相続争い、遺産分割でもめやすいポイントと相続トラブル解決法

相続争い、遺産分割でもめやすいポイントと相続トラブル解決法

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  1. 平等に遺産分割すれば争いなど起きないのでは?
    1. 遺産分割協議は「法」より「理解」
    2. 法で割り切れないからこそ話し合いが大切
    3. 遺産分割のポイント
      1. 生前贈与・援助
      2. 介護・同居家族の配慮
      3. 遺言書の内容
      4. 建物・土地の有無
      5. 家業の有無
    4. 遺産分割協議は「人」と「人」が行うもの
    5. 平等に遺産分割すれば争いなど起きないのでは・まとめ
  2. 生前の贈与・援助は相続にどう関わる?
    1. 生前に受けていた援助が平等とは限らない
    2. 過去の不満が爆発することも!
    3. 生前贈与と遺産相続
    4. 兄弟でも「お金」が絡むと人が変わる?
    5. 生前の贈与・援助は相続にどう関わるの・まとめ
  3. 同居していた家族は尊重される?
    1. 介護した人は遺産を多くもらえる?
    2. 法で保証されない「貢献」は相続人同士の情でカバー
    3. 同居家族の介護・家事手伝いをどう考えるか
      1. 相続人が同居していた場合
        1. 貢献度を考えて割合を変えるのもあり
      2. 相続人でない人が介護をしていたら?
        1. 法的には遺産を相続することはできない
      3. 遺言に記されていればOK!
    4. 「介護の貢献度」をどう考えるか
    5. 同居していた家族は尊重される・まとめ
  4. 遺言書は絶対?
    1. 遺言書を開けたらとんでもない記載が!
    2. 不当な遺言書でも最低限の権利の主張を
    3. 遺言書の内容に不当を感じたら
      1. 遺産分割の割合が極端に多い・少ない
      2. 書いてある内容より遺産が少ない
      3. 生前に聞いていた内容と違う
      4. 書いてない遺産が出てきた!
    4. 確実な遺言書が円満相続のカギに
    5. 遺言書は絶対・まとめ
  5. 建物や土地はどうやって分ける?
    1. 家を分けるといったって……
    2. 分割できない相続は「代償金」を活用する
    3. 相続できる遺産が実家住居のみの場合
      1. 住居に住み続ける人がいる場合
      2. 住居に住む人がおらず、空き家になる場合
    4. 事情があって偏りが出るときは準備を怠らない
    5. 建物や土地はどうやってわける・まとめ
  6. 家業を継承するには?
    1. 「家業」によって対処はまるで変ってくる
    2. 「家業」も家と同じく分割できない遺産
    3. 「家業」を引き継ぐには
      1. 法人
      2. 個人事業
    4. 「代償金」は裁判のタネになりやすい
    5. 家業を継承するには・まとめ
  7. 相続でもめるとどうなるの?
    1. 相続人同士で意見が合わない場合はどうする?
    2. 終わらない協議を専門家にゆだねるのも手
    3. 遺産分割調停・審判の流れ
      1. 1.家庭裁判所に申し立て
      2. 2.調停委員会の聞き取り
      3. 3.調停
    4. 調停は審判に入る前の準備期間
    5. 相続でもめるとどうなる・まとめ
  8. 遺産分割調停・審判になったらどうなる?
    1. 遺産分割調停とは
    2. 調停が始まればひと安心?長引くとデメリットも
    3. 遺産分割調停のメリット・デメリット
      1. ○ 調停期間中の制限
      2. ○ 調停にかかる期間
      3. ○ 審判
    4. 意外と重要な「担当調停員」の良し悪し
    5. 遺産分割調停・審判になったらどうするの・まとめ
  9. 遺産分割協議書って何?
    1. 調停の結果によって書類が変わる?
    2. 相続の手続きになくてはならない書類
    3. 遺産分割協議書とは
      1. どんなときに必要?
    4. 遺産分割協議書と知らずに署名させられる?
  10. 税理士に持ち込まれた相続問題
    1. 現実はドラマより奇なり?
      1. よくある相談内容
      2. 必要なのは遺言書よりエンディングノート?
    2. 「愛人が葬式に乱入」は実は頻繁に起きている
      1. 認知済の隠し子も相続権を持つ
      2. 遺族にWのショックを与える隠し子問題
    3. 戦中・戦後の混乱で戸籍が大混乱!?
      1. 海外での父の知られざる過去
      2. 海外の戸籍を辿るのは専門家でも至難の業
    4. 後ろめたい思いがあると人は死後の準備を考える?
      1. 分割協議が因縁の邂逅になりかねないW不倫
      2. W子持ち不倫経験者は自ら相談に来る
  11. 遺産分割の流れをスムーズに進めるために知っておくべき4つのポイント
  12. STEP1
    1. 1.遺言書の確認を行う
      1. 遺言書が後から見つかったらやり直しになることも
      2. 公正証書以外の遺言書は家庭裁判所の検認が必要
    2. 2.遺産内容の確認を行う
    3. 3.誰が相続人となるのかを確定する
    4. 4.遺産分割協議を行う
    5. 5.遺産分割協議書を作成する
    6. 6.相続税の申告と納付を行う
  13. STEP2
    1. 1.遺産分割協議がまとまらない場合は裁判所を利用できる
    2. 2.遺産の種類によって分割方法は異なる
      1. 1:現物分割
      2. 2:換価分割
      3. 3:代償分割
    3. 3.遺産よりも借金の方が多い…という場合はどうする?
      1. 相続放棄は単独でできる
      2. 限定承認は相続人全員で行う
      3. 単純承認とみなされないように注意
    4. 4.遺言書に「愛人に全財産を相続させる」とあった…これって有効?
      1. 家族には遺留分がある
      2. 遺留分を取得するには「減殺請求」を行う必要がある
  14. まとめ
  15. 遺産相続は弁護士に依頼が本当にベスト?
  16. 弁護士に依頼するメリット
    1. 交渉の煩わしさから解放される
    2. 手続きの煩わしさから解放される。
    3. 知らないと損をする可能性を減らす
    4. そもそもトラブルが発生しないようにまとめてくれる
  17. 弁護士に依頼するデメリット
    1. 金銭的負担が必要
      1. 活動経費
      2. 報酬
    2. 弁護士のスタンスによる違い
  18. 司法書士や税理士、行政書士との違いとは?
    1. 司法書士
    2. 税理士
    3. 行政書士
  19. 遺産相続をスムーズに完了させることが重要ならば税理士や司法書士に
  20. 遺産相続の弁護士費用の相場

平等に遺産分割すれば争いなど起きないのでは?

遺産分割協議は「法」より「理解」

遺産分割協議

※遺産分割協議

法で割り切れないからこそ話し合いが大切

「遺産相続争いなんて、お金持ちだけの話でしょう?」なんて思っている方、多いのではないでしょうか。平成27年の法改正によって、実は一般家庭にも「相続税」は身近なものになっています。現代は「長子が家を継ぐ」という風習も薄れ、価値観も多様化しました。核家族化、配偶者の有無、介護等々、一人ひとりを取り巻く環境が異なるため、考え方も人それぞれ。きっちり「法定相続分どおりに分けよう」という人もいれば、「すでに持ち家があるから、土地を相続するより現金がいい」という人もいるでしょう。もちろん、遺言書があればそれに従うのが一番ですが、実際に遺言書が残されているのは全体の1割程度と言われています。血族といえども、別々の生活を営んでいて、事情は人それぞれです。法に厳格になるよりも、各々の状況を考え、譲り合いと思いやりを持って協議に臨みましょう。

遺産分割のポイント

生前贈与・援助

生前に行われた贈与や金銭的な援助、また数値にできない教育や世話といった「愛情」に関する対応の差は、感情的になりやすいため、もめる原因に

生前贈与

※生前贈与

介護・同居家族の配慮

高齢化社会で大きな問題となっている「介護」。同居はもちろん、介護のために実家に通うなど、こうした負担は経験しないとわかりにくいものです

介護・同居家族の配慮

※介護・同居家族の配慮

遺言書の内容

基本的には遺言書どおりにすればいい……と思いきや、その内容が突飛であったり、そもそも有効な内容でなかったりと、意外と問題が隠れています

遺言書の内容

※遺言書の内容

建物・土地の有無

「建物」や「土地」というのは意外と厄介で、お金と違って単純に割ることができません。ある程度の規模を相続するとなると、代償金が必要になることも

建物・土地の有無

※>建物・土地の有無

家業の有無

ひとことで「家業」と言っても、事業形態はお家それぞれ。特に自営業の場合、「親から継ぐ」という志ももちろん、金銭的にも「大きな相続」になります

家業の有無

※家業の有無

専門家からのアドバイス

渡邉 祐介

弁護士:渡邉 祐介

遺産分割協議は「人」と「人」が行うもの

人はそれぞれ価値観や考え方が違うことがあり、それは血を分けた家族であっても同様です。遺産分割協議は人と人が行うもの。「法律に従ってきっちり財産を分けよう」と頑なになるより、「完璧な平等はありえない」と相続人全員が知ったうえで、相続人それぞれの実情に合わせて柔軟に話し合って決めることが大切です。そのうえで、相続人だけで協議を進めようとしている一方でも、「プロに一任する」ことを視野に入れておくのが良いでしょう。第三者の専門家を挟むことによって、互いの意見を取り交わしやすくなるほか、後の紛争防止の意味合いでもその効果は大きいものです。時間にも余裕ができますし、不備がなくスムーズな協議を行えるでしょう。

平等に遺産分割すれば争いなど起きないのでは・まとめ

完璧な「平等」はありえない

協議が長引くときは専門家へ!

生前の贈与・援助は相続にどう関わる?

生前に受けていた援助が平等とは限らない

生前に受ける援助まとめ

※生前に受ける援助まとめ

過去の不満が爆発することも!

昨今は一人っ子の家庭が増えていますが、今相続に関わる世代は兄弟がいる人も多いでしょう。長子相続の意識が薄れ、価値観が多様化、そこに法改正……今の世代は特に「争族」が起こりやすいと言っても過言ではありません。兄弟間で起こりやすい相続問題として「生前に受けた贈与・援助・対応の差」があります。特に数値化できる「お金」に関しては、誰がいくらもらったのかを明確にしておくのも大事です。また、生前贈与は相続財産に含まれます。贈与を受けていた、また子ども時代に優遇された自覚があるなら、率先して他の兄弟に譲るようにするのもよいでしょう。相続をきっかけに「お前は末っ子だからと甘やかされていた」「ほかの兄弟はみんな私立に行ったのに、私だけが公立の学校だった」などなど、当時言えなかった不平不満が爆発し、「兄弟げんか」に発展することも稀ではないのです。

生前贈与と遺産相続

※法定相続分どおりに相続した場合

生前贈与と遺産分割イメージ図

※生前贈与と遺産分割イメージ図

「教育」「愛情」などは主観になるので推し量るのが難しいですが、せめて明確に出る金額だけは相続の際に加味すると良いでしょう。また、生前に資金援助などを受けていた場合は隠さないのが無難。万が一裁判になって発覚すると、不利になることがあります。

専門家からのアドバイス

渡邉 祐介

弁護士:渡邉 祐介

兄弟でも「お金」が絡むと人が変わる?

遺産分割協議は多くの場合、各相続人の意見が一致せず決裂します。もともと仲の良かった兄弟であっても、月日の経過とともに生活上の背景からお金が必要になり、お互いにより多くもらいたいという主張をすることもあります。また、子どもの頃からくすぶっていた不満が相続を機に噴出することも珍しくありません。「長男だから全部もらって当然」という考え方は現代では通用しません。さらに「遺産などいらない」と言っていた兄弟の言葉を信じていたら、いざ相続が始まるとまったく別のことを言い出すこともあります。「実は親父はこの土地を俺にくれると言っていたんだ」などと言われても「死人に口なし」ですから、こうなると泥沼化は避けられません。

生前の贈与・援助は相続にどう関わるの・まとめ

生前に受けた援助の差は遺恨の原因に

生前贈与を受けていた場合は自ら申告

同居していた家族は尊重される?

介護した人は遺産を多くもらえる?

介護した人は遺産を多くもらえる?

※介護した人は遺産を多くもらえる?

法で保証されない「貢献」は相続人同士の情でカバー

政府の方針で、家庭での介護が推奨されている今日。高齢社会において「介護」は、様々な面で大きな問題になっています。施設に入れればまだマシなほうで、実家で介護を行うとなった場合、どうしても同居家族に負担がかかります。同居家族がいない場合は、介護のために実家に通う、また転居せざるを得ない人も出てくるでしょう。こうした「親への貢献度」も「親からの愛情」同様、数値に表しにくく、本人以外には推し量るのが難しい事柄です。そして法的には「介護をしたか否か」は相続にはなんら影響を与えません。さらに言えば、お嫁さんなど直属の血縁でない人が介護を行っていた場合、相続人ではないので相続することすらできないのです。法で貢献が保証されないのなら、情で労うのが円満相続の道。介護を担った相続人へ多く相続できるよう、話し合いをし、遺言書を作成してもらうとよいでしょう。

同居家族の介護・家事手伝いをどう考えるか

相続人が同居していた場合

相続人が同居していた場合

※相続人が同居していた場合

貢献度を考えて割合を変えるのもあり

介護・同居の負担は、外から量るのが難しいもの。普段から様子を尋ねるなどしておくと、お互いに状況がわかりやすく、話し合いもしやすいでしょう。

相続人でない人が介護をしていたら?

相続人でない人が介護していた場合

※相続人でない人が介護していた場合

法的には遺産を相続することはできない

法律上、遺産を相続できるのは血族のみとなります。義父母の介護をいくら熱心にやろうと、「お嫁さん」が遺産を相続することはできないのです。

遺言に記されていればOK!

介護してくれた子どもに多めの遺産を残してあげたいわ

法定相続分よりも多く相続させたいなら、その旨を遺言書に明記しておけばOK。遺贈(無償で遺産を譲ること)として相続人でない人に残すことも可能です。

専門家からのアドバイス

渡邉 祐介

弁護士:渡邉 祐介

「介護の貢献度」をどう考えるか

兄弟間の争族でよくあるパターンとして、親の介護を一手に引き受けた兄弟が取り分を多く主張するも、ほかの兄弟がそれを認めないというものがあります。「兄弟のなかで誰かだけが同居した、または介護をした」というケースでは、「介護の貢献分」という金額で折り合いがつかないのも珍しいことではありません。このような事態になったら、長期化する前に弁護士や裁判所の手を借りることが早期解決への道です。介護を受けている親の側も「うちは子どもたちの仲が良いから大丈夫」などと思わずに、生前に専門家に相談し遺言を残しておくことが大切です。

同居していた家族は尊重される・まとめ

「労働」は法的には相続分に加味されない

苦労を労う思いやりは忘れずに!

遺言書は絶対?

遺言書を開けたらとんでもない記載が!

私の遺産はすべて妻に相続する息子には一銭も渡さないように

不当な遺言書でも最低限の権利の主張を

遺産分割協議でもめないために、被相続人の意思である「遺言書」を残すのはとても有効な手段といえます。基本的に相続において、亡くなった被相続人の意志は何よりも尊重されるものであり、優先すべきという考えがあるためです。専門家の下でつくる「公正証書遺言」であればほぼ問題はないでしょうが、被相続人が個人で作成する「自筆証書遺言」では、ときに驚きの記述がなされていることも。法定相続分から逸脱した内容に「こんなの不当だ!」と思っても、有効な遺言書を覆すことは難しいのが現状。ただし、最低限の権利を主張することは可能です。遺言書自体は普通でも、実際に残っている遺産とかけ離れているときもあります。考えたくはありませんが、同居家族などによって使い込みや財産隠しが行われている場合もありますので、そのときは「お金の動き」を調べる必要があります。

遺言書の内容に不当を感じたら

前提として「有効な遺言書」は覆せない。ただし……

遺産分割の割合が極端に多い・少ない

請求

いくら有効な遺言書であれ、遺産分割の内容が法定相続分よりも少ない場合、法定相続分の1/2までは「遺留分」として他の相続人に請求することができます。

書いてある内容より遺産が少ない

遺言書が書かれた日から目減りした分は考慮されず、相続時点のもので計算します。ただし、不自然なほど減っている場合、他相続人による財産隠しや使い込みの可能性があります。

生前に聞いていた内容と違う

口約束ではなんの根拠もないため、遺言書が有効となります。書面で残しておけば、遺言書の日付よりあとの場合、新しい書面が有効となります。

書いてない遺産が出てきた!

遺言書にない通帳や金券が出てきた……ということも時にあり得ます。書かれている分は遺言書通りに分割し、新たに見つかった分はまた別に遺産分割協議を行います。

まず遺言書が有効か否かを確認しよう

専門家からのアドバイス

渡邉 祐介

弁護士:渡邉 祐介

確実な遺言書が円満相続のカギに

遺言書を残す方法として多く使われているのが「自筆証書遺言」「公正証書遺言」の2つです。ただ、自筆証書遺言は保管場所が自宅などになるため、隠匿や改ざんなどがなされるおそれがあります。確実に保存するには公証役場で作成する「公正証書遺言」がおすすめです。遺言書を残すことは、確実な被相続人の意思の実現や紛争の防止を中心にメリットがたくさんあります。もし後で気が変わってもつくり直しができますので、最初の遺言書作成は早いに越したことはありません。とはいえ、突飛な内容は逆に相続人同士の紛争の種となりますので、税理士、司法書士、弁護士といった専門家のアドバイスの下で、法的にも内容的にも妥当なものをつくることが大切です。

遺言書は絶対・まとめ

遺留分(法定相続分の1/2)の請求は可能

書面と実情の不自然な差異は調査が必要

建物や土地はどうやって分ける?

家を分けるといったって……

いつかは戻りたいと思ってるけど今はタイミングが悪いかな

分割できない相続は「代償金」を活用する

相続できる遺産が持ち家しかない場合、まさか「家」を分解するわけにはいきません。遺産が分けることのできない「物」のときはどうすればよいのでしょうか。同居親族がいる、または賃貸で暮らしていた人が戻ってきて居住する場合、ケースによっては「小規模住宅地等の特例」が適用されます。しかしそうすると、居住する人が遺産である住宅をすべて相続することになります。家に限らず、遺産の多くを相続した人は他の相続人に「代償金」を支払うことで、不公平を解消することができます。多くを相続した相続人が、その分を相続とは別にお金で支払うということです。住居の相続については、二次相続のことまで考えておくのがよいでしょう。また各々の事情があって、誰も不動産を相続できないときは、住居を売却して現金化し、分割するのもまたひとつの手となります。

相続できる遺産が実家住居のみの場合

住居に住み続ける人がいる場合

ひとり暮らしの相続人が死亡した場合

※ひとり暮らしの相続人が死亡した場合

住居に住む人がおらず、空き家になる場合

被相続人と同居、その後も住み続ける場合

※被相続人と同居、その後も住み続ける場合

専門家からのアドバイス

渡邉 祐介

弁護士:渡邉 祐介

事情があって偏りが出るときは準備を怠らない

何か特別な理由があって、誰かひとりにだけ相続させるという場合、紛争の要因をなくすために生前から「遺言書による遺産分割方法の指定」をしておくとよいでしょう。また、誰かひとりにだけ不動産を相続させるといった事情があれば、他の相続人に対して不公平にならないよう、死亡保険金をかけ、死亡した時にすぐ代償金として使える現金を準備しておくというのもひとつの方法です。最低限、遺留分の代償金が支払えるだけの額を残せると安心です。親の側が全員に対して、はっきりとした意思表示をしておくことは紛争の予防策となります。もちろん、遺言書だけでなく、口頭で説明しておくのも大切です。

建物や土地はどうやってわける・まとめ

相当する現金を支払うことで清算する

二次相続を考慮した分配もひとつの手

家業を継承するには?

「家業」によって対処はまるで変ってくる

家業の実態を調べる

※家業の実態を調べる

「家業」も家と同じく分割できない遺産

被相続人の行っていた「家業」を相続するというのは、家の歴史を継ぐことでもあります。責任はもちろんですが、金額の面でもとても大きな相続となります。法人の役員といった職は、あくまで本人と会社との契約のため継ぐことはできません。ただ、株主やオーナーなどの「経営者」としての役割りや、自営業は財産として継ぐことができます。しかしどちらにも共通するのですが、これらは「ある程度まとめて相続しないと意味がない」ものでもあります。株なら経営権を保てるだけの額、自営業なら「店」に関わるすべての財産。つまり、相続人がひとりであるとか、他にも遺産があれば問題ありませんが、そうでなかった場合、遺産分割が大変難しくなってくるのです。「家業を継がせたい」と思うのであれば、生前から贈与や遺言書の作成、名義変更などの準備を進めておくとよいでしょう。

「家業」を引き継ぐには

法人

家業(法人)の継承

※家業(法人)の継承

個人事業

家業(個人事業)の継承

※家業(個人事業)の継承

つまり・・・他の相続人に代償金を支払う可能性が高い生前贈与や遺言書などで対策が必要

専門家からのアドバイス

渡邉 祐介

弁護士:渡邉 祐介

「代償金」は裁判のタネになりやすい

ひとりの相続人が大きな遺産を受け取る場合、「代償金」が発生することがままあります。しかし、親族間の債権・債務関係は甘えが生まれやすく、紛争のきっかけになることも多いのです。代償金は分割払いにすることも可能ですが、そのために滞納する者も多く、そのまま不払いになることもあります。差し押さえや競売を行うこともできますが、これでは草葉の陰の被相続人も悲しむことでしょう。推定被相続人が生前に取れる対策としては、生前に代償金を支払うであろう相続人を、生命保険の受取人にしておくのがおすすめです。生命保険は相続財産にはならないので、全額受取人の財産となり、代償金の支払いに充てることができるのです。

家業を継承するには・まとめ

ひとまとめに相続しないと「家業」を保てない

生前贈与か遺言書を用意してもらうのが◎

相続でもめるとどうなるの?

相続人同士で意見が合わない場合はどうする?

遺産分割調停・審判

※遺産分割調停・審判

終わらない協議を専門家にゆだねるのも手

遺産の分割内容は、まず相続人同士による「遺産分割協議」で話し合われます。これで全員が納得できれば一番なのですが、遺産の内容や各々の家庭環境、その他事情によって成立しないことも多々あります。当事者同士で結論を出すのが難しい場合、また成立した内容に納得がいかないときは、家庭裁判所へ申し立てることによって専門家が仲立ちをしてくれます。相続人の申し立てに応じて「遺産分割調停委員会」が作られます。調停委員は相続人全員の意見や経済状況などを聞き取り、分割内容を提案します。ただし、あくまで「提案」のため、強制力はありません。不服があれば次は「審判」へと移ります。審判では、裁判官によって最終的な判断が下されます。応じない相続人には「履行勧告」が出されることも。「裁判所」というと構えてしまいがちですが、第三者の目を通して相続を見つめ直す手段として活用されています。

遺産分割調停・審判の流れ

1.家庭裁判所に申し立て

家庭裁判所への申し立て

※家庭裁判所への申し立て

2.調停委員会の聞き取り

調停委員会の聞き取り

※調停委員会の聞き取り

3.調停

調停

※調停

専門家からのアドバイス

渡邉 祐介

弁護士:渡邉 祐介

調停は審判に入る前の準備期間

遺産分割協議は当事者だけでは感情的になりがち。こじれそうになったら、冷静な第三者である家庭裁判所に委ねてしまうほうがよい場合もありあます。そして調停を少しでも有利に進めるためにも、あらかじめ法律家に主張方法などを相談しておくのもよいでしょう。さて、通常遺産分割は協議、調停、審判と段階的な制度が存在しますが、最初から審判を申し立てることも制度上は可能です。ただ、実務では「調停で解決できればそのほうが望ましい」と考えられています。そのため、こじれた内容でいきなり裁判を申し立てたとしても、まずは、職権で調停に付されることになるのが通常です。

相続でもめるとどうなる・まとめ

家庭裁判所で専門家の判断を仰ぐ

調停は「提案」、審判は「最終判定」

遺産分割調停・審判になったらどうなる?

遺産分割調停とは

家庭裁判所

調停が始まればひと安心?長引くとデメリットも

遺産分割協議がにっちもさっちもいかない…ヒートアップした議論を落ち着かせるためにも、専門機関による「調停・審判」はとても有効な手段です。冷静に状況を判断してくれますし、専門家が出した提案ならと、意地になっていた人も聞き入れやすくなります。ただし、調停・審判にはいくつか覚悟しておかねばならないことがあります。まず調停期間中は遺産の使用が制限されるため、これらを使うことはできません。また審議は短くても2~3カ月、基本的に平日に行われます。勤めている人はその都度休みを取らねばならず、度重なる審議に精神的な疲労も大きいでしょう。長引けば相続税の申告期間である10カ月以内に終わらないこともあります。調停を乗り切るために、弁護士などに依頼して代理人となってもらい、相続に関する調査や、審議での主張方法の助言を受けるなどの助力を得るのもよいでしょう。

遺産分割調停のメリット・デメリット

○ 調停期間中の制限

・預金・土地など、遺産の使用が禁止・制限される
・審議は基本的に平日に行われる

通帳

○ 調停にかかる期間

・早くて2~3カ月、長いと1年以上かかる
→相続税申告期限(10ヶ月)に間に合わないことも!

時計

○ 審判

・拘束力のある審判書が発行される
・取り決めに従わないと「履行勧告」が出される

ただし …… 結局法定相続分で審判されることが多いため、
労力に見合わないことがほとんど

専門家からのアドバイス

渡邉 祐介

弁護士:渡邉 祐介

意外と重要な「担当調停員」の良し悪し

調停では、2名の調停員が間に入って話し合いを整理してくれます。調停とは「和解の場」であり、調停員は中立の立場から話し合いの手助けを行うだけで、最終的に「どこで折り合いをつけるか」は当事者に委ねられています。あくまで「話し合い」なので、全てを法で解決するわけではありません。調停員が人間関係のバランス感覚に優れた人、社会常識がある人、魅力的な人に当たると、話し合いがスムーズにまとまることは多いです。弁護士としては、「どんな調停員にあたるか」ということは調停における大きな関心事の一つです。

遺産分割調停・審判になったらどうするの・まとめ

遺産使用や拘束時間などの制限が発生

円滑に進めるため、専門家への相談も◎

遺産分割協議書って何?

調停の結果によって書類が変わる?

調停結果によって作成する書類

※調停結果によって作成する書類

相続の手続きになくてはならない書類

遺産分割協議、または遺産分割調停では、全員の意見がまとまると「遺産分割協議書」という書類を作成します。これには相続人全員による「分割内容の確認」と、「この内容で同意した」ことを証明し、後のトラブルを防止する役割があります。形式は特に決まっていませんが、必ず相続人全員の実印が必要で、各々が一通ずつ所持するようにします。遺言書がないときや、遺言書にない財産があるとき、法定相続分以外の比率で分割を行うときは、この「遺産分割協議書」がないと相続に関する手続きが行えません。相続税の更生請求についても同様です。調停が不成立となり、裁判所による審判を受けた場合は「審判書」というものが発行されます。これは裁判所による書類のため、相続人の実印は必要ありません。全員の同意を得られない場合でも、この「審判書」が「遺産分割協議書」の代わりとなるのです。

遺産分割協議書とは

・遺言書がないとき、または一部の財産しか記載されていない場合に作成する
・書式は特に決まっていない。手書きでもパソコンでもOK
・被相続人の名前、相続日(死亡日)、協議した相続人を明記
・相続財産について具体的に記載する
・代償金が発生していた場合は、支払期限を明確に
・相続人の名前・住所・実印が必要
・相続人の人数分作成し、各自が保管する

遺産分割協議書サンプル

※遺産分割協議書サンプル

どんなときに必要?

不動産等の相続登記、銀行預貯金の払い戻し、名義変更
➡法定相続分とは異なる割合で相続する場合、これがないと手続きができない

相続税の更生請求
➡相続税の還付を受ける 際の書類として使用

遺産分割協議書と知らずに署名させられる?

特定の相続人だけが有利となる内容が書かれている遺産分割協議書などには、そう簡単に他の相続人が署名や押印などしないと思われる方は多いと思います。
しかし、元々の親族間の信頼があるためか、「手続きを進めるために必要な書類」などと説明され、それが遺産分割協議書と認識しないまま
署名、押印してしまうことは実際に多く見られるケースです。
いったん作成された遺産分割協議書の効力を後から争うのは、とても困難な場合が多いため、遺産分割協議書の作成はもちろん、署名押印を求められた際にその内容が妥当かについても弁護士などの専門家に相談してみるのがよいでしょう。

税理士に持ち込まれた相続問題

現実はドラマより奇なり?

よくある相談内容

よくある相談内容

※よくある相談内容

必要なのは遺言書よりエンディングノート?

相続に関する小説やドラマ、解説本が散見する昨今ですが、実際、専門家にはどのような相談が寄せられているのでしょうか。税理士の三ツ本 純さんにお話を伺うと「ドラマなどで描かれる事柄は、意外と現実でも起きているんです」、「婚外子が何十人といるので財産の整理をしたい、という方もいましたよ」と驚きの言葉が!
現在、相続人になるだろう方々は多くの問題を抱える世代です。法改定もそうですが、被相続人になる方がまさにバブル世代。銀行口座開設や保険加入を付き合いで行っていたり、金塊や骨とう品、土地など趣味や投資で現物資産を購入していた人たちです。特に、相続財産の確定をしていたらとんでもない田舎の土地が出てきた……というケースが最近多いのだそうです。「相続人の確定や、すべての財産が把握できないという相談が多いです。遺言書はもちろんですが、財産一覧だけでも遺族はとてもありがたいんですよ」。家族のためにも、自身の身辺整理にも、エンディングノートはおすすめだという。次ページからは、それがなかった故に起きた事例を見ていきましょう。

「愛人が葬式に乱入」は実は頻繁に起きている

認知済の隠し子も相続権を持つ

認知済の隠し子も相続権を持つ場合

※認知済の隠し子も相続権を持つ場合

遺族にWのショックを与える隠し子問題

冠婚葬祭の最中に部外者が乱入……というのは昔からドラマや映画でありがちなシーンですが、これ、現実にもよくあることなのだとか。
ただし喧嘩腰で飛び込んでくるといったドラマチックさはほとんどなく、たいていの場合ひっそりと、他の参列者に混ざるようにしてやってくるのだそうです。
とある企業の社長が亡くなり、その葬儀の夜のことでした。弔問客に紛れてやってきたその女性は、故人の愛人であったこと、ふたりの間には認知された子どもがいることを告げたそうです。調べてみれば確かにそのとおり。ただ、そ
の方は子どもの法定相続分だけもらえればそれ以上は望まないと申し出たため、会社などに影響が出ることなく、穏便に話は済みました。とはいえ、遺族に与えた衝撃は相当の物でした。
亡くなったショックに加えて、家族に内密で不義を働いていた事実を後で知るわけですから、単に相続分が減るというお金の問題以上に、精神的な負担は計り知れません。今回の件は事務的な手続きだけで済みましたが、「愛人」に関
する騒動は意外にもそこかしこに存在します。
別居先で夫と同棲していた愛人が、財産に関する書類をすべて持ち逃げしてしまったという例も。このケースでは、遺族は相続財産の確定ができず、やむなく把握している分だけ申告することに。後に愛人による財産の使い込みも発覚したそうです。
夫婦とはいえ、相手のすべてはわからないもの。意外と他人事ではなかったりするのです。

戦中・戦後の混乱で戸籍が大混乱!?

海外での父の知られざる過去

海外に元妻、子どもがいる場合

※海外に元妻、子どもがいる場合

海外の戸籍を辿るのは専門家でも至難の業

現在相続を迎えようとする世代の方々は、被相続人となる方が戦中、直後生まれの人も少なくないでしょう。世界中が混乱を極めた当時、人の動きもまた複雑な時代でした。
相続の依頼が持ち込まれたとき、専門家はまず「相続人の確定」の作業に入ります。つまり遺産を分ける人数・関係性を把握するわけです。ほとんどの人は「相続人は家族だけでは?」と考えますが、戸籍を見てみたら思わぬ事実が発覚することもあるのです。
このケースでは、被相続人である男性の戸籍にとんでもない記載がありました。実は韓国の生まれで結婚前に日本に帰化していたこと、そしてなんと、それ以前に韓国でも結婚しており、子どもまでいることが判明しました。これには妻も大慌て。とはいえ、その子どもたちが存命なら相続の資格がありますから、本人に連絡を取らねばなりません。そこで韓国の事情に詳しい司法書士に戸籍を追ってもらったものの、戦中の混乱もあり、途中で手掛かりが途絶えてしまったのです。
結局、相続人が確定しないため遺産分割が行えず、不動産は登記することもできず終い。遺産は今も宙に浮いたままです。現地に戸籍があるのは確かなのですが、名前が韓国名であるうえ、同じ名前だとしてもそれが本人かどうか証明をすることができない状態だといいます。
そもそも海外の戸籍は辿りにくいものだそうですが、混乱期だったのもあり調査は五里霧中。遺族からしたら大変面倒な「遺産」になってしまいました。

後ろめたい思いがあると人は死後の準備を考える?

分割協議が因縁の邂逅になりかねないW不倫

W不倫の場合の相続

※W不倫の場合の相続

W子持ち不倫経験者は自ら相談に来る

テレビでワイドショーを見れば、芸能人や政治家の不倫騒動が連日報道される昨今。それは何も有名人だけの話ではありません。
実際、弁護士に持ち込まれる不倫、浮気、離婚の相談は格段に増えているのだそうです。そして不思議と、そうした方々は自身の遺産について早目の対処を行うのだとか。これは何故なのでしょうか?
このケースでは、お互いに子どもがいる同士でW不倫を行い、その末に離婚、再婚し、その後子どもが生まれています。上記の家系図を見ていただいてもわかるとおり……大変複雑な関係性が生まれてしまいました。たとえばBさんが亡くなった場合、相続人は現在の妻であるCさんとその子どもである⑤、A(前妻)との子である①、②の4人になります。つまり、何の対処もしていなかった場合、遺産分割協議でこの4人が顔を合わせることになるわけです。
もしAとの子が未成年だとしたら、親であるAさんも加わるでしょうから、様々な要因から修羅場になるだろうことは想像に難くありません。
そうした事態が予測されるため、早いうちから遺言書を残そうという考えに至るのだそうです。また、自身の不義によって手放してしまった子どもに、少しでも多く遺産を渡したいという償いの気持ちで相談に来る方もいるそうです。自分の行動で周囲に迷惑をかけてしまった後ろめたさからか、せめて死後に面倒を残さないように、という思いなのでしょう。この手の相談は、最近本当にすごく多いのだとか。

遺産分割の流れをスムーズに進めるために知っておくべき4つのポイント

遺産分割の流れをスムーズに進めるために知っておくべき4つのポイント

相続人となる人が2人以上いる場合には、何らかの形で遺産分割を行い、「誰がどの財産をどれだけ相続するのか」を決めなくてはなりません。

遺産分割は、亡くなった人が遺言書を残している場合にはその遺言書の内容が優先されます。

一方で、遺言書が残されていない場合には相続人間で遺産分割協議を行うことによって誰がどの財産を相続するのかを決めなくてはなりません。

以下では遺産分割の手続きの流れや、遺産分割協議をスムーズに進めるために知っておくべきポイントについて具体的に解説させていただきます。


STEP1

相続人が複数人いる場合には、遺産分割の手続きを行うことによって「誰がどの財産をどれだけ相続するのか」を決めなくてはなりません。

ここでは相続で遺産分割を行う際の手続きの流れについておおまかに理解しておきましょう。

なお、遺産分割に関する手続きは初七日の法要が済んで一息ついてから行われるのが一般的です。

1.遺言書の確認を行う

相続では、亡くなった方が遺言書を残している場合にはその内容が法律に優先することになります(遺言書がある場合、遺産分割協議は基本的に必要ないということになります)。

相続に関するルールは民法という法律で決まっていますが、法律の内容はあくまでも遺言書がない場合に適用されるものという扱いになっているため、何よりもまず遺言書の内容の確認から行わなくてはなりません。

遺言書が後から見つかったらやり直しになることも

もし遺産分割協議を行った後になって「実は遺言書が残されていた…」ということになるとせっかく行った遺産分割がやり直しということになってしまいますから注意しておきましょう。

自筆証書遺言は亡くなった方が自分で保存しているのが普通ですから、家族が探さなくてはなりません。

一方で、公正証書遺言や秘密証書遺言は公証役場のデータベースに登録されていますから、問い合わせをすることによって遺言書の有無を確認することができます。

公正証書以外の遺言書は家庭裁判所の検認が必要

遺言書の作成方法については公正証書で行う方法と自筆証書で行う方法、秘密証書で行う方法の3つがありますが、公正証書以外の方法で行われた遺言書がある場合には、その内容を家庭裁判所で検認してもらわなくてはなりません。

なお、遺言書で遺言執行人(遺言の内容を実現する義務と権限を持っている人)が指定されている場合、相続人は遺言執行人の指示に従って遺産分割を受けなくてはなりません。

2.遺産内容の確認を行う

遺言書の有無を確認したら、次にどのような遺産が残されているのかを確認しましょう。

遺産として借金しか残されていない…というような状況の場合、相続放棄によって相続には関わらないことが適切なこともあります。

不動産については法務局などで登記簿謄本を取得するほか、土地の権利書などから内容を確認します。

銀行預金については銀行窓口で自分が相続人であることがわかる書類(戸籍謄本や身分証明書など)を持参すれば残高証明書を発行してもらうことができます。

その他にも株式や投資信託のような金融資産、自動車や貴金属類などの動産についても財産が残されていないかどうか調査を行わなくてはなりません。

3.誰が相続人となるのかを確定する

遺産の内容がわかったら、誰が相続人となるのかを確定しましょう。

遺産分割協議は相続人となる人全員が集まって行わないと完了しませんので、まずは相続人全員と連絡を取れる状態にしなくてはなりません。

遺言書によって相続人が指定されている場合にはその人たちと連絡をとりますが、もし遺言書がない場合には法律のルールによって相続人となる人を判断します。

法律のルールによって相続人となる人のことを法定相続人と呼びますが、法定相続人となるのは次のような人たちです。

配偶者
直系卑属(子や孫)
直系尊属(父母や祖父母)
兄弟姉妹

なお、配偶者以外の法定相続人については相続人としての順位が以下のように定められています。

第一順位:直系卑属(子や孫)
第二順位:直系尊属(父母や祖父母)
第三順位:兄弟姉妹

上位の順位の人がいる場合、下位の人は相続人となることができません。

例えば、亡くなった人に父親(第二順位)と子供(第一順位)がいるというような場合には、子供の方が順位が上なので父親は相続人とはなれません。

なお、配偶者は常に相続人となりますから、上の場合で配偶者がいる場合には配偶者と子供の2人が相続人になります。

4.遺産分割協議を行う

遺産の内容が確認でき、相続人となる人が確定したら、遺産分割協議を行います(遺言書がない場合)。

遺産分割協議では必ずしも全員が顔を合わせて協議を行わなくてはならないというわけではなく、書面によって意思表示をしてもらうことも問題はありません。

遺産分割協議では、互いの譲歩や自重がとても重要です。

相続財産をめぐっては被相続人の生前は仲の良かった親族同士で骨肉の争いに発展する…というようなケースも決して珍しいことではないためです。

親族同士では感情のもつれがあってどうしても協議が先に進まない…というような場合には、法律の専門家(弁護士に依頼することが多いです)に間に入ってもらうことも検討してみると良いでしょう。

5.遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議によって話し合った内容は、最終的に遺産分割協議書にまとめます。

遺産分割協議書を作成しなかったとしても、遺産分割協議自体は有効に成立します。

ただし、後日のトラブルの原因となったり、相続税の申告や不動産の名義変更ができなかったりといった不利益がありますから、遺産分割協議後すみやかに作成しておくのが望ましいです。

遺産分割協議書には「誰がどの財産をどれだけ相続するのか」を記載し、相続人となる人全員が署名捺印することによって作成します。

印鑑は印鑑登録されている実印である必要があります(全員分の印鑑証明も取得しておきましょう)。

6.相続税の申告と納付を行う

遺産分割協議書の作成と前後して、相続税の申告と納付を行わなくてはなりません(どちらが先とは決まっていませんが、相続税の負担は相続した遺産の割合によって最終的に決まりますから、相続税の計算時には遺産分割協議が終了しているとスムーズです)。

相続税の申告と納付の期限は相続発生から10ヶ月間です。

亡くなった人の住所を管轄している税務署に対して申告書を提出するとともに、相続税が発生する場合には基本的に現金で一括払いしなくてはなりません。

相続税の計算は知識がある人であれば自力で行っても問題はありませんが、税理士に依頼するのが一般的です。

STEP2

遺産分割をスムーズに完了するためには、いくつか事前に知っておくべきポイントがあります。

ここでは実際に相続人が集まって遺産分割協議を始める前に知っておくと役立つ知識について解説させていただきます。

1.遺産分割協議がまとまらない場合は裁判所を利用できる

遺産分割は基本的に相続人間の話し合いによって行いますが、自分たちだけで話し合いがまとまらないときには公的な機関(裁判所)に間に入ってもらうことができます。

遺産分割協議が紛糾することが予想される場合には、最初から裁判所を利用するのも一つの選択肢と言えます。

申し立てにかかる費用は被相続人1人につき1200円と郵便切手代だけですが、弁護士に調停手続きを行ってもらうような場合には別途専門家に支払う費用が必要になります(弁護士費用は相談料、着手金、報酬金の3種類に分かれていることが多いです)。

裁判所で行う遺産分割の手続きはまず調停委員による調停を試み、調停によって話がまとまらない場合には裁判官による審判が行われます。

いきなり裁判官による審判を申し立てても法律上は問題ありませんが、基本的に裁判所の権限によって調停を行うような形にされるのが一般的です。

2.遺産の種類によって分割方法は異なる

遺産として残されている財産の種類によっては、単純に金額で平等に分ける…ということができない場合があります。

財産の種類によって異なる遺産分割の方法についても理解しておきましょう。

1:現物分割

自宅を長男が相続する代わりに、自動車は次男が相続する、といったように、遺産の現物ごとに所有者を決めるのが現物分割です。

これらは財産の性質上平等に分け合うということが難しいため、不公平が生じてしまう場合には次の換価分割や代償分割によって相続人間で埋め合わせを行うことが多いです。

2:換価分割

財産は現金の形になっていれば相続人間で平等に割合をさだめてシンプルに分割することが可能になります。

そのために遺産として残されている財産を第三者に対して売却してしまい、その代金を相続人間で分け合うのが換価分割です。

換価分割は不平等感が生まれにくいというメリットがありますが、一方で売却損が生じたり売却のためのコスト(業者に支払う手数料など)が発生するなどのデメリットがあります。

3:代償分割

現物分割によって相続人の間に不公平が生じてしまった場合、多くの遺産を相続した人が他の人に対して自分の財産で埋め合わせを行うことが考えられます。

これを代償分割といい、例えば長男は土地と建物を相続する代わりに、長男は次男に対して現金を支払うなどの形が考えられます。

3.遺産よりも借金の方が多い…という場合はどうする?

遺産の調査を行なった結果、プラスの財産として残されているものよりも、マイナスの財産(つまり借金)の方が多い…というケースは少なくありません。

このような場合には相続に関する権利を全て放棄する相続放棄や、相続するプラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産も相続する限定承認などの選択肢が用意されています。

相続放棄は単独でできる

相続放棄はすべての相続人が他の相続人の同意を得なくても単独で行うことができます。

相続放棄とは「自分は相続にはいっさい関わらない」という意思表示を行うことを意味しますから、借金などを引き継がなくて良くなる代わりに相続によって得られる財産も無くなります。

なお、相続放棄は相続があったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に対して行います。

また、この3ヶ月以内に判断がつかない状態の場合には、家庭裁判所に申し立てを行うことによってさらに3ヶ月間の延長を認めてもらうことが可能です。

限定承認は相続人全員で行う

限定承認は、遺産として残されているプラスの財産から、マイナスの財産の支払いを行なった後に、まだプラスの財産が残されている場合に限定して相続を行うというものです。

相続財産の調査を行なった結果、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いのかが判断がつきにくいようなときには限定承認を行うことによって不利益が生じるのを回避することが考えられます。

ただし、限定承認は相続人となる人たち全員が一緒に家庭裁判所に対して申述する形で意思表示をしなくてはなりません。

そのため、相続人の中の1人に相続を承認する人がいるような場合には限定承認を行うことはできなくなります(ただし、相続放棄については別で、相続人の1人が相続放棄を行っても、他の人たちが共同で限定承認を行うことが可能です)。

単純承認とみなされないように注意

相続人となる人が相続放棄や限定承認を行いたい場合には、法律上相続を承認したとみなされてしまう行為(これを単純承認と言います)を行わないように注意しておかなくてはなりません。

例えば、相続財産の一部を売却などの形で処分したり、相続を知った日から3ヶ月間に相続放棄や限定承認の意思表示を行わないことが単純承認の行為に該当します。

単純承認を行ってしまうと、その後には相続放棄や限定承認を行うことができなくなってしまいますから注意しておきましょう。

4.遺言書に「愛人に全財産を相続させる」とあった…これって有効?

遺言書に「愛人に全財産を相続させる。妻や子供には相続を認めない」とあったような場合、法律上の家族は遺産の相続を認めてもらえないのでしょうか。

結論から言うと、法律上の家族には「遺留分」という権利が認められているため、一定割合に応じて財産を取得することが可能です。

ここでは遺留分のルールについて理解しておきましょう。

家族には遺留分がある

遺留分とは、簡単に言うと「被相続人が他人に遺産を相続させるとした場合にも、家族が主張できる財産の取り分」のことです。

遺留分は相続財産全体の2分の1で、具体的には以下のような人たちがそれぞれの割合に応じて遺留分を持ちます。

被相続人の配偶者:2分の1
被相続人の直系卑属(子や孫):2分の1
被相続人の直系尊属(父母や祖父母):3分の1

例えば、「愛人にすべての財産を相続させる」という遺言書がある状態で、被相続人の家族として配偶者と子供2人(長男と次男)がいると言うような場合には、以下のような形で遺産を分割することになります。

愛人:遺産の2分の1
配偶者:遺産の2分の1×2分の1=4分の1
長男:遺産の2分の1×2分の1÷2人=8分の1
次男:遺産の2分の1×2分の1÷2人=8分の1

なお、被相続人の兄弟姉妹は遺留分を持たないので注意しておきましょう。

遺留分を取得するには「減殺請求」を行う必要がある

遺言書が残されている場合には、原則としてその遺言書の内容に従って遺産分割が行われます。

その上で、その遺産分割の内容が家族の遺留分を侵害している場合には、家族は裁判所に対して「遺留分減殺請求」と言う手続きを行うことによって自分たちの遺産相続の権利を認めてもらうことになります。

遺留分が法律上認められる人であったとしても、遺留分減殺請求の手続きを行わないとその権利を実現することができないので注意しておきましょう。

まとめ

以上、遺産分割の大まかな流れと、遺産分割協議をスムーズに進めるために知っておくと役立つポイントについて解説させていただきました。

普段から仲の良い親族同士だから、遺産分割協議もすぐに済むだろうと考えていたら、想像以上にこじれてしまった…ということはよくあることです。

亡くなった人との感情的な関わりが強かった人ほど、遺産分割についてもこだわりを捨てるのが難しいものであることは理解しておきましょう。

親族同士だけではうまくいかなった話し合いであっても、他人である専門家に間に入ってもらうことがスムーズにまとまるという側面があります。

遺産分割でもめることが予想される場合には、弁護士や司法書士といった法律の専門家にアドバイスを求めることをおすすめします。

専門家の事務所では初回の相談料は無料で受け付けてもらえることが多いですから、相続人の人数やおおまかな遺産の内容をまとめた上で相談してみると良いでしょう。

遺産相続は弁護士に依頼が本当にベスト?

遺産相続が発生した場合に、弁護士に依頼した方が良いのかについては、非常に判断に迷うところです。

自分ですべてを行う場合に比べて、また、他の専門家に依頼する場合に比べてどのようなメリットやデメリットが存在するのかをしっかりと検討して判断しましょう。

弁護士に依頼するメリット

交渉の煩わしさから解放される

突然に家族の不幸が訪れ、遺産相続の話し合いをしなければなくなった場合の精神的負荷はかなりのものです。
ただでさえ親族が亡くなって悲しみに暮れる中、普段の仕事等も並行して行わなければならないわけです。

これに加えて、遺産相続に関する話し合いの煩わしさは大変大きなものです。 この煩わしい作業を、専門家に安心して依頼できることは非常に大きなメリットであります。

また、今まで親しくしてきた身内と突然お金の話をしなければならない状況に陥ります。 例えば、兄弟同士で父親の財産を分ける場合など、お互いの利益は相反することになります。

今後の関係性なども考えて、言いにくいようなことも多くあると思います。
このようなことに思いを巡らせること自体が大変に煩わしいことです。 弁護士に遺産相続を依頼した場合には、代理人として言いにくいことも言ってくれますので、非常に大きなメリットとなります。

手続きの煩わしさから解放される。

相続が発生して、自ら手続きを行おうとすると、その量の多さに驚きます。 戸籍謄本を一つとるだけでも、平日の仕事を休んで市役所へいく時間などないと考えてしまう人は少なくありません。

亡くなった人の代わりにお財産に関する証明書類も取得しなければなりません。
すでに本人はなくなっているわけですから、どこにどんな財産があるのかを把握するのも一苦労です。

例えば、銀行残高を確認するためには、それぞれの金融機関の窓口に赴き残高証明書を取得する必要があります。

また、生前の口座の動きに調整すべき項目があるかどうかを確認するために取引履歴を照会しなければなりません。 これらをすべての金融機関の種類ごとに行う必要があります。 最も財産の状況の確認作業が容易な銀行口座の預貯金でさえ、このように面倒な手続きが生じます。 不動産であれば謄本や権利書の確認等も必要になります。 また、金額において現在の相場を調べる必要があります。

非常に専門的な作業になりますので、普通の人が取り組もうとすると煩雑極まりない作業になります。

また、手続きの代行に関しては他の専門家と連携しているかも非常に重要なポイントです。

公証役場などの行政機関とのやりとりに関する書類の代理作成の専門家として行政書士があります。

また、不動産などの相続を受けた場合には、法務局へ登記を行う必要がありますが、この領域の専門家は司法書士になります。

この様な他の専門家とやり取りをする際に、いちいち事情を一から伝えるのは手間になります。

また、各手続きは複雑に関係していますから、他の専門家と連携している弁護士に依頼することによって、依頼者にとって総合的にもっとも有利な内容で外部と連携し手続きを進めることができるのです。

弁護士に依頼する際には、外部専門家との連携体制について確認するとよいでしょう。

知らないと損をする可能性を減らす

相続の局面においては、期限や取り扱いが非常に複雑なルールが多くあります。 財産の分割の方法や申告の期限の問題、相続税の支払方法等、数をあげればきりがありません。 しかも、金額が比較的大きなものになることが多く、うっかりミスをしてしまった場合の被害も大きくなりがちです。
弁護士は法律の専門家ですから、専門知識を駆使して、依頼者の利益が最大になるように提案・調整をしてくれます。

また、遺留分の考え方一つをとってみても、関係者の人数が多い場合や亡くなっている場合、離婚再婚などがあった場合は非常に複雑になります。

自分がもらう権利がある財産についても、ルールを知らないがゆえに主張する機会を逸してしまい、損をしてしまうというようなことにもなりかねません。 だれでも身内とあえてもめるようなことしたくはないはずです。 しかしながら、正当な権利があるのならば主張すべきと考えている人も多いのではないでしょうか。 相続はそのケースに応じて、まったく内容が違うものになります。 相続の事例を解説本などで調べてみても、まったくもって同じ状況ではないとうことがほとんどだと思います。
それぞれの家族にはいろいろな歴史があり、人間関係も異なります。

亡くなった方が築きあげてきた財産の内容もそれぞれ異なります。

すべての財産が銀行の預金であれば、相続に人で分けるのは簡単かもしれません。
しかし、現実には自宅などの不動産も財産として存在するケースも多くあります。

誰が相続して、だれが済み続けるのによって相続税法上の評価が異なることが多くあります。 不動産を相続した場合においては、お金は一銭ももらっていないのにもかかわらず、莫大な金額の相続税が発生することもあります。 この様なときの納税方法などの相談にも乗ってくれるはずです。

遺産相続の専門家である弁護士に依頼することによって、自分の状況にあった最適なプランを提案してくれるはずです。
相続の得意な弁護士に依頼すれば、知らずに損したというようなことはありません。

一生のうちに、多くても数回ていどしか直面しないのが相続です。是非、専門家に依頼するとよいでしょう。

そもそもトラブルが発生しないようにまとめてくれる

お金が絡むと誰でも欲が出て、感情的になってしまうことがあるものです。 時には、感情に任せて常識を外れた主張をしてしまうこともあるかもしれません。

そのようなことで、一度関係性に溝が入ると修復が難しいこともあります。 今まで仲の良かった兄弟同士にもかかわらず、相続をきっかけに絶縁状態になるなどといった話も残念ながら良く聞きます。 法律に熟知した弁護士を通して話し合いをすることによって、話し合いも自然と法律にのっとった建設的な内容になっていくものです。
この結果、スムーズに話し合いが進行し、トラブルが発生することなく無事に完了することもあります。

また、結果として正しいことを主張していたとしても、それが感情的になっている局面で話したことであれば、相手に受け入れてもらえないこともあります。

また、主張された相手側にとっても、それは本当に法的に正しいことなのかの判断がつかず、話し合いがうまくまとまらないこともあります。

こんな時、傍らに法律の専門家である弁護士がいた場合、すぐにその場で法律的な解釈を補ってくれます。

法律に詳しくない一般の人が発言した内容よりも、弁護士という裏付けのある人が発言することによってその信憑性は非常に高くなります。 特に、相続に関する話し合いを行う時は、緊張感が高まりますから、法律的に正しいという裏付けをもって話し合いを進めることができるというのは非常に大きなメリットになります。

相続にトラブルが生じた時に裁判の代理のため弁護士を依頼するという方法の他に、話し合いに一緒に参加してもらい、冷静な立場での交渉のまとめ役としても機能します。

話し合いがもつれる前から弁護士に依頼することにより、よりスムーズに話がまとまる可能性があります。 トラブルの予防のために弁護士に依頼することは、非常に大きなメリットです。

弁護士に依頼するデメリット

金銭的負担が必要

弁護士に遺産相続を依頼するときに、一番のデメリットとして思い浮かぶのが依頼費用ではないでしょうか。

一般の人が普通に生活するうえで、弁護士にお仕事を依頼する機会などはまずありません。

いざ、遺産相続について弁護士に依頼しようとすると高額の報酬を請求されるかもと、二の足を踏んでしまう人も多いのではないでしょうか。

大まかに分けると活動費と報酬に分けることができます。

活動経費

弁護士が依頼された遺産相続の案件について手続きを行う際の移動費が代表的なものです。

管轄の裁判所などに赴いて行う必要のある手続きも多く存在します。

また、資料作成の過程で、どうしても必要になる戸籍や謄本を取得する際にも、印紙代などの費用が掛かります。

また、土地の評価額の計算など、他の専門家に手続きを一部依頼する必要がある場合もあります。その場合には、不動産鑑定士への報酬費用などが発生します。

報酬

基本的に、弁護士費用の中心となるのが依頼報酬です。 多くの場合、導入時の相談料金、正式に手続きを依頼した際の着手金、完全に業務が完了した段階で支払う最終報酬に分かれます。

それぞれの弁護士事務所により異なりますが、まずは初回の相談料を無料としているところも最近は多いようです。
実際に案件に着手する際に支払う着手金についての計算方法は様々です。

全体の見積もり報酬額の2割と計算するところもあれば、一律に10万円等とするところも少なくないようです。

最終報酬については、成功報酬とする場合も多いようです。依頼した手続きが、完全に遂行された際に請求することが多いようです。

弁護士のスタンスによる違い

法律の世界と私たちの日常生活の感覚が異なることは多くあります。 たとえば、人間関係において、相手の性格や関係性に斟酌して、法律論に従って厳密に得られた結論とは違う内容で合意することはよくあることです。

ビジネスの世界において、取引先との関係上、この様な場面は多くあります。

それが親族の間となると、今までの関係性もあり、また、これから先も長く付き合うことを考えて、法律論とは違った合意がなされることがさらに多くあります。
相続の局面でも、まさに、金額の重要性や、相手の立場に配慮して、また、トラブルに発展するのを嫌って、この様な取引がされることが非常に多くあります。

外部の目から見れば、多少不自然に感じる部分があっても、当人同士では非常に整合性の高い結論であることもあるのです。

人間らしい話し合いがされることは決して悪いことではありません。

一方、弁護士は法律に関する豊富な知識を武器に、依頼者の利益を守る職業です。

また、弁護士によっては、法律的に正しいことが、正義であるとの信念を持ったひともいます。 遺産分割を円滑に進めるために弁護士に依頼したのにもかかわらず、当人同士が問題としていないような些細な点について、検討を始め、反対に話し合いがもつれる原因を作るということもあります。 もちろん、この様な弁護士ばかりではありませんが、個人の性格によるところも少なからずあることは確かです。

また、遺産分割について話し合いがこじれて裁判等になり、期間が長引くとそれ相応の追加報酬が発生します。

この意味においては、依頼者と利益が一致しない場合もあるでしょう。

司法書士や税理士、行政書士との違いとは?


弁護士以外で私たちが遺産相続について相談しようとした時に思い浮かぶ専門家として、司法書士、税理士、行政書士があります。

それぞれ専門分野が異なり下記のような特徴があります。

司法書士

司法書士も法律の専門家です。 不動産登記や遺言書の作成、遺産分割協議書の作成等が専門業務です。 これらは、弁護士も行える業務になります。

ただし、遺産分割協議や、調停等において代理人となることはできない点がポイントです。法律問題に対して代理人として対応できるのは弁護士だけです。

税理士

相続税の申告、準確定申告、相続財産の評価、節税スキームの提案等を行うことができます。

相続を考えたときに、実際の納税額が少しでも少なくなるような手法の提案を受けることができる点においては、非常に頼もしい専門家ということができます。 ただし、相続が実際に発生してしまった場合には、取るべき対策も限られます。

節税対策の手法は、基本的に数年単位の事前計画に基づくものが多いです。

行政書士

遺言書の作成や、遺産分割協議書の作成を依頼することができます。

ただし、これらについては弁護士や司法書士にも依頼することのできる業務になります。

しかも、遺産分割の過程において問題が発生した際には、弁護士や司法書士に依頼することになります。

従って、よほど単純な案件で費用を安価に抑えたい場合以外は、相談しにくいというのが実情です。

遺産相続をスムーズに完了させることが重要ならば税理士や司法書士に


遺産相続を相談する専門家には税理士や司法書士も当てはまりますが、彼らにとって、相続を長引かせても良いことはりません。

確定した内容に基づいて相続税の申告を代理で行うことや、遺産分割協議の結論に基づいて各種登記等を行うことが業務になります。
そのため、遺産相続をスムーズに完了させることが重要になります。 この意味においては、弁護士と比較した場合に、スムーズに遺産相続を完了させたい相続人とより利益が一致するのかもしれません。

遺産相続の弁護士費用の相場

上記のメリットやデメリットを考慮して弁護士に遺産相続を依頼する場合、具体的にいくらの金額が必要になるのでしょうか。

遺産相続の弁護士費用の相場を確認していきましょう。

相続の案件の特徴として、個別に内容が全く異なるということが挙げられます。

相続する財産についても、評価の簡単な現預金だけである場合や、多くの不動産や取引相場のない株式等、金額的評価を算定するのにも手間を有する財産を保有している場合があります。

相続人同士で、おおむね内容がまとまっているような場合や、完全にお互いが対立していて弁護士同士の交渉が必要な場合もあります。

また、弁護士報酬については、具体的な法律による規定が存在しません。

各弁護士が自由に報酬を決定しています。

しかも、上記のように案件ごとにも内容は様々ですから、一律に相場を決めることはもともと難しい問題があります。

遺産相続に関して報酬を決定する際には、上記のような相続案件の特殊性を理解した上で、考慮すべき事項があります。

それは、「経済的利益」の概念です。

言葉にすると少々かたくるしくなりますが、要は依頼者が、その弁護士に依頼することによっていくら(現金の形だけでなくその他の財産の形式を含めて)得をしたのかということです。

この経済的利益の金額が大きいほど、報酬の金額も大きくなると考えられます。

この点、現在撤廃されていますが、弁護士費用の報酬規定を参考までに記載いたします。

これによれば、

300万円以下の部分については、着手金と報酬金を合わせて24%と規定されていました。

300万円から3,000万円の部分については15%+27万円です。

3,000万円から3億円までの部分については9%+207万円、それ以上の部分については6%+1,107万円です。

金額が大きくなると、報酬も同様に比例して大きくなるのは実情に合いませんので、相対的に金額が大きい場合は報酬の割合は小さくなります。

それでも、この金額については現在の感覚のなじまないとの考え方もあって、2/3くらいのラインで決定しているところが多いようです。

報酬の金額について具体的に交渉する際には、上記の計算結果と比べてみると、交渉がスムーズに進むでしょう。

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