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遺産分割協議を円滑に進めるために気をつける7つの注意点

監修者:川﨑 公司 (弁護士)

相続というものは大多数の人が経験するであろうライフイベントの1つです。

身近に起こる相続の問題に対して、「我が家はお金持ちじゃないから問題なんて起きないよ」、「家族みんな仲が良いから喧嘩なんてあり得ない」、「そもそも法定相続分で分ければ問題ないのでは?」など、他人事のように安易に考えてしまいがちです。

しかし、実際問題は相続が発生してから遺産分割協議を進めて遺産を分け終わるまでに、時間的労力が必要なのは勿論、それに附随して様々な問題から相続人同士の争いに発展する例は少なくないのです。

家族の絆に亀裂が入らないよう、事前に抑えておくポイントがありますので紹介していきたいと思います。


遺産分割協議をする上での根本的な問題

「話し合いをする時間や場所がない」この一言に尽きます。

現代の生活では核家族化が進み、家族内でも遠方住まいのケースや、職場勤めで時間的都合がつけられず、日程調整など大変です。日程が決まったとしても果たしてその1回だけで全て話がまとまるものでもありません。ですので、そういった事前の予知による下準備も重要になってきます。

遺産分割協議に慣れている方でも手間が掛かりますので、はじめて参加する方、進行する方などは大変かも知れません。お互いが貴重な時間と労力を惜しんで協議するわけですから、お互いの歩み寄りも必要になってきます。

遺産分割協議を円滑に進めるための注意点

実際に協議をしていくうえでの注意点はどういったものがあるか?以下にポイントをまとめましたので参考にしてみて下さい。

全相続人をしっかりと調べること

相続人を確定させることは遺産分割協議を行ううえでの大前提となる部分です。後から、実は○○も相続人だった・・・となると遺産分割は無効となります。(民法909条)

遺産分割が無効となれば、再度の遺産分割協議が必要になってくる為、このポイントは必ず押さえておかなければなりません。後々の紛争の火種にもなりかねます。

故人が残した遺産を確定させること

分割する遺産の内容を確認します。現金や不動産などプラスの財産だけではなく、借金などマイナスの財産もすべて洗い出します。また、相続財産目録を作成するとよりスムーズに進行が出来る為、協議が円滑に進みます。

「誰が」「どの遺産」を取得するのかを明確にする

遺産分割協議書を作成する際に、不特定なことがあると相続登記が出来なくなる場合があります。不備の無いように以下のように作成しましょう。

「誰が」
氏名を特定しますのでさほど問題にはなりません。
「どの遺産」
不動産:登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されている情報
土地:所在、地番、地目、地積。建物の場合は、所在、地番、種類、構造、床面積
預金:金融機関、支店名、口座番号
株式等の有価証券:銘柄等で特定
自動車:登録番号、車名、形式、車台番号等(車検証に記載されている情報)
宝石や貴金属:品名、製造者、型番、素材、サイズ、色等

借金については相続人全員の負担であること

借金などの債務は遺産分割の対象にならず、それぞれの法定相続分にしたがって、相続人が負担することになります。よって、協議の際にはしっかりその旨を周知すると良いでしょう。

相続人の間で債務の割合を決めることは可能ですが、第三者(貸主)には主張が出来ない点においては注意が必要です。協議内で定めた相続人間の負担割合は相続人間だけで有効となります。

遺産分割後に新たに相続財産が発見された場合による対処方法の記載

遺産分割協議時に判明していなかった遺産が、分割後になって発見されるケースがあります。その際にどうするのかをあらかじめ決めておけば、後日の紛争を回避する事ができます。具体的には、「本協議書に記載のない遺産及び後日遺産が発見された場合は、当該遺産について相続人間で改めて協議し、分割を行うものとする。」と記載します。(もしくは、特定の相続人に相続させる旨を記載しても構いません。)

相続人全員の署名・押印

署名(直筆)ではなく記名(ワープロ打ちなど)でも無効とはなりませんが、署名の方が良いでしょう。また押印は、実印を使います。とくに不動産の名義変更、銀行の口座の引継ぎ手続では、実印でないと手続ができないことがあります。

専門家に依頼することも視野に

相続人だけで協議を進めようとしている方にも、相続のプロに一任するということは視野に入れておいても良いかも知れません。第三者の専門家を挟むことによって、互いの意見を取り交わしし易くなるほか、後の紛争防止の意味合いでもその効果は大きいものです。時間的にも余裕が出来ますし、不備がなくスムーズな協議を行えるでしょう。

それでも遺産分割協議がまとまらない場合

人それぞれ価値観や考え方が違うこともあり、上記のポイントを踏まえたうえで話し合ったとしても遺産分割協議が難航する場合があります。そんなときは裁判所に遺産分割調停を申し立てることも視野に入れなければならないでしょう。

協議成立後の注意点

遺産分割協議の成立後は、原則として再度の遺産分割協議は出来ません。一度決まった相続財産の内容をいつでも変えられてしまうとなると、法的な安定性に欠ける為です。

ただし、無効、取り消しの原因となる正当な理由があれば、一部または全部をやり直すことができます。

最後に

遺産分割協議というのは「人」と「人」とで行うものです。

法定相続分だからきっちり法律に従って財産を分けよう、など頑なな感情を持たずに、「完璧な平等はありえない」と相続人全員が知ったうえで、相続人それぞれの実情に合わせて柔軟に話し合って決めることが大切です。

この記事の監修者

川﨑 公司 (弁護士)

相続サポートセンター運営協力/弁護士法人ベンチャーサポート法律事務所 (https://sozoku-lawyer.com/office/)所属弁護士。
新潟県出身。
相続問題は複雑なケースが多く、状況を慎重にお聞きし、相続人様のご要望の実現、 相続人様に合ったよりよい解決法をアドバイスさせていただくようにしています。

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