借金も相続の対象に?相続放棄とその手続き方法を解説!

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相続とは、必ずしも臨時収入が転がりこんでくる、といったラッキーなケースばかりではありません。「借金」という歓迎できない負の遺産を背負ってしまう可能性もありますから、その場合にも適切に対処しなければならないのです。

借金も相続の対象になる!!

「相続」とは、プラスの財産、そして負債を両方とも法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)が承継することです。「私が借りたものではないのにどうして私が?」とも思う人がいても無理はないのですが、債権者側の立場を考えると仕方のない面もあります。
一番怖いのは、相続人が知らなかった莫大な負債が見つかったような場合です。いったん相続を承認してしまえばもう支払いを免れることができないので、借金の有無についてはしっかりと調べることが大切です。
借金の調べ方は色々な方法があります。たとえば最初にやっておきたいのは、被相続人(亡くなった人)の遺品を徹底的に調べることです。部屋にあった郵便物や会社名の入った物品などから銀行その他の債権者を探し出せることもあります。さらに綿密に行うためには、「信用情報機関」とよばれる、個人の借金についての借入れ先、借入れ額、返済日、返済額などあらゆる情報を保有しているところに情報の照会をする方法があります(本人および相続人はデータを見ることができる)。日本にはKSC、JICC、CICという3つの信用情報機関があるため、それらすべてを調べることをおすすめします。ただ、借金癖のあったような人について心配なのは、ここでも挙がってこない「ヤミ金」からの借入れです。信用情報機関に載っているのは正規の業者の分だけですので、相続人も知らないヤミ金が突然被相続人の借りていた分を請求してくる可能性もゼロではないのですが、ヤミ金はもともと違法業者ですので元本すらも返す必要がありません。万一、そのような事態になったら弁護士か司法書士に相談して「おたくに支払う必要はない」と毅然と対処したいものです。

相続放棄とは?

「相続放棄」とは、ある被相続人の相続につきプラスの財産および負債の両方を引き継がないという意思表明のためにする手続きです。よく「遺産分割協議」と混同している人がいるのですが、「相続放棄」は家庭裁判所に所定の相続放棄の申し立てをして初めて認められるものです。相続人同士でだれが遺産を相続するかを話し合うことは「遺産分割協議」をしているに過ぎないのであり相続放棄ではありませんから、その場合は相続人の誰も借金を免れることはできません。借金はあくまで債権者という相手のあることなので、相続人(=義務を持つ側の人間)だけで「誰が借金を免れる」と勝手に決めることはできず、そのようなことは債権者の同意があって初めて認められるのです。
もし相続放棄が家庭裁判所に認められた場合、「その人は最初から相続人ではなかったものとみなされる」という効果が生じます。

相続放棄の注意点

相続放棄した場合は法的に取消事由がない限り、それをなかったことにすることはできません。つまり、どのような影響があるかをよく考えてからするべきなのです。では具体的にどのようなことが起こってくるのでしょうか?
たとえば、同順位の相続人がいる場合はその人の取り分が増えます。父が亡くなり母と子供2人が相続人になる場合、母が2分の1、子供はそれぞれ4分の1ずつというのが法定相続分(民法で定められた相続分)ですが、子供のうち1人が相続放棄すれば母ともう1人の子供が2分の1ずつとなります。
そして、もし上記の例で子供2人とも相続放棄した場合は、次順位の相続人である直系尊属(父母や祖父母)が相続人となります。同様にそれらの人たちもすべて相続放棄すればそのまた次順位である被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。ちなみに配偶者は離婚や先に死亡していない限りこれらの者と一緒に相続人となります。
つまり、自分たちの相続によって親戚の中の予期せぬ人に相続権が回っていくこともあるため、相続放棄する際に次が誰になるのかを考えた上でその人に事情を説明しておく方がよいということです。実務上では、相続放棄を受け付けた家庭裁判所の職員が「必ず次の順位の人に話しておいてください」と念を押してくれるようなこともあります。
また、親の相続を自分が受け取らずに自分の子供(自分の親から見た孫)に直に相続させたいと思って相続放棄しても、自分の子供が代襲相続することはできないということにも注意が必要です。代襲相続というのは自分が親より先に「死亡した」場合に自分の子供が自分に代わり親の相続を受けられるというものです。つまり相続放棄は代襲相続の対象になる事由ではないということなのです。
そして、これもよく誤解されるのですが、相続放棄したら親がかけていた死亡保険金を受け取ることはできないのではないか?ということです。しかしこれは相続放棄した人でも受け取ることができることになっており、家庭によってはそのことが兄弟の不和を招くこともあります。よって、保険金を受け取れる人が相続放棄する場合、もらえる保険金とのバランスや他の兄弟との関係もよく考慮してから手続きする方がよいといえます。

相続放棄すべきケースとは?

相続放棄すべきケースで一番わかりやすいのは、相続財産と負債を比べて負債の方が多い場合でしょう。ただ、そのような場合に限ったことではありません。たとえば被相続人もしくは周囲の相続人との関係が悪くて、手続きでの書類のやりとりなどもしたくない、どうせたいした金額の財産でもないから相続に一切関わりたくないなどの理由で相続放棄する人もいます。
相続放棄は基本的に他の相続人と話し合ったりせずに自分1人でもすることができますし、次順位の相続人に知らせるべき場合でも手紙などで済ませることもできます。家族関係という点でいえば、長年音信のなかった前妻の子供が父親の相続を放棄するといったパターンなどはよくみられます。

相続放棄の手続き方法

具体的に相続放棄はどのように手続きしたらよいのでしょうか。気をつけるべきなのは期間の問題です。自分が相続人となったことを知ってから3カ月以内というのが原則的な期間制限です。ただ、財産調査に時間を要することがはっきりしているような場合は、あらかじめ家庭裁判所に許可をもらった上で期間を伸長できることもあります。「知ってから3カ月」ですから相続の事実自体を知らなかったような場合は、知ってからカウントすればよいのです。ただし知った日付を証明できるように債権者や親族からの手紙などは残しておいた方がよいでしょう。
相続放棄は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に「申立書」と戸籍等の添付書類を提出して行います。裁判所の各種フォーマットは裁判所ホームページでダウンロードできるほか、裁判所に直接行ってもらうこともできます。裁判所に出向いた際に自分のケースではどこまでの書類が要るのか、いくらくらいかかるのか、書類をどのように記入したらよいのかなどを教えてもらうのもよいでしょう。しかし、慣れない人にとって書類作成や準備は非常に時間がかかり、かつミスも発生しやすいものですから、できれば戸籍などを集める段階から専門家に頼んでしまった方が無駄なく手続きが終わります。

相続放棄の難しいところは、「財産と負債調査がうまくできるか」ということと「3カ月以内に守備よく書類を揃えて申立てができるか」という2点になるでしょう。相続放棄がうまくいくかどうかで場合によっては何千万円の負債を免れられるかどうかが決まることもありますので、不安な人は早めに専門家に相談してみましょう。

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