さらには提出代行まで依頼されることをおすすめします。早めに依頼することができれば、一般の人では気づきにくい相続対策まで対応してもらえるでしょう。

相続税申告の必要書類は?

「相続税の申告書」「故人の略歴書」「遺言書または遺産分割協議書の写し」「相続人全員の印鑑証明書」「生命保険金などの支払い通知書の写し」「故人と相続人全員の戸籍謄本」「土地や株式の評価計算書」「固定資産税評価証明書」「預金などの残高証明書」、物納の場合は「物納申請書」「物納財産目録」「不動産全部事項証明書」など、一般の相続人が申告する時に必要とされる申告書や添付書類だけでもたくさんあります。事業を経営している人などの場合は、さらにたくさんの書類が必要になります。
必要な書類をすぐに集めることができれば良いですが、時間がかかる書類もあります。預金や株式などは、故人がどこの金融機関と付合いがあったかわからないこともあります。生命保険にたくさん加入していたり、たくさん不動産を所有していたりする場合も、まず全部を把握することから始めなければなりません。相続財産の所在と価値が全部把握できて、遺産分割協議ができるわけですが、この協議でもめることになったら大変です。場合によっては「調停」などの司法の力を借りることになるかもしれません。
相続財産が多額になりそうで心配な人は、早めに相続に詳しい税理士などの専門家に相談することを強くおすすめします。専門家の視点で、相続税申告期限までのペースメーカーとなり、必要な手続きをリードしてくれることでしょう。税務調査の対象にならないような精度の高い申告書を作成するノウハウも持っていることでしょう。遺産分割協議でもめてしまったような時は、専門家のネットワークで相続に詳しい弁護士を紹介してもらうこともできるので安心です。
相続税対策は、生前にできる対策・遺産分割の時にできる対策・財産評価の時にできる対策がありますが、相談するタイミングが早いほど選択肢が増えます。実際の申告書作成や提出代行などの手続きは有料でも、相続税がかかるかどうかまでの相談は無料で対応している専門家もいますので、まずは気軽に相談してみてください。

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