土地を相続した場合に確認したい路線価値による評価額と相続税の計算方法

財産を所有していた人が亡くなった場合、その親族が相続する遺産には相続税が課せられる可能性があります。

ただし、相続税はすべての相続の場合で課せられるというわけではなく、一定額以上の金額となる場合のみ負担の必要がある税金です。

従来は「相続税はお金持ちだけが心配するもの」というイメージがありましたが、2015年以降は相続税が課せられるか否かの判断基準となる「相続税の基礎控除額」が大幅に引き下げられたため、相続税を負担しなくてはいけない人の数は大幅に増加しています。

特に、高額の遺産となる可能性が高い土地の相続では、相続税の負担が発生する可能性が高いといえます。

ここでは、将来的に土地の相続にかかわる可能性がある方向けに、相続税の基本的な計算方法について解説させていただきます。

財産を所有していた人が亡くなった場合、その親族が相続する遺産には相続税が課せられる可能性があります。

ただし、相続税はすべての相続の場合で課せられるというわけではなく、一定額以上の金額となる場合のみ負担の必要がある税金です。

従来は「相続税はお金持ちだけが心配するもの」というイメージがありましたが、2015年以降は相続税が課せられるか否かの判断基準となる「相続税の基礎控除額」が大幅に引き下げられたため、相続税を負担しなくてはいけない人の数は大幅に増加しています。

特に、高額の遺産となる可能性が高い土地の相続では、相続税の負担が発生する可能性が高いといえます。

ここでは、将来的に土地の相続にかかわる可能性がある方向けに、相続税の基本的な計算方法について解説させていただきます。

相続税の基本的な計算方法

相続税の計算は、次の①~④の順番で行います。

①正味の遺産額を求める
②課税遺産総額を求める
③相続税の総額を求める
④実際の相続割合に応じて、各自の相続税の負担割合を決める

以下、順番に説明させていただきます。

①正味の遺産額を求める

相続税は亡くなった人が残した遺産の金額に応じて課せられますので、相続税の計算は、まずは遺産の正味の金額を求めることから始めます。

遺産の正味の金額とは、簡単にいうと「プラスの遺産の金額から、マイナスの遺産(借金など)の金額を差し引きした金額」のことです。

例えば、プラスの遺産として土地が2億円、借金が3000万円あるという場合、正味の遺産額は2億円-3000万円=1億7000万円ということになりますね。

「遺産の金額」を確定する作業が必要

ただし、単に「遺産の金額」といっても、財産が土地や建物などの形で残されている場合には、その財産の評価額はいったいいくらなのかは単純に決めることはできません。

土地や建物などの財産はそのときどきによって値段が違いますし、どのような基準によって計算するかによって評価額はまったく変わってしまうからです。

土地の評価額の求め方については、後の項目で説明させていただきます。

②課税遺産総額を求める

正味の遺産額がわかったら、次に「課税遺産総額」を求めます。

課税遺産総額とは、①で計算した正味の遺産額から、「相続税の基礎控除」を差し引きした金額のことで、計算式にすると以下のようになります。

課税遺産総額=正味の遺産額-相続税の基礎控除

相続税の基礎控除とは

「相続税の基礎控除」とは、簡単にいうと「遺産がこの金額に満たない場合には相続税はかからない」という数字のことです。

具体的には「3000万円+600万円×法定相続人数」の計算式で求めます。

例えば、法律上相続人となる人が亡くなった人の妻と子供2人の合計3人である場合には、相続税の基礎控除は3000万円+600万円×3人=4800万円ということになります。

上の例では正味の遺産額が1億7000万円でしたので、相続の基礎控除が4800万円だったとすると、課税遺産総額は1億7000万円-4800万円=1億2200万円となります。

③相続税の総額を求める

課税遺産総額がわかったら、その金額をいったん法律のルール通りに分割相続したものとして相続税の合計額を計算します。

上の例では、課税遺産総額は2200万円、相続人は妻と子供2人でしたので、法律のルールに従って遺産分割を行うと、以下のように遺産を相続することになります。

  • 妻の課税遺産総額:1億2200万円×2分の1=6100万円
  • 子の課税遺産総額:1億2200万円×2分の1×2分の1=3050万円
  • 子の課税遺産総額:1億2200万円×2分の1×2分の1=3050万円

相続税の速算表

  • 課税価格1000万円以下:税率10%:控除額0円
  • 課税価格3000万円以下:税率15%:控除額50万円
  • 課税価格5000万円以下:税率20%:控除額200万円
  • 課税価格1億円以下:税率30%:控除額700万円
  • 課税価格2億円以下:税率40%:控除額1700万円
  • 課税価格3億円以下:税率45%:控除額2700万円
  • 課税価格6億円以下:税率50%:控除額4200万円
  • 課税価格6億円超:税率55%:控除額7200万円

法定相続人それぞれの課税遺産総額を、上のような「相続税の速算表」にあてはめると、相続税の総額を計算できます。

  • 妻の相続税額:6100万円×税率30%-控除額700万円=1130万円
  • 子の相続税額:3050万円×税率20%-控除額200万円=410万円
  • 子の相続税額:3050万円×税率20%-控除額200万円=410万円

相続税の総額は1130万円+410万円+410万円=1950万円ということになります。

④実際の相続割合に応じて、各自の相続税の負担割合を決める

ここまでで相続税の総額(例では1950万円)を求めることができましたが、相続税は相続した遺産の割合に応じて負担しあうのが原則です。

例えば、遺産を2分の1だけ相続した人は、相続税も2分の1だけ負担するといった具合で、遺産をたくさん相続する人は、相続税もたくさん払うというわけですね。

遺産分割の割合は遺言がない場合には法律で定められた割合になりますが、遺言でそれと異なる割合が決められている場合には、遺言の内容が優先されます。

相続税負担額の具体例①:法律のルール通りに遺産分割した場合

上の例で、法律で定められたルール通りに遺産分割を行ったとすると、それぞれの相続税負担額は以下のようになります。

  • 妻の相続税負担額:1950万円×2分の1=975万円(配偶者控除により実際は0円)
  • 子の相続税負担額:1950万円×2分の1×2分の1=487万5000円
  • 子の相続税負担額:1950万円×2分の1×2分の1=487万5000円

なお、亡くなった人の妻には配偶者控除というルールがありますので、上の例では相続税の負担額は0円となります。

相続税負担額の具体例②:遺言で法律と異なる相続割合を定めた場合

遺言によって法律とは異なる割合で相続割合を決めた場合には、その割合に応じて各相続人が相続税の負担をしあうことになります。

上の例で、妻、子2人(長男と次男)の3人の相続割合を、妻5分の2、長男5分の2、次男5分の1とした場合には、各自の相続税負担額は以下のようになります。

  • 妻の相続税負担額 :1950万円×5分の2=780万円(配偶者控除により実際は0円)
  • 長男の相続税負担額:1950万円×5分の2=780万円
  • 次男の相続税負担額:1950万円×5分の1=390万円

土地の相続税評価額の計算方法

上の相続税の基本的な計算方法では、まずは遺産の正味の金額がいくらなのかを求めることから始めました。

現預金などの場合は簡単ですが、不動産や株式といった価値がそのときどきによって変わるものは、まずは「この資産は相続税の計算においてはいったいいくらぐらいの値段とすればいいのか」から考える必要があるのです。

これが相続税評価額の問題です。

以下では遺産が土地である場合の相続税評価額の求め方を解説します

土地の相続税評価額は路線価をもとに計算する

結論から言うと、土地の相続税評価額は「路線価」という数字をもとに求めます。

あなたの土地の路線価を知るためには、以下のものを準備する必要があります。

①土地に対する固定資産税の納税通知書
②土地の登記簿謄本(土地が共有で、共有持ち分が不明な場合)
③国税庁のホームページで見られる路線価図

順番に説明させていただきます。

①土地に対する固定資産税の納税通知書

まずは土地に対して課税される固定資産税の納税通知書を準備します。

固定資産税の納税通知書は、毎年4月~5月初めごろに市役所から自宅住所に送られてくるはずです。

固定資産税の納税通知書には、土地の「地積」が表示されていますので、その数字をメモしておきましょう。

なお、多くの場合「登記地積」と「現況地積」の両方が記載されていると思いますが、この2つは基本的に同じ数字になっているはずです。

②土地の登記簿謄本

土地が他の人(家族含む)との共有になっている場合には、その共有持ち分も知る必要があります。

共有持ち分が明確にわかっている場合には特に何も取得しなくて問題ありませんが、正確な状況を知るためには法務局に行って登記簿謄本(登記事項証明書)を取得しましょう。

登記簿謄本には権利部(甲区:所有権に関する事項)という部分がありますので、「権利者その他の事項」を確認してください。

土地が共有となっている場合には、それぞれの共有者の持ち分が「持ち分3分の2」とか「持ち分3分の1」といったように記載されているはずです。

③国税庁のホームページで見られる路線価図

最後に路線価を準備します。

これはインターネットで見れますので、ヤフーやグーグルで「路線価」と検索してください。

「路線価 – 国税庁」というページが検索結果に表示されるはずですので、そのページにジャンプします。

日本地図のようなページが表示されるので、サイト内の表示に従ってあなたの土地の所在地を検索してください。

路線とは道路のことで、路線に面する標準的な宅地の1㎡あたり1,000円単位の評価額が、国税庁によって定められています。路線価に土地の面積をかけて土地の価格を計算。路線価は、毎年7月ごろに国税庁が公表する路線価図で確認することができます。

最終的に土地所在地近辺の詳細な地図が表示されると思いますので、あなたの土地の「300C」といったように記載されている数字と記号をチェックしましょう。

路線価図例

※路線価図例

30万円×100㎡3,000万円

路線価図にある「300C」の「300」が路線価。1㎡あたり1,000円単位なので、この場合の路線価は30万円。計算すると、評価額は3,000万円となる。

なお、アルファベットの記号は借地権割合を示しています(Cだと70%)

他人に貸している土地の計算方法

他人に土地を貸している場合には、その分利用価値が下がりますので調整計算が必要になります。

借りている人の権利部分の金額を控除する必要があります。

借りている人の権利部分は、路線価の記号部分を利用して計算します。

先ほどの例において、「300B」のBの部分です。

このアルファベットの部分は借地権割合と呼ばれるものです。

アルファベットによって割合が決まっています。

A:90%、B:80%、C:70%、D:60%、E:50%、F:40%、G:30%というように定められています。

Bの場合は80%となっていますので、この土地の評価額のうち80%が借地権の金額となります。

今回の場合、3,000万円×80%(借地権割合)=2,400万円となり、3,000万円のうちの2,400万円が借主の権利部分になります。

従って、今回の土地を他人に貸している場合の評価額は、3,000万円-2,400万円=600万円となります。

ただし、この借地権割合を控除する場合には注意が必要です。

この計算を行うのは、土地を借りた人が自分で建物を建てた場合に限られます。

この様な場合には、容易に立ち退きなど行えませんし、借主の権利が保護されていますので土地の評価金額が大きく減額されます。

一方、土地を借りた人が駐車場として利用している場合などについては、建物を建てた場合に比較して貸主から見た土地の価値の減少はありませんので、借地権割合の部分を控除しません。

自家用地の場合と同じ計算を行うことになります。

貸家として使用している場合の計算方法

土地の上に建物を立てて貸家として貸している場合には、貸家に住んでいる人の権利部分を控除して評価します。

この権利部分の計算については、上記の借地権割合に対してさらに借家権割合を掛け合わせて計算します。

借家軒割合は全国一律で30%と設定されています。

借地権割合のように、道路ごとに定められた記号から判別する等の必要はありません。

上記の例において、貸家に住んでいる人の権利の金額は、3,000万円×80%(借地権割合)×30%(借家権割合)=720万円となります。

従って、今回の土地を貸家として使用している場合の評価額は、3,000万円-720万円=2,280万円となります。

なお、貸家に空き家がある場合については空いている部屋の数に応じて貸家割合をさらに掛け合わせて住んでいる人の権利部分を計算します。

二本以上の道路に面している場合の計算方法

二本以上の道路に面している場合は、利用価値が高くなりますのでその分を加算します。

例えば、上記の例において、正面の路線価300千円の道路の他にも、裏面に路線価200千円、側方に路線価100千円の道路に面している場合(角地の普通住宅、簡単のために奥行価格補正率を1.00と仮定)は次のように計算します。

  • ①正面路線価  300千円

  • ②側方路線価  200千円×二方路線影響加算率0.03 = 6千円

  • ③側方路線価  100千円×側方路線影響加算率0.02 = 2千円

補正路線価 ①+②+③=308千円となり、1㎡あたり8千円部分が利用価値の増加分となります。

この補正路線価を用いて土地を評価すると、今回の土地の場合は308,000円/㎡×100㎡=3,080万円となります。

土地の形状がいびつな場合の計算方法

全ての土地が正方形や長方形のような利用しやすい形状をしているわけではありません。

例えば、竿のついた旗のような形状をした土地もあります。

奥まったところに土地があり、そこから細い私道のような形で道路まで土地が伸びているイメージです。

この様な土地を旗竿地と言います。

旗竿地は土地の利用価値が下がりますので、約20%から30%の減額がされます。

また、現行の法律には合致していない形で建物が建っている場合もあります。

例えば、幅が4メートル未満の道路に接している場合には、次に建て替える際には4メートルの道路を作るために一部後退する必要があります。

この様な場合には、路線価が約70%減額されます。

土地の相続税評価額を計算する

ここまでで、以下の3つが準備できている状態です。

  • 土地の地積
  • 土地の共有持ち分
  • 土地の路線価

後は、この3つを掛け算するだけで土地の相続税評価額を計算することができます。

例えば、土地の地積が200㎡、共有持ち分が4分の3、路線価が180D(1㎡につき18万円)だったとすると、相続税評価額は以下のようになります。

相続税評価額=地積×共有持ち分×路線価
相続税評価額=200㎡×4分の3×18万円=2700万円

相続税評価額は、実際の時価のおよそ8割程度になることが多いと思います。

これで遺産である土地の評価額がわかりましたので、上の「相続税の基本的な計算方法」で紹介させていただいた①~④に従って相続税の金額を計算していけば問題ありません。

なお、実際に相続税の計算を行う際には、土地については各種の特例措置を適用することによって、相続税評価額を下げてもらうことが可能です(小規模宅地等の特例など)

土地の「時価」は3種類ある

ここまで説明させていただいたのが土地の値段を「相続税評価額」で把握する方法です。

相続税の計算においてはこの相続税評価額だけがわかれば問題ありませんが、土地や建物といった不動産の値段には相続税評価額以外のものもあることを知っておきましょう。

具体的には、不動産の値段には次の3つがあります。

①相続税評価額
②固定資産税評価額
③売買価格

②の固定資産税評価額とは、その名の通り固定資産税を計算するときに使われる数字で、固定資産税の納税通知書に記載されています。

③は実際に土地を売ったり買ったりするときの値段ですね。

相続税評価額以外の時価を使うシーン

通常の相続税の申告では相続税評価額を使いますが、相続手続き内でもこれ以外の計算方法を使うことがあります。

重要なのは遺留分の計算で、遺言によって法律上の相続割合と異なる遺産分割の方法が指定されているときに、妻や子供といったごく近しい親族の権利を侵害していないかどうかが問題となります。

極端な例でいえば「愛人にすべての遺産を相続させる」というような遺言が残されている場合に、妻や子供から「自分には法律で最低限保証されている相続割合がある」ということで訴えを起こすことが考えられます(これを遺留分減殺請求といいます)

この遺留分の計算では、土地は相続税評価額ではなく、実際の売買価格をもとに計算を行う必要があります。

遺産分割協議の時に適用する計算方法を間違えてしまうと、後でトラブルとなってしまう可能性がありますので注意しておきましょう。

まとめ

今回は、近い将来に土地の相続にかかわる可能性がある方向けに、相続税の基本的な計算方法を解説させていただきました。

本文でも解説させていただいたように、相続税は一定の金額以上の遺産がある場合にのみ発生する税金ですが、税額が発生する場合には大きな金額となることが多いのが特徴です。

税金計算の方法に不備があると高額の追徴課税が課せられてしまう可能性もありますから、相続税の申告は実績のある税理士に相談するようにしましょう。