相続が発生した後にすぐ請求できる生命保険金があったので、葬儀費用の支払いなどに充てることができてとても助かった、という人もいます。
では、具体的にどのように請求したらよいのか、またその注意点などを見てみましょう。
生命保険金を請求できる人は?
相続の際、生命保険についてするべき手続きには大まかに分けて2つあります。
被相続人(亡くなった人)が契約者ではあるが被保険者にはなっていないものと、被相続人が被保険者になっているものです。
前者は保険契約の権利を承継するための相続手続きになりますが、後者は被相続人の死亡により保険金を請求できるため、保険事故の発生という扱いになります。
請求できるのはその保険の受取人に指定されている人ですが、死亡の連絡は契約者が別であれば契約者からすることもできます。
生命保険金の請求期限は3年!
死亡保険金の請求期限は3年(簡易保険は5年)となっているため、うっかり忘れていたということがないようにしなくてはなりません。
なお、起算点は保険事故が起こった時(被相続人が死亡した時)となります。
ただ、もし本人がやむを得ない理由があって請求できなかったなどの理由を説明して保険会社に掛け合った場合には対応してくれることもありますので、もう期間を過ぎてしまったかも?と思っても念のため連絡を取ってみましょう。
生命保険金の請求手続き
生命保険金の請求は保険会社によっても異なりますが、一般的に郵送・オンラインのいずれかで受け付けています。
以下は、標準的な流れです。
生命保険会社のWEBや保険証書に記載されている連絡先にアクセスし、証券番号・被保険者氏名・死亡日・※死亡原因・保険金受取人氏名と連絡先・連絡者の氏名や連絡先と被保険者との関係、死亡前の入院や手術歴などを連絡します。
※支払われる生命保険金は、死亡原因によって変わってくる場合があります。
例えば不慮の事故で死亡した場合には災害死亡保険金、それ以外の疾病などで死亡した場合には死亡保険金が支給されるといったケースです。
→ 生命保険会社から請求に必要な書類が案内されます(書類はWEBからダウンロードが原則、保険会社のコールセンターから郵送してもらう場合は1週間以上かかります)
→ 請求に当たっては生命保険会社指定の請求書に医師発行による死亡診断書(医師が立ち会っていなかった等の場合には※死体検案書)と本人確認書類(運転免許証・健康保険証・パスポートなど)を提出します。
※死亡診断書は医師が死亡に立ち会っていた場合、最終診療から24時間以内に死亡した場合に限り当該医師が発行します。
例えば救急医療で病院に運び込まれてその時点ではすでに心肺停止といった状況では、(死体に異常がない場合に限り)死亡診断書に替わって死体検案書が発行されます。
請求から支払いまでの期間ですが、以下の事由に該当しない限りは1週間程度で支払われます。
・支払事由非該当(契約上の保険事故に該当しない)
・告知義務違反(病歴・通院履歴・手術履歴等)
・記載事項の不備
・免責事項抵触(自殺・被保険者自身の重大な過失・泥酔状態による死亡)
・重大事由による解除(保険金目的事故の画策や他の保険金との重複等)
・保険金詐欺や不法行為
・契約失効(一定期間にわたる保険料の滞納)
生命保険金は遺産にならない?
生命保険の死亡保険金は不動産や預貯金など、その他の遺産とは区別して考えられます。
不動産や預貯金はそのすべてが法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)全員の協議によって承継する人を決めるか、法定相続分で相続するしかありません。
しかし死亡保険金については、受取人が特定の相続人に指定されていればその人は他の相続人の関与が何もなかったとしても保険金の請求をすることができるのです。
また、相続放棄をした相続人であっても、死亡保険金は「受取人の固有の財産」であるため受け取ることができます。
上記のように期限も決まっている死亡保険金の受け取りは、被相続人の死亡後なるべく早めに行うことが大切です。