公正証書遺言とは?遺産を確実に渡したい方へ。作成の費用から流れについて詳しく説明

財産を所有している人は、自分の死後に「誰にどれだけの財産を相続させるか」について遺言で定めておくことができます。

一方で、遺言は必要な形式を満たしていないと無効になってしまうリスクがありますから、確実に有効な遺言を作成するのであれば、公正証書遺言の形で遺言を作成するのが良いでしょう。

この記事では、公正証書遺言のかたちで遺言を作成する方法について具体的に説明します。

公正証書遺言とはどんなもの?

日本の法律では、遺言の形式として、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つが認められています。

この3つのうち、最も利用件数が多い(全体の8割以上)のが公正証書遺言で、平成29年度1年間で11万件以上の公正証書遺言が作成されています。

公正証書遺言とは、ごく簡単にいうと公証人や証人の立ち合いのもと遺言書を作成する方法で、遺言が無効となってしまったり、発見されなかったりするリスクを避けられるという特長があります。

公証人とはどんな人たち?

公証人とは、全国におよそ300か所ある公証役場という役所で仕事をしている公務員です。

公務員とはいっても国からお給料をもらっているわけではなく、依頼者から事務を請け負うたびに手数料として料金を徴収するかたちで事務運営を行っているという特徴があります。

現在、およそ500名の公証人が活動していますが、公証人の事務を行うためには30年以上の法律事務の経験が要件として求められていますから、そのほとんどは資格を持った弁護士です。

公証人は遺言の内容まではアドバイスしてくれない

注意点として、公証人は公正証書遺言作成の事務手続きについては相談に乗ってくれますが、遺言の内容そのものについては具体的なアドバイスはしてくれないことです。

もちろん、公証人のほとんどが資格を持った弁護士ですので、遺産相続でよくあるトラブル事例や、一般的な法律手続きの流れなどについては説明してくれるでしょう。

しかし、相続税への対策を踏まえた遺産分割の方法や、個別具体的な状況についての遺産相続のアドバイスはしてもらえないのが実際のところです。

遺産分割の方法について具体的なアドバイスを受けたい場合には、別途税理士や弁護士といった専門家に料金を支払って相談をする必要があります。

公正証書遺言は、あくまでも「遺言の具体的な内容についてはおよそ完成している状態」が大前提で、その内容が確実に実現されるようにするためのひとつの手段にすぎないものと理解しておきましょう。

公正証書遺言を利用する5つのメリット

上でも見たように、日本国内で作成されている遺言の8割以上が公正証書遺言です。

このように公正証書遺言が好んで利用される具体的な理由としては、公正証書遺言が持つ次のようなメリットが挙げられるでしょう。

  • ①遺言が発見されないリスクを避けられる
  • ②遺言が無効となってしまうことを防げる
  • ③遺言の偽造を防げる
  • ④公証人が作成をサポートしてくれる
  • ⑤相続発生後、ただちに遺産分割手続きを開始できる

それぞれの内容について、以下で順番に説明します。

①遺言が発見されないリスクを避けられる

遺言は、相続が発生した後に相続人に発見してもらえないと、当然ながら遺言の内容を実現することができません。

この点、公正証書遺言や秘密証書遺言では遺言を公証役場という公的機関に保管してもらうことができますから、相続発生後に遺言が発見されないというリスクを避けることが可能です。

一方で、遺言の3つの形式のうち、自筆証書遺言はその名の通り「自分で作成して、自分で保管しておく」方法ですから、相続人によって発見してもらえない可能性があります。

相続発生前に遺言の保管場所を伝えておくのも1つの対策ですが、その場合には偽造や勝手な内容変更が生じてしまう可能性がないとは言えません。

②遺言が無効となってしまうことを防げる

日本の法律では、遺言は法律上の書式を満たしていない場合には、内容の一部または全部が無効となってしまう可能性があります。

例えば、自筆証書遺言では遺言者本人が手書きで遺言を作成しなくてはなりませんから、パソコン入力で作成した遺言が見つかったとしても、裁判所の検認手続きによって遺言が無効とされてしまう可能性があります。

また、遺言の内容が極端に社会常識に反するものである場合には、公序良俗に反するとして無効となってしまったケースも過去に例があります。

公正証書遺言の形で遺言を作成する場合には、法律知識を持った公証人が遺言の内容を一通りチェックしてくれますから、こうした理由で遺言が無効となってしまうリスクを避けることが可能です。

③遺言の偽造を防げる

上でも見たように、公正証書遺言は遺言作成後に公証役場で正本を保管してもらうことができます(遺言書の手元には謄本が交付されます)

遺言を作成した後に、遺言の内容を偽造されてしまうことがないことも公正証書遺言を選択するメリットといえるでしょう。

④公証人が作成をサポートしてくれる

公正証書遺言は、公証役場で公証人に対して口述の形で作成を行います。

おおよそ「こういった内容の遺言を残したい」ということを公証人に伝えることができれば、その内容を実現するための書式や記述方法については、公証人が代筆してくれます。

法律の専門知識がない方であっても、遺言によって実現したい内容さえはっきりしていれば必要な形式を満たした遺言を作成することができるのは、公正証書遺言を選択するメリットといえます。

⑤相続発生後、ただちに遺産分割手続きを開始できる

公正証書遺言では、相続が発生した後(つまり遺言者が亡くなった後)、すぐに遺産分割の手続きを開始することが可能です。

公正証書遺言の形で遺言が作成されていることを相続人に伝えておけば、相続人は公証役場で検索をするだけで遺言書の内容を確認することができます。

公正証書遺言を作成する場合、多くの場合には遺言執行者が指定されていると思いますので、その人が遺言内容実現のための事務(銀行預金の分割や不動産登記の名義変更など)を進めていくことになるでしょう。

一方で、自筆証書遺言の場合には、遺言書が発見された場合には家庭裁判所に対して「遺言書検認の申し立て」の手続きを行わなければなりません。

多くのケースで家庭裁判所による遺言書検認の完了には1週間~2週間程度が必要になります。

公正証書遺言を利用する3つのデメリット

上では公正証書遺言を利用するメリットについてみましたが、公正証書遺言を利用することには次のようなデメリットもあります。

  • ①遺言の内容を他人に話す必要がある
  • ②作成に時間がかかる
  • ③作成に費用がかかる

こちらも順番に見ていきましょう。

①遺言の内容を他人に話す必要がある

遺言の内容には遺言者の具体的な財産の状況や、家庭状況をうかがわせる内容が記載されることになります。

こうした内容について他人である公証人や、証人となってもらう人に具体的に知られてしまうことに抵抗があるという方もいらっしゃるでしょう。

そのような場合には公正証書遺言ではなく、秘密証書遺言の方法を選択することも有効です。

秘密証書遺言では、公正証書遺言と同様に公証役場で遺言の正本を保管してもらうことは同じですが、遺言の具体的な内容については秘密にしておくことができます。

②作成に時間がかかる

公正証書遺言は公証役場で公証人と連絡を取り合い、作成手続きを進めていかなければなりません。

多くの場合は作成手続き完了まで1週間程度は必要になると考えておきましょう。

この点、自筆証書遺言であれば作成に慣れている方であれば直ちに作成ができますから、今すぐ遺言書を作成したいというニーズのある方は、自筆証書遺言の形式を選択するのが良いかもしれません。

③作成に費用がかかる

証書遺言を作成するためには、公証人に対して手数料を支払う必要があります(公正証書遺言を作成する際に必要になる手数料の具体的な金額については、後の項目でくわしく説明いたします)

この点、自筆証書遺言であれば作成のための事務用品さえそろえれば無料で作成することができるでしょう。

自筆証書遺言の作成ルールについてのくわしい説明がある遺言書作成キットなども販売されていますから、利用を検討してみると良いですね。

遺産を確実に渡すなら公正証書遺言がおすすめ

このように、公正証書遺言の方式を選択することにはメリットとデメリットがあります。

総合的に見ると、「財産を確実に残したいけれど、作成のために手間と費用がかかる」というのが公正証書遺言の特徴といえるでしょう。

遺言は相続人にとって非常に重要なものになりますから、慎重な判断と手続きのもとに作成するのが適切です。

遺産が多額にある場合や、遺産相続についてトラブルになることが予想される場合には、公正証書遺言を選択するのがおすすめです。

公正証書遺言の作成費用

公正証書遺言を作成するためには、公証人に支払う手数料が必要になります。

公証人の手数料基本料金が1万1000円ですが、「遺言書の内容に含める財産の金額」によって次のように手数料が加算されます。

  • 金額100万円まで:手数料は5000円
  • 金額200万円まで:手数料は7000円
  • 金額500万円まで:手数料は1万1000円
  • 金額1000万円まで:手数料は1万7000円
  • 金額3000万円まで:手数料は2万3000円
  • 金額5000万円まで:手数料は2万9000円
  • 金額1億円まで:手数料は4万3000円

例えば、遺言書に記載されている金額が1000万円である場合には、基本料1万1000円+加算額1万7000円=2万8000円となります。

遺言書に記載する金額が1億円超の場合の費用

さらに、金額が1億円を超える場合には、次のような区分に従って手数料が加算されます。

  • 金額1億円超~3億円:5000万円ごとに1万3000円が加算
  • 金額3億円超~10億円:5000万円ごとに1万1000円が加算
  • 金額10億円超:5000万円ごとに8000円が加算

なお、金額が1億円を超える場合には、基本料の1万1000円は不要となります。

例えば、遺言書に記載する金額が1億6000万円である場合には、負担する費用は4万3000円+1万3000円=5万6000円となります。

費用は「遺産を受け取る人1人あたり」で計算するので注意

上の費用は、遺言書の内容によって遺産を受け取ることになる人1人ごとに必要になる点に注意してください。

例えば、長男に2000万円、次男に1000万円、三男に500万円というような内容の遺言書にする場合には、次のように手数料が発生します。

基本料1万1000円+長男2万3000円+次男1万7000円+三男1万1000円=6万2000円

また、病気などによって公証役場に遺言者が足を運ぶのが難しい場合、公証人に出張してもらうことも可能です。

その場合は、1.5倍の手数料が徴収されるほか、日当として2万円と交通費実費も発生します。

公正証書遺言の作成手続き

公正証書遺言は、公証役場で公証人と一緒に作成手続きを進めていきます。

作成の手続きはおおむね次のような流れです。

  • ①遺言のおおまかな内容を決めておく
  • ②証人となってもらう人を決めておく
  • ③必要書類を準備する
  • ④公証人と遺言作成日程を決める
  • ⑤公証役場で遺言の作成を行う
  • ⑥遺言の正本と謄本を受け取り、費用を支払う

以下、それぞれの手続き内容についてくわしく見ておきましょう。

①遺言のおおまかな内容を決めておく

公正証書遺言は、公証役場で公証人に遺言内容を口述する形で作成します。

当然ながらおおまかな遺言の内容がすでに決まっていないと、作成の手続きを進めることができないので注意しておきましょう。

具体的には、遺産となる財産の一覧を財産目録のような形で準備しておくとともに、事前に法律家や税理士といった人たちと相談の上で「誰にどの財産を相続させるのか」を決めておく必要があります。

遺言書で定める遺産分割の内容は、相続人となる人の間でトラブルを未然に防ぐ意味があるほか、相続税の負担金額などを決定することになりますから注意が必要です。

②証人となってもらう人を決めておく

公正証書遺言には、証人となってもらう人が2人以上必要です。

証人となるために資格などは必要ありませんが、次のような人は証人となることができません。

  • 未成年者
  • 推定相続人、その配偶者と直系の血族
  • 受遺者、その配偶者と直系の血族
  • 公証人の配偶者や親族、従業員など

なお、受遺者とは遺言書の内容によって相続人となる人のことをいいます。

公正証書遺言の場合、証人には遺言の内容についても確認してもらう必要がありますから、信頼できる人を選ばなくてはなりません。

証人を自力で用意するのが難しい場合には、弁護士や司法書士といった専門家に相談するようにしましょう(証人となってもらう人の選任を代行してもらえる場合があります)

③必要書類を準備する

実際に公証役場に出向く前に、次のような必要書類を集めておきましょう。

  • 遺言をする人の実印
  • 遺言をする人の印鑑証明書
  • 相続人となる人との親族関係がわかる戸籍謄本
  • 証人となってもらう人の認印
  • 証人となってもらう人の住民票
  • 遺贈を受ける人の住民票(法定相続人以外に財産を渡す場合)
  • 遺贈を受ける人の住所氏名や生年月日がわかるもの
  • 遺言書の内容に含める財産の証明書類(登記簿謄本、預貯金や有価証券の残高証明など)

戸籍謄本や住民票、印鑑証明書、不動産登記簿謄本や固定資産評価証明書など(公的機関が発行するもの)は発行から3か月以内のものが必要になりますので注意しましょう。

④公証人と遺言作成日程を決める

ここまでの準備ができたら、公証役場に連絡をして作成の日程を決めます。

遺産相続について相談している弁護士などがいる場合には、日程調整なども代行してもらえるケースが多いでしょう。

なお、公証役場は全国に約300か所ありますが、特に管轄などは決まっていません。

遺言者が公証役場に出向くことが難しい場合には、病院などに公証人に出張してもらうことなども可能ですので、相談するようにしてください。

⑤公証役場で遺言の作成を行う

あらかじめ決めた日程で、公証役場で公正証書遺言作成の手続きを行います。

具体的には、本人確認をされた後、遺言者が公証人に対して遺言の内容を口頭で伝え、公証人がその内容を筆記していきます。

遺言全体の口述が完了したら、作成した遺言内容について遺言者本人と証人が確認を行います。

問題がなければ署名押印を行い、公正証書遺言が完成することになります。

⑥遺言の正本と謄本を受け取り、費用を支払う

完成した公正証書遺言の正本と謄本を受け取り、費用の支払いを行います。

遺言の原本は公証役場で保管し、正本や謄本は遺言者本人や遺言執行者に交付されるのが一般的です。

遺言を作成する際の注意点

遺言を作成する場合には、次のような点に注意しておきましょう。

  • ①遺留分に注意する
  • ②できれば遺産のすべてについて遺言を残す
  • ③遺言執行者を指定しておく
  • ④遺族に遺言が存在していることを伝えておく

これらは公正証書遺言の方式で遺言を作成する場合に限りませんが、公正証書遺言は原本を手元に保管することができないので、上記は特に気を付けておく必要があります。

以下、それぞれの内容についてくわしく説明します。

①遺留分に注意する

遺言を残す人は、自分の財産について自由に配分を決めることができるのが原則です。

法律上は相続人の間の遺産分割の割合はルールが決まっていますが、遺言を使えば法律のルールにかかわらず、自由に遺産分割の割合を定めることが可能になります。

例えば、法律では長男、次男、三男と子供がいる場合には、それぞれの子供が相続する遺産の割合は平等と決められていますが、遺言を使えば「長男に6割、次男に2割、三男に2割」といったように自由に相続割合を定める事も可能です。

ただし、財産を残す人とごく近い関係にある人には「遺留分」という権利が認められていることに注意しましょう

遺留分とは、ごく簡単にいうと「最低限これだけの割合の遺産分割は受けることができる」という権利のことで、配偶者や子供、父母に認められる権利です。

具体的には、配偶者や子供が遺留分請求者となる場合には遺産全体の2分の1、父母のみが遺留分請求者となる場合には遺産全体の3分の1が遺留分の対象となります。

つまり、遺言者が遺言によって遺産相続の割合を指定できるのは、遺留分を除いた範囲のみということですね。

遺留分を侵害する形で作成された遺言書も効力としては有効ですが、遺留分権利者から請求があった場合には、遺言書によって相続人となった人は遺産分割のやり直しに応じる必要があります。

②できれば遺産のすべてについて遺言を残す

遺言は遺産の一部についてのみ作成することも可能ですが、できれば遺産のすべてについて遺言書で分割方法を定めておくのが望ましいでしょう。

遺言で分割方法が定められていない遺産については、相続人となる人の話し合い(遺産分割協議)によって相続する人が決められることになります。

相続人は通常は親族同士ですが、遺産相続では直接的に利害が対立することになりますから、遺言がないとトラブルに発展することも珍しくありません。

相続人にとって、遺言は遺産分割を行う際の指針になるものですから、よく内容を吟味したうえで作成しておく必要があります。

③遺言執行者を指定しておく

遺言には、遺言の内容を実現するための事務手続きを行う遺言執行者を指定しておくことができます。

遺言執行者が指定されていない場合には相続人となる人が遺産分割の手続きを進めることになりますが、相続人が複数人いる場合には誰が遺産分割手続きを行うのかをめぐってもトラブルが生じる可能性があります。

遺言執行者となるために資格は必要ありませんが、通常は法律知識を持った弁護士などに依頼するのが良いでしょう。

④遺族に遺言が存在していることを伝えておく

遺言は遺産の分割方法を指定する上で決定的な効力を持つものですが、遺言の存在そのものがなかったことにされてしまっては、遺言を残す意味がありません。

公正証書遺言の原本は公証役場が保管してくれますが、遺言そのものの存在について相続人が認識していない場合には、発見が遅れてしまうことも考えられます。

具体的な遺言の内容については知らせておく必要は必ずしもありませんが、相続発生後には公証役場で遺言を確認するように伝えておくことは必要です。

すでに作成した遺言を撤回したい場合は?

遺言は、作成した後から撤回したり、内容を変更したりすることが可能です。

遺言の内容変更は、「新しく遺言を作り直す」という方法によって行うのが原則ですが、自筆証書遺言の場合は遺言書を破棄してしまえば同じ効果を得ることができます。

一方で、公正証書遺言や秘密証書遺言は原本を公証役場に保管してもらう必要がありますから、撤回や内容変更にあたっては必ず新しい遺言を作り直す必要があります。

なお、新しく作成する遺言の方式は先に作成した遺言の方式と共通している必要はありません。

例えば、先に公正証書遺言の形で作成した遺言を自筆証書遺言で撤回したり、自筆証書遺言で作成した遺言を公正証書遺言によって撤回したり変更したりすることは可能です。

遺言書が複数ある場合には、遺言書の日付が新しいものが有効な遺言書ということになり、新しい遺言と古い遺言で内容的に一部矛盾がある場合には、新しい遺言によって古い遺言を一部変更したものとみなされます。

公正証書遺言でも遺言が無効になることがある?

公正証書遺言は、法律知識がある公証人や証人の立会いのもとに作成されますから、書式の面でその効力が否定されるようなことは基本的に考えられません。

一方で、公正証書遺言を作成した時点で、遺言者に意思能力が欠如していたというような場合に、遺言の効力が否定されたケースは過去にあります。

また、遺言の内容について、相続人の一部から脅迫や詐欺を受けたり、遺言者自身に遺言の重要な部分について重大な錯誤があったりしたような場合には、通常の法律上の意思表示と同様に、内容の無効が問題となるケースがあります。

さらに、公序良俗に反するような遺言内容(愛人に全財産を相続させるなど)となっている場合にも、遺言が無効となってしまったケースが過去にあります。

遺言の「内容」についてのアドバイスは専門家に相談を

上でも少し説明しましたが、公正証書遺言を作成する際に公証人に依頼できるのは、書式などの手続き面での代行だけです。

相続に関するごく一般的な内容については質問に答えてもらうことが可能ですが、具体的に「誰にどれだけの財産を残すのがより望ましいか」といった内容については相談することができません。

こうした具体的な内容について相談をしたい場合には、別途税理士や弁護士などの専門家に依頼する必要があります。

遺産相続については、相続税対策を行うかどうかによって税金の負担額が大きく変わることがあるほか、遺産トラブルを避けるために作成した遺言書が、かえって相続人どうしの感情的な対立を引き起こしてしまう事も考えられます。

遺産相続トラブルに適切に備えるためには、できるだけ早いタイミングで各分野の専門家の助言を受けるのが適切といえるでしょう。

まとめ

今回は、遺言を公正証書遺言のかたちで作成するメリットやデメリット、具体的な作成手続きの流れについて説明しました。

日本の法律では、遺言には非常に強い効力が与えられているといえます。

遺言の内容と法律のルールが食い違う場合には、原則として遺言の内容が優先されるためです。

その一方で、遺言は法律で求められる書式を満たしていないと、内容の一部または全部が無効となってしまう危険があるので注意してください。

公正証書遺言は遺言を確実に残したい場合にとても役に立つ方法ですので、これから遺言を作成することを検討している方は、選択肢の一つに加えてみてくださいね。