ひとたび相続が発生すると、煩雑で高度の法律知識を要する手続きがたくさん発生します。
申請や申告の期限も設けられており、これを過ぎてしまうと重大な不利益を被ってしまうこともあります。
ただでさえ複雑な手続きがある上に、遺産分割の話し合いがこじれてしまった場合はさらに大変です。
こんな時に頼りになるのが法律の専門家である弁護士の存在です。
弁護士は唯一裁判所への代理人として出廷することが認められています。
法律の専門家であると同時に、争い事への対応の専門家であるともいえます。
普段は親しい身内の間柄においても、時としてトラブルに発展してしまうのが相続の特徴です。
相続が発生した時には、まずは弁護士に相談することをお勧めいたします。
目次
法律の専門家は弁護士
遺産相続に対応するためには、民法だけでなく相続税法の理解も必要です。
また、案件の内容によっては、幅広い知識と経験がなければ対応することができません。
遺産分割協議が進むと、それぞれがいろいろな内容の主張をしてきます。
法律に対する予備知識がないと、なんとなくしてしまうこともあるかもしれません。
法律の専門家である弁護士であれば、内容を吟味して正しい法的根拠をもって話し合いを解決に導いてくれるでしょう。
遺産相続にはいろいろな局面があり、それぞれに高度な判断を要することになります。
一歩判断を誤ると予期せぬ問題に発展し、重大な不利益が発生することもあります。
この様なときに、弁護士に相談することができれば安心です。
是非とも、法律の専門家である弁護士に相談をしましょう。
トラブルの仲裁は弁護士
弁護士は民事事件が発生した場合に、当事者の代理人として活動します。
争いが生じたときに依頼者の側に立って有利に問題解決を行うことが業務になります。
つまり、争いごとへの対応に非常に長けているのです。
実は、実務上判決まで行くケースよりも和解で解決する方が多いです。
これは、双方の弁護士が問題に対する帰着点をある程度予測できるからです。
双方に判決内容を予測する能力があるので、お互いに落としどころを見出して決着することになります。
つまり、弁護士とは争いが生じたときに法律知識を武器に落としどころを決める仕事ということができます。
これが、遺産相続において身内の間で争いが生じたときに非常に役に立つ能力なのです。
相続が終了しても、身内との関係は続きます。
相続問題で仲が悪くなってしまっては、その後の生活に悪影響を及ぼすので、できれば穏便に済ませたいところです。
遺産分割協議でもめているときに弁護士が仲裁に入った場合は、お互いにとってよい落としどころを提案することができます。
皆がその意見を参考に建設的に話し合いを進めることができるのです。
話し合いに根拠をもって対応
遺産分割協議において、いったん話し合いがこじれてしまうと非常に長引いてしまうケースが多くあります。
相続財産に不動産がある場合など、金額が大きい場合には特に注意が必要です。
各相続人が自分の利益を主張し、話がまとまらないのです。
ヒートアップすると、自分の主張をとにかく通すために感情的になってしまうケースも多くあります。
この様なときには、それぞれの主張を整理して法律的な根拠をもって対応することが必用です。
素人同士が話し合いを続けてもらちが明かない場合に、弁護士が登場すると話がまとまることが多くあります。
また、話し合いのメンバーの中に弁護士がいると、それぞれが根拠のない主張を自粛するという効果もあります。
複雑な法律にも確実に対応できる
遺産相続を進めて行くと重要な意思決定を行わなければならない局面があります。
例えば、相続財産の調査をした結果、負債の方が多く正味の財産がマイナスになってしまうような場合です。
この様なときには、相続放棄を検討することになります。
この時、相続財産の調査結果は適当なのかどうか、金額の評価が間違っていて実際にはプラスの財産ではないか、ということについて一般の人には判断がつきません。
相続財産の内容が現金預金と借入金だけである場合のように簡単なものである場合には判断を誤る可能性は低いです。
反対に、相続財産の中に不動産が入っている場合など評価すること自体が難しいこともあります。
この様な内容を一般の人が理解するのは難しいことです。
遺産相続においては、複雑で高度な法律知識が要求されることが多くあります。
この様なときには、後悔しないためにも弁護士に相談した方が安心です。
専門家として評価内容を検討してくれます。
財産の評価額だけでなく、限定承認との比較や、そもそも相続放棄をした方がいいのかについてもアドバイスを得ることができます。
複雑で面倒な手続きを代行できる
相続に関する登記や、遺言書・遺産分割協議書の作成代理など、各種複雑で面倒な手続きを依頼することができます。
費用の問題や専門分野の問題で弁護士が直接代行できない場合には、行政書士や司法書士といった他の専門家を紹介してもらうこともできます。
相続が発生すると、親族が亡くなった悲しみの中で、葬儀や各種契約の変更など、考えなくてはならないことがたくさんあります。
他の面倒な手続きにさく時間も心のゆとりもないことが多くあります。
この様なときに、手続きを代行してくれる専門家がいることは非常に大きなメリットです。
豊富な経験に基づき知らないことによる損を防止
法定相続人には「遺留分」があります。
仮に、亡くなった方がすべての財産を特定の人に相続させる内容の遺言を残したとしても、遺留分の減殺請求をかけることができます。
これは、相続人の権利になります。
その手続きや期限を知らないと、非常に大きな不利益を被る可能性があります。
気づいた時にはすでに手遅れなどということもあるでしょう。
しかも、被相続人に離婚経験がある場合や、内縁の妻とその子がいるような場合、相続人がすでに亡くなっているような場合には、遺留分の考え方が非常に複雑になります。
自分に遺留分があることに気が付かないというケースもあるでしょう。
また、例えば生前に功労のあった他の兄弟に遺産を譲る場合に、単に、他の兄弟に任せて遺産分割協議に参加しないだけで済ませてしまうことがあります。
これは相続放棄とは全く意味合いの異なる内容です。
この場合には、あとからマイナスの遺産が出てきたときについて、その義務を免れることができません。
相続放棄と、他の人に遺産を譲り話し合いを単純に放棄することは全く異なるのです。
マイナスの財産も含めて一切を放棄するためには、しかるべき手続きを取る必要があるのです。
このように、知らないことによって不利な結果にならないよう、依頼者の立場に立って相談に乗ってくれるのが弁護士です。
豊富な解決策をもって親族とも関係円満に
仮に相続でもめてしまった場合、相手は親族です。
とても親しい間柄であった親族同士が、相続でもめてしまい、その後の関係が悪化するケースが多くあります。
相続が終わっても親族としての付き合いは一生続くのですから、関係円満に相続を終えたいものです。
腕のいい弁護士は、問題が発生した時の解決策を多く持っているものです。
依頼人の利益を最大化することが仕事です。
より金額の大きい遺産を依頼人が相続することももちろん依頼人の利益になりますが、関係が円満なまま相続を終了することも非常に大きな利益と考えることができます。
相続人同士でもめてしまった場合には、再度内容を吟味して、みなが納得しやすい内容をアドバイスしてくれることでしょう。
専門家としての経験を生かして、素人同士の話し合いでは決して出ることの無いような解決策が出るかもしれません。
相続には随時新しい問題が発生している
弁護士のもっとも重要な業務の一つに、訴訟の代理があります。
実際の裁判においては、日々新しい問題や争い事が発生し、新しい判例が出ています。
相続の分野においても、多くの争い事があります。
また、相続に関する民法や相続税法の改正も毎年のように行われています。
これら新しい改正を素人が自分でアップデートすることは不可能です。
弁護士の中にも専門性があります。
相続の得意な弁護士とそうでない弁護士がいることは事実です。
相続を得意として日々実務に携わっている弁護士でないと、最新の改正を漏れなくアップデートするのは至難の業です。
こんな時は弁護士に相談を
相続税について悩みを抱える人は多くいます。
実際に相続が発生するまでは、わざわざ実際に弁護士に相談する人は少ないです。
思い切って、弁護士に相談することによって、疑問が晴れる上に、前もって対策をとれるかもしれません。
ここでは、相続について発生しがちな悩みを紹介します。
相続税の概算を知りたい
自分の相続について、相続税のだいたいの金額を知りたいという人は多くいます。
この様なときには、大まかな財産の内容をヒアリングして概算税額を算出します。
財産の種類や内容によっては詳細な調査を要するものもあり、追加で料金が発生することがあります。
いったいどんな財産があるのか正確にわからない
被相続人も正確に自分の財産を把握しきれていない場合があります。
弁護士には職業上必要な範囲で役所から各種書類を取得できる権限があります。
この様な権限を生かして、相続財産を調査することができます。
この調査を行うことによって、相続の場面になって思わぬ財産が出てきてあわてるといったことを予防できます。
また、現金や預貯金など誰が数えても一定の金額になるものと、不動産や有価証券などのように評価があいまいなものがあります。
特に中小企業の株券などは相場があってないようなものです。
この様なものについては、相続税法上の基準で一体いくらの金額になるのかを調査します。
財産を調査することによって、正確な相続税の予定額を計算することができる上に、事前に遺産分割についての計画を立てることができます。
相続放棄の検討
被相続人に多額の借金があることが判明し相続放棄をした方が良いか迷っている人には、現況においてどちらが有利なのかを検討します。
たとえマイナスになったとしても、引き継ぎたい内容の財産がある場合もあります。
この様なときに、依頼者の立場に立って本当に相続放棄を行うべきなのかどうかを一緒に考えます。
相続放棄については、例えば借金があるために、先祖代々の墓を引き継げないという誤解をしている場合もあります。
実は、祭祀財産として墓地や墓石仏壇仏具については、祭祀承継者に承継されることになるので心配ありません。
このように、弁護士に相談することによって誤解に気づき、思わぬところで問題が解決するかもしれません。
分配のトラブルや相続税の資金計画の相談
相続財産が一区画の土地しかない場合、一見すると複数人に配分することが難しいような気がします。
この様なときにも、複数の相続人同士で円満に財産を分配する方法を検討します。
土地などの財産を相続し、一切の現金を相続しなかった場合についても、土地の評価額に応じて相続税を納税する必要があります。
この時には納税資金の用意が問題になります。
また、生前夫と住んでいた自宅を唯一の財産として相続した場合についても同様の問題があります。
納税するために、自宅を手放してしまっては元も子もありません。
この様なときにも、資金計画を一緒に検討します。
賃貸用不動産の相続ついての疑問は非常に多い
賃貸物件の相続については特に悩みが多く聞かれます。
不動産の相続税上の評価については、その建物が事業用なのか賃貸用の物件なのか、人が住んでいるのか空き家なのか、土地であれば、土地の上に建物が建っているかどうかにより評価額が大きく異なります。
また、賃貸物件から生じた家賃収入そのものが相続財産となるのかと疑問に思っている人も多くいます。
賃貸用不動産の相続については、特に疑問が多い内容ですので、依頼者の状況に照らし合わせて丁寧に解説してくれます。
まとめ
以上のように、ひとたび相続が発生すると法律の専門家である弁護士が活躍する場面は多くあります。
相続については様々な局面で高度な法律知識をもって対処しなければならない問題が多くあるからです。
また、相続が発生する前の漠然とした不安についても専門家の立場から相談に乗ってくれるのが弁護士です。
相続で後悔しないためにも、一度弁護士へ相談することをお勧めいたします。