相続税の基礎控除や非課税、税額軽減の特例について

相続税の基礎控除や非課税、税額軽減の特例について

この記事をシェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

相続税を課せられる人は全体の中のほんの一部です。とはいえ、平成26年以前と比べると特に都市部ではかなり多くなっています。では、相続税がかかるかどうかの判断で重要な「基礎控除」や、非課税、税額軽減の特例について解説します。

☆相続税の基礎控除とは

「基礎控除」というのは、「ここまでの相続財産総額なら相続税がかかりません」という上限金額のことです。これは一律ではなく、相続人の数によって異なります。具体的な計算式は「3000万円+相続人の数×600万円」です。つまり、仮に法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)が3名であれば4800万円ということになります。
平成26年より以前は「5000万円+相続人の数×1000万円」という、かなり高い金額が設定されていました。これは、バブル期における地価の高騰に伴い相続税対象者が大幅に増えてしまうことが危惧される状況の中で設定された金額です。バブル崩壊後に地価がどんどん下がったにもかかわらず基礎控除のみが高いまま維持されたため、相続税の課税対象者が2%代にまで低下してしまい、国の財源確保、富の再分配という観点から平成27年にそれまでの6割にまで引き下げられました。
これにより、地価の高い東京では郊外に住む人にまで相続税の心配が出てくることになったのです。

☆配偶者の軽減規定

相続税対策をするにあたって、配偶者に対する税額軽減をうまく使うことは大切です。
配偶者が取得した財産については、次の計算式による金額を控除できることになっています。

  • 相続税の総額×(次の1、2のうちいずれか少ない金額÷課税価額の合計額)=控除額
  • 1.課税価額の合計額×配偶者の法定相続分(1億6,000万円以下のときは1億6,000万円)
  • 2.配偶者の課税価額

なお、配偶者の相続財産の価額が1億6,000万円以下の場合、配偶者の取得財産が法定相続分以下である場合は、配偶者は相続税の納付額が発生しませんが、相続税の申告自体は必要ですので注意しましょう。
このように配偶者は被相続人の財産形成に貢献したことから大幅な税額軽減の対象になっています。しかし配偶者に相続分が偏り過ぎると、配偶者自身が死亡した際の相続(2次相続)におけるダメージが大きくなりますので税理士と相談しながらバランスを考えることが必要です。

☆小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例というのは、「自宅」や「事業を営む土地」についての評価額を引き下げる制度です。たまたま都市部に自宅を持っていたばかりに高い相続税を課せられ、納税のために売却して住む場所を失うというのは本来の相続税の趣旨から外れてしまいます。よって、これらの土地については特に配慮し、大幅な評価の軽減措置が取られているのです。
小規模宅地等の特例は、相続開始の直前に、被相続人の居住用、または事業用宅地であることが要件であり、一定の条件のもとに一定の面積まで評価額を50%から80%軽減することができます。ただし、この特例についての注意点としては、相続税の申告期限まで、相続した者がその宅地に引き続き居住、または事業を継続する必要があるということ、建物や構造物がその土地に存在することも要件になっています。もしこの宅地についての遺産分割を完了して、結果的に相続税がかからないと判断されても、特例適用を受けるためにはその旨の申告書を税務署に提出しなければならないことに注意しましょう。

☆生命保険と退職金は非課税

被相続人が生命保険に加入しており死亡保険金が支給されたり、勤務先から死亡退職金が支給されたりする場合、法定相続人の数×500万円という非課税枠があります。特に生命保険については、相続対策として事前に加入しておくことができるため、非課税の恩恵を受けつつ、納税資金を準備することもできるというダブルの効果があります。
ちなみに、この非課税枠を適用することができるのは、被相続人を契約者、被保険者として、相続人を受取人とする契約内容の保険金です。ただ、これによる非課税限度額を超えて保障が必要な場合、遺産総額によっては非常に相続税が高くなってしまいます。よって、その場合は被相続人を被保険者、相続人を契約者および受取人にしておく契約を結ぶという方法もあります。こうすれば受取保険金は「一時所得」として所得税と住民税が課税されますが、一時所得については「受け取った保険金-払込保険料-特別控除50万円×1/2」で算出した金額が課税価額になるため、場合によっては相続税より有利になることもあるのです。ただ、どちらが有利かはあらかじめ試算してみることが必要なので、こちらも加入を検討する際、税理士に相談する方が良いでしょう。

☆まとめ

このように、まともに支払うことになれば莫大な金額を課せられることもある相続税ですが、各種の軽減措置を使うことで相当、負担を減らすことができます。ただし、適用できる条件の判断を誤ると大幅に税額が変わることもあるため、慎重に判断しなくてはなりませんから、相続税に精通した税理士への相談が必須となるでしょう。

この記事をシェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加