土地を相続したら、小規模宅地等の特例で大幅評価減!

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相続税のそもそもの趣旨は「富を再分配する」ということですが、それが行き過ぎた形になっては本末転倒となります。たとえば、相続税の負担が重すぎて納税のために自宅や経営している事業所を売り払うようなことになってはならないため、そのような土地については特別の措置が設けられています。では具体的にどのようなものなのか見てみましょう。

土地の基本的な評価方法

基本的に、相続税において、税計算に使う土地の価格をどのように決めているのでしょうか。土地の評価方法で使われているのは「路線価方式」と「倍率方式」という2種類になります。「路線価方式」は市街地にある宅地の評価に使う方法です。その宅地が面している道路に価格がつけられており、それを基準として土地の形状などで補正しながら評価額を計算するやり方です。一方の「倍率方式」はその宅地の固定資産税評価額に一定の倍率をかけて評価額を計算する方法です。倍率については国税局が毎年見直しをしており、「倍率表」というものが作られています。路線価図および倍率表はいずれも税務署で閲覧できるほか、国税庁のホームページでも見ることができます。
そして、自用地(自分で使っている土地)はそのままの価格となりますが、借りている土地や貸している土地は自用地の評価額から一定の割合を控除することになっています。

小規模宅地の特例とは

小規模宅地等の特例は、被相続人(亡くなった人)の自宅や店舗、事務所など、事業用に使っていた宅地につき大幅に評価額を下げてもらえる措置のことです。不動産の評価額を下げることにより、結果として算出される税額も下がることになります。
具体的には、「居住用」「事業用」の宅地に関しては80%引き、「事業用」として他人に貸し付ける土地に関しては50%引きということになっています。いずれも取得者の要件や面積の上限がありますが、これを最大限に生かせば大幅な節税が可能になるのです。
通常、相続税対策というのは相続が開始する前に時間をかけて行うことが多いのですが、小規模宅地等の特例は「相続開始してからでもできる数少ない相続税対策」として、使える要件を満たす人は有効に利用したいものです。

3種類の小規模宅地の特例

小規模宅地等の特例をあてはめることができる宅地には、大まかに分けて3種類のタイプがあります。
1つ目は「特定居住用宅地」といって、被相続人が住んでいた自宅の土地、被相続人と生計を一つにする親族が住んでいた宅地がこれにあたります。
相続した人が被相続人の配偶者であれば、何ら要件なしにこの特例の適用を受けることができます。他の親族でも受けられる場合がありますが、やや要件が厳しくなり「同居の親族」もしくは「同居でなければ被相続人に配偶者がおらず、相続人自身に過去3年、自分や配偶者名義の家がない」などの要件を満たさなければならないと定められています。
2つ目は「特定事業用宅地」といって、被相続人や生計を一つにする親族の事業に使われていた宅地のことです。被相続人がオーナーになっている会社などが使っていた宅地であっても、「特定同族会社事業用宅地」として特例の対象になります。
3つ目は「貸付事業用宅地」といって、被相続人や生計を一つにする親族が貸付事業に使っていた宅地のことです。
では、それぞれの具体的な要件等を見てみましょう。

小規模宅地の特例の要件と減額割合

まず「特定居住用宅地」ですが、これは「被相続人が住んでいた宅地」または「被相続人と生計を一つにする親族が住んでいた宅地」であり、取得者が「被相続人の配偶者」「同居している親族であり、申告期限まで引き続き住み、その宅地を申告期限まで所有している」「同居していない親族の場合は被相続人に配偶者がいないこと、そして相続開始前3年以内に自分やその配偶者名義の家に住んでおらず、その宅地を申告期限まで所有していること」のどれかを満たすことが必要です。「特定居住用宅地」については330平方メートルまで、80%の評価減を受けることができます。
次に「特定事業用宅地」ですが、これは「被相続人の事業用の宅地」または「被相続人と生計を一つにする親族の事業用宅地」であり、取得者が「事業を引き継いだ親族で、申告期限までその宅地を所有し、事業を営んでいること」という要件を満たすことが必要です。「特定事業用宅地」については、400平方メートルまで、80%の評価減を受けることができます。
最後に「貸付事業用宅地」ですが、これは「被相続人の貸付事業用の宅地」であって取得者が「被相続人の貸付事業を引き継ぎいだ親族であって、相続税の申告期限までその貸付事業を行っており、相続税の申告期限までその宅地を所有している」または「被相続人と生計を一つにする親族の貸付事業用の宅地」であって取得者が「事業を行う親族が相続開始の直前から相続税の申告期限までその宅地で貸付事業を行い、相続税の申告期限まで所有している」という要件を満たすことが必要です。「貸付事業用宅地」については200平方メートルまで、50%の評価減を受けることができます。
小規模宅地等の特例にあてはめると相続税がゼロになるという場合でも、特例の適用を受ける旨の相続税の申告書は税務署に出さなければならないことに注意が必要です。何もしないでいると「無申告」の扱いを受けてしまうため忘れずに申告しましょう。

小規模宅地の特例の具体的な計算例

たとえば、330平方メートルを超えない、被相続人と配偶者が住んでいた土地(もともとの相続税評価額1億円)について考えてみましょう。もし小規模宅地等の特例を使わなければこの土地はそのまま「1億円」の評価になるわけですが誰が相続するかによって評価額は大きく変わります。配偶者が相続した場合であれば上記のように「無条件に小規模宅地等の特例が使える」わけですから、評価額は全体に対して80%減となり「2000万円」ということになります。しかし別居していて自分の家を持っている子供が相続すればまったく小規模宅地等の特例は使えないことになります。もし、配偶者と別居の子供が2分の1ずつ取得したとすれば5000万円分についてのみ80%減が使えることになりますから、1000万円(配偶者取得分につき5000万円の80%引き)+5000万円(子供取得分につき評価そのまま)=6000万円で評価することになるのです。
これがもし400平方メートル(要件となる上限面積330平方メートルを超えている)、評価1億円の物件であり配偶者がすべて相続した場合は、330平方メートルについては80%の評価減を受けられますので1650万円(330平方メートルの部分にあたる評価額8250万円につき80%引き)+1750万円(残り70平方メートルにつきそのままの評価額)=3400万円ということになります。同様に配偶者と別居の子供が2分の1ずつ取得したとすれば825万円(330平方メートルのうち配偶者取得分につき80%減)+4125万円(330平方メートルのうち子供取得分につきそのままの評価額)+1750万円(残り70平方メートルにつきそのままの評価額)=6700万円で評価することになるのです。

このように、配偶者等に取得させることによって大幅に土地の評価を減らし、相続税の優遇を受けられるのが小規模宅地等の特例の特徴です。ただし、その配偶者が死亡した際の相続(二次相続)においてかかる相続税が莫大になるかも知れないことを予測した上で使わなければならないというのがこの特例最大の注意点です。配偶者がもともと持っていた財産も加味した上で、どこまで配偶者に取得させるのが得策なのかを税理士に相談の上、2回の相続をトータルで見ていくことが大切なのです。

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