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相続に関する基礎知識を図解で分かりやすく解説!

相続に関する基礎知識を図解で分かりやすく解説

相続に関する基礎知識|遺産相続のトラブルを避けるための対処法

遺産相続の際、相続人の間でトラブルがおきることは残念ながら珍しくありません。「『相続』が『争続』になる」ともよく言われ、熾烈な相続争いが起こってしまったら、もともと親交のあった親族関係でも完全に縁が切れてしまうこともあります。相続トラブルを避けるためには、相続に関する法制度や仕組みを正しく理解して、適切な対処方法をとることが大切です。また、誰もが相続税と向き合わなければならない時代となった今、相続の正しい知識が求められています。そこで当HPでは、6人の専門家がその知識と経験を活かし、相続に関する基礎知識の全てを解説していきます。

当サイトで解説する専門家紹介

税理士:古尾谷 裕昭
相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門) 代表税理士。昭和50年生まれ、東京都浅草出身。
相続は時間もかかり、精神や力も使います。私たちは、お客様の心理的な負担や体力的な負担を最小にして、少しでも早く落ち着いた日常に戻れるように全力でお手伝いします。

税理士:三ツ本 純
相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門)税理士。 昭和56年生まれ、神奈川県出身。
相続税の仕事に携わって13年。相続税が最も安く、かつ、税務署に指摘されない申告が出来るよう、知識と経験を総動員してお手伝いさせていただきます。

税理士・元国税調査官:桑原 弾
相続サポートセンター(ベンチャーサポート税理士法人 相続部門)税理士。 昭和55年うまれ、大阪府出身。
大卒後、税務署に就職し国税専門官として税務調査に従事。税理士としても10年を超えるキャリアを積み、現在は「相続に精通した税理士としての知識」と「元税務調査官としての経験」を両輪として活かした相続税申告を実践中。

行政書士:本間 剛
相続サポートセンター(ベンチャーサポート行政書士法人)代表行政書士。 昭和55年生まれ、山形県出身。
相続手続等の業務に従事。相続はたくさんの書類の作成が必要になります。お客様のお話を聞き、それを法律に謀った則った形式の文書におとしこんで、面倒な相続の書類を代行させていただきます。

司法書士:田中 千尋
相続サポートセンター(ベンチャーサポート司法書士法人)司法書士 昭和62年生まれ、香川県出身。
相続登記や民事信託、成年後見人、遺言の業務に従事。相続の相談の中にはどこに何を相談していいかわからないといった方も多く、ご相談者様に親身になって相談をお受けさせていただいております。

弁護士:渡邉 祐介
相続サポートセンター(弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所 相続部門)弁護士。 昭和51年生まれ、千葉県出身。
相続問題は複雑なケースが多く、状況を慎重にお聞きし、相続人様のご要望の実現、相続人様に合ったよろよい解決法をアドバイスさせていただくようにしています。

目次 【この記事で学べること】

相続をめぐる最近の状況

財産を所有していた人が亡くなると、その人の親族が相続人として財産を相続することになります。

相続人が複数人いるときには、その人たちが話し合いを行うことで「誰が、どれだけの財産を相続するのか」ということを確定しなくてはなりません。

この話し合いをめぐってはときには裁判などを通した紛争になることもあります。
ここでは、相続をめぐる最近の状況として、①どのような種類の財産が相続財産として引き継がれているのか、その財産をめぐって②どのぐらいの数のトラブルが生じているのか、の2つについて理解しておきましょう。

①どのような種類の財産が相続財産として引き継がれているのか
国税庁が平成28年12月に発表した「平成27年分の相続税の申告状況について」という資料によると、相続の対象となった財産の割合は以下のようになっています。

平成27年分相続財産の割合

※平成27年分相続財産の割合

相続財産全体に占める割合がもっとも大きいのは土地で、建物を合わせると全体の5割近い数字になります。

これらの不動産(土地と建物)は分割が難しく、その所有権をめぐって相続人間でトラブルが生じるケースが多くなっています。

②どのぐらいの数のトラブルが生じているのか裁判所が発表している裁判に関するデータ(司法統計)によると、家庭裁判所に対して持ち込まれた遺産分割事件の相談件数は平成26年で1万5261件と、この10数年間で1.35倍程度まで継続的に増加しています
(平成14年の相談件数は1万1223件)

家庭裁判所での平均的な審理期間はおよそ11.8ヶ月(平成26年)で、相続をめぐってはある程度長い期間をかけて解決が計られていることがわかります。

なお、相続人が複数人いるときにはまず当事者間で遺産分割協議という話し合いが行われます。

棒グラフ

当事者間での話し合いで折り合いがつかない場合には、家庭裁判所に間に入ってもらって調停を行い、それでもまだ解決に至らない場合にはさらに訴訟事件として審判(法律的な強制力を持つ裁判所の判断のことです)が下されることになります。

相続とは

そもそも相続とは

遺産相続トラブルを避けるための基礎知識として、まず「相続とは何か」ということを理解しておきましょう。相続(そうぞく)とは、ある人の死亡を原因として、死亡された人(被相続人)の財産や権利義務関係(遺産)を残された遺族となる配偶者や子供(相続人)が包括的に承継することをいいます。人が亡くなったとき、何かしらの財産をもっている、または負債を抱えているケースが多くみられます。賃貸借契約などの契約当事者になっていることもあるでしょう。このような場合、本人が亡くなったときに財産や負債、権利関係を引き継ぐ人がいなければ、それらは宙に浮いた状態になってしまい、大変な不都合があります。そこで法律は、次の世代に相続を認めることにより、スムーズに財産承継ができるように定めているのです。

相続とは

※相続とは

相続人となる人

相続によって財産や権利義務が承継されるとしても、誰が相続人になるのかが問題です。相続人になることができるのは、基本的には法定相続人です。法定相続人とは、法律によって相続人になると定められている人のことです。たとえば、配偶者は常に法定相続人となりますし、それ以外の法定相続人には順位があります。子どもが第1順位の法定相続人であり、次が第2順位の法定相続人である親、第3順位の法定相続は兄弟姉妹となります。

法定相続人

※法定相続人

それ以外の遠い親戚などは、基本的に法定相続人にはなりません。法定相続人以外の人に財産を残したい場合には、遺言書を書いて第三者へ遺贈する必要があります。
遺贈とは、遺言で財産の全部又は一部を、相続人又は相続人以外の人に無償で贈与することをいい、遺言の効力は、遺言者が死亡した時に発生し、所有権移転の効果が生じます。
遺言は、遺言者の意思により、自由に決めることができます。

遺言書

被相続人と相続人とは?

被相続人と相続人の関係
※被相続人と相続人の関係

相続人となるには被相続人との関係が重要

相続とは、亡くなった人が所有していた財産を引き継ぐことをいいます。誰が相続人となるかは民法でしっかり決まっています。 相続では、亡くなった人を「被相続人」、財産を受け取る人を「法定相続人(または相続人)」といいます。法定相続人になれるのは、被相続人の配偶者のほか、子ども(直系卑属)、父母(直系尊属)、兄弟姉妹(傍系血族)です。 ただし、すべての血縁関係者が相続人になれるわけではなく、優先順位もしっかり決められています。被相続人の配偶者は順位に関係なく、どんな場合でも相続人になります。それ以外は、第1順位が子ども(直系卑属)、第2位順位が父母(直系尊属)、第3位が兄弟姉妹(傍系血族)になり、上位の相続人がいる場合は、下位の人は相続人にはなれません。 ちなみに、被相続人に配偶者も特別縁故者もなく、遺言もない場合、財産は国庫に入ります。

相続人の範囲と優先順位は法律で決まっている 

相続人の範囲と優先順位図
※相続人の範囲と優先順位図

順位が上の相続人が健在の場合、相続人にはなれない

優先順位が第1位の直系卑属。「直系」とはタテの血縁関係のことで、「卑属」とは子や孫、ひ孫などのことを指します。反対に「尊属」とは目上の者のことで、親や祖父母、曾祖父母などのことをいいます。一方、「傍系血族」とは、同じ始祖から分かれた血族を意味し、兄弟姉妹のほか、おじ、おば、甥、姪などを指します。この相続の順位は民法によって決められており、上位の相続人がいる場合は、それより下の順位の人は相続人にはなれない決まりになっています。

相続人のパターン

※相続人パターン図1

被相続人に配偶者がいる場合は、配偶者が常に相続人になります。配偶者に子どもがいれば、子どもも相続人になります。

※相続人パターン図2

被相続人が独身で子どももいない場合は、第2順位の親が相続人となります。両親が死亡している場合は、祖父母が相続人になります。

※相続人パターン図3

被相続人が独身で子どももなく、両親も祖父母も死亡している場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。

専門家からのアドバイス

税理士:古尾谷裕昭

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が重要

「相続人」というと、遺産を相続する人はもちろん、最終的に遺産を放棄などして相続しない人まで含む幅広い意味があります。相続では、相続人が誰かをきちんと確定しないと遺産分割を行うことができないため、法律で遺産を受け取る可能性のある人を法定相続人と定めています。万が一、あとで被相続人に養子や隠し子などの法定相続人の存在が発覚することのないように、法定相続人を確定しておきましょう。そのためにも被相続人が亡くなったら、早めに被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得して確認しておいたほうが賢明です。また、法定相続人以外の人に遺産を残したい場合には、その人を受遺者とする遺言が必要となります。

相続の対象となる遺産

では、どのようなものが相続の対象になるのでしょうか。相続の対象になるのは、被相続人が所有していた財産的価値のある資産や負債、権利義務関係などです。まず、プラスの資産は相続の対象になります。具体的には、現金や預貯金、不動産や株券などの有価証券、投資信託、各種の積立金やゴルフ会員権などがあります。逆に被相続人が借金をしていた場合には借金も相続の対象になりますし、買掛金などの債務を負っていた場合にはその債務も相続の対象になります。反対に、相続財産にならないものもあります。たとえば、ほとんど財産的な価値のない被相続人の着古した衣類や古びた自転車などがあります。墓地や墓石、仏具、神具などの祭祀関係の財産も相続財産には含まれません。また、権利義務関係の中でも被相続人に一身専属的なものは相続の対象になりません。たとえば、被相続人が前妻の子どもに養育費を支払っていた場合、養育費支払い義務は「子供の父親」という立場から発生する一身専属的な債務なので、「父親」ではない相続人に相続されることはありません。他人の身元保証人になっている場合の債務なども同様です。

相続が起こったら、遺産分割協議が必要

相続が起こったら、法律によって定められた法定相続人が法定相続分に従って遺産相続することになりますが、具体的に誰がどの遺産を取得すべきかを決めるためには、遺産分割協議をする必要があります。遺産分割協議とは、相続人らが集まって誰がどの遺産を相続するかを決めるための話合いのことです。この遺産分割協議で各相続人の間で合意ができず、相続トラブルになるケースがとても多いです。相続トラブルを避けるためには、いかに遺産分割協議における紛争を避けるか、ということが大きな問題となってきます。

遺産分割協議

遺産トラブルが起こりやすい相続財産

相続が起こるとき、遺産トラブルが起こりやすい財産があります。それは、不動産です。不動産は、預金などのように簡単に分割できるものではない上に高額なので、誰が取得するかということで争いが起こりやすいのです。複数の相続人が取得を希望する場合には当然問題になりますし、誰か1人が取得するとしても、代償金をいくらにすべきかでもめます。さらに、不動産を売却して現金化し、それを相続人間で分けることにしても、どのような業者に仲介を依頼するかや、いくらで売却するかなどについてもまたもめてしまいます。遺産の中に不動産が含まれている場合には、遺産総額が少なくても頻繁にトラブルが起こります。たとえば遺産総額が1000万円以下であっても相続トラブルが起こる可能性は十分にあるので、注意が必要です。以上のように、相続が起こる場合、基本的に誰が相続人となり、何を相続財産として相続すべきかを押さえた上で、適切に遺産分割協議を進めていく必要があるといえます。

遺産相続トラブルを避けスムーズに進めるために

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遺産相続の流れと必要な手続き

次に、遺産相続が起こったとき、具体的どのような流れになり、どのような手続きが必要になるのかを解説します。遺産相続の流れは、以下のようになります。

相続スケジュール図
※相続スケジュール図
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相続はある日突然訪れるものですので、あらかじめ計画を立てて、スケジュールを組むことはできません。 そこで、いざ相続が発生したときに慌てないよう、「いつまでにどんな手続きを行えばよいのか」「必要な書類はなにか」などを確認しておきましょう。 相続に関する各種手続きは故人が亡くなった日から始まります。まずはじめに、医師から「死亡診断書」を受け取り、役場から「死体埋葬火葬許可証」を取得します。 これが無いと火葬できません。また「死亡届」は亡くなった日から7日以内に提出する必要があります。

葬儀が終わっても各種手続きが目白押し

お通夜や葬儀が終わると、多少気持ちも落ち着くことでしょう。しかし、同時にしなければならない手続きの期限も迫ってきます。 まず、「年金受給権者死亡届」の提出、「国民健康保険証」「介護保険証」の返却、「世帯主の変更届」の提出は2週間以内に行ってください。 それから、電気・ガス・水道といった公共料金などの名義変更も必要です。また、葬儀に関する費用は相続財産から控除できますので、通夜や葬儀にかかった費用、香典などの額は必ず控えておきましょう。 ここまで終わると、いよいよ相続関係の手続きが始まります。遺言書の有無をしっかり確認し、財産の洗い出しをします。 借金などがあった場合、相続放棄できる期限が相続発生から3カ月以内となっていますので、後回しせず、財産の確認は最優先で行いましょう。

相続税の申告期限は相続発生の翌日から10カ月

相続の申告は、相続発生の翌日から10カ月以内となっています。 時間的に余裕があるように感じるかもしれませんが、相続人と相続財産の確定や相続財産の分配の話し合いをする遺産分割協議は想像以上に時間がかかるものです。 特に遺産分割協議は全員参加が基本となっており分割協議の結果をまとめた「遺産分割協議書」には、相続人全員の署名押印が必要です。 つまり、最低一度は相続人全員が集まる必要があります。全員のスケジュールを合わせるのは、なかなか大変で時間がかかりますので、とにかく早め早めに動くようにしてください。 また、国民年金の「死亡一時金」など請求しないともらえないお金は相続発生から2年が期限です。 2年以内ならいつ請求しても構わないので、忘れてしまわないうちに早めに請求しておくことをおすすめします。

それではもう少し具体的な各種手続きを見ていきましょう!

・死亡届を提出する
まずは、被相続人の死亡届を提出して火葬の手続きをします。死亡届については、医師に死亡診断書と死亡届が一体となった書類の死亡診断書の部分に記載をしてもらい、遺族が死亡届の部分を記載して役所に提出します。すると、火葬証明書を発行してもらえるので、これをもって被相続人を火葬することができます。

・預貯金の取引を止める
人が亡くなった場合、まずは被相続人名義の預貯金口座の取引を止めることが大切です。そのままにしておくと、被相続人の預貯金口座を管理している相続人などが無断で預貯金の出金をしてしまったりして、後にトラブルになる可能性があるからです。預貯金取引を止めるためには、各金融機関に対して名義人の死亡の申告をすれば、止めてもらうことができます。

・生命保険を受け取る
被相続人が生命保険に加入しており、相続人やそれ以外のものが保険金受取人に指定されていた場合には、忘れずに保険金の請求をすることも重要です。保険金の請求をする際には、各生命保険会社が用意している書式に必要事項を記入して、除籍謄本や住民票の除票などを提出することになりますが、具体的には加入している生命保険会社に確認して、その指示に従うと良いでしょう。

・健康保険や年金の手続きをする
被相続人が加入していた健康保険によっては、一時金や弔慰金などが支給されることがありますし、遺族が遺族年金を受け取れるケースなどもあります。これらの支給についても手続きが必要なので、加入している健康保険組合や市町村、年金センターなどに連絡をして手続きをしましょう。

・遺言書の有無を調べる
人が亡くなったとき、遺言書の有無を調べることが重要です。遺言書とは、被相続人がその財産承継方法などについての希望を書いた書類のことであり、遺言書があると、法定相続人の法定相続分に優先して、その内容にしたがって遺産相続されます。遺言書には主に自筆証書遺言公正証書遺言があり、自筆証書遺言の場合には自宅に保管されていることが多いです。被相続人が普段使っていた机の中や金庫、棚の中、貸金庫がある場合にはその中、ときには勤務先に保管されていることもあります。公正証書遺言の場合、原本は公証人役場に保管されていますが、被相続人は正本や謄本を保管していることが普通です。そのため、これらがないかどうかよく探してみましょう。公正証書遺言の場合には、公正証書の検索機能を使えば公正証書遺言があるかどうかを調べることができます。

・検認申立をする
遺言書が見つかったら、検認申立をする必要があります。検認申立とは、遺言書のそのときの形状や状態を裁判所に確認してもらうための手続きです。遺言書が封入されている場合、検認をせずに勝手に開封すると科料などの制裁が科される可能性もあるので、注意が必要です。検認をしても遺言書が有効になるわけではありません。公正証書遺言の場合、検認は不要です。

・相続人調査をする
遺産相続が起こったら、相続人調査をおこないます。具体的に相続手続きを進めるためには遺産分割協議をする必要がありますが、遺産分割協議には相続人が全員参加しないといけないので、もれなく全員の相続人を確定することが必須だからです。相続人調査をする場合には、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍謄本などを取得して、前妻との子どもや認知している子ども、養子縁組している親子がないかなどを、しっかりチェックしましょう。

・相続財産調査をする
遺産分割協議の前提として、相続財産の特定も重要です。遺産分割協議をしようとしても、具体的にどのような財産があるかがわからないと、話合いをすることができないからです。被相続人宅にある預貯金通帳や銀行、証券会社から届いた書類、不動産に関する権利証(登記事項証明書)などの書類、役所から届いた固定資産税の明細書などを探しておきましょう。

・相続放棄、限定承認をする
被相続人に借金があるなどの理由で法定相続人が相続を希望しない場合には、相続放棄や限定承認などの手続きをする必要があります。これらの手続きをするためには、家庭裁判所で「申述」をする必要があります。また「自分のために相続があったことを知ってから3カ月以内」という熟慮期間内に手続きをしないといけないことも重要です。「自分のために相続があったことを知った」とは、「被相続人の死亡」と「被相続人に借金があったこと」の2つを知ったときから3カ月間と理解されていることが多いので、覚えておくと良いでしょう。


相続放棄とは

・遺産分割協議を行う
相続人調査と相続財産調査が終わったら、遺産分割協議をしなければなりません。遺産分割協議には、相続人が全員参加する必要があり、1人でも欠けていたらその遺産分割協議は無効になってしまうので、注意が必要です。遺産分割協議の結果、相続人間で合意ができたら「遺産分割協議書」を作成します。遺産分割協議書は、預貯金の解約出金や不動産相続登記の手続きの際必要となる重要な書類なので、相続人の人数分作成して大切に保管しましょう。相続人同士が話し合っても合意ができない場合には、家庭裁判所で遺産分割調停や審判の手続きをする必要があります。

・準確定申告をする
被相続人が自営業者などで、確定申告をすべき立場であった場合、年度途中で死亡したら確定申告することができません。そこで、相続人が代わりに確定申告をする必要があります。この手続のことを「準確定申告」と言います。準確定申告の期間は、相続開始後4カ月以内となっているので、延滞しないように早めに手続きをしましょう。

・相続税の申告と納税をする
相続が起こったら、相続税の申告と納税が必要になるケースがあります。相続税には基礎控除があるので、基礎控除内におさまっている場合には相続税は発生せず、申告も不要です。これに対し、基礎控除を超える場合には、相続税の申告と納税が必要です。相続税の申告と納税には期間があり、具体的には相続開始後10カ月以内となります。延滞すると、税務署から督促が来たり、利子税、延滞税などが課税されたりすることもあるので、早めに手続きましょう。また、遺産分割協議が終わっていない場合でも、10カ月以内に相続税の申告納税は必要です。この場合、法定相続分に応じて相続税を負担することが多いですが、払いすぎた分については後に更正請求をして取りもどすことができます。

相続税申告に関わる一般的なスケジュール

被相続人の死亡(相続開始)

  • 葬儀の手配
  • 死亡届の提出
  • 税理士への業務依頼
  • 遺言書の有無の確認
  • 相続人の確認

相続税申告に関わる一般的なスケジュール

3ヶ月以内相続放棄 or 限定承認

相続の放棄または限定承認をする場合には、その旨を家庭裁判所に申述します。
何もしなければ単純承認されます。債務が多い場合の相続の際等には注意が必要です。

単純承認 …
相続人が被相続人(亡くなった人)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ。
限定承認 …
被相続人の債務がどの程度あるか不明であり財産が残る可能性もある場合等に相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ。
相続放棄 …
相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない。

相続税申告に関わる一般的なスケジュール

4ヶ月以内被相続人の準確定申告

被相続人の死亡した年の1月1日から死亡した日までの所得の申告をします。

相続税申告に関わる一般的なスケジュール

相続人の青色申告の届出

相続人が被相続人の事業を引き継ぐ場合、事業を引き継ぐ相続人が新たに青色申告の届出をする必要があります。

  • 遺産の調査、評価・鑑定
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続税申告書の作成

相続税申告に関わる一般的なスケジュール

10ヶ月以内遺産の名義変更

遺産分割協議が終了したら、遺産分割協議書に基づき遺産の名義変更を行います。

相続税申告に関わる一般的なスケジュール

相続税の申告と納付

相続税申告書を所轄の税務署に提出し、納税を行います。

相続税申告に関わる一般的なスケジュール

2年以内税務調査

申告期限後、半年から1年の間に行われることが多いです。
申告をした全ての方が対象となるわけではなく、統計上約1/4の方に税務調査が行われています。

・遺留分減殺請求をする
一定の法定相続人が、遺言や生前贈与などによって自分の遺留分を侵害されている場合には、遺留分減殺請求をすることができます。遺留分減殺請求とは、一定の法定相続人に認められている最低限の遺産取得分のことです。遺留分が認められる相続人は、兄弟姉妹以外の法定相続人です。遺留分を請求する際には「遺留分減殺請求」という手続きを摂る必要があります。方法については法律上の要式はありませんが、通常は証拠を残すために内容証明郵便を利用して請求をします。また、遺留分減殺請求は、相続があったことを知ってから1年以内にする必要があるので、注意しましょう。遺留分減殺請求があったら、請求者と被請求者との間で遺留分の返還方法について話合い、遺留分の返還を受けたら問題が解決できます。

遺留分減殺請求

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法定相続人とは

遺産相続をする場合、法定相続人の概念を理解しておくことが大切です。法定相続人とは、法律によって遺産相続をすると決められている相続人のことです。遺産相続が起こったとき、遺言書があればその内容に従って遺産相続されますが、遺言書がなければ法定相続人が相続人となって、遺産相続します。法定相続人には順位があり、後順位の人から順番に相続人となることができます。自分より先順位の法定相続人がいる場合、その人が死亡するなどして相続人でなくなったら、後順位の自分が法定相続人となります。

法定相続人になれる人

法定相続人になれる人は決まっています。配偶者は常に法定相続人となります。また、法定相続人には順位があり、第1順位の法定相続人は子どもです。子どもがいない場合には親が第2順位の法定相続人となります。被相続人に子どもも親もいない場合には、兄弟姉妹が第3順位の法定相続人となります。

代襲相続とは

法定相続人が被相続人より先に死亡している場合、代襲相続が起こることがあります。代襲相続とは、相続人となるはずの法定相続人が被相続人より先に死亡している場合、相続人の子どもが代わりに法定相続人になることです。代襲相続が認められるのは、子どもと兄弟姉妹です。たとえば、子どもが親より先に亡くなっている場合に、その子どもに子ども(被相続人から見たら孫)がいる場合には、孫が法定相続人となります。兄弟姉妹が法定相続人となる場合に、兄弟姉妹が被相続人より先に亡くなっていれば、兄弟姉妹の子ども(被相続人から見たら甥姪)が法定相続人となります。子どもも孫も被相続人より先に亡くなっている場合には、ひ孫が再代襲相続によって相続人となりますが、兄弟姉妹と甥姪が被相続人より先に亡くなっていたとしても、再代襲相続は起こりません。甥姪の子どもは法定相続人になることはできないということです。これは、兄弟姉妹の家系は、被相続人と血縁関係が遠くなるので、代襲相続を一代限りにすべきという判断によるものです。



代襲相続

相続欠格、廃除とは

もともと法定相続人であっても、相続人になれないケースがあります。代表的なものが、相続欠格や廃除があった場合です。相続欠格とは、一定の事由がある場合に相続人の資格を失うことです。たとえば、以下のような場合に相続欠格者となります。

  • 故意に被相続人や自分と同順位以上の相続人を死亡させたり、死亡させようとしたりした場合
  • 被相続人が殺されたのを知っているのに告発や告訴をしなかった場合
  • 詐欺や脅迫により遺言を取り消したり、遺言の変更を妨げたりした場合
  • 遺言書を偽造、変造や破棄、隠蔽した場合

上記の事由があった場合当然に資格を失うので、被相続人の意思は問題になりません。これに対し、相続人の廃除とは、相続人に一定の非行などがある場合に、被相続人の意思によって法定相続人としての資格を失わせることです。たとえば、相続人が被相続人を虐待したり、屈辱を与えたり、財産を不当に処分した場合など、著しい非行がある場合に推定相続人の廃除ができます。相続人の廃除をするためには、家庭裁判所に申立をして相続廃除を認めてもらう必要があります。ただ、被相続人の気が変わって廃除を取りやめたい場合には、廃除の取消の申立をして、廃除した相続人の相続資格を取りもどすことができます。廃除や取消は、遺言によってもすることができます。以上のように、相続欠格は、「その事由があったら当然に欠格者となって相続資格を失う」のに対し、相続人廃除の場合には「被相続人の意思によって相続人としての立場を失わせる」という違いがあります。

相続権の欠格事由

法定相続人が相続放棄した場合

法定相続人が相続放棄をした場合にも、法定相続人の資格がなくなります。相続放棄をすると、放棄者ははじめから相続人ではなかったことになるので、法定相続人としての立場はなくなるのです。この場合、放棄者の子どもが代襲相続することもできません。遺産分割を行う場合には、まずは誰が法定相続人になるかを確定する必要があるので、今回の内容を参考にして、間違えずに遺産分割協議を進めましょう。

△「法定相続人とは」を最初から読む

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相続の順位の付け方と法定相続分の決め方

法定相続人には順位がある!

人が亡くなったとき、配偶者や子ども、親、兄弟姉妹や孫、甥姪、いとこなどいろいろな親族がいるものですが、この中で誰が優先的に相続人になるのかを決める必要があります。そこで、法律は法定相続人に順位を定めています。まず、被相続人に配偶者がいる場合、配偶者はいつでも法定相続人となります。被相続人に子どもがいる場合、子どもは第1順位の法定相続人なので、子どもが遺産相続をします。子どもは、現在婚姻している妻との子どもに限らず、前妻との子どもでも、認知している子どもでも、養子縁組している子どもでも法定相続人になります。配偶者と子どもがいる場合には配偶者と子どもが相続しますし、配偶者がいない場合には子どものみが相続人となります。被相続人に子どもや孫がいない場合には、親が第2順位の法定相続人となります。配偶者と親がいる場合には配偶者と親が遺産相続をしますし、被相続人に配偶者がいない場合には、親のみが相続人となります。被相続人に子どもも親もいない場合には、兄弟姉妹が第3順位の法定相続人となります。配偶者と兄弟姉妹がいる場合には、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人となりますし、配偶者がいない場合には兄弟姉妹のみが法定相続人として遺産相続をします。

法定相続人の法定相続分

法定相続人には、法定相続分があります。法定相続分とは、法定相続人に認められる具体的な遺産相続割合のことです。法定相続人だけが決まっても、どの法定相続人がどのくらい遺産を取得するかが決まっていないと遺産の分け方を決めることができません。そこで、法定相続人には決められた遺産取得分としての法定相続分が認められますが、法定相続分は、法定相続人によって異なります。

子どもが法定相続人の場合

まずは、第1順位の法定相続人である子どもが相続人となるケースでの法定相続分を見てみましょう。配偶者と子どもが法定相続人となる場合、法定相続分は、配偶者が2分の1、子どもが2分の1となります。子どもが複数いる場合には、子どもの法定相続分が子どもの人数で頭割り計算されます。配偶者がなく、子どもだけが法定相続人になる場合には、子どもが全部相続しますが、子どもが複数いれば、子どもの人数で頭割り計算されます。たとえば、配偶者と子ども3人が法定相続人になる場合、配偶者の法定相続分は2分の1となり、子どもたちの法定相続分はそれぞれ2分の1×3分の1=6分の1ずつとなります。

子どもが法定相続人の場合

親が法定相続人の場合

第2順位の親が法定相続人となるケースでの法定相続分を見てみましょう。この場合、配偶者と親が法定相続人となる場合には、配偶者の法定相続分は3分の2、親の法定相続分は3分の1となります。配偶者がおらず親のみが法定相続人になる場合には、親が全部相続します。親が2人の場合には、親の取得分を2分の1ずつにします。具体例を見てみましょう。配偶者と親2人が法定相続人となるケースです。この場合、配偶者の法定相続分が3分の2、親の法定相続分は、それぞれ3分の1×2分の1=6分の1ずつとなります。

親が法定相続人の場合

兄弟姉妹が法定相続人の場合

第3順位の兄弟姉妹が法定相続人になるケースを見てみましょう。この場合、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人になる場合、配偶者の法定相続分が4分の3、兄弟姉妹の法定相続分が4分の1となります。兄弟姉妹が複数いる場合には、兄弟姉妹の取得分である4分の1を、兄弟姉妹の頭数で割り振ります。配偶者がおらず兄弟姉妹のみが法定相続人になる場合には、兄弟姉妹が全部相続しますが、兄弟姉妹が複数いれば、やはり兄弟姉妹の頭数で兄弟姉妹の相続分を割り振り計算します。ここでも、わかりやすいように具体例を見てみましょう。配偶者と兄弟姉妹2人が法定相続人となるケースです。この場合、配偶者の法定相続分は4分の3、兄弟姉妹の法定相続分は、4分の1×2分の1=8分の1ずつとなります。以上のように、法律は法定相続人の順序と法定相続分を定めているので、わからないことがあったら弁護士などの専門家にアドバイスを求めると良いでしょう。

兄弟姉妹が法定相続人の場合

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法定相続分の割合例まとめ

法定相続分を参考にして決める相続割合

相続人になれる範囲と同様に、財産の相続割合も民法で決まっています。これを「法定相続分」といい、相続人の順位や組み合わせによって割合が変わります。 相続人が配偶者だけならば、すべての遺産を相続しますが、子どもがいる場合は、配偶者と子どもで2分の1ずつ分けます。子どもが複数いる場合は、2分の1を子どもたちの数で均等に割ります。そのほか、主な法定割合は、図を参考にしてください。 ケース5のように、第一順位の子どもが亡くなっている場合は、相続権が孫に移ります。これを「代襲相続」といいます。 また、被相続人が特定の相続人に虐待を受けたなどで、遺産を相続させたくないという場合、相続権をはく奪する「廃除」を行うことができます。遺言がない場合は、各相続人の取り分を話し合いで決めることになります。これを「遺産分割協議」といいます。

代襲相続とは?

死亡または廃除などの理由により、相続権を失った人に代わって、直系卑属である子が同一順位で相続人となること

廃除とは

被相続人が、虐待を受けたり、著しい非行があったなど、その人に相続権を与えたくない場合に、相続権をはく奪すること。廃除するには、被相続人が家庭裁判所に申し立てをするか、遺言書に意思表明し、認められることが必要

遺産分割協議書とは

遺言書がない場合に、相続人による話し合いで合意した遺産の分割方法を取りまとめ、全員の合意書として成立させる書類のこと。誰がどの遺産を受け取るかを具体的に記載し、名義変更などに使う

専門家からのアドバイス

税理士:古尾谷裕昭

相続割合を目安に話し合うことが大切

遺産の分割は、法定相続分で必ずしなければならないということではありません。相続人同士の協議=遺産分割協議で自由な割合で遺産の分割を決めることができます。ただし、最終的な遺産分割を確定させるには、相続人全員の合意が必要になってくるため、遺産分割協議をする上での目安として法律上の相続割合を定めているのです。 相続人が未成年者の場合には、特別代理人を選任して手続きを代理していくことになります(基本的に親権者は代理人になれません)。特別代理人は未成年者が不利にならないように協議します。もしも法定相続分より低い割合の相続分になってしまうと、家庭裁判所の承認をうけることが実務上困難になるので注意が必要です。

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相続の対象になる財産とは

相続の対象になる財産

遺産相続が起こるとき、何が相続の対象になって、何が相続の対象にならないのか問題になります。遺産分割協議をするときには、基本的に相続の対象になるもののみを対象にしますし、相続税の申告の対象になるのも相続の対象になる財産だからです。そこで、相続の対象になる財産にはどのようなものがあるのか、見てみましょう。
相続の対象になるのは、被相続人名義のあらゆる財産です。たとえば、被相続人名義の現金預貯金、不動産、自動車、有価証券、投資信託、ゴルフ会員権、骨董品などすべてが相続の対象となります。これらの遺産があったら、相続人らが遺産分割協議をして、誰がどの遺産を取得するかを決めなければなりません。次に、借金などの負債も相続の対象になります。借金だけではなく、買掛金の支払い債務や未払いの家賃など、基本的にすべての債務は相続の対象になります。そこで、相続人が借金などの負債を相続したくない場合には、相続放棄や限定承認などの手続きをとる必要があります。また、被相続人の権利義務も相続の対象になります。たとえば、被相続人が賃貸借契約によってアパートに入居していた場合、賃借人としての地位は相続人に承継されます。そこで、賃貸借契約が解消されるまでの間、相続人らは賃貸人に対して賃料を支払う必要がありますし、賃貸借契約終了時には、賃貸人は相続人らに対して敷金や保証金を返還しなければなりません。逆に、賃貸人が死亡した場合には、その不動産を相続した相続人が賃貸人としての地位を相続します。そこで、相続人は賃借人に対して賃料支払いを請求することになりますし、賃借人は、相続人に対して物件を使用できる状態に保つよう請求することができます。被相続人の損害賠償請求権も相続の対象になります。たとえば、被相続人が交通事故で死亡した場合には、死亡による損害賠償請求権を相続人が相続して、交通事故の相手に対して賠償金の請求をすることができるのです。

相続の対象にならない財産

次に、相続の対象にならないのはどのような財産なのかを見てみましょう。まず、祭祀関係の財産は、相続の対象にならないと考えられています。祭祀関係の財産とは、たとえば、仏壇や仏具、神棚や墓石墓標や遺骨などです。これらについては、一般的な相続ではなく祭祀主宰者に対して承継されることになります。祭祀主宰者については、通常遺言などによって被相続人自身が決定しますが、遺言がなかった場合には慣習によって定めます。慣習もなくて決められない場合には、家庭裁判所において、祭祀承継者に関する調停や審判手続きによって決められることになります。

相続財産の分類

生命保険金、死亡退職金

生命保険金や死亡退職金は、遺産相続の場面で相続財産になるのかどうかが問題になることがあります。これらの財産は、法律的には、受取人の固有の財産と評価されるので、基本的には相続の対象になりません。たとえば、生命保険金の受取人が配偶者と指定されている場合、配偶者は生命保険金を受け取ることができますが、これについては遺産分割の対象にする必要がなく、配偶者が全部取得することができます。ただ、遺産全体の金額などからして、これを受取人固有の財産にすると著しく他の相続人との間で不公平になるケースでは、例外的に生命保険金を特別受益と評価して、相続財産に入れて遺産分割が行われることもあります。死亡退職金についてもこれと同様で、基本的には受取人固有の財産として取り扱われますが、その原則を貫くと他の相続人との間で著しく不公平になるケースでは、例外的に特別受益として計算されることもあります。

一身専属的な権利義務

相続が起こるとき、基本的に、被相続人の権利義務は相続の対象になりますが、相続人の一身専属的な権利義務は相続の対象になりません。たとえば、被相続人が他人の身元保証人になっていた場合、身元保証人としての地位は相続の対象になりません。これは、身元保証は、被相続人と保証を受ける人との個人的な人間関係にもとづくところが大きいので、被相続人の一身専属的な義務であると考えられるからです。また、被相続人が養育費を支払っていた場合、養育費支払い義務も相続の対象になりません。被相続人が養育費を受け取っていた場合も同じです。養育費の支払い義務や権利は、親子関係から発生するものなので、一身専属的です。相続人は、相手との親子関係がない以上、養育費の支払いをしたり受けたりする理由がありません。これ以外にも、雇用関係にもとづく雇用債務についても専属的なものです。雇用契約は、個人同士の関係によって締結されているものなので、相続の対象になりません。たとえば父親が亡くなったとしても、子どもが代わりに働かなければならない、ということにはなりません。

被相続人の身の回りの財産的価値のないもの

相続の対象にならないものとして、被相続人の身の回りの財産的な価値のないものがあります。たとえば被相続人が着古したジャンパーやズボンなどの物品です。これらについては、形見分けの対象にはなっても、遺産分割や相続税の対象にはなりません。遺族年金についても、受取人の固有の財産なので、相続の対象にはなりません。以上のように、相続財産になるものとならないものの分類はわかりにくいものもあります。自分で判断ができない場合には、専門家に相談してみると良いでしょう。

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みなし相続財産とは

相続が起こるとき、「みなし相続財産」が問題になることがあります。みなし相続財産とは、法律上は相続財産にはならないけれども、相続税制上は相続財産とみなされる財産のことです。代表的なものは、生命保険金と死亡退職金です。これらのみなし相続財産は、法律上は相続財産ではないので、遺産分割の対象にはなりません。受取人の固有の財産として、全額を受取人が取得することができるのが原則です。しかし、相続税制上は、相続財産として計上され、課税が行われます。このように、みなし相続財産は、法律上の取扱と税制度上の取扱が異なるので注意が必要です。遺産分割協議の対象にせずに全額を自分が取得できたとしても、相続税の支払いは免れることができないということになります。

みなし相続財産の例

みなし相続財産としては、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?以下で見てみましょう。

  • 生命保険金
  • 死亡退職金
  • 定期金に関する権利
  • 特別縁故者への相続財産の分与
  • 債務免除を受けた場合の利益
  • 農業後継者が死亡した贈与者から贈与を受けた農地

上記のようなケースでは、法律上は相続財産の対象にならないので遺産分割の対象にする必要はありませんが、みなし相続財産として、相続税の支払が必要になってきます。

みなし相続財産の相続税控除制度

みなし相続財産がある場合には、相続税が課税されますが、みなし相続財産には相続制の控除の制度があるので、必ずしも課税が行われるとは限りません。具体的には、法定相続人の数×500万円の金額までは、相続税が非課税とされます。また、この場合民法の解釈とは異なり、相続放棄をした人であっても上記の「法定相続人」の数に含めて計算することができます。被相続人に養子がいた場合には、上記計算の際に「法定相続人」に入れられる人数に制限があり、被相続人に実子がいる場合には養子1人まで、実子がいない場合には養子2人までとなっています。このように、相続税の考え方と民法の考え方では、ずいぶんと解釈が異なる点があるので、それぞれ正確に理解しておく必要があります。次に、みなし相続財産の控除制度を使うと、どのくらい税金の控除が受けられるのかを具体的に見てみましょう。仮に、配偶者が生命保険金2000万円を受け取ったとして、法定相続人が配偶者と子ども2人だった場合があるとします。このとき、法定相続人の人数は3人なので、500万円×3人=1500万円までの部分には、生命保険金の受取金に相続税はかかりません。そこで、残り500万円分にのみ課税が行われることになります。この考え方は死亡退職金でも同様です。

生命保険の非課税枠

退職金の非課税枠

みなし相続財産を使って相続税を節税できる

みなし相続財産があると、上記のように大きな相続税控除制度が適用されます。そこで、これを利用して相続税の節税対策をすることが可能です。たとえば、現金2000万円を持っている被相続人がいるとします。このとき、現金を持ったまま亡くなったら、現金がそのまま相続人らに相続されて、まるまる相続税が課税されることになります。ここで、生命保険に加入して、受取人を配偶者に指定します。法定相続人の数は、配偶者と子ども3人の合計4人としましょう。すると、生命保険はみなし相続財産として相続税の控除を受けられるので、500万円×4人=2000万円までは相続税が非課税となります。上記の事案で配偶者の受け取る生命保険金が2000万円だった場合、まったく相続税の支払いをしなくて良くなります。さらに、生命保険の場合、利率があるので、支払った金額である2000万円よりも多くの金額を受け取れることが多いです。たとえば、2000万円の現金で生命保険に加入して、配偶者の受取金額が2100万円だったとすると、100万円分に対しては相続税が課税されることになりますが、何もしなければ現金2000万円にそのまま相続税が課税される結果になっていたので、これと比べると大きく得をしていることは明らかです。このように、みなし相続財産である生命保険金を上手に使うと、とても効果的に節税することができるので、ぜひとも参考にしましょう。このことは、死亡退職金のケースでも同様です。同族会社などで社長に高額な死亡退

みなし相続財産と相続放棄の関係

みなし相続財産を理解しようとするとき、相続放棄との関係にも注意が必要です。相続放棄をすると、被相続人の財産について、プラス分もマイナス分も含めて一切相続しないことになります。ただし、これは民法上の話です。みなし相続財産は、民法上は、もともと相続財産ではないのであり、税制上相続財産として課税対象にしているだけです。ということは、みなし相続財産に関しては、相続放棄をしても影響を受けず、受取人として指定されている人は、生命保険金などを受け取ることになります。そうなると、受け取った生命保険金については、相続税の課税対象になります。つまり、生命保険や死亡退職金の受取人になっている場合、相続放棄をしたとしても相続税の支払を免れることができないということです。もちろん、被相続人に借金などがあった場合にはその支払いは免れることができますし、生命保険金には相続税控除の制度もあります。また、受け取った生命保険金より大きな相続税額が課税されることはないので、「支払ができない」という状況は起こりにくいですが、「自分は相続放棄したから相続関係の支払は一切しなくて良い」という考えを持っていると、突然相続税の支払いが必要になって、驚いてしまうこともあるので注意が必要です。以上のように、みなし相続財産では、民法上と相続税制上で取り扱いが異なってくるので、混乱を生じないように分けて考えておきましょう。ただ、上手に利用すると効果的に

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遺産相続の3つの方法(単純承認/限定承認/相続放棄)

相続が起こったとき、相続人は3種類の対応を選ぶことができます。それは、単純承認と相続放棄、限定承認です。それぞれの対応方法によって効果が全く異なってきますし、期間制限がある対応方法もあるので、相続が起こったときにはどの対応をとるか、しっかり検討することが大切です。そこで、以下ではこの3種類の相続への対応方法について、個別に解説します。

単純承認

単純承認とは、相続に限定をつけず、権利も義務もすべて承継する相続方法です。単純承認するときには、被相続人のプラスの資産も承継しますし、マイナスの負債も承継します。通常のケースでは、相続人全員が単純承認をして、そのまま相続人同士が集まって遺産分割協議をすることが多いです。ただ、借金などの負債も相続の対象になるので、被相続人が借金をしていた場合に単純承認してしまうと、相続人は被相続人の代わりに借金返済をしなければならないので、注意が必要です。相続人が借金返済できないなら、相続人が自己破産しなければならなくなります。

相続放棄

相続への対応方法の2つ目は、相続放棄です。相続放棄とは、遺産相続の一切をせずに放棄することです。この場合、プラスの資産もマイナスの負債も相続することがないので、被相続人に借金がある場合には相続する必要がなくなり、返済の義務を負うことはありません。ただ、相続放棄をすると、プラスの資産も相続することができなくなるので、被相続人に資産がある場合には、それも相続できなくなってしまいます。被相続人の遺産に資産と負債の両方があって、差し引きすると資産価値が負債を上回っている場合に相続放棄をすると、損をしてしまうおそれがあります。また、被相続人の遺産内容に実家の不動産などの守りたい財産がある場合、相続放棄をするとその不動産の相続をすることもできません。兄弟が単純承認をしてくれて、実家を引き継いでくれるなら不動産がなくなることはないですが、誰も相続しない場合には、実家は最終的に国のものになり、失われてしまうことになります。

限定承認

相続への対応方法の3つ目は、限定承認です。限定承認とは、遺産内容を調査して、プラスの資産がマイナスの負債を上回っている場合、そのプラス部分のみを相続する方法です。負債が資産を上回っている場合には相続は起こりません。先述のように、相続放棄すると、借金を相続せずに済みますが、プラスの資産まで受け取れなくなるのでプラスの資産が上回る場合に損をする可能性があります。これに対し、限定承認をすると、プラスの資産が上回る場合にはその上回ったプラス分は受け取ることができるので、そのようなリスクを避けられます。ただし、限定承認をするためには共同相続人全員でする必要があります。相続人のうちひとりでも単純承認をしたり相続放棄をしたりすると、1人で限定承認することはできないので注意が必要です。また、限定承認すると、みなし譲渡所得税という税金が課税される可能性があります。限定承認によって不動産を相続する場合、その不動産は、相続時の時価で被相続人から相続人へと譲渡されたとみなされます。すると、不動産を取得したときの費用と相続時の時価を比べて、利益(譲渡所得)が出ていると、それに対して譲渡所得税が課税されてしまうのです。単純承認した場合には、このようなみなし譲渡所得税が課税されることはありません。限定承認をする場合には、これらのデメリットのことも正確に理解しておく必要があります。

遺産相続の3つの方法
選択肢 説明
単純承認:相続する 被相続人のすべての財産・債務を受け継ぐ。
相続放棄:相続しない すべての財産・債務を受け継がない。
限定承認:条件付きで相続する 受け継いだ財産の範囲内で、被相続人の債務を引き受ける

熟慮期間について

単純承認には期間制限がありませんが、相続放棄や限定承認には期間制限があることを知っておきましょう。具体的には、これらの手続きをとるためには、「自分のために相続があったことを知ってから3カ月以内」にする必要があり、この期間のことを「熟慮期間」といいます。熟慮期間の具体的な理解方法については、「被相続人が死亡した事実」と「被相続人に借金や負債があった事実」を知ったときから3カ月と考えておきましょう。この3カ月の期間を過ぎると、基本的に相続放棄や限定承認ができなくなって、単純承認しかできなくなるので注意が必要です。借金がある場合には、借金を相続するしかなくなってしまいます。なお、熟慮期間内に相続への対応方法が決められない場合には、熟慮期間延長の申立をすることができますが、延長の申立をしても必ず認められるとは限らないので、相続が起こった場合には、早めにどの対応をするのか決めることが重要です。

相続放棄、限定承認の方法

単純承認をする場合には、特に方法についての制限はありません。何もしないで熟慮期間が経過したら、当然に単純承認したとみなされます。これに対し、相続放棄や限定承認をする場合には、法律上定まった方式で手続きをする必要があります。具体的には、家庭裁判所に対して「相続放棄の申述」や「限定承認の申述」をしなければなりません。これらの申述をする場合には、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所において相続放棄の申述や限定承認の申述をします。その際、各手続きの申述書に必要事項を記入して家庭裁判所に提出します。戸籍謄本や住民票などの必要書類も添付する必要があり、800円分の収入印紙が必要になります。相続放棄の申述は相続人ひとりでもできますが、限定承認の申述をする場合には、共同相続人全員が一緒に申述手続きをする必要があります。相続放棄の申述をすると、家庭裁判所において審査が行われ、照会書が送られてきます。必要事項について回答をして提出すると、問題がない場合には相続放棄の申述が受理されて有効に手続きができます。限定承認の場合には、相続財産管理人が選任されて、その人が財産調査を行い、必要な支払いなどをした後、最終的にあまりが出たら相続人に返還してくれます。以上のように、相続が起こった場合には、単純承認と相続放棄、限定承認の3種類の対応方法があり、それぞれ全く効果が異なります。自分でどのように

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相続の具体的な手順

遺言があるかないかを調べる具体的な方法

遺産相続が起こったら、どのようにして相続手続を進めるのかが問題です。この場合、まずは遺言があるかどうかを確認することが肝心です。遺言があれば、遺言書に従って遺産相続の手続きを進めることができるからです。遺言書がある場合、自筆証書遺言または公正証書遺言が残されているケースが多いです。自筆証書遺言なら、自宅の机の中や書斎、金庫の中などにしまわれていることがよくあるので、被相続人が大事なものをしまっていた場所などをよく調べてみましょう。被相続人が事業経営をしていた場合には、会社の机や金庫の中に遺言書がしまってあることもありますし、貸金庫内に遺言書が保管されているケースもあります。公正証書遺言の場合には、被相続人が公正証書の写し(正本や謄本)をどこかに保管していることが多いので、やはり心当たりを探してみると良いでしょう。公証役場で公正証書遺言の検索サービスを受けることができるので、それを利用して遺言の有無を調べることもできます。

相続人調査の具体的な手順

遺言がない場合には、相続人を調査する必要があります。被相続人の子どもは全員相続人になるので、相続人調査の際には、被相続人が生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本や除籍謄本、改正原戸籍謄本をもれなく取得する必要があります。「子どもは自分たちだけ」だと思っていても、実は前妻との間に子どもがいたり、認知している子どもがいたりすることもあります。そこで、被相続人の戸籍の記載内容から、隠し子や認知している子ども、養子縁組している親や子どもなどがいないかどうか、正確に見極めることが重要です。戸籍謄本や除籍謄本、改正原戸籍謄本を取得する際には、本籍地の市町村役場において、謄本類の申請をする必要があります。遠方の市町村役場に保管されている場合などには出向くことは困難ですが、これらの謄本類は郵送でも取り寄せることができます。その場合、郵便局に行って、定額小為替を購入し、返信用の切手と封筒を同封して対象の役所に申請書と一緒に送ると、申請した戸籍謄本類の返送を受けることができます。ただ、被相続人が結婚や離婚を繰り返していたり、転籍を繰り返していたりする場合には、戸籍謄本類の収集手続きはかなり大変な作業になります。自分で作業を進めると、漏れが生じてしまうこともあるでしょう。自分たちではスムーズに相続調査ができないと感じる場合には、弁護士などの専門家に依頼して調べてもらうこともできます。専門家に依頼す

相続財産調査の具体的な方法

相続手続きを進める際には、相続財産調査も重要です。遺産分割協議の前提として、どのような相続財産があるのかをあきらかにする必要があるからです。相続財産調査の具体的な方法としては、被相続人宅に届く郵便物を調べてみることが効果的です。金融機関や役所などから届いた郵便内容から、被相続人名義の預貯金や証券会社の口座、その内容などを確認することができます。役所から固定資産税の納付所が届いたら、被相続人に不動産があることがわかります。また、借金も相続の対象になりますが、被相続人宅に消費者金融や銀行等からの通知書などが届いていたら、借金の存在を知ることができます。相続財産調査によって、被相続人に借金があることがわかったら、その時点で相続放棄や限定承認することを検討すると良いでしょう。

遺産分割協議を行う具体的な方法

相続人と相続財産調査が終わったら、相続人らが集まって遺産分割協議を行います。遺産分割協議をする方法に特に定めはありませんが、全員が一番話合いをすすめやすい方法で行いましょう。通常は相続人のうち誰かの家に集まって話合いをすることなどが多いです。遺産分割協議ができたら、その内容をまとめた遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、誰がどの遺産を取得するかを具体的に書き入れて、相続人全員が署名押印する必要があります。このとき利用する印鑑については特に法律上の定めはありませんが、後々の不動産名義書換などのことを考えると、実印を使って押印することをおすすめします。遺産分割協議書が複数ページにわたる場合には、相続人全員分の契印が必要になります。このとき使う印鑑も、署名押印に使ったのと同じ印鑑です。

預貯金の払い戻しを行う

遺産分割協議書ができたら、その内容に従って被相続人名義の預貯金の払い戻しなどの具体的な相続手続きを行うことができます。遺言がある場合には、遺言書を持って払い戻しを受けられます。被相続人名義のゴルフ会員権や投資信託、株券などがある場合にも、遺産分割協議書や遺言書を持って名義書換をしたり解約払い戻しを受けたりすることができます。これらの具体的な方法については、対象の機関によって異なるので、直接連絡を入れて問い合わせをし、指示に従って進めると良いでしょう。

不動産登記を行う

遺産分割協議が整ったら、不動産名義の書き換えが必要です。相続登記は、遺産分割協議書か遺言書があればすることができます。不動産登記申請は、法務局に申請します。そのとき、登記申請書という書類を作成して他の必要書類を集めて提出し、登録免許税を支払ったら名義書換が完了します。相続登記は、自分でもすることができますが、手続きが面倒であったりわからなかったりする場合には、登記の専門家である司法書士に相談して任せると良いでしょう。その場合には、司法書士費用が数万円必要になります。

相続税の申告を行う

相続手続きをする場合には、相続税の申告と納税も必要です。相続開始後10カ月以内に手続きをしないといけないので注意が必要です。相続税申告書を作成して、税務署に提出し、計算された相続税を納付したら相続税関係の手続きは終了します。自分でも手続きできますが、自分では適切に相続税評価や計算ができない場合や面倒な場合などには、税理士に相談して手続を依頼すると良いでしょう。相続手続きをスムーズに行うためには、具体的な方法を把握しておくことが大切です。自分たちだけでうまくすすめられない場合には、専門家の助けを上手に借りて進めていきましょう。

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遺産相続時に遺言書がある場合

遺言書を勝手に開封してはいけない

遺産相続が起こったとき、遺言書が見つかることがあります。遺言書とは、被相続人が最終の意思を表示するための書類であり、死後の財産の分配方法などについて記載されていることが普通です。遺言書は、被相続人が自宅などで保管していることが多いので、死後に相続人が片付け作業などをしているときに発見されることがあります。遺言書を見つけた場合、封筒などに入れられていることが多いですが、発見者は、勝手に開封してはいけません。遺言書を勝手に開封すると、5万円以下の過料という制裁を科される可能性があります。また、発見者が勝手に開封してしまうと、他の相続人から「遺言書を偽造(変造)したのではないか?」と疑われて、遺産トラブルにつながってしまうことも多いです。ただ、勝手に遺言書を開封してしまったからと言って遺産相続ができなくなることはなく、遺言書の内容に従って相続をすること自体は可能です。また、勝手に開封してはいけないのは自筆証書遺言と秘密証書遺言のケースであり、公正証書遺言の場合には開封してもかまいません。これは、公正証書遺言については、原本が公証役場で保管されているため、発見者による偽造や変造の余地がないからです。

家庭裁判所で検認が必要

遺言書を発見したら、開封することなく家庭裁判所で「検認」という手続きを経る必要があります。検認とは、裁判所において、そのときの遺言書の形状や状態を確認する手続きのことです。検認をすることによって、その後遺言書が改変されるおそれなどがなくなります。封入されていない状態で保管されている遺言書の場合でも検認手続きは必要です。ただ、検認が必要なのは、自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合であり、公正証書遺言の場合には検認手続きは不要です。

検認の方法

それでは、具体的に検認はどのような方法で進めれば良いのでしょうか?この場合、家庭裁判所に対して検認申立を行います。検認申立の際には、「検認申立書」と作成し、戸籍謄本などの必要書類を添付して家庭裁判所に提出します。申立先の裁判所は、被相続人の最終の住所地を管轄する家庭裁判所です。また、収入印紙800円と予納郵便切手が数百円分必要です。

検認の手続き

家庭裁判所に検認の申立をすると、家庭裁判所から各相続人に対し、検認期日の連絡があります。ただ、必ず出席しなければならないわけではないので、他の相続人が来ないこともあります。申し立てた人は、検認期日に遺言書や印鑑を持参しなければなりません。検認期日には、相続人らの立ち会いの下、裁判官によって遺言書の開封とその状態の確認作業が行われ、「検認調書」が作成されます。検認調書には、遺言書のコピーが添付されて、検認時に遺言書がその状態であったことが証明されます。手続きが終わると遺言書は申立人に返還されます。そして、相続人らは、遺言書について「検認済証明書」を発行してもらえるようになります。検認済証明書とは、家庭裁判所がその遺言書について「適式に検認手続きを終えました」ということを証明してくれる書類であり、これがあると、遺言書の内容通りの相続手続きを進めることができます。検認済証明書を発行してもらうときには、1通について150円の収入印紙が必要です。

申立書類作成
戸籍の取得

相続税申告に関わる一般的なスケジュール

遺言書検認審判申立て
家庭裁判所へ

相続税申告に関わる一般的なスケジュール

検認期日
申立人要出席

相続税申告に関わる一般的なスケジュール

検認済の通知
検認済証明書取得

検認をしなかった遺言書は無効?

自筆証書遺言や秘密証書遺言を発見したら検認手続きをする必要がありますが、検認をしなかったら遺言書が無効になるのでしょうか?実際には、そのようなことはありません。検認をしなくても遺言書は有効になることもあり、遺言内容に従って遺産を分けることはできます。ただ、不動産登記などをするためには検認を終えている必要があるので、実際の相続手続きではできないことが出てきます。反対に、検認を終えたからといって遺言書が有効になるということもありません。検認をしたと遺言書でも、もともと偽造や変造にもとづくものであれば遺言書は無効です。一般的に「検認をした遺言書は有効」「検認していない遺言書は無効」という誤解が多いので、これを機会に正しく理解しておきましょう。

公正証書遺言を発見した場合

発見した遺言書が公正証書遺言の場合には、検認手続きは不要です。この場合、公証役場に原本が保管されていますし、手元に写しがなければ謄本を申請して取得することができます。遺言書があると、それに従って各種の相続手続きを進めることができます。検認を受けた自筆証書遺言や公正証書遺言をもって金融機関に行くと、預貯金の解約払い戻しが受けられますし、法務局で登記申請をすれば、遺言書において指定された相続人に対して不動産の名義書換ができます。このように、遺言書を発見した場合には、遺言書の種類によって検認が必要になるケースがあるので、注意が必要です。自分では対処方法がわからない場合には、専門家に相談してみると良いでしょう。

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遺言書の各種類と特徴

特別方式遺言と普通方式遺言

遺言書は、被相続人が最終の意思を表明するための書類ですが、ひと言で遺言書と言っても、実はいくつかの種類があります。まず、大きく分けて特別方式遺言普通方式遺言に分けられます。特別方式遺言とは、遺言書の中でも、遺言者の生命身体に危険が迫っていて、緊急性がある場合の遺言方式のことです。これに対して普通方式遺言とは、通常一般のケースにおける遺言方式です。一般的に「遺言書」という場合には、普通方式遺言を指し示すことが多いです。以下で、特別方式遺言と普通方式遺言について、それぞれ詳しく見てみましょう。

特別方式遺言

特別方式遺言は、遺言者のみに危険が迫っていたり、普通方式による遺言が困難な事情があったりする場合に認められる特別な方式の遺言のことですが、大きく分けて、危急時遺言と隔絶地遺言があります。危急時遺言とは、遺言者の身に危険が迫っている場合の遺言方式であり、隔絶地遺言とは、遺言者が隔離された状況にあるので通常の遺言をすることが難しい場合の遺言方式です。危急時遺言には、病気や怪我などの一般的な事情によって遺言者に危険が迫っている場合の一般危急時遺言と、遺言者が船舶遭難や飛行機の遭難などによってその生命に危険が迫っている場合の難船危急時遺言があります。この場合、遺言書を「書く」必要はなく、遺言者は、証人に対して「話す」ことによって遺言することができます。具体的には、証人が内容を聞き取って遺言を書き写し、他の証人が署名します。書き上がった遺言書については、後日に裁判所において確認を受ける必要があります。隔絶地遺言にも、伝染病施設における隔離などの一般的なケースである一般隔絶地遺言と、遭難していない船舶内で行う場合の船舶隔絶地遺言があります。隔絶地遺言の場合には、本人に危険が迫っているわけではないので、遺言は本人が書きます。隔絶地遺言の場合にも、警察官や船長、証人などの立会人が必要です。特別方式遺言が行われた場合、危急状態が解消して普通方式遺言が出来るようになってから6カ月経つと、遺言書の効力はなくなります。

自筆証書遺言

遺言書の種類の中でもよく利用されるのが、自筆証書遺言です。自筆証書遺言は、普通方式遺言の1種類であり、遺言者が全文自筆で記載しなければならないタイプの遺言書です。自筆証書遺言は、遺言者が自筆で書きさえすれば良いので、いつでもどこでもできます。ただ、厳格な要式があるので、それを守らないと簡単に無効になってしまいます。たとえば、遺産目録をワープロやパソコンを使って作成しただけでも、遺言書全体が無効になります。日付についても正確に自筆で書き入れる必要があり「〇月吉日」などと書いただけで無効ですし、日付用のスタンプ印を使ってもやはり無効です。遺言書の記載内容を間違えた場合には加除訂正が必要になりますが、遺言書の加除訂正方法については法律で細かく定められているので、それに反した方法で加除訂正をすると、やはり遺言書全体が無効になってしまいます。署名押印を忘れてもいけません。さらに、自筆証書遺言は、相続人の間でのトラブル原因になることが多いです。自筆証書遺言は比較的偽造や変造が容易なので、遺言によって利益を得る相続人は「遺言書は本物だ」と言いますが、不利益を受ける相続人は「偽造されたもので、偽物だ」と言ってトラブルになるのです。遺言書の有効無効を確定するためだけに裁判が起こり、相続争いが数年以上に及ぶケースなども珍しくありません。自筆証書遺言は手軽にできるメリットがありますが、このようなデメリットがあることも理解しておくことが重要

秘密証書遺言

普通方式遺言には、秘密証書遺言もあります。秘密証書遺言とは、遺言者が内容を秘密にしたままにすることができる遺言方式です。遺言者が自分で遺言書を作成して公証役場に持っていき、認証を受けることによって遺言書を作成できます。ただ、「内容を秘密にできる」以外にさほどのメリットがないので、利用される事例はそう多くはありません。

公正証書遺言

遺言書の中でもよく利用されるのが、公正証書遺言です。公正証書遺言とは、公正証書の形で作成する遺言書です。公正証書遺言は、作成手続きに公務員である公証人が関わりますし、2人の証人も必要です。もちろん本人の身分確認もしっかり行うので、偽造や変造が行われる可能性が非常に低いです。また、いったんできあがった遺言書は、原本が公証役場で保管されるので紛失する危険もありません。公正証書遺言を作成するためには、基本的には公証役場に行かないといけませんが、入院中や療養中などのケースでは、公証人や証人に病院や自宅に来てもらって遺言手続きをすることも可能です。このように、確実に自分の意思を実現したいなら、公正証書遺言がもっとも安全でおすすめです。

遺言の種類
1.自筆証書遺言
費用がかからず簡単に出来るというメリットがありますが、不備があると無効となる恐れがあります。
2.公正証書遺言
確実に遺言を残すことが出来ますが、費用と手間がかかります。
3.秘密証書遺言
内容を秘密のまま遺言を残すことが出来ますが、不備が生じる可能性があります。
遺言書の種類と特徴

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遺留分侵害を受けた時の対策

遺留分とは

父親などが亡くなって相続が起こるとき、遺言書が残されているケースがあります。このような場合、遺言書の内容によっては、自分が相続人になっていても、遺産をまったく受け取れなかったりほとんど受け取れなかったりすることがあります。たとえば、自分(次男)を含めた兄弟3人が法定相続人になっている場合でも、父親が遺言によって、「長男に全部相続させる」と定めている場合、次男と三男はまったく遺産を受け取ることができません。「長男に4分の3、次男と三男にそれぞれ8分の1ずつ相続させる」と書いてある場合、8分の1は相続できますが、本来の法定相続分である3分の1から比べると、やはりかなり相続分が減ってしまいます。このような場合、法律は「遺留分」を認めています。遺留分とは、一定の範囲の相続人が最低限取得することができる遺産取得分のことです。遺贈や贈与などによって法定相続人の期待があまりに害されることを防ぐため、最低限の取り分である遺留分が認められます。遺留分が認められるのは兄弟姉妹以外の法定相続人です。

遺留分の割合

遺留分の割合は、相続人が誰になるかによって異なります。直系尊属のみが法定相続人になる場合には、遺留分の割合は本来の法定相続分の3分の1になり、それ以外のケースでは本来の法定相続分の2分の1になります。わかりやすいように、具体例を挙げて見てみましょう。配偶者と子ども2人が相続人になるケースです。この場合で、愛人に対して全部の遺産を相続させる内容の遺言が残されていたとしましょう。このとき、配偶者のもともとの法定相続分は2分の1、子どもたちそれぞれの法定相続分は4分の1ずつです。そこで、それぞれの遺留分割合は、配偶者については2分の1×2分の1=4分の1、子どもたちそれぞれの遺留分割合は、4分の1×2分の1=8分の1ずつとなります。

遺留分減殺請求とは

法定相続人に対する遺留分の侵害があったとき、何もしなければ遺留分を返してもらうことはできません遺留分の返還を請求するなら、「遺留分減殺請求」という手続きを行う必要があります。遺留分減殺請求とは、遺留分を返してほしい、という内容の具体的な意思表示のことです。遺留分減殺請求の方法については、特に法律によって定められていないので、たとえば電話などで「遺留分を返してください。」と言っても一応有効です。しかし、遺留分減殺請求には期限もあることから、はっきりと証拠を残しておかないと、後になって相手から「遺留分減殺請求は受けていない。もう請求権はなくなっている」と言われて請求ができなくなってしまうおそれがあります。そこで遺留分減殺請求をする際には、確実に証拠が残る方法で行う必要があります。

遺留分減殺請求の方法

遺留分減殺請求を確実に行うためには、内容証明郵便を利用して請求通知を送ることが望ましいです。内容証明郵便とは、相手に送ったものと同じ郵便の写しが、郵便局と差出人の手元に残る種類の郵便です。内容証明郵便には、郵便局の職員によって確定日付を入れてもらうことができるので、いつ送ったのかも明らかになりますし、相手にいつ送達されたのかを証明してもらうための「配達証明」をつけてもらうこともできます。これを利用すると、確実に証拠が残る方法で遺留分減殺請求ができるので、おすすめです。

遺留分減殺請求の期間

遺留分減殺請求には、相続の開始と減殺すべき遺贈や贈与の事実を知ってから1年間という期限があります。この期限を過ぎると、内容証明郵便を使っても家庭裁判所に申立をしても遺留分減殺請求をする方法はなくなりますので、くれぐれも期限を過ぎてしまわないよう注意しましょう。

遺留分の話合いができない場合

遺留分減殺通知を送ったら、相手との間で遺留分の返還方法について話合いをすることになりますが、相手の対応によっては話合いがつかないことがあります。この場合には、家庭裁判所に遺留分減殺調停を申し立てて、遺留分の返還方法についての話合いをすることができます。調停では、間に調停委員が入って話合いを仲介してくれるので、お互いが感情を抑えて話し合いをすすめやすくなります。このようにして調停で合意ができたら、調停調書が作成され、その内容に従って遺留分の返還を受けられます。しかし、調停でも話合いがつかない場合には、手続きは不成立になって終わってしまいます。この場合には、遺留分減殺訴訟をして、裁判によって遺留分の返還とその方法を決めてもらうしかありません。訴訟になると、時間も費用もかかりますし、柔軟な解決ができなくなるので、遺留分の返還方法については、なるべく当事者同士の話し合いや調停段階までに決めてしまう方が結局はお互いに得になることが多いです。今、遺留分に関する問題で悩んでいる場合、スムーズに解決する自信がなければ専門家に相談してみると良いでしょう。

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相続税がかかるケース

相続税がかかるのは、基礎控除を超える場合のみ

遺産相続が起こったとき、相続税が課税されるケースがあります。ただ、すべての相続事案で相続税の課税が行われるわけではありません。相続税には基礎控除が認められるので、遺産の相続が基礎控除を超える場合にのみ相続税が課税されるのです。相続税の基礎控除は、以下のとおりとなっています。

基礎控除額

3,000万円法定相続人の数×600万円

たとえば、父親が亡くなって、母親と子ども3人が相続人になるケースでは、法定相続人は、4人です。そこで、基礎控除は、3000万円+600万円×4人=5400万円になります。よって、この事案では、遺産総額が5400万円以下なら相続税はかかりませんが、それを超える場合には、超える部分に対して相続税が課税されます。

相続税の計算の流れ

相続税の計算① 課税遺産の総額を算出する STEP1 プラスの財産を算出(遺産総額+みなし相続財産+相続時精算課税の対象となる贈与)
プラスの財産
遺産総額 みなし相続財産 相続時精算課税の対象となる贈与
STEP2 マイナスの財産を算出する(債務+葬式費用+非課税財産)
マイナスの財産
債務 葬式費用
STEP3 正味相続財産を算出する(プラスの財産-マイナスの財産)
プラスの財産 マイナスの財産
STEP4 課税価格の合計額を算出する(正味相続財産+3年以内の贈与)
正味相続財産 3年以内の贈与
STEP5 課税遺産総額を算出する(課税価格の合計額-基礎控除)
課税遺産総額 基礎控除
■法定相続人の人数と控除額
人数 基礎控除額
1人 3600万円
2人 4200万円
3人 4800万円
4人 5400万円
5人 6000万円
課税遺産総額が0円なら相続税はかからない

最初にプラスの財産(STEP1)とマイナスの財産(STEP2)を算出し、その差額(STEP3)に3年以内の贈与を加算します(STEP4)。これが相続税の対象となる「課税価格の合計額」となります。最後にこの課税価格の合計額から基礎控除額を差し引き(STEP5)、最終的な課税遺産総額が決まります。もし、計算の結果0円以下になった場合、相続税はかかりません。

相続税の計算② 相続税額を算出する

課税遺産総額に法定相続分をかけるのが相続税計算のポイント!

相続税は実際の相続割合に関わらず、法定相続分で計算します。具体的には、課税遺産総額に法定相続人の法定相続分をかけて取得価格を算出(STEP1)し、税率をかけて各相続人の税額を算出(STEP2)します。最後に各相続人の税額を合計(STEP3)し「相続税の総額」が決まります。

■相続税の速算表(平成27年1月1日以降の相続開始)
取得金額 税率 控除額
1000万円以下 10%
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円
相続税の計算③ 各相続人の納税額を算出する 納税額は各相続人が取得した割合をもとに算出

相続税の総額が決まったら、今度は実際の相続割合に応じて納税額を計算します(STEP1)。最後に各種控除を適用(STEP2)し、各相続人の納税額が決まります。

税額控除
配偶者の税額軽減 被相続人の配偶者は、1億6000万円または配偶者の法定相続分のどちらか多い金額までの取得財産について相続税が免除されます。
贈与税額控除 「相続開始前3年以内に贈与された財産」に対する支払い済みの贈与税は相続税から控除されます(詳しくは、下記のアドバイスを参照)。
未成年者控除 相続人が未成年者のとき、その相続人が満20歳になるまでの年数1年につき10万円が控除されます。なお、1年未満の端数は切り上げて1年として計算します。
障害者控除 相続人が85歳未満の障害者のとき、その相続人が満85歳になるまでの年数1年につき10万円(特別障害者の場合は20万円)が控除されます。
配偶者は1億6000万円までは無税

  • 実際の取得金額が1億6000万円、または法定相続分以下なら相続税はゼロ
  • 実際の取得金額が1億6000万円、及び法定相続分以上の場合は差額部分に対して相続税が発生

相続税の申告方法と期限

基礎控除を超える遺産があり、相続税が課税される場合には、相続税の申告と納税をする必要があります。相続税の申告の際には、相続税申告書を作成して税務署に提出する必要があります。相続税の申告のためには、遺産の内容を適切に評価して、正確に相続税の計算をする必要があります。遺産の中に不動産が含まれている場合などには、評価方法を間違ってしまい、本来よりも高額な相続税をおさめてしまうケースも多いので、注意が必要です。相続税の計算方法も、素人にはわかりにくいこともあります。相続税の申告と納税のことでわからないことがあれば、税理士に相談してみると良いでしょう。税理士には、相続税申告の手続きを全面的に任せることも可能です。また、相続税の申告には期間があるので注意が必要です。 具体的には、相続開始後10カ月以内とされており、これを超えると税務署から申告と納税の督促が来ます。相続開始後10カ月以内に納税をしないと、延滞税が課税されて、最終的には相続人自身の財産が差し押さえられてしまうこともあるので、そのようなことのないよう十分に注意しましょう。

相続税が払えず問題になる場合

相続税がかかる場合、支払えないケースがあります。相続税は現金によって納付するので、遺産内容が現金や預貯金ならあまり問題になりません。これに対し、不動産をたくさん相続した場合には、財産評価額は高くても手元に相続税の支払い資金がない、ということが起こります。不動産を売却して現金化すれば良いのですが、相続した土地を守りたいという思いから不動産は売却できず、かといってお金はない、というジレンマに陥る人もいるでしょう。また、不動産は急に売ろうとしても売れるものではなく、現金化そのものが難しいケースもあります。

延納について

このように、相続税を支払えない場合には、相続税の延納や物納という方法をとることができます。延納とは、相続税を分割払いで支払う方法です。延納をする場合には、延納期間中に利子税という税金が課税されるので総支払額は増えますし、延納が認められるためには担保も必要になります。

物納について

相続税を支払えない場合に利用できる手続きとしては、物納もあります。物納とは、不動産などの物をもって相続税の支払いに充てる方法です。物納を利用できるのは、延納を利用してもなお相続税の支払いが困難なケースです。また、物納する場合、納税に宛てる不動産などの財産は、相続税評価額になってしまいます。不動産は、相続税評価額よりも実勢価格の方が高くなることが普通なので、物納すると同じ土地を処分したにもかかわらず、売却して現金を納めるより評価が低くなることが多いです。そのため、自分で売却し現金で相続税を納められるなら、そのように手続きした方が結果的に得になることが多いでしょう。以上のように、相続税が課税される場合には、複雑な評価や計算が必要になりますし、支払いができない場合の問題もあります。自分でどうして良いかわからない場合には、税理士などの専門家に相談に行くと良いでしょう。

相続税の納税方法について

遺産相続でトラブルを避ける方法

遺産相続トラブルが起こるパターン

遺産相続時にトラブルが起こる事例は非常に多いです。遺産トラブルが起こる原因はさまざまですが、多いのは遺産の内容に不動産が含まれているケースです。この場合、不動産を誰が相続するかということで争いが発生しやすいですし、誰か1人が取得すると、代償金の支払いを巡ってトラブルになります。誰も不動産を取得したくない場合にも、やはりどうやって売却して分けるかということで争いが発生します。また、誰かが遺産を隠していると疑われるケースでも相続トラブルが起こります。たとえば、被相続人と同居していた相続人が、被相続人名義の隠し口座や隠し財産を持っていると思われる場合です。さらに、誰かが特別受益を受けていたり、特別に寄与分があったりする場合にもトラブルが起こります。被相続人に隠し子がいて、今の家族とは無関係な相続人がいきなり現れた場合にも問題が起こります。以上のように、遺産相続トラブルが起こるパターンはいろいろありますが、これらのトラブルを予防するためには、いくつかの対処方法があります。

生前から相続人を交えて話し合う

遺産トラブルを避けるためには、被相続人の生前から相続人を交えて遺産の分配方法について話し合っておくことが役立ちます。たとえば、被相続人が相続人予定者に対し「誰に何をあげる予定だ」ということを、全員の相続人がいる場所で話しておきます。そうすると、全員が同じことを聞いているので、後になって「僕はその話を聞いていない」「自分が聞いた話と違う」と言ってトラブルになることを防げます。また、そうやって相続人の共通認識にした内容で遺言書を作成していれば、死後に遺産トラブルになる可能性はほとんどなくなるでしょう。

遺産内容を明らかにする

遺産相続トラブルが起こる原因のひとつとして、遺産の内容が明らかになっていない事が挙げられます。遺産内容がわからないので、「もっと他にもあるのではないか」などという疑いが発生して、相続人間でもめてしまうのです。そのトラブルを防ぐためには、被相続人の生前から、遺産内容を明確にしておくことです。相続人に対して「遺産は〇と〇と〇がある」というように言っておいてもよいですし、遺産目録を作成して相続人らに示しておくのも良いでしょう。遺言書を作成する際にもその目録通りの内容になっていれば、相続人が「もっと他に遺産があるはず」と言い出してトラブルになることもありません。

相続人を隠さない

被相続人の死後、実は被相続人に前妻との子どもがいたり、認知している子どもや養子縁組している子どもがいたりすることが明らかになると、トラブルが起こりがちです。この場合、今の家族は「隠し子がいた」というだけでもかなりのショックを受けますが、それに足してなおかつその隠し子にも遺産を分け与えないといけないということになるので、精神的なダメージが大きくなり、到底冷静に遺産分割協議を進めることなどできなくなります。そこで、被相続人に、今の家族に言っていない子どもがいる場合には、その事実を生前から今の家族に言っておくべきです。生前に本人から告げられていれば、死後の遺産分割にもある程度冷静に臨むことができるものです。今告げたら離婚になるなどの事情がある場合にはやむを得ませんが、なるべくなら生前に明らかにしておいた方が遺産相続時の混乱は避けられるでしょう。また、隠し子がいる場合に今の家族にダメージを与えないためには、今の家族に多くの遺産を取得させる内容の遺言書を書いておくことが効果的です。そのような配慮のある遺言書があれば、今の家族も、隠し子がいることについて「仕方がない」と思って受け入れてくれることが多いでしょう。

遺言をする

相続トラブルを防ぐ有効な方法として、遺言があります。たとえば、遺産内容に不動産があって相続トラブルが予測されるケースでも、遺言によって誰に相続させるかが決まっていたら、トラブルを防ぐことができますまた、生前贈与をした相続人の取得分を減らし、寄与分のある相続人の取得分を増やしておけば、死後に相続人らが不満を持って特別受益や寄与分についてのトラブルが起きることも防ぐことができます。生前贈与をした相続人にも同じように遺産を相続させたい場合には、特別受益の持ち戻し免除をしておけば、特別受益の持ち戻し計算なしにその相続人にも平等に遺産を取得させることができます。

遺言の内容にも注意する

遺言によって遺産相続トラブルを避けたい場合には、遺言の内容にも注意が必要です。遺言によって、法定相続分の遺留分を侵害してしまったら、遺留分減殺請求が起こってかえってトラブル原因になってしまうことがあるからです。遺言をする場合には、法定相続人の遺留分にも配慮しながら、各相続人の遺留分を侵害しない程度にそれぞれの取得分を認めておくことが大切です。自分では適切な取得分がわからない場合には、専門家に相談してみると良いでしょう。以上のように、遺産トラブルを避ける方法はいろいろありますので、今後相続対策をしようと考えている方は、参考にしてみてください。

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よくある相続問題の解決策とは

遺言の有効性が問題になる

相続には、いろいろな問題が発生する可能性があります。そこで、以下ではよくある相続問題と、その解決方法をご紹介します。相続時に起こりやすい問題として、遺言を巡るトラブルがあります。自宅で自筆証書遺言が見つかったときなどには、遺言の内容の真偽が争いになることが多いです。自分にとって都合の悪い内容が記載されていた相続人は、遺産を受け取るべきと指定されていた相続人が遺言書を偽造したのではないか、無理矢理遺言書を書かせたのではないかなどと言って遺言書の無効を主張します。遺言書の真偽を巡るトラブルは、発見者がすぐに遺言を開示しなかったケースではさらに起こりやすくなります。また、自筆証書遺言に比べて信用性が高いと言われる公正証書遺言であっても、やはり真偽を巡るトラブルはあります。この場合、被相続人が認知症などになって遺言能力が失われているにも関わらず、周囲の人間が働きかけて、無理矢理遺言書を作成させたなどと主張されることが多いです。遺言書の有効性が問題になると、遺言に従った相続手続きも遺産分割も行うことができず、遺産相続手続きは完全にストップしてしまいます。

遺言書トラブルの解決策

遺言書を巡るトラブルが発生した場合には、当事者同士の話し合いによって解決することは難しいです。そこで、家庭裁判所で調停や訴訟を起こして解決する必要があります。まず、遺言無効確認調停では、家庭裁判所の調停委員が間に入って話合いを仲介してくれますが、それでも話合いがつかない場合には、遺言無効確認訴訟を起こして裁判官に遺言書の有効性を判断してもらわなければなりません。裁判所の判断は終局的なものなので、ここで遺言書が有効と判断されたらその内容に従って遺産相続がなされますし、無効と判断されたら、遺言書の存在はないこととして、相続人らが遺産分割協議をして遺産相続方法を決定します。

特別受益で問題になる

遺産相続をめぐるトラブルでよくある事例として、特別受益の問題があります。相続人の中で、被相続人の生前に贈与を受けるなどして特別に利益を受けていた人がいる場合、その人も交えて法定相続分とおりに遺産分割をすると、かえって不公平になってしまうことがあります。そこで、法律は、特別受益を認めて、受益を受けた人の遺産の取り分を減らすことができるとしています。このことを、特別受益の持ち戻しといいます。ただ、特別受益を受けた人がいる場合、その人が受益を認めるとは限りません。「そんなものはもらっていない」とか「代金を払ったから受益にならない」などと主張してトラブルになります。「不動産をもらったのは確かだけれども、評価方法に納得ができない」ということで、トラブルになることもあります。このように、相続人の中に特別受益者がいると、他の相続人との間で非常にトラブルが起こりやすいのです。

特別受益問題の解決策

相続人の中に特別受益者がいる場合には、被相続人が生前に特別受益にも配慮した内容の遺言書を残しておく方が賢明です。当初から特別受益者の取得分を減らす内容の遺言をしておけば、他の相続人も不満を感じることはありませんし、受益者自身も納得しやすいです。被相続人が、受益者の取り分を減らす必要がないと考えるのであれば、特別受益の持ち戻し免除をすることも可能です。遺言の中で、「特別受益の持ち戻しはしない」とはっきり書いておけば、死後に相続人らが特別受益の適用の是非や評価方法などを巡ってトラブルになることを避けることができます。もし遺言がないまま相続が起こって特別受益を巡るトラブルが起こってしまったら、当事者同士で話し合って解決するのが第一です。それができない場合には、家庭裁判所で遺産分割調停を行い、その話合いの中で特別受益の処理方法について解決を目指します。調停での話合いでは合意できない場合には、調停は審判に移行して、裁判官(審判官)が特別受益を含めた遺産相続の方法を決めます。その内容にしたがって遺産分割が行われ、最終的に特別受益の問題が解決できます。

寄与分が問題になるケース

相続の際によくあるトラブルとして、寄与分が問題になるケースがあります。寄与分とは、相続財産の維持や形成に貢献した相続人がいる場合に、その相続人の遺産取得分を増やすことです。たとえば、長年相続人の介護をしてきた相続人がいる場合などに寄与分が認められる可能性があります。寄与分が問題になる場合、他の相続人が寄与分を認めないためにトラブルが起こりがちです。寄与分があること自体は認めても、その評価方法を巡って争いになることも多いです。

寄与分問題の解決策

寄与分を巡ってトラブルになってしまった場合にも、話合いによって解決することは難しいです。そこで、家庭裁判所の遺産分割調停を利用して、話合いを続けます。調停委員の仲介によってお互いに合意ができれば問題は解決できますが、調停によっても話合いがつかない場合には、遺産分割調停は審判に移行します。審判では、審判官(裁判官)が寄与分の有無や評価について判断してくれるので、その内容に従って遺産分割を進めていくことになります。以上のように、遺産相続の場面では、いろいろなトラブルが起こりやすいです。困ったことが起こったら、まずは一度、相続問題の専門家に相談してみることをおすすめします。

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これまで仲良くやってきた親族が、遺産相続をきっかけに財産を取り合うようになり、骨肉の争いを演じる…。
こんな話は決してテレビドラマの中だけの話ではありません。
遺産相続を円満に済ませるためには、当事者となる人がトラブルとなりやすい事例について知識を持っておき、解決方法について適切な対処を行うことが必要です。
今回は、遺産相続でトラブルが起こりやすい具体的な事例について紹介させていただきますので、遺産相続の問題に対処する必要があるという状況の方はぜひ参考にしてみてくださいね。

遺産相続でトラブルが生じるのはどんなとき?

例えば「1000万円の現金を5人の相続人で200万円ずつ均等に分ける」というような単純かつシンプルな遺産分割を行うことができれば理想的ですよね。
しかし、実際には相続人に誰がなるのか?や、分割できない財産を誰が相続することになるのか?…などなど、相続に関しては法律関係が非常に複雑となってしまうことがむしろ自然です。
具体的には、遺産相続をめぐるトラブルが生じやすいケースとしては、以下のような場合があります。

・相続財産の中に不動産がある場合
・愛人が相続人となる場合
・愛人との子(非嫡出子)がいる場合
・相続人の一部と連絡がとれない場合
・相続財産のほとんどが借金であるという場合
・被相続人の介護をしていた相続人とそうでない相続人がいる場合
・養子が相続人となる場合
・過去に離婚した妻子や、再婚相手の連れ子がいる場合
・相続分を譲渡したい人がいる場合
・相続に当たって事業承継を行う場合
・相続税の申告期限までに遺産分割ができない場合の対処
・相続人の廃除や相続欠格が問題となる場合
・相続人の一部だけが生命保険金を受け取っている場合の対処
・遺言の執行者が指定される場合

以下、それぞれのケースの状況や対処方法について、順番に解説させていただきます。

相続財産の中に不動産がある場合

相続財産の中に土地や建物といった不動産がある場合、現預金のように「2分の1ずつ」といったようなシンプルな遺産分割を行うのが難しいケースがあります。
以下、相続財産に不動産が含まれる場合の問題点や解決方法についてみておきましょう。

不動産を共有とすることの問題点

不動産の分割には共有という方法がありますが、1個の不動産を複数の相続人で共有とした場合には、不動産の管理や処分をめぐる法律関係が複雑になってしまうというデメリットがあります。
具体的には、不動産を共有とした場合、その処分や収益化にあたっては共有持ち分の全員の同意や、過半数の持ち分を持つ人の同意という形で法律行為をすることになります。
例えば、被相続人が住宅を建てて居住していた土地を長男と次男で共有としたけれど、長男は賃貸アパートに建て替えて収益を得たいけれど次男は親の家にそのまま居住したい…といったような場合、将来的に兄弟間でトラブルが生じる可能性があります。

共有で問題が生じた場合の解決策

このような場合、長男が次男の共有部分を買い取るという解決方法も考えられますが、親族間で共有している不動産の持ち分を売買する場合には時価で取引を行う必要があるため、譲渡益が生じる場合にはその分の所得税を負担しなくてはならない可能性があります。
そうなると最初から共有ではなく、遺産分割で分け合っていればよかった…と後悔するケースも珍しくありません。
このように、将来的にトラブルが生じる可能性が高いことから、遺産相続の解決方法として共有という方法はあまり選択されない傾向があります。

共有以外の不動産の遺産分割方法

共有以外の不動産分割の方法としては、ほかには以下のような選択肢があります。
1 現物分割
2 代償分割
3 換価分割
以下、順番に見ていきましょう。

1 現物分割 不動産を複数に分けて、相続人がそれぞれ独立した不動産を相続する方法です。
例えば、1000㎡の土地を兄弟4人で250㎡ずつ(1000㎡÷4人)相続するといった形が現物分割です。
共有と異なるのは、それぞれが取得する不動産については単独の意思表示で処分や収益化を行うことができる点です。
土地については分筆という形で分け合うことも合理的なことが多いですが、建物については分割を行うことが難しいケースが多いです。
また、土地は細分化することで収益化による利益が少なくなってしまうことも少なくありませんから慎重に判断する必要があります。

2 代償分割 1人の相続人が不動産を相続する代わりに、その他の相続人に対しては不動産を相続した相続人がお金を払うというような形が代償分割です。
不動産を相続した相続人が問題なく代償となるお金を準備できる場合には問題ありませんが、必ずしもそうでない場合には対策を考えておく必要があります(生命保険金を原資に充てたり、分割払いにすることなどが考えられます)
また、相続後に負担する必要がある相続税についてもあらかじめ考慮しておくことが大切です。

3 換価分割 相続財産に含まれる不動産を第三者に売却し、その代金を相続人間で分け合うという方法が換価分割です。
財産を現預金の形に換えることができれば割合に応じて分割することが容易になりますから、不動産を手放すことそのものに問題がない場合であればメリットの大きい方法といえます。
ただし、不動産は売却して現金化するのが難しいことや、早期に売却しようと考えた場合には売価が著しく下がってしまうというケースが少なくないのがデメリットです(不動産の売却には不動産屋に支払う仲介手数料が必要になります)
また、先祖代々の土地であるから手放すことは避けたいという場合や、相続した不動産に居住している相続人がいるというような場合には採用するのが難しい方法であることにも注意が必要です。

愛人が相続人となる場合

亡くなった人に愛人がおり、遺言によってその人に財産を相続させるとなっている場合も問題となりやすいケースです。
「正式に結婚していなかったのだから、遺産相続をする権利なんてないんじゃないの?」と思われる方もひょっとしたらおられるかもしれませんが、遺言による方法をとった場合には愛人であったとしても遺産を相続する権利があります。
民法の規定によって相続人となるのは法律上の婚姻関係にあった配偶者か、亡くなった人と血縁関係のあった人だけですが、遺言は民法の規定に優先するため愛人であっても相続人となることができるのです。

近しい親族には遺留分が認められる

ただし、遺言によって愛人に財産を相続させるとしたとしても、「全財産を愛人に相続させる」といったような遺言に対しては異議を唱えることが可能です。
亡くなった方と特に近しい親族関係にあった人(法律上の配偶者・子・親)には遺留分という権利が認められているためです。
遺留分というのはいわば「遺言によっても侵すことのできない親族が相続をする権利」のことで、相続財産のうち以下の割合については遺言でも別の人に渡すことはできないとされています。
直系尊属(親や祖父母)が相続人となる場合:全相続財産の3分の1
それ以外の人(配偶者や子)が相続人となる場合:全相続財産の2分の1
ただし、被相続人の兄弟姉妹については遺留分は認められないので注意しておきましょう。

遺言がない場合

上記では愛人が相続人となれるケース(遺言による指定がある場合)について解説させていただきましたが、逆に言うとこれ以外のケースでは愛人には相続人となる権利はないことになります。
遺言がなく、民法のルールによって遺産相続が行われる場合には、法定相続人となることができるのはあくまでも法律上の配偶者だけです。

内縁関係者と事業の共同経営などを行っていた場合

遺言がない場合には内縁の夫や妻は相続人となることができないのが原則ですが、共同経営のような形で事業を行ってきたというようなケースでは残された財産については「共有財産」という扱いになる可能性があります。
この場合は形式的には相続人ではありませんが、実質的には相続人と同じような立場を得ることになります(事業が共同経営といえるか、内縁者の寄与がどの程度なのか、については家庭裁判所が実際の状況をみながら判断します)

愛人との子(非嫡出子)がいる場合

法律上の婚姻関係になかった人との間にできた子供のことを「非嫡出子」といいますが、相続をめぐっては非嫡出子に相続分が認められるかどうかが問題となるケースは少なくありません。
結論から言うと、非嫡出子が相続人となるのは、亡くなった人がその非嫡出子を認知している場合だけです。
非嫡出子であっても認知されている場合には、法律上の配偶者との間に生まれた子(嫡出子)と同じように相続をする権利が認められます。
相続できる割合についても、近年法改正によって嫡出子と非嫡出子の相続分はまったく同じということになりましたので注意しましょう(数年前までは非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とされていましたが、このルールを定めていた民法の規定は改正されました)

遺言によって非嫡出子が認知されるケースもある

被相続人が遺言によって「非嫡出子を自分の子と認める(認知する)」という意思表示を行っている場合には、その非嫡出子は認知されたものとみなされます。
この場合、非嫡出子であっても嫡出子と全く同じ相続人としての権利が認められることになります。
生前には愛人や愛人との子の存在を明らかにすることができないような場合に遺言による認知が行われるケースは少なからずあります。
遺言による認知が行われている場合、その非嫡出子を参加させない形で遺産分割協議を行っても、その協議は無効となってしまいますので注意が必要です。

非嫡出子の側から認知を求めるケース

認知は親の側からだけではなく、子やその母親、さらにその子の子(被相続人からみて孫)の側からも求めることが可能です。
被相続人の死後の場合、認知の訴えは国(検察官)を相手に対して行われますが、被相続人の死亡から3年間が経過した場合には訴えを提起する権利が失効します。

被相続人の介護をしていた相続人とそうでない相続人がいる場合

被相続人の生前に介護を行っていた人と、そうでない人がいる場合、介護を行っていた人が何らかの形で見返りを得たいと考えることは自然なことです。
このようなケースでは、「寄与分」という主張を行うことによって介護を行っていた人は他の相続人よりも多くの相続財産を得られる可能性があります。

寄与分の主張

寄与分とは、簡単に言うと「亡くなった人の生前に特別な貢献をした人には、その分だけ多く遺産相続が認められる」というルールのことです。
ただし、実際には寄与分を認めてもらうためには「特別な寄与」があったものと家庭裁判所に認定してもらうことが必要です。
具体的には単純に介護をしていたというだけでは足りないことがほとんどです(裁判所は、子供が親の介護をするのは当然のことという判断をする傾向があります)
亡くなった人の財産を運用してその価値を増やすのに貢献したといったように、目に見える形で経済的な利益をもたらしたことが寄与分を認めてもらうための条件となることが多いです。

相続人以外の人に寄与分は認められる?

例えば長男の嫁が義理の親の介護をするといった場合のように、血縁関係はなく、法律上は相続人となる権利のない人が被相続人の介護を担当するというケースも少なくないでしょう。
このような場合、何らかの形で介護を担当した人に財産を取得させることができないか?が問題となります。
亡くなった方が遺言で「介護を担当してくれた人に一定額の財産を渡す」という意思表示をしてくれていればもっとも問題は少なく済みます。
しかし、このような遺言がない場合には、相続人となる権利のない人は寄与分を認めてもらうことは難しいというのが実際のところです。

「長男の嫁の寄与分」は長男が受け取ることも

ただし、上記の例のように長男の嫁が介護を担当していたというような場合であれば、長男の嫁には寄与分は認められなくとも、その夫である長男に対して寄与分を認めるという形が認められる可能性はあります。
しかし、例えば介護施設の職員のように、亡くなった人とまったく関係がない人の場合はやはり寄与分を認めてもらうことは難しいですから、遺言の形で被相続人自身に生前の意思表示をしておいてもらうのが先決ということになるでしょう。

特別受益者についてのルール

上では家族などがなくなった人に対して貢献をしたケース(寄与分)について解説させていただきました。
一方で、亡くなった人の側から、一部の相続人に対して生前特別扱いのような形で金銭その他が渡されていたような場合にはどうなるでしょうか。
このようなかたちで生前贈与を受けた人を「特別受益者」と呼びます。
相続人となる人の中に特別受益者がいる場合、その人が他の相続人と同じように遺産を相続できるとした場合には、相続人間で不公平感が生じる可能性があります。

持ち戻し計算

そのため、特別受益者が生前贈与を受けた財産の評価額を、相続財産に足し戻し、その合計額からそれぞれの相続人が相続する財産の価額を計算するということが行われます(持ち戻し計算とよびます)
持ち戻し計算の結果、特別受益者の相続分からすでに受け取っている生前贈与の分を差し引きした金額が、特別受益者の相続分ということになります。
もしこの計算方法によって特別受益者の相続分がマイナス以下となる(持ち戻し計算によって計算した相続分<生前贈与を受けた価額)場合には、特別受益者は相続財産の分割を受けることができなくなります。

持ち戻しを免除する意思表示がある場合

ただし、このような場合にも被相続人が遺言によって「生前贈与分については相続財産の分割において考慮しない」といったような意思表示をしている場合には、持ち戻し計算は行われないことになります。
そのため、生前贈与によって得た財産の金額が大きかったとしても、その人が他の相続人と同様の相続分を得るという扱いになる可能性は考えられます。
なお、その場合にも他の相続人の遺留分については侵害することはできません。
遺留分を害している状況が認められる場合には、特別受益者以外の相続人は遺留分減殺請求によって相続財産を確保することができます。

相続人の一部と連絡がとれない場合

遺産相続は、最終的には相続人となる人全員が遺産分割協議を行い、相続の内容を定めた遺産分割協議書に署名捺印を行うことによって完了します。
遺産分割協議書には必ず相続人全員の署名捺印が必要になりますので、相続人の中に連絡が取れない人がいるような場合には問題となります。
また、遺産相続については遺言が残されていたものの、相続財産のすべてについては遺言が定められておらず、一部については被相続人の意思が不明となっているような場合にも相続人全員が集まっての遺産分割協議が必要となります。
例えば、遺産のうち土地や建物については遺言が定められていたものの、現預金については遺言では何も定めていないというような場合、この現預金については相続人全員が集まって遺産分割協議を行う必要があるのです。

まずは連絡を試みるのが先決

相続人のうち音信不通となっている人がいる場合にも、なんとか連絡をとって遺産分割協議に参加してもらうのが大原則となります。
具体的には戸籍謄本ををたどって音信不通者の現在の本籍地を探したり、戸籍の附票を取得して現在の居住地を突き止める方法が考えられます(戸籍の附票には本籍地に関する手続きを行った後の住所移転の履歴が記載されます)

どうしても連絡を取ることができない場合の処置

上記のような手段をとっても音信不通者と連絡を取ることができない場合には、次のような方法によって遺産分割協議を開始する方法があります。
1 家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらう
当分帰来する見込みがない音信不通者の場合、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てることができます。
この「当分帰来する見込みがない」というのは数日間の音信不通などでは認められない可能性が高く、数か月~数年以上にわたって音信不通の状態が続いていることが条件となることが多いです(ただし、生死不明であることは必要ではありません)
不在者財産管理人は音信不通となっている人の財産権を確保するために選任されますから、相続人となる別の親族が不在者財産管理人となることはできません(音信不通となっている人と利害が対立するためです)
親族が不在者財産管理人に選任される可能性もありますが、その場合の親族は相続人となる資格がない人に限られます。
2 家庭裁判所に失踪宣告を出してもらう
すでに何年間も音信不通の状態が続いている…というような場合には、家庭裁判所に失踪宣告の申し立てを行うことも一つの手です。
失踪宣告の条件は2種類あり、1つは「7年間以上音信不通の状態が続いていること」です(これを普通失踪といいます)
もう1つは災害などで音信不通になった後、1年以上が経過した場合です(特別失踪といいます)
利害関係人(相続の場合は別の相続人)が家庭裁判所に対して申し立てを行い、失踪宣告が出た場合には、その音信不通となっている人は法律上死亡したものとみなされます。
失踪宣告後には音信不通となっている人を欠いた状態でも相続財産について遺産分割協議を行うことが可能になります。
ただし、失踪宣告を受けた人に子供がいる場合には、その子に相続権が認められることになりますから、その子を遺産部活協議に参加させなくてはなりません(代襲相続といいます)

相続財産のほとんどが借金であるという場合

「親の借金は子供が返さないといけない」というようなことがいわれることもありますが、相続財産として残されているのは借金だけ…という場合についても見ておきましょう。
相続は負債(借金)についても生じますから、法律上のルールに従って相続人となる人がその借金を引き継ぐことになるのが原則です。
ただし、相続人は自分が相続にかかわるかどうかを自由に決めることができますから、自らの意思で相続にはいっさい関与したくないという意思表示をした場合には借金を相続することから逃れることが可能です。
具体的には、以下のような方法によって「自分は相続にはかかわらない」という法律上の意思表示を行います。

相続によるメリットが何もない場合は相続放棄

相続財産が借金などのマイナスの資産だけで、相続をしたとしても相続人になんのメリットもない…というような場合には相続放棄を行うのが適切です。
相続放棄とは、家庭裁判所を通して「自分は相続にはいっさいかかわらない」という意思表示をすることで、それぞれの相続人が独立して行うことができます。
相続放棄を行うと、相続財産に含まれるプラスの財産(現預金や不動産など)を受け取ることができなくなりますが、マイナスの財産(借金など)についても関わらないとすることができます。
具体的には「相続放棄の申述書」という書類(家庭裁判所にひな形が備え付けられてあります)を相続開始から3か月以内に作成し、亡くなった人の最終の住所を管轄している家庭裁判所に対して提出すればOKです。

相続人が未成年である場合は?

相続人が未成年者である場合、その人は単独では相続放棄を行うことができません。
未成年者にはその保護者が法定代理人となっているはずですから、その人が相続人の代理として相続放棄を行うことになります。
ただし、法定代理人自身が未成年者である相続人と利害関係がある場合(ともに同一の相続案件について相続人となっているような場合)には、法定代理人であっても本人に代わって相続放棄を行うことはできません。
このような場合には家庭裁判所に特別代理人(その相続に関してのみ代理人となる人)を選任してもらい、相続放棄の意思表示を行うことになります。

相続放棄をやっぱり辞めたい場合は?

一度相続放棄を家庭裁判所に対して行うと、その意思表示を取り消すことはできません。
借金しか残されていないと思っていたら後から資産があることがわかった…というような場合でも相続放棄を取り消すことはできません。
相続放棄を行うまでには3か月間の財産調査期間が設けられていますから、その間にどのような財産が残されているのかについて入念に調査を行うことが必要です。

相続放棄をしたら生命保険金はどうなる?

被相続人が亡くなったことによって保険会社から相続人に対して支払われる生命保険金については、相続放棄をした場合であっても問題なく受け取ることが可能です。
ただし、相続放棄をした場合にも受け取れる生命保険金は、「相続人となる予定の人が名宛人となっている保険金」に限られます。
もし亡くなった人が保険金の受取人となっているような場合には、その保険金は相続財産の一部ということになりますから、これを受け取ると遺産相続を認めたことになってしまいます。
このような形でお金を受け取った場合、すでに相続放棄を行っていたとしてもその相続放棄が取り消されてしまう可能性もありますから注意が必要です。

相続放棄をした人に子供がいる場合は?

相続放棄をすると、その人は最初から相続をする権利がなかったものとみなされますから、その人の子についても相続権は生じません。(代襲相続のような形は生じません)
借金を残して亡くなった人に子と、さらにその子(亡くなった人から見て孫)がいるというような場合には、子だけが遺産相続をすればOKということになります。
ただし、相続放棄を行うことによって、相続放棄を行った人よりも下位の相続順位の人が相続人となるケースもありますので注意を要します。

相続財産に資産も含まれている場合には限定承認

相続財産にプラスの財産とマイナスの財産の両方があり、トータルで見るとプラスの財産の方が多い…という場合には、限定承認という形で相続を行うのが適しています。
限定承認を行うとプラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産も相続するという扱いにしてもらうことが可能になります。
例えば、3000万円の不動産があるけれど、5000万円のローンが残っているというような場合には、不動産の評価額の範囲内でのみローンも負担するという形を取ることができます。
ただし、限定承認は相続人となる人全員が共同して手続きを行う必要があるほか、清算手続きや準確定申告といった手続きを行う必要がありますから、多くの場合は専門家にアドバイスを受ける必要があることを知っておきましょう。

何も意思表示をしないと「単純承認」とみなされてしまう

相続が発生したこと(つまり親族が亡くなったこと)を知ってから3か月間は「熟慮期間」といわれ、この間に相続放棄や限定承認を行った場合には借金を相続しないという扱いにしてもらうことができます。
一方で、この3か月間に何ら手続きを行わず、漫然と時間が経過してしまったという場合には「単純承認」として財産を相続することを認めたものとみなされてしまいます。
ただし、上記の熟慮期間は「相続が発生したことを知ったとき」から起算しますから、遠方に住んでいたり、音信不通となっていたりして親族がなくなったことを知らなかったような場合には3か月間が経過した後にも相続放棄や限定承認を行うことが可能です。

養子が相続人となる場合

血のつながりはなくても、被相続人と生前に養子縁組を行っている人は、相続に関しては血縁関係のある子と同じように扱われます。
相続人となる順位についても同一ですし、遺産分割を受ける割合、さらに遺留分が認められる割合についても同じ扱いを受けることができます。

養子は実方の親との関係はどうなる?

養子となった人の立場で考えると、養子としてもらった親と、血のつながりのある実の親(実方の親)の2つの親族関係が考えられます。
もし、この実方の親に相続が生じた場合、養子となった人は実方の親の相続財産について相続分を主張することができるでしょうか。
結論から言うと、すでに行われた養子縁組が「普通養子縁組」であれば実方の親の相続人となることができますが、養子縁組が「特別養子縁組」である場合には相続人となることができません。

普通養子縁組の場合

普通養子縁組とは養子縁組を行った後も、実方の親との関係が切れない形の養子縁組のことをいいます。
この場合、実方の親に相続が生じた場合には他者の養子となった後も、その実方の親の相続について相続人となることができます。

特別養子縁組の場合

特別養子縁組とは、養子縁組を行った後には、実方の親との法律的関係が断ち切られる形の養子縁組を言います。
特別養子縁組を行っている場合、実方の親との法律関係がすでに失効しているわけですから、実方の親に相続が生じたとしても養子となった人はその相続に関しては相続人となることができません。

養子に子がいる場合

この場合、養子縁組が行われる前の段階ですでにその子が生まれていた場合には代襲相続の権利が生じますが、養子縁組を行った後に生まれた養子の子は代襲相続の権利を持たないことになります。
ただし、このような場合(養子に養子縁組前に生まれた子がいる場合)にはその子についても養子縁組の時点で被相続人と養子縁組を行うことが普通ですから、実際にはそれほど大きな問題とはならないことが多いでしょう。

養子縁組は相続税対策に有効?

相続税の計算は、相続財産から「基礎控除」と呼ばれる金額を差し引きした金額を課税標準として計算されます。
※計算式にすると以下の通りです。
相続税の課税標準額=相続財産の合計-基礎控除
そのため、この基礎控除の金額が大きくなればなるほど相続税の負担は小さくなることになります。
基礎控除は以下の計算式で計算します。
基礎控除=3000万円+法定相続人の人数×600万円
相続税法上、基礎控除の計算に含む養子は1人または2人まで
この「法定相続人」には養子も含みますから、養子の数が増えることによって相続税の節税につながると考える方もひょっとしたら多いかもしれません。
しかし、この点で相続税法上は制限があり、実子がある人の場合は養子は1人まで、実子がいない人の場合には養子は2人までとして基礎控除を計算することになっています。
例えば、実子が3人いる人が、2人の養子もいるという場合、相続税の基礎控除は以下のように計算することになります。
基礎控除=3000万円+(実子3人+養子1人)×600万円=5400万円
民法上は養子にする人数に制限はありませんが、税金の計算上は上のような制限があることを理解しておきましょう。

過去に離婚した妻子や、再婚相手の連れ子がいる場合

亡くなった方が過去に離婚をしており、前妻(前夫)との間に子供がいるという場合には遺産相続はどうなるでしょうか。
前妻、前妻との子、再婚後の連れ子についてそれぞれ相続人としての権利があるかどうかについて解説させていただきます。

前妻は相続人となれない

まず、別れた前妻は法律上の親族関係が終了していることになりますので、相続人となることはできません。

前妻との間の子は相続人となれる

前妻との間にできた子は、被相続人と血縁関係があるということになりますから、当然相続人となれます。
ただし、前妻が別の人と再婚しているような場合で、その人と前妻との子が特別養子縁組(実親との関係を終了する形の養子縁組)を行っている場合には、相続人とはなれません。

再婚相手の連れ子を相続人とするためには養子縁組が必要

被相続人が再婚しており、その再婚相手に連れ子がいるという場合、その子は当然には相続人とはなりません。
この子を相続人とするためには養子縁組を行う必要があるためです。

相続分を譲渡したい人がいる場合

相続放棄と少し似ていますが、相続人の中に「自分は相続にはかかわりたくはないので、自分の相続人となる権利を誰かに譲渡(売却)したい」と考える人がいるケースもあります。
このようなケースを「相続分の譲渡」といいますが、この場合には相続放棄とはまた違った問題が生じる可能性があります。
以下では相続分の譲渡に関して問題となりやすい点についてみておきましょう。

相続分の譲渡とは

例えば、遺産として残された不動産の相続人として被相続人の子供3人(長男、次男、三男)がいるという場合に、三男は「不動産の相続に関しては関わりたくはないが、自分が相続放棄をすることによって、仲の悪い次男の相続分が増えるのはくやしい」と考えたとします。
このような場合に三男が長男に対して相続分の譲渡を行うと、次男の相続分をは増やすことなく、三男は自分の相続分を別の人に譲り渡すことが可能になります。
通常は相続分を譲渡する代わりに金銭等で代金を受け取ることができますから、遺産分割協議に時間がかかりそうな場合、早期に現金などを手元に受け取りたい人は相続分の譲渡を行うメリットがあるでしょう。
ただし、相続分の譲渡では次のような点に気を付けておく必要があります。

相続分の譲渡では、相続人としての身分は引き継ぐ

相続分の譲渡では、相続放棄とは違って「相続人としての身分」は引き継ぐ必要があります。
そのため、相続財産にマイナスの財産(借金)などが含まれている場合には第三者に対してその負債を支払う義務引き継がなくてはなりません。
ただし、相続分の譲渡を行う際に、譲渡を行う相手方に対して相続財産に含まれる負債については譲渡を受けたものが一切負担するというような取り決めを行っておけば、負債についての引継ぎは免れることができる可能性があります。
相続分の譲渡は遺産分割協議が開始する前に書面で行い、トラブルを未然に防ぐためにも事前に相続人全員に対して、特定の人に対して相続分の譲渡を行った旨を通知しておくのが良いでしょう。

相続分の譲渡は相続人以外の第三者に対しても行える

上では相続人となれる人が、自分以外の相続人に対して自分の相続分を譲渡するケースを紹介しましたが、相続分を譲渡する相手は親族とは無関係の第三者であっても有効です。
相続分を譲渡された第三者は、自らの名前で遺産分割協議に参加することが可能となります。

相続分の取戻し

しかし、全くの他人である第三者が遺産分割協議に参加してくることによって、事務が円滑に進まなくなってしまうことも考えられます。
そのような場合に備えて、法律上「相続分の取戻し」という方法が認められています。
相続分の取戻しとは、すでに行われた相続分の譲渡について、対価を支払って第三者から取り戻すことができる制度です(取り戻した相続分は、遺産分割協議が完了するまでは相続人全員に帰属することになります)
ただし、相続分の取戻しは相続分の譲渡が行われてから1か月以内に相手方に通知して行う必要がありますから注意が必要です。

相続に当たって事業承継を行う場合

亡くなった人が企業経営者(法人のオーナー社長)として事業を営んでいたという場合には、相続と同時に後継者を誰にするか?という問題が生じます。
具体的には亡くなった人が所有していた企業の株式を誰が相続するのかということが問題になりますが、経営権そのものである会社の株式を複数の人が分け合って引き継ぐというのは適切ではないことが多いです。
そのため、多くは後継者となる特定の一人に対して贈与や相続の形で株式を移転することになりますが、その対価を被相続人の生前に被相続人に対して支払っていない場合には、移転した株式には贈与税や相続税が問題となります。

事業承継税制によって相続税や贈与税の負担が猶予される

しかし、結論から言うとこういった事業承継に際して発生する見込みの贈与税や相続税については「事業承継税制」という特別のルールが適用されるため、相続税や贈与税の負担が猶予されるということになります。
従来は事業承継に関連する贈与税や相続税のすべてが猶予されるというわけではなく、一部は負担しなくてはならないとされていたのですが、平成30年の税制改正大綱ではさらに進んでこの事業承継に関する相続税や贈与税のすべてを猶予してもらえる仕組みに改正される見込みです(平成30年1月以降に実施される事業承継について適用されます)
ただし、事業承継税制を適用してもらうためには、以下のような条件を満たす必要があります。

従業員雇用の確保

事業承継が行われた後、5年以内に従業員の数が従来の80%未満となる場合には、都道府県に対して報告を行い、認定支援機関による指導助言を受けなくてはならないものとされています。
従来は事業承継後5年間は80%の従業員雇用を維持しなくてはならないというルールがあったのですが、今回の改正によって条件が大幅に緩和されたことになります。

都道府県に特例承継計画書を提出する

事業承継税制の適用をしてもらうためには、都道府県に対して「特例承継計画(事業承継後の事業計画書のようなもの)」を作成して提出しなくてはなりません。
この書類の作成に当たっては、中小企業庁が認定している「認定経営革新支援機関」に該当する業者(多くは税理士事務所です)から助言をしてもらうことができます。

事業承継についてのアドバイスは税理士に依頼しよう

このように、事業承継に関連する税金や今後の企業戦略に関する相談は、前の経営者の代から顧問となってもらっている税理士に相談するほか、相続事務を専門としている税理士に依頼するのが適切です。
遺産分割協議や遺言書内容の執行といった法律面に関する相談は弁護士や司法書士にするのが良いですが、税金については税理士でないと解決できない問題も多くありますから注意してください。

相続税の申告期限までに遺産分割ができない場合の対処

相続が発生した後は、相続人となる人たちが集まって遺産分割協議を行い、だれがどの財産を相続するのかを確定します。
相続する財産が確定したら、その財産の金額からそれぞれが負担する相続税を計算し、期限までに相続税の申告と納付を行わなくてはなりません。
相続税の申告期限は相続が発生してから10か月以内ですが、もしこの間に遺産分割協議がまとまらない場合にはどうなるでしょうか。

遺産分割協議がまとまっていなくても相続税の期限はやってくる

結論から言うと、遺産分割協議の問題は誰がどれだけの相続税の納付を行わなくてはならないのか?ですが、遺産分割協議がまだ完了していない場合には、「民法のルールで遺産分割が行われた場合の相続割合」で遺産分割が行われたものと仮定して相続税を計算し、各自が自分の負担部分を納付することになります。
もちろん、まだ遺産分割は正式に行われていませんから、残された遺産に手をつけるわけにはいきません。
なので、各自の相続税負担部分については各々がポケットマネーで納税し、後で遺産分割協議が完了してから少なく納付していた人は追加納付、多く納付していた人は還付を受けるという形になります。

相続税の負担の具体例

例えば、相続人が長男と次男の2人で、相続税の合計額は3000万円とわかってはいるものの、遺産分割協議がなかなか整わないという場合を考えます。
この場合、相続税の納税期限においてはとりあえず各自が法定相続分である2分の1の金額(1500万円)を税務署に納付しなくてはなりません。
その後の遺産分割協議によって、結果として遺産のうち3分の2を長男が、3分の1を次男が相続したといった場合には、本来納付するべき相続税は長男が2000万円、次男が1000万円ということになります。
この場合は長男は500万円を追加納付し、次男は500万円を税務署から還付してもらえるというわけです。
なお、税務署としては納付される金額に変わりはありませんから、税務署に対しては特に何もせず、兄弟の間でお金を清算するという形で解決をしても問題ないことになっています。

相続税の負担が必要ないケース

なお、相続税には「非課税部分」に該当する部分があるため、必ずしもすべての遺産相続について相続税が発生するというわけではありません。
具体的には、以下の計算式で計算する金額までであれば相続税は非課税ということになります。
相続税の非課税部分=3000万円+法定相続人の数×600万円
例えば、法定相続人となる人(被相続人の配偶者や子供)が合計で10人いるという場合であれば、相続税の非課税部分は9000万円ということになりますから、これを超える金額の遺産が残されていない場合には、相続税は1円もかからないということになります。

遺産分割協議が完了していない場合、各種の相続税減免措置が受けられない

ところで、相続税の納税については各種の減免措置が認められています。
例えば、亡くなった人の配偶者の方は相続税の負担をとても小さくしてもらえますし、遺産が居住用の宅地等で会った場合には相続税の課税標準額を大幅に小さくしてもらうことができる「小規模宅地の特例」といった特別措置を適用してもらうことができます。
しかし、遺産分割協議が相続税の納税期限において完了していない場合には、これらの減免措置を受けることもできないことになっています。
場合によっては、本来は負担する必要がない税金の負担をしなくてはならなくなるようなケースも考えられますから、遺産分割協議は相続税の申告期限を考慮しながら早期に完了しておくことが重要です。
親族だけではどうも遺産分割協議がまとまらない…という場合や、相続人の中に連絡が取れない人がいるというような場合には、弁護士などの法律の専門家に相談することで早期に問題を解決する手段を検討しなくてはなりません。

相続人の廃除や相続欠格が問題となる場合

亡くなった人の親族は相続人として財産を引き継ぐことができますが、例外的に相続人となる資格を失ってしまう場合があります。
以下、該当するケースについて解説させていただきます。

相続人の廃除とは

日本は私有財産制の国ですから、自分が築いた財産については、自分の死後に誰に引き継ぐかは自由に決めることができるというのが大原則です(例外として遺留分などのルールはありますが)
そのため、被相続人が生前において相続人から虐待などを受け、「この人は自分を虐待していたので、相続人となる権利を認めない」という意思表示を行った場合には、その人は相続人となる権利を失います(相続人の廃除)
ただし、この意思表示は生前に家庭裁判所に対して申し立てを行うか、遺言執行人を指定する形で遺言を残しておくことが必要になります。
また、相続人の廃除は被相続人本人しか行うことができませんから、被相続人の死後になってから別の相続人が「この人は被相続人を生前虐待していたから、相続人になることは認めない」という主張をすることは基本的に認められないことになります。
ただし、さらに深刻な事情がある場合には次の「相続欠格」に該当し、該当者は相続人となる資格を失うことになります。

相続欠格とは

相続人となる人が次のような行為をした場合には、相続人となる権利を失います(相続欠格)

  • 被相続人や、自分以外の相続人となる予定の人を故意に殺害したり、殺害しようとしたりした場合
  • 被相続人が犯罪に巻き込まれ、殺害されたことを知っているのに告訴などをしなかった場合
  • 遺言を被相続人への詐欺や脅迫によって変更させたり、偽造したりした場合
なお、相続人の廃除では厳格な手続き(遺言や家庭裁判所への申し立て)が必要でしたが、相続欠格については特別な手続きは必要なく、これらの事実が確定すれば当然に相続人となる資格が失われます。 そのため、遺産分割協議が行われた後になって相続欠格となる事実が判明したような場合には、その遺産分割協議は無効となるものと考えられます。

相続人の一部だけが生命保険金を受け取っている場合の対処

生命保険金の受取人は、被相続人の生前にどのような形で保険に加入していたかによって決まります。 そのため、相続人の間で不公平感のある形で生命保険金の支給がされるケースも珍しくありません(例えば、相続人が長男と次男の2人で、次男だけが生命保険金の受取人となるような場合) 生命保険金は相続財産ではありませんから、この場合、次男は遺産分割協議を経なくとも自分の名前で生命保険金を受け取ることが可能になります。 ただし、生命保険金の受け取りによって、相続人間で遺産分割にいちじるしい不公平が生じるような場合には、生命保険金については「特別受益」として扱われる可能性があります。 特別受益があったとされた場合、生命保険金を受け取った人はその分だけ受け取れる相続財産の割合を少なくするという形で解決が図ることが考えられます。

遺言の執行者が指定される場合

亡くなった人が生前に遺言を残している場合には、その遺言の内容通りに相続財産が分割されるのが原則です。 そのため、遺言の内容によってはすんなりと承諾できない相続人が出てくる可能性もあるでしょう。 そのような場合に備えて、遺言の内容には遺言執行者を定めておくことが有効です。

遺言執行者の役割

遺言執行者は、相続が発生したら遺産目録を作成し、遺産に関する権利書や銀行通帳を保管して相続人となる人が勝手に遺産に触れることができないようにします。 その上で、遺言の内容通りに財産の名義変更や分配を行います。 遺言執行者がいない場合にはこうした手続きは相続人全体が共同して行う必要がありますが、遺言執行者が指定されていればその人がすべての事務を1人で行うことができますから、各段にスムーズに遺産分割の事務を完了することが可能になります。

遺言執行者の報酬や諸経費

なお、遺言執行者の報酬や、遺言執行のために必要になった諸費用については、相続財産の中から支払われるのが普通です(生前に契約で金額などは決まっていることが多いです) もし報酬に関する定めがない場合には、家庭裁判所が決めることもあります。 なお、相続人の1人を遺言執行者に指定しておくことも可能ですが、通常は資格を持った専門家(弁護士や司法書士)に遺言執行者となってもらうケースが多いです。

遺産相続の原則的な形

ここまで説明させていただいたような複雑な遺産相続の対処を考える際には、まずは原則的な遺産相続の形(遺産相続の基礎知識)について理解しておくことが大切です。 遺産相続の基礎知識としては、以下のようなことを理解しておくと良いでしょう。

遺言がある場合には、その内容が最優先で適用される

遺産相続に関して、亡くなった人(被相続人)が遺言を残している場合には、その遺言の内容を最優先に相続財産の分割協議が行われます。 愛人を相続人に含めるようにという遺言があったり、遺産の一部を慈善団体に寄付するようにという遺言があったりする場合には、被相続人の意思通りに財産を処理するのが原則ということになります。 ただし、被相続人と特に近しい関係にあった親族には、遺言によっても侵害されない「遺留分」という権利が認められています。 例えば、被相続人の子供には遺留分として相続財産の2分の1を受け取る権利が認められます。 「自分が死んだあとは全財産を愛人に渡す」という内容の遺言が残されていたとしても、遺留分を持つ子供は2分の1を自分に渡すよう請求することができるということになります。

遺留分減殺請求

遺言の内容通りに相続財産の分割を行った場合には自分の遺留分が侵害されてしまうというような場合には、「遺留分減殺請求」という意思表示を別の相続人に対して行う必要があります。 逆に言うと、もし遺留分を侵害する形の遺言が残されていたとしても、この遺留分減殺請求が行われない場合にはその遺言に基づく遺産相続は有効という扱いになってしまうのです。 相続が発生してから一定期間が経過して時効が成立すると、遺留分減殺請求を行う権利も失効してしまいますから注意が必要です。

遺言がない場合には法律のルールによって遺産相続が行われる

もし亡くなった人が遺言を残していない場合には、法律(民法)のルールに従って相続財産を相続人が分け合うことになります。 法律上、相続人となるのは被相続人の配偶者と、その他の人に分けられます。 配偶者は常に相続人となりますが、その他の人は相続順位に従い、順位が上の人のみが相続人となります。 (順位が上の相続人と、順位が下の相続人とがいる場合には、順位が下の相続人は相続することができません)

相続順位とは

配偶者以外の相続人の相続順位は以下のように決められています(配偶者は常に相続人となりますので、順位という概念はありません) 第1順位:被相続人の直系卑属(子供や孫) 第2順位:被相続人の直系尊属(両親や祖父母) 第3順位:被相続人の兄弟姉妹 なお、同順位の相続人が複数人いる場合には、同順位者間では平等の割合で財産を分け合うことになります。 例えば、被相続人に妻(配偶者)と子供3人(第1順位)、さらに父親(第2順位)がいるという場合には、妻が2分の1、子供がそれぞれ6分の1ずつ(配偶者の分を差し引きした2分の1÷3で計算します)という形で財産を分け合います。 父親は第2順位の相続人ですから、第1順位の相続人である子供がいる上記のような場合には相続人となりません。

遺産分割協議を行うことによって遺産相続は完了する

遺言や法律によって相続人となる人やそれぞれの相続財産は決められますが、実際には「遺産分割協議」という相続人間の話し合いによって遺産相続の手続きは完了します。 通常は話し合いの結果を遺産分割協議書という書類にまとめ、相続人すべてが署名捺印することで完了しますが、当事者間の話し合いではまとまならないという場合には家庭裁判所に調停や審判を依頼するという方法もあります。

遺産分割協議とは別に、相続税の申告を行う必要がある

遺産として残されている財産の金額が一定額を超える場合には、相続開始から10か月以内に相続税の申告と納付を行わなくてはなりません。 相続税の申告と納付を行う時点ですでに遺産分割協議が完了しているのが理想的です。 遺産を相続した人は、それぞれ相続した財産の割合に応じて相続税を負担することになります。 一方で、もし遺産分割協議が完了していない状態であったとしても、相続税の申告と納付は期限までに行わなければならない点に注意が必要です。 この場合には、法律上のルールにしたがって遺産分割をしたと仮定した場合の相続税負担分を、各相続人が期限までに納付しなくてはなりません。 もし期限までに相続税の申告と納付が行われない場合、延滞税や無申告加算税といったペナルティが課せられてしまい、税負担がさらに大きくなってしまう可能性がありますから注意しましょう。

相続トラブルについては弁護士に相談しよう

「もともと仲の良い親族だから、相続に関しては多少のことは話し合いでなんとかなるだろう…。親族どうしでお金のことについてやかましく言うのはちょっと…」 多くの方がこのような期待のもとに相続に関する話し合いを開始しますが、ことお金の問題がからむと仲の良い親族であったとしてもなかなかうまく話がまとまらないものです。 親しい者同士であるからこそ、自分の主張が思うようにできずに結局はうやむやな形で遺産分割協議書にサインをしてしまった(しかもなんだか損しているらしい…)というようなことは決して珍しくないのです。 遺産分割協議は親族だけで行うより、専門知識を持った他人である専門家に間に入ってもらうことでスムーズにまとまる可能性がより高くなります。

弁護士に依頼するメリット

交渉の煩わしさから解放される

突然に家族の不幸が訪れ、遺産相続の話し合いをしなければなくなった場合の精神的負荷はかなりのものです。 ただでさえ親族が亡くなって悲しみに暮れる中、普段の仕事等も並行して行わなければならないわけです。 これに加えて、遺産相続に関する話し合いの煩わしさは大変大きなものです。 この煩わしい作業を、専門家に安心して依頼できることは非常に大きなメリットであります。 また、今まで親しくしてきた身内と突然お金の話をしなければならない状況に陥ります。 例えば、兄弟同士で父親の財産を分ける場合など、お互いの利益は相反することになります。 今後の関係性なども考えて、言いにくいようなことも多くあると思います。 このようなことに思いを巡らせること自体が大変に煩わしいことです。 弁護士に遺産相続を依頼した場合には、代理人として言いにくいことも言ってくれますので、非常に大きなメリットとなります。

手続きの煩わしさから解放される。

相続が発生して、自ら手続きを行おうとすると、その量の多さに驚きます。 戸籍謄本を一つとるだけでも、平日の仕事を休んで市役所へいく時間などないと考えてしまう人は少なくありません。 亡くなった人の代わりにお財産に関する証明書類も取得しなければなりません。 すでに本人はなくなっているわけですから、どこにどんな財産があるのかを把握するのも一苦労です。 例えば、銀行残高を確認するためには、それぞれの金融機関の窓口に赴き残高証明書を取得する必要があります。 また、生前の口座の動きに調整すべき項目があるかどうかを確認するために取引履歴を照会しなければなりません。 これらをすべての金融機関の種類ごとに行う必要があります。 最も財産の状況の確認作業が容易な銀行口座の預貯金でさえ、このように面倒な手続きが生じます。 不動産であれば謄本や権利書の確認等も必要になります。 また、金額において現在の相場を調べる必要があります。 非常に専門的な作業になりますので、普通の人が取り組もうとすると煩雑極まりない作業になります。 また、手続きの代行に関しては他の専門家と連携しているかも非常に重要なポイントです。 公証役場などの行政機関とのやりとりに関する書類の代理作成の専門家として行政書士があります。 また、不動産などの相続を受けた場合には、法務局へ登記を行う必要がありますが、この領域の専門家は司法書士になります。 この様な他の専門家とやり取りをする際に、いちいち事情を一から伝えるのは手間になります。 また、各手続きは複雑に関係していますから、他の専門家と連携している弁護士に依頼することによって、依頼者にとって総合的にもっとも有利な内容で外部と連携し手続きを進めることができるのです。 弁護士に依頼する際には、外部専門家との連携体制について確認するとよいでしょう。

知らないと損をする可能性を減らす

相続の局面においては、期限や取り扱いが非常に複雑なルールが多くあります。 財産の分割の方法や申告の期限の問題、相続税の支払方法等、数をあげればきりがありません。 しかも、金額が比較的大きなものになることが多く、うっかりミスをしてしまった場合の被害も大きくなりがちです。 弁護士は法律の専門家ですから、専門知識を駆使して、依頼者の利益が最大になるように提案・調整をしてくれます。 また、遺留分の考え方一つをとってみても、関係者の人数が多い場合や亡くなっている場合、離婚再婚などがあった場合は非常に複雑になります。 自分がもらう権利がある財産についても、ルールを知らないがゆえに主張する機会を逸してしまい、損をしてしまうというようなことにもなりかねません。 だれでも身内とあえてもめるようなことしたくはないはずです。 しかしながら、正当な権利があるのならば主張すべきと考えている人も多いのではないでしょうか。 相続はそのケースに応じて、まったく内容が違うものになります。 相続の事例を解説本などで調べてみても、まったくもって同じ状況ではないとうことがほとんどだと思います。 それぞれの家族にはいろいろな歴史があり、人間関係も異なります。 亡くなった方が築きあげてきた財産の内容もそれぞれ異なります。 すべての財産が銀行の預金であれば、相続に人で分けるのは簡単かもしれません。 しかし、現実には自宅などの不動産も財産として存在するケースも多くあります。 誰が相続して、だれが済み続けるのによって相続税法上の評価が異なることが多くあります。 不動産を相続した場合においては、お金は一銭ももらっていないのにもかかわらず、莫大な金額の相続税が発生することもあります。 この様なときの納税方法などの相談にも乗ってくれるはずです。 遺産相続の専門家である弁護士に依頼することによって、自分の状況にあった最適なプランを提案してくれるはずです。 相続の得意な弁護士に依頼すれば、知らずに損したというようなことはありません。 一生のうちに、多くても数回ていどしか直面しないのが相続です。是非、専門家に依頼するとよいでしょう。

そもそもトラブルが発生しないようにまとめてくれる

お金が絡むと誰でも欲が出て、感情的になってしまうことがあるものです。 時には、感情に任せて常識を外れた主張をしてしまうこともあるかもしれません。 そのようなことで、一度関係性に溝が入ると修復が難しいこともあります。 今まで仲の良かった兄弟同士にもかかわらず、相続をきっかけに絶縁状態になるなどといった話も残念ながら良く聞きます。 法律に熟知した弁護士を通して話し合いをすることによって、話し合いも自然と法律にのっとった建設的な内容になっていくものです。 この結果、スムーズに話し合いが進行し、トラブルが発生することなく無事に完了することもあります。 また、結果として正しいことを主張していたとしても、それが感情的になっている局面で話したことであれば、相手に受け入れてもらえないこともあります。 また、主張された相手側にとっても、それは本当に法的に正しいことなのかの判断がつかず、話し合いがうまくまとまらないこともあります。 こんな時、傍らに法律の専門家である弁護士がいた場合、すぐにその場で法律的な解釈を補ってくれます。 法律に詳しくない一般の人が発言した内容よりも、弁護士という裏付けのある人が発言することによってその信憑性は非常に高くなります。 特に、相続に関する話し合いを行う時は、緊張感が高まりますから、法律的に正しいという裏付けをもって話し合いを進めることができるというのは非常に大きなメリットになります。 相続にトラブルが生じた時に裁判の代理のため弁護士を依頼するという方法の他に、話し合いに一緒に参加してもらい、冷静な立場での交渉のまとめ役としても機能します。 話し合いがもつれる前から弁護士に依頼することにより、よりスムーズに話がまとまる可能性があります。 トラブルの予防のために弁護士に依頼することは、非常に大きなメリットです。

弁護士に依頼するデメリット

金銭的負担が必要

弁護士に遺産相続を依頼するときに、一番のデメリットとして思い浮かぶのが依頼費用ではないでしょうか。 一般の人が普通に生活するうえで、弁護士にお仕事を依頼する機会などはまずありません。 いざ、遺産相続について弁護士に依頼しようとすると高額の報酬を請求されるかもと、二の足を踏んでしまう人も多いのではないでしょうか。 大まかに分けると活動費と報酬に分けることができます。

活動経費

弁護士が依頼された遺産相続の案件について手続きを行う際の移動費が代表的なものです。 管轄の裁判所などに赴いて行う必要のある手続きも多く存在します。 また、資料作成の過程で、どうしても必要になる戸籍や謄本を取得する際にも、印紙代などの費用が掛かります。 また、土地の評価額の計算など、他の専門家に手続きを一部依頼する必要がある場合もあります。その場合には、不動産鑑定士への報酬費用などが発生します。

報酬

基本的に、弁護士費用の中心となるのが依頼報酬です。 多くの場合、導入時の相談料金、正式に手続きを依頼した際の着手金、完全に業務が完了した段階で支払う最終報酬に分かれます。 それぞれの弁護士事務所により異なりますが、まずは初回の相談料を無料としているところも最近は多いようです。 実際に案件に着手する際に支払う着手金についての計算方法は様々です。 全体の見積もり報酬額の2割と計算するところもあれば、一律に10万円等とするところも少なくないようです。 最終報酬については、成功報酬とする場合も多いようです。依頼した手続きが、完全に遂行された際に請求することが多いようです。

弁護士のスタンスによる違い

法律の世界と私たちの日常生活の感覚が異なることは多くあります。 たとえば、人間関係において、相手の性格や関係性に斟酌して、法律論に従って厳密に得られた結論とは違う内容で合意することはよくあることです。 ビジネスの世界において、取引先との関係上、この様な場面は多くあります。 それが親族の間となると、今までの関係性もあり、また、これから先も長く付き合うことを考えて、法律論とは違った合意がなされることがさらに多くあります。 相続の局面でも、まさに、金額の重要性や、相手の立場に配慮して、また、トラブルに発展するのを嫌って、この様な取引がされることが非常に多くあります。 外部の目から見れば、多少不自然に感じる部分があっても、当人同士では非常に整合性の高い結論であることもあるのです。 人間らしい話し合いがされることは決して悪いことではありません。 一方、弁護士は法律に関する豊富な知識を武器に、依頼者の利益を守る職業です。 また、弁護士によっては、法律的に正しいことが、正義であるとの信念を持ったひともいます。 遺産分割を円滑に進めるために弁護士に依頼したのにもかかわらず、当人同士が問題としていないような些細な点について、検討を始め、反対に話し合いがもつれる原因を作るということもあります。 もちろん、この様な弁護士ばかりではありませんが、個人の性格によるところも少なからずあることは確かです。 また、遺産分割について話し合いがこじれて裁判等になり、期間が長引くとそれ相応の追加報酬が発生します。 この意味においては、依頼者と利益が一致しない場合もあるでしょう。

司法書士や税理士、行政書士との違いとは?


弁護士以外で私たちが遺産相続について相談しようとした時に思い浮かぶ専門家として、司法書士、税理士、行政書士があります。 それぞれ専門分野が異なり下記のような特徴があります。

司法書士

司法書士も法律の専門家です。 不動産登記や遺言書の作成、遺産分割協議書の作成等が専門業務です。 これらは、弁護士も行える業務になります。 ただし、遺産分割協議や、調停等において代理人となることはできない点がポイントです。法律問題に対して代理人として対応できるのは弁護士だけです。

税理士

相続税の申告、準確定申告、相続財産の評価、節税スキームの提案等を行うことができます。 相続を考えたときに、実際の納税額が少しでも少なくなるような手法の提案を受けることができる点においては、非常に頼もしい専門家ということができます。 ただし、相続が実際に発生してしまった場合には、取るべき対策も限られます。 節税対策の手法は、基本的に数年単位の事前計画に基づくものが多いです。

行政書士

遺言書の作成や、遺産分割協議書の作成を依頼することができます。 ただし、これらについては弁護士や司法書士にも依頼することのできる業務になります。 しかも、遺産分割の過程において問題が発生した際には、弁護士や司法書士に依頼することになります。 従って、よほど単純な案件で費用を安価に抑えたい場合以外は、相談しにくいというのが実情です。

遺産分割をスムーズに完了させることが重要ならば税理士や司法書士に

遺産相続を相談する専門家には税理士や司法書士も当てはまりますが、彼らにとって、相続を長引かせても良いことはりません。 確定した内容に基づいて相続税の申告を代理で行うことや、遺産分割協議の結論に基づいて各種登記等を行うことが業務になります。 そのため、遺産分割をスムーズに完了させることが重要になります。 この意味においては、弁護士と比較した場合に、スムーズに遺産相続を完了させたい相続人とより利益が一致するのかもしれません。

遺産相続・遺産分割の弁護士費用の相場

上記のメリットやデメリットを考慮して弁護士に遺産相続を依頼する場合、具体的にいくらの金額が必要になるのでしょうか。 遺産相続・遺産分割の弁護士費用の相場を確認していきましょう。 相続の案件の特徴として、個別に内容が全く異なるということが挙げられます。 相続する財産についても、評価の簡単な現預金だけである場合や、多くの不動産や取引相場のない株式等、金額的評価を算定するのにも手間を有する財産を保有している場合があります。 相続人同士で、おおむね内容がまとまっているような場合や、完全にお互いが対立していて弁護士同士の交渉が必要な場合もあります。 また、弁護士報酬については、具体的な法律による規定が存在しません。 各弁護士が自由に報酬を決定しています。 しかも、上記のように案件ごとにも内容は様々ですから、一律に相場を決めることはもともと難しい問題があります。 遺産相続に関して報酬を決定する際には、上記のような相続案件の特殊性を理解した上で、考慮すべき事項があります。 それは、「経済的利益」の概念です。 言葉にすると少々かたくるしくなりますが、要は依頼者が、その弁護士に依頼することによっていくら(現金の形だけでなくその他の財産の形式を含めて)得をしたのかということです。 この経済的利益の金額が大きいほど、報酬の金額も大きくなると考えられます。 この点、現在撤廃されていますが、弁護士費用の報酬規定を参考までに記載いたします。

これによれば、 300万円以下の部分については、着手金と報酬金を合わせて24%と規定されていました。 300万円から3,000万円の部分については15%+27万円です。 3,000万円から3億円までの部分については9%+207万円、それ以上の部分については6%+1,107万円です。 金額が大きくなると、報酬も同様に比例して大きくなるのは実情に合いませんので、相対的に金額が大きい場合は報酬の割合は小さくなります。 それでも、この金額については現在の感覚のなじまないとの考え方もあって、2/3くらいのラインで決定しているところが多いようです。 報酬の金額について具体的に交渉する際には、上記の計算結果と比べてみると、交渉がスムーズに進むでしょう。

相続事件についての経験が豊富な専門家に相談するのが大切

相続に関しては弁護士や司法書士といった法律の専門家にアドバイスをしてもらうことができますが、相談する際には「相続に関する実務経験が豊富にある法律家なのか?」については事前にチェックしておく必要があります。 法律家といってもいろんな専門分野がありますから、相談する前にその専門家がこれまでにどのような事件をメインで扱ってきた人なのか?についてはしっかりとチェックするようにしてください。

性格的にも相性が良い専門家を見極めよう

また、相続に関する手続きは短くとも数か月、長ければ一年以上かけて遺産分割に関する協議が行われるというようなことも珍しくありません。 相続に関する事務を依頼する法律家とは長い付き合いになることもありますから、性格的な相性も思いのほか大切です。 多くの法律家の事務所では初回の相談は無料という形で気軽に受けてくれますから、相続に関する現状を相談してみて信頼できそうな人かどうかを見極めるようにしてください。

まとめ

今回は、遺産相続でトラブルが生じやすい事例や、その場合の対処法について具体的な例を挙げながら解説させていただきました。 相続をめぐっては親族間の日ごろの感情のもつれが原因となって「まとまるものもまとまらない…」というような状況になってしまうことも決して珍しくありません。 そのような場合には、弁護士や司法書士、税理士といった相続に関する専門家に遺産分割協議に参加してもらうことが解決の助けになることがあります。 現在、遺産相続をめぐってトラブルが生じてしまっているという方や、近い将来に生じる相続が円満に済むか心配…という方は、専門家からアドバイスを受けることも選択肢に入れてみてくださいね。

相続税の節税方法

相続財産の評価額を小さくし、相続税を安くする

相続税を安くするためには、財産を生前に家族に分配しておき、相続財産の金額を少しでも小さくしておくことが有効です。 土地や建物などの不動産については、相続税の評価額を下げてもらえる各種の特例が法律で認められていますから、相続財産に占める不動産の割合が高い方は専門知識を持った税理士などに相続税対策の相談をしてみると良いでしょう(具体的な特例の内容については後述しています)。また、相続が実際に発生する前(つまり生きているうちに)に財産を分配しておくことを「生前贈与」といいますが、この生前贈与を上手に活用することによって最終的に支払うことになる税金の負担を小さくできることがあります。生前贈与を行った場合、相続税を支払う代わりに、贈与税を贈与を行うたびに支払う必要がありますが、この贈与税についても各種の特例措置が認められています。早めに生前贈与による対策を行っておくことで、トータルでの(つまり相続税と贈与税を合計で考えた場合の)税金負担を小さくできる可能性が高くなります。

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相続手続・相続申告を依頼する専門家の選び方

相続の専門家にはたくさんの種類がある

相続手続や相続税申告の手続きを進めるとき、自分たちだけではスムーズにできないことがあります。たとえば、遺言書を作るとき、どのようにして作成すれば良いのかというルールが分からないことも多いですし、遺産分割協議がトラブルになってしまって進まないこともあります。不動産の相続登記の方法がわからなかったり相続税の申告納税で手間取ってしまったりすることもあるでしょう。相続手続や相続税申告の手続きは、各種の専門家に相談したり手続を依頼したりしてすすめることができますが、手続きごとに適した専門家がいるので、ケースごとに依頼する専門家を選ぶ必要がありますそこで以下では、相続手続や相続税申告の際の専門家の選び方をご説明します。

遺言書を作成したい場合

相続手続で専門家が必要になりやすい場面として、遺言書を作成するケースがあります。遺言書は、自筆証書遺言や公正証書遺言などいくつかの種類があり、まずどの方法を選んで作成すれば良いのか迷ってしまいます。また、自筆証書遺言をする場合には、厳格な要式を守る必要がありますが、自分ではきちんと作成する方法がわからないこともあります。公正証書遺言を作成するとしても、どのような内容にしたら効果的に相続トラブルを避けることができるのかがわからず悩んでしまうこともあるでしょう。このようなケースでは、弁護士に遺言書作成の方法を相談することをおすすめします。弁護士は、法律のプロなので、法律に従った遺言書の作成方法を教えてくれますし、将来遺産トラブルが起こりにくい遺言書の内容についてもアドバイスをくれます。確実性の高い公正証書遺言の作成手続きを依頼する事もできるので、安心です。

遺産分割協議を進めたい場合

遺産分割協議を進めているとき、相続人間で意見が合わずにトラブルになってしまうことがあります。この場合、家庭裁判所に遺産分割調停や審判を申し立てて解決してもらわなければなりません。遺産分割協議が難航しているケースでも、頼りになるのが弁護士です。弁護士であれば、当事者の代理人として相手と遺産分割協議を進めることによって、調停前に遺産分割協議をまとめることができるケースもありますし、遺産分割調停や審判の代理人となって、裁判所の手続きを有利にすすめてもらうこともできます。特に審判になった場合には、法律的な主張の整理が必要なので、弁護士の助けを借りる必要性が高いです。

不動産の相続登記をしたい場合

相続が起こるとき、不動産の登記名義の変更が必要になるケースがとても多いです。遺産の内容が実家だけ、という場合でも相続登記は必要です。相続登記をしなくても罰則があるわけではありませんが、被相続人名義のまま不動産を放置しておくと、将来再度相続が起こったときなどに権利関係がどんどん複雑になってしまうので、早めに登記手続きをしておくことをおすすめします。不動産の登記名義の変更をする場合、必要書類を集めて法務局に行って、登記申請書という書類を作成して提出する必要があります。手続きは、自分ですることもできますが、かなり複雑で必要書類も多いので、面倒だと感じる人も多いです。そこで、不動産登記の専門家である司法書士に手続を依頼すると、スムーズに進めることができます。司法書士は、面倒な戸籍謄本などの書類の収集から法務局への登記申請書提出、登記が完了したときの登記事項証明書の受け取りまですべて行ってくれるので、依頼者は何もする必要がなくなり、かなりの手間が省けます。

相続税の申告納税を依頼したい場合

相続が起こったとき、相続税の申告と納税が必要になるケースがあります。相続税には基礎控除がありますが、それを超える場合には相続税が課税されるためです。相続税の申告の際には、遺産の内容を相続税評価の方法によって適切に評価して、相続税の計算をした上で申告書を作成しなければなりません。しかも、その作業を相続開始後10カ月以内に終えて、納税までしてしまわないといけないのです。相続税の申告や納税の手続きは自分でもできますが、素人の場合、相続税評価の際に受けられる控除や減額の制度を知らず、相続税評価額が高額になってしまうことがあります。そうなると、相続税の支払額が大きくなり、不利益を受けます。相続税を効果的に節税したいなら、税理士に相談して相続税の申告手続きを依頼すると良いでしょう。また、被相続人の生前に税理士に相談すると、生前贈与などによる効果的な節税対策のアドバイスをしてもらうことができます。以上のように、相続が起こったときには、各場面において専門家の助けを借りるとスムーズに進むことが多いです。今、相続にまつわる問題でお悩みの場合、まずは一度適切な専門家の事務所を訪ねて、状況に応じたアドバイスをもらうようにしましょう。

各専門家の相続業務の対応範囲

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