相続の手続きをわかりやすく解説!

このページは、複雑で分かりづらい相続にまつわる手続きについて、
できる限りわかりやすく解説する事を目的に作られたものです。

目次

  1. 相続の手続きをわかりやすく解説!
    1. 目次
  2. 遺産相続手続の流れ
  3. ミスできない大事な相続手続き
    1. 死亡届の提出
    2. 死亡届と死亡診断書
      1. 死亡届に必須事項を記入し押印する
      2. 死亡診断書は医師に記入してもらう
    3. 死後7日以内に死亡届の提出を!
    4. 埋葬までの大まかな流れ
      1. 死亡届・死亡診断書・火葬許可申請書
      2. 届出ができる役所
      3. 火葬許可証 交付を受けないと火葬不可
      4. 火葬許可証・埋葬許可証 寺院・墓地に提出
      5. 死亡届・死亡診断書・火葬許可申請書を役所に提出する
    5. 記入事項
      1. 葬儀社を手配した場合、代行してもらえることが多い
    6. 死亡届は相続にとっても重要な手続き
    7. 初七日法要
    8. 最初の1週間でやること・まとめ
      1. 死亡診断書
    9. 年金受給停止の手続き
      1. 年金受給停止手続
    10. 介護保険の資格喪失届
      1. 介護保険資格喪失届け
    11. 住民票の抹消届
      1. 住民票の除票の申請
    12. 世帯主の変更届
    13. 遺言書の調査・検認
      1. 遺言書検認手続の流れ
    14. 相続人の確定
      1. 相続の際の戸籍の収集の仕方
    15. 故人の財産調査
      1. 相続財産調査の方法
  4. 財産目録をつくろう!
    1. 財産目録をつくる理由
      1. 無用なトラブルを避けられる財産目録
      2. 財産目録 見本
    2. 専門家からのアドバイス
    3. まとめ
  5. 銀行預金はどうやって調べる?
    1. 銀行の預金口座の見つけ方
      1. 銀行口座を探すヒントは自宅の中にたくさん!
    2. ネット銀行の口座の調べ方
    3. 銀行での手続き方法
    4. 専門家からのアドバイス
    5. まとめ
  6. 家や土地の価格はどこで調べるの?
    1. 故人所有の建物や土地の調べ方
      1. まずは所有の建物や土地を探すのが肝心
    2. 家や土地の評価方法
    3. 2つある土地の評価方法
      1. 路線価方法
      2. 倍率方式
    4. 専門家からのアドバイス
    5. まとめ
  7. 株や投資信託があったらどうするの?
    1. 株や投資信託などの金融商品の調べ方
      1. 証券会社や信託銀行などの口座の有無がポイント
    2. 株や投資信託などがある場合の手順
    3. 専門家からのアドバイス
    4. まとめ
  8. 負債があったらどうなるの?
    1. 相続財産とは
    2. 負債分はプラスのざいさんから差し引いて計算
    3. 相続の対象となる財産とは
      1. プラスの財産
      2. マイナスの財産
      3. みなし相続財産
      4. 非課税財産
      5. 贈与財産
    4. 専門家からのアドバイス
    5. まとめ
  9. 遺産分割協議の開始
    1. 相続放棄または限定承認
  10. 遺産分割に向けた具体的な対応方法について
    1. 相続人となる遺族に連絡する
      1. 1 スケジュールについての意識共有
      2. 2 金銭出納の記録や財産目録の作成
      3. 3 法律上は兄弟間に優先順位はないことを知っておく
      4. 4 故人の生前に同居していた人への配慮を持つ
    2. 相続放棄または限定承認
      1. 相続の3つの選択肢
    3. 故人の所得税の申告(準確定申告)
      1. 準確定申告の申告期限
    4. 遺産分割協議書の作成
    5. 不動産の名義変更登記
      1. 相続登記の流れ
    6. 相続税の申告・納付
    7. 相続税の申告が必要な人とは?
      1. 相続財産額が多い
      2. 相続財産額が少ない
      3. 相続税の申告期限
    8. 手続きや話し合いのため早めに動くのが賢明
    9. 申告前に知っておこう!遺産分割協議書の書き方
      1. ポイント1
      2. ポイント2
      3. ポイント3
      4. ポイント4
      5. ポイント5
    10. 遺産分割協議は相続人全員が揃わなくても可能
  11. 相続税申告に関わる一般的なスケジュール
    1. 被相続人の死亡(相続開始)
    2. 3ヶ月以内相続放棄 or 限定承認
      1. 単純承認 …
      2. 限定承認 …
      3. 相続放棄 …
    3. 4ヶ月以内被相続人の準確定申告
    4. 相続人の青色申告の届出
    5. 10ヶ月以内遺産の名義変更
    6. 相続税の申告と納付
    7. 2年以内税務調査
    8. 遺留分減殺請求
  12. 相続財産の名義書き換えはいつするの?
    1. 名義変更が必要な主なものリスト
    2. 相続財産が確立したら早めに取り掛かるのが正解
    3. 相続税の特別な納付方法の「延納」と「物納」
    4. 知っておきたい延納と物納
    5. 延納、物納は最終手段と考えよう
    6. 葬祭費、埋葬料、高額医療費、生命保険の請求
      1. 葬祭費(国民健康保険加入の場合)
      2. 葬祭費(健康保険加入の場合)
      3. 葬祭費(国家公務員共済組合の組合員の場合)
      4. 埋葬費
    7. 遺族年金の受給申請
    8. 相続手続きを専門家に依頼する際の注意点と選び方
    9. 法律知識であなたの財産を守る
      1. 専門家の選びかた
      2. 税理士・弁護士を選ぶ基準

まずは親族が亡くなられて、何から進めていけばよいか見てみましょう


遺産相続手続の流れ

ご葬儀の後、悲しむヒマもなく淡々と手続きを進めて行かなければ、すべてを期日内に終わらせることができなくなります。期日の近いものから整理して順番に進めていきましょう。

ご臨終より 手続き
7日以内 ・死亡届の提出
14日以内 ・年金受給停止の手続き
・介護保険の資格喪失届
・住民票の抹消届
・世帯主の変更届
なるべく早く ・遺言書の調査
・相続人の確定
・故人の財産調査
・遺産分割協議の開始
3ヶ月以内 ・相続放棄または限定承認
4ヶ月以内 ・故人の所得税の確定申告
速やかに ・遺産分割協議書の作成
・不動産の名義変更登記
10ヶ月以内 ・相続税の申告
・納付
1年以内 ・遺留分減殺請求
2年以内 ・葬祭費
・埋葬料の請求
・高額医療費の請求
・生命保険金の請求
5年以内 ・遺族年金の受給申請

ミスできない大事な相続手続き

相続の手続きのなかには、法律で期限が厳しく定められていて、
失敗すると親の借金を引き継いでしまったり、もらえるはずのお金を失なったり、大損することも珍しくありません。
それぞれの手続きについてみていきましょう!

死亡届の提出

その後の手続きに必要となる死亡診断書を、病院から発行してもらう必要があります。死亡診断書は人の死亡に関する医学的・法律的証明になりますので、実際に死亡しているにも関わらず、死亡診断書が無ければ死亡の証明ができなくなり、火葬・埋葬ができないだけでなく、公共料金の支払い、年金受給、税負担が発生するなど混乱を招くことになってしまいます。
死亡診断書は、その後の手続に必要となる場合があるため、コピーをとっておくことをお勧めします。

死亡届と死亡診断書

死亡届に必須事項を記入し押印する

死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡診断書と一緒に届出なければいけない死亡届。内容は、死亡者の名前・性別・生年月日、死亡時刻と死亡場所、死亡者の住所と本籍、配偶者の有無、届出人の住所と本籍と氏名、生年月日などを記載する

死亡診断書は医師に記入してもらう

死亡を確認した医師が、その証明書として発行する「死亡診断書」。医師以外は法的に作れない書類で、基本的に亡くなったらすぐに書いてくれる。死亡診断書の発行は有料で、自由診療扱いのため、明確な料金は決まっていないが、相場は5000円程度

死後7日以内に死亡届の提出を!

家族を亡くした悲しみの中、葬儀(通夜・告別式)、初七日法要など、最初の1週間でやることは多いもの。その中でも忘れてはいけないのが死亡届の提出です。これは記載された人が死亡したことを証明する書類で、死後7日以内に死亡者の死亡地か本籍地、または届出人の所在地の役所に提出します。死亡届は市区町村役場や病院等に備えられており、上記のように左側が死亡届、右側が死亡診断書になっています。死亡診断書は死亡を確認した医師に記入してもらいましょう。死亡届の届出人になれるのは、親族、同居人、家主、地主、家屋管理人、土地管理人、後見人などの関係がある人です。死亡届が受理されると、代わりに火葬(または埋葬)許可証が発行されます。これがないと火葬(または埋葬)できないので、忘れずに必ず受け取りましょう。

埋葬までの大まかな流れ

死亡届・死亡診断書・火葬許可申請書

必ず死亡から7日以内に提出!
↓提出

届出ができる役所

・死亡地
・死亡者の本籍地
・届出人の住所地
死亡者の住所地では受付ないことに注意!
↓交付

火葬許可証 交付を受けないと火葬不可

↓火葬後

火葬許可証・埋葬許可証 寺院・墓地に提出

死亡届・死亡診断書・火葬許可申請書を役所に提出する

まず、死亡を確認した医師から死亡診断書を受け取り、市区町村の役所に死亡届と一緒に提出する。死亡届の届出人は、親族、同居人、家主、地主、家屋管理人、土地管理人、後見人、保佐人、補助人、任意後見人のいずれか。死亡届を提出する際、火葬許可申請書も忘れずに提出し、火葬許可書を受け取りましょう

記入事項

・届出人の住所・本籍地
・死亡届と届出人の続柄
・届出人の氏名・生年月日・押印
・死亡者の住所と本籍地
・死亡者の氏名・性別・生年月日
・死亡時刻・死亡場所
・火葬場所と火葬日時など

葬儀社を手配した場合、代行してもらえることが多い

葬儀の連絡など、いろいろな手配がある中、絶対に必要なこれらの手続き。しかし、多くの葬儀社では、以上の手続きを代行してくれることがほとんど。プロに任せたほうが、間違いがなく安心なので、代行を依頼したほうが賢明

死亡届は相続にとっても重要な手続き

死亡届の提出によって戸籍や住民票に亡くなられた事実が反映されます。戸籍には除籍の記載、または亡くなられた方が戸籍に記載されている最後の方ならその戸籍は除籍簿に移ります。すべての相続手続きには被相続人が亡くなられた事実を証する書面として、これらの記載がある戸籍謄本が使用されます。たとえば不動産の相続登記や銀行の相続による名義変更には、被相続人の除籍の記載のある戸籍謄本または除籍謄本が必要となります。また、死亡届の提出がないと、火葬や埋葬の許可が下りません。提出期限は死亡から7日以内ですが、もしも届出が遅れると5万円以下の過料を徴収されるので気をつけましょう。

初七日法要

仏教による法要を行う場合、故人が亡くなった日から数えて7日目に初七日法要を行うのが一般的です。
(ただし、近年では葬儀の当日に初七日法要を兼ねた法要を行うケースも多くなっています)

最初の1週間でやること・まとめ

死亡から7日以内に死亡届を役所に提出
死体火葬許可証の交付を受けて火葬を


死亡診断書

入手場所 病院
提出先 死亡した地域もしくは本籍地の市区町村役場
合わせて必要なもの 死亡届(死亡診断書と同じ用紙)・印鑑
料金 平均5000円程度(病院によって金額は大きく違う)
備考 事故や変死などの場合は死体検案書が必要

年金受給停止の手続き

亡くなった方が年金受給者であれば、厚生年金は死亡後10日以内、国民年金であれば死亡後14日以内に受給停止手続を住民票の住所地の管轄の社会保険事務所で手続を行わなければなりません。手続に必要なものとしては、年金証書、死亡診断書、戸籍謄本等が必要となります。

もし、年金手帳が見つからない場合には社会保険事務所に紛失届、紛失事由書が必要になってきます。

また、年金の支払いが一部未払いになっている場合もあります。これは年金の支払いが2ヶ月ごとなので、その前の受給から死亡するまでの年金が未払いになる場合が発生した場合です。
未払い年金が有る場合には同時に、給付の請求も行いましょう。

年金受給停止手続

手続の場所 社会保険事務所
申請期間 厚生年金-死亡後10日以内
国民年金―死亡後14日以内
持参する書類 1 年金証書
2 死亡診断書又は埋葬許可書
3 戸籍謄本もしくは除籍謄本
4 故人と年金請求者の住民票写し
備考 未払い年金が有る場合には給付請求も行う。

介護保険の資格喪失届

介護保険の被保険者が亡くなった場合には、介護保険の資格喪失届けを市区町村に提出しなければならなく、要介護認定を受けていた方が死亡した場合には、14日以内に介護被保険者証も返還する必要があります。
また、65歳以上の人が死亡した場合、未納保険料が有る場合には相続人に請求され、反対に納めすぎの場合には相続人に還付されます。必要書類は介護保険の資格喪失届、介護被保険者証が必要になります。

介護保険資格喪失届け

手続の場所 市区町村
必要書類 介護保険の資格喪失届
介護保険被保険者証
※還付金が発生する場合には保険料過誤状況届出書が必要になります。

住民票の抹消届

住民票から抹消する手続きを行ないます。
ただし、死亡届の提出により自動的に処理されますので、特に手続きは不要です。故人が世帯主であった場合のみ、世帯主変更届の提出が必要となりますのでご注意ください。その住民登録が抹消された住民票を住民票の除票と呼びます。住民票の除票は、不動産登記や相続税申告に必要になるため取得する必要があります。取得は死亡した人が住んでいた市区町村に故人の住民基本台帳カード、届出人の身分証明書を持参して申請する必要があります。

対象者:故人と同居していた親族、または同居してなかった親族等
期日:死亡後すみやかに
必要書類:・故人の住民基本台帳カード
     ・届出人の身分証明書

住民票の除票の申請

申請先 死亡した人が住んでいた市区町村
期日 死亡後すみやかに
合わせて必要なもの 故人の住民基本台帳カード、届出人の身分証明書
備考 住民票は死亡届の提出により自動的に処理され抹消

世帯主の変更届

現在の世帯主から現在の世帯員の誰かに世帯主を変更する手続です。
残された世帯員が一人の場合、もしくは残された世帯員が15歳未満の子供とその親権者の2人の場合には、世帯主変更の届出が必要ありません。
それ以外の場合には、世帯主である故人が亡くなった日から14日以内に世帯主変更の手続が必要になります。手続は、本人確認できるものを持参して世帯主変更届けを記載して提出します。

遺言書の調査・検認

遺言書が見つかった場合、遺産の分割割合が故人によって指定されることがあります。
遺言書を見つけられなかったり、勝手に開封したりすると、もらえるはずの財産がもらえなくなったりもします。
遺言書を見つけたら、裁判所に検認申し立て(遺言書のその時の形状や状態を確認してもらう手続)をする必要があります。この検認申し立てをし、相続人全員が検認期日に裁判所に集まり、検認手続が済めば遺言書に「検認済み」の表示がされ、初めて遺言書の開封をすることができます。
ただし、公正証書遺言の場合には、既に公証人役場にて認証してもらっている遺言ですから、証拠能力は十分であり、検認の手続は必要ありません。

遺言書検認手続の流れ

遺言書検認手続の流れ

詳細:遺言書の調査・検認について

相続人の確定

遺言が無い場合には、相続人の調査が必要になってきます。故人の法定相続人となる人を、出生から死亡までの途切れのない戸籍を取ることで確定させます。実は前妻との間に子供がいたり、認知している子供がいたりすることもあるかもしれません。
この作業をおろそかにして遺産分割を進めても、すべてやり直しになってしまう可能性があります。
戸籍謄本を取得する際には、本籍地の市区町村役場において、謄本類の取得申請をする必要があります。遠方の市区町村役場の場合には郵送でも取り寄せができますが、被相続人が転籍を繰り返していると全ての市区町村役場に取り寄せが必要になり、漏れが出ないよう慎重に進めるか、専門家に取得代行を依頼していく必要が出てきます。

相続の際の戸籍の収集の仕方

相続の際の戸籍の収集の仕方

詳細:相続人の確定について

故人の財産調査

故人が有していた財産や、借金などの債務を調べていきます。
遺産分割協議の前提として、全ての相続財産を明らかにしていく必要があります。
故人の相続財産の具体的な方法としては、被相続人の自宅に届いている郵便物等を調べるのが早いです。金融機関、役所などから届いている郵便物から、被相続人名義の預貯金、証券口座、更には金融機関からの借入金を把握することができます。また固定資産税の納税通知書(課税明細書)から被相続人名義の不動産を把握することができます。

もし、相続財産で被相続人に債務があることを把握した際には、すぐに相続放棄や限定承認を検討していくとよいでしょう。

相続財産調査の方法

財産の種類 調査方法
不動産(土地・建物) 登記簿謄本、固定資産納税通知書、権利書(登記識別情報通知、登記済証)
借地権、借家権 登記簿謄本、賃貸借契約書、不動産業者への問い合わせ
貯金、現金 自宅金庫、通帳、カード、銀行の残高証明
生命保険金 保険証券、保険会社への問合せ
株式、その他有価証券 証券会社から送付される通知書、証券会社への問合せ、金庫等
ゴルフ会員権 金庫等
宝石、骨董品 自宅、貸金庫、別荘等
自動車 車検証

財産目録をつくろう!

  1. 財産目録をつくる理由
    1. 無用なトラブルを避けられる財産目録
    2. 財産目録 見本
  2. 専門家からのアドバイス
  3. まとめ

財産目録をつくる理由

遺産分割協議の前提資料とするために

相続財産の内容が一目でわかる財産目録が遺産分割の話し合いの際にあれば、相続人間の協議もスムーズに進められ、円滑にまとまりやすい

相続税申告の要否、あるいは相続税の納付額を明確にするため

相続税の申告が必要となった場合、必ず相続財産の一覧表を作成する必要があるので、きちんとしたものをつくっておけば転記するだけで済む

無用なトラブルを避けられる財産目録

産目録とは、被相続人の相続財産がどれくらいあるのかを一覧にしたもの。遺言書がない場合、遺産の分割をするためには、相続人全員で話し合う遺産分割協議が必要です。その際に財産目録があれば、遺産が一目でわかり、隠し財産の有無など無用なトラブルを避けられます。また、相続税の申告が必要となった場合、必ず相続財産の一覧をつくる項目があるため、あらかじめきちんとした財産目録を作っておくことで手間が省けます。作成する際には、不動産や預貯金、その他の資産などのプラスの財産と負債などのマイナスの財産をしっかり調査し、評価額を算出。取得した固定資産評価証明書や残高証明書などを添付し、くれぐれも記載漏れがないようにしておきましょう。この財産目録には決まった書式はありません。左ページの見本を参考に準備しましょう。

財産目録 見本

専門家からのアドバイス

司法書士:田中千尋

財産目録の漏れには要注意!

最終的に遺産分割を確定させるためには、この財産目録もすべての遺産が漏れなく記載され、各相続財産の評価額もきちんと確定しておく必要があります。万が一、財産目録に記載している財産に漏れがあり、評価金額も途中で変更になってしまうと、決まるはずの遺産分割協議も決まりませんし、相続税の申告後に漏れが発覚すると、追加納税のほか、延滞税というペナルティも発生してしまうので注意が必要です。漏れがちな項目としては、家庭用財産、車、ゴルフ会員権等、未収となっている給与・地代・家賃・公租公課、被相続人のお金を原資とした子や孫の預金通帳、その他還付金等(高額療養費、介護保険、後期高齢者など)、海外財産などがあります。

まとめ

遺産分割協議の必須アイテムに

相続税の申告の際に必要にもなる

銀行預金はどうやって調べる?

  1. 銀行の預金口座の見つけ方
    1. 銀行口座を探すヒントは自宅の中にたくさん!
  2. ネット銀行の口座の調べ方
  3. 銀行での手続き方法
  4. 専門家からのアドバイス
  5. まとめ

銀行の預金口座の見つけ方

  • 1.遺品整理をして通帳キャッシュカードを見つける
  • 2.銀行名の入ったタオルや文房具などの粗品を手掛かりにする
  • 3.金融機関からの郵便物を見つける
  • 4.自宅や会社の近くにある各銀行に直接問い合わせる
  • 5.生前に確定申告をしている場合は、税理士のところに口座の書類が残っている場合もある

銀行口座を探すヒントは自宅の中にたくさん!

たとえ同居している親でも、どこの銀行で口座をつくっているか意外と知らないもの。まずは上記のポイントを参考に遺品整理を行って、通帳やキャッシュカードを見つけましょう。まったく手掛かりがない場合は、被相続人の自宅や職場の近くにある銀行に直接問い合わせてみるのも手です。銀行口座の入出金停止=凍結は、役所に死亡届を出したからといって自動的には行われません。実際は、「死亡したことを金融機関が知ったとき」に行われるので、遺族が各銀行に知らせて、凍結してもらい、預金残高証明書を発行してもらいましょう。一方、通帳がないネット銀行の場合、手掛かりを探すのも大変です。下記を参考に、パソコンや携帯電話のメールや履歴などをチェック。そして取引のあるネット銀行が見つかったら、カスタマーサービスに連絡して手続き方法を確認しましょう。

ネット銀行の口座の調べ方

  • 1.メールをチェック

    ネット銀行は郵便物でなく、メールで宣伝や取引の案内を送ってくるので、パソコンやスマートフォンのメールを確認してみよう

  • 2.パソコンをチェック

    ネット銀行はインターネット上で取引を行うため、口座のあるネット銀行のサイトが「ブックマーク」や「お気に入り」に登録されている場合も

  • 3.ネット銀行から配布されるトークンなどがないか確認。

    ネット銀行によっては、取引実行時に必要となるパスワードを生成機として「トークン」や「パスワードカード」を採用しているところも

  • 4.見つかっている銀行の記載をみる

    ネット銀行に入金するために、既存の口座から振り込みを行っている場合があるので、ネット銀行への振り込みがないか確認する

銀行での手続き方法

専門家からのアドバイス

行政書士:本間剛

被相続人の休眠口座に注意!

長い間、引き出しや預け入れなどの取引がされていない銀行預金口座のことを休眠口座といいます。最後の取引から、銀行では10年、ゆうちょ銀行では5年以上経ったもののうち、預金者本人と連絡のつかないものを指し、最終的に預金は銀行のものになってしまいます。一方、凍結とは、銀行が被相続人の死亡を知った時点で故人名義の口座が引き出しができないように凍結されることをいいます。通常は遺族が口座の入出金停止の手続きをし、その後、預金口座の名義変更または解約の手続きを行っていきますが、残高が少ない口座について、そのまま放置して休眠口座となることも少なくありません。休眠口座を作らないようによく探しましょう。

まとめ

最寄りの銀行に直接聞く方法もアリ

口座の凍結は自分で依頼する

家や土地の価格はどこで調べるの?

  1. 故人所有の建物や土地の調べ方
    1. まずは所有の建物や土地を探すのが肝心
  2. 家や土地の評価方法
  3. 2つある土地の評価方法
    1. 路線価方法
    2. 倍率方式
  4. 専門家からのアドバイス
  5. まとめ

故人所有の建物や土地の調べ方

  • 1.固定資産納税通知書を探す

    役所の資産税課などから、毎年郵送されてくる固定資産納税通知書には、その役所管内で故人が所有している不動産のほとんどが記載されている

  • 2.不動産の権利証登記資料を見つける

    重要書類なので、金庫などに大切に保管されている場合がほとんど

  • 3.名寄帳を取得する

    名寄帳とは、所有者ごとの不動産を一覧表にまとめたもの。故人が所有する不動産があると考えられる市区町村役所の資産税課に、相続人が必要書類を提出すれば取得できる

まずは所有の建物や土地を探すのが肝心

被相続人が所有していた家や土地を調べるために、一括して調査できる機関は残念ながらありません。各市区町村の役場では固定資産税を徴収するため、所有者ごとに不動産をまとめた一覧表=名寄帳があります。しかし、担当エリアのみなので、個人が所有していたと考えられるエリア分の役場ごとに申請しないと取得できません。そのためにも上記を参考に、自宅に不動産の権利証や登記資料などがないか探すことが重要です。不動産の建物価値は、被相続人が死亡した年の固定資産税評価額がそのまま評価額となります。土地については、国税庁によって定められている路線価がある地域では路線価方式、路線価がない地域では倍率方式で計算し、評価します。ただし、土地の形状や賃貸中の不動産などの場合、実際の計算は複雑になるため、専門家に相談するのがおすすめです。

家や土地の評価方法

財産の種類 評価の仕方
家屋 固定資産税評価額(3年に1度改定)×1.0=評価額
土地 市街地など→路線価方式:路線価×土地面積=評価額 郊外地など→倍率方式:固定資産税評価額×倍率=評価額

2つある土地の評価方法

路線価方法

路線とは道路のことで、路線に面する標準的な宅地の1㎡あたり1,000円単位の評価額が、国税庁によって定められている。路線価に土地の面積をかけて土地の価格を計算。路線価は、毎年7月ごろに国税庁が公表する路線価図で確認できる

倍率方式

路線価が定められていない地域の評価方法。土地の固定資産税評価額に一定の倍率をかけて計算。倍率は、国税庁が定める評価倍率表で確認する

国税庁のウェブサイトで、全国の路線価や評価倍率を確認することができる。土地の形状などによって、計算が少々複雑になる場合もあるので、専門家に相談すると安心

専門家からのアドバイス

税理士:古尾谷裕昭

土地の評価額=税額を下げる方法もあります

相続で節税対策するなら、土地の評価を下げることが効果的です。家屋の評価額は固定資産税の評価額になるため、あまり高くなりませんが、土地は立地条件などによっては高額な評価になることがあるからです。土地は路線価等を基準に評価していきますが、二路線以上に道路に接していれば価格が高くなります。反対に、減額要素としては、土地の形状がいびつ、間口が狭い、崖地、道路の中心から2m後退して建物を建てないといけないセットバックなどがあり、土地の状況によって評価額を下げることができます。税理士であっても土地の評価は難しい項目ですが、逆にどれだけ評価額を下げることができるかといった腕の見せ所でもあります。

まとめ

名寄帳で所有の不動産を確認する

土地の評価は路線価地域の評価が基本

株や投資信託があったらどうするの?

  1. 株や投資信託などの金融商品の調べ方
    1. 証券会社や信託銀行などの口座の有無がポイント
  2. 株や投資信託などがある場合の手順
  3. 専門家からのアドバイス
  4. まとめ

株や投資信託などの金融商品の調べ方

  • 1.口座を開設したときの控え書類を探す

    株の取引などをしている場合、証券会社や金融機関を通して行っているので、それらの口座を開設したときの控えの書類を大切に保管してあるはず

  • 2.四半期報告書を確認する

    四半期ごとに書類が交付される「四半期報告書」を確認しましょう。交付時期や内容は証券会社によって異なります

  • 3.通帳を確認する

    通帳記入して記載を見ると、配当金が振り込まれている場合があるので、それを手掛かりに探しましょう

  • 4.パソコンを確認する

    インターネットで株の取引を行っていた場合、パソコンのブラウザの「ブックマーク」や「お気に入り」に証券会社が登録されている場合も

  • 5.メールを確認する

    メールで証券会社から案内などが届いている場合もあるので、パソコンや携帯電話のメールを確認しましょう

証券会社や信託銀行などの口座の有無がポイント

電子化したことで、目に見えない権利となった株式などの金融商品。故人が所有していた金融商品があるかどうかを調べるには、上記のようなポイントがあります。金融商品をやり取りするには、証券会社や信託銀行などが窓口になっているので、その痕跡を探しましょう。金融商品が見つかった場合は、証券会社や信託銀行などに残高証明書を発行してもらいます。この残高をもとに、相続人全員で話し合い=遺産分割協議(44ページ参照)を必ず行い、合意した内容を「遺産分割協議書」に残しておきましょう。これは相続税の申告に必要な重要な書類です。金融商品を相続した場合、窓口になっている証券会社や信託銀行などに口座を開設して名義変更が必要です。評価額が日々変動するため、相続人で均等に分ける場合は、「代表相続人口座」を作ってから売却しましょう。

株や投資信託などがある場合の手順


専門家からのアドバイス

行政書士:本間剛

変動する株や投資信託をどう分割するか

遺産の中でも、株や投資信託などについては、評価額が日々変動しているので、遺産分割のときの評価が難しい面があります。相続発生日の評価額をもとにして遺産分割協議を進めるのが一般的ですが、相続後に株価が上がったりするケースも少なくありません。そのため、相続日の評価額をもとにしてしまうと、その株式を相続した人が優位になってしまう場合もあるのです。それだけに、その後の評価額も検討し、状況に応じて遺産分割の基準となる評価を決めていく形が通常です。また、納税後に株式が発見されると、相続財産計上漏れとなります。その分の遺産分割協議や修正申告を行い、追加納税と、手間も労力もかかるので、漏れがないようしっかり調査しましょう。

まとめ

遺言がない場合、遺産分割協議書を作成する

窓口で口座をつくり、名義変更をする

負債があったらどうなるの?

  1. 相続財産とは
  2. 負債分はプラスのざいさんから差し引いて計算
  3. 相続の対象となる財産とは
    1. プラスの財産
    2. マイナスの財産
    3. みなし相続財産
    4. 非課税財産
    5. 贈与財産
  4. 専門家からのアドバイス
  5. まとめ

相続財産とは

負債分はプラスのざいさんから差し引いて計算

相続税の対象となる相続財産には、現金や預貯金、不動産などのプラスの財産のほか、借金などのマイナスの財産も含まれます。マイナスの財産はプラスの財産から差し引くことができ、これを「債務控除」といいます。それでも借金が多い場合は、相続放棄や限定承認という方法を考えましょう。ほか相続財産には、みなし相続財産と非課税財産があります。みなし相続財産とは、被相続人が亡くなった後に遺族に支払われる死亡保険金や死亡退職金などのお金のこと。被相続人の固有財産とはいえないものの、実質的には相続財産とみなされているのです。一方、仏壇や墓地・墓石などは非課税財産です。このほか、気をつけたいのが贈与財産。被相続人が亡くなる前3年以内に贈与された財産は相続財産とみなされるので覚えておきましょう。

相続の対象となる財産とは

プラスの財産

金融資産 現金、預貯金、有価証券(公社債、上場株式、投資信託など)
不動産 家屋(貸家も含む)、宅地(貸家建付地も含む)、農地、山林など
不動産上の権利 借地検、地上権など
動産 自転車、家財、黄金属、宝石、骨董品など
その他 ゴルフ会員権、リゾート会員権、特許権、著作権、商標など

マイナスの財産

借金 住宅ローンなどの借入金、未払い金など
保証責務 保証人、連帯保証人としての地位
公租公課 滞納している所得税、住民税、固定資産税、税金など
葬式費用 通常の通夜、葬儀社や寺などに支払った葬式費用一式※香典返し、初七日、四十九日などの法要の費用は除く
その他 損害賠償責務など

みなし相続財産

死亡保険金 生命保険金、損害保険金など。相続人に支払われた場合のみ、非課税枠の適用を受けられる
死亡退職金 退職金、功労金や、これに準ずる給与などで、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの。非課税枠の適用あり
その他 生命保険契約に関する権利、定期金に関する権利など

非課税財産

日常礼拝をしているもの 生前から所有していた墓地・墓石、霊廟、仏壇、仏具など※純金製の仏壇、骨董品の仏像など高額なものは除く
寄付財産 相続税の申告期限までに国または地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定法人に寄付したもの
公益事業用の財産 寺社の境内地など、公益を目的とする事業に使われることが確実なもの

贈与財産

贈与税がかかる贈与財産 被相続人が亡くなった日(相続開始日)前3年以内にもらった財産

専門家からのアドバイス

行政書士:本間剛

負債を相続する場合の注意点とは?

負債は、相続分に応じて分割されるので、遺産分割の対象外というのが基本です。しかし、遺産分割協議で債務を引き受ける相続人を決めることは可能です。とはいえ、実際には債務や負債が存在しないということもあります。たとえば住宅ローンでは、団体信用生命保険(団信)に加入していることが多く、その場合は保険金でカバーされます。また(連帯)保証債務は、相続されるものと相続されないものがあります。簡単に説明すると、金銭債権のように内容が確定している保証債務は、相続されます。それから、相続から数年経ってから請求された場合、時効で消滅している可能性も。それだけに負債がある場合は、まずは専門家に相談してみましょう。

まとめ

マイナスの財産も相続財産の対象

負債分を差し引いて相続する

遺産分割協議の開始

遺言が無かった場合には、各相続人との協議をし、遺産をどう分けていくかを協議しなければなりません。この具体的に遺産を分けることを「遺産分割」といいます。
遺産分割は実際に相続人が集まって話し合うのが一般的で、この遺産分割協議をスムーズに進めるためには、相続財産を確定し、評価した上で財産の一覧を把握した上で話し合いをしていきます。相続人一人の合意が欠けても成立はしません。最終的に相続人全員の合意によって成立するため、なるべく早めに対応をしていくことがよいでしょう。

相続放棄または限定承認

相続するかどうか、受け取る側にも選択の権利があります。
ただし、3ヶ月以内に何もしなければ自然に「財産も借金もすべて受け継ぐ」ことになってしまいます。この場合のような相続に限定をつけず、権利も義務も承継することを「単純承認」といいます。
債務が多額に有る場合などは、相続放棄や限定承認の手続を家庭裁判所で行わなければなりません。この手続の期限が「相続があったことを知った日」から3ヶ月以内となっています。
遺産相続の一切をせずに放棄することを「相続放棄」といい、プラスの資産のみを相続することを「限定承認」といいます。
故人に借金がたくさんあった場合で、放棄をしたいと思っても、期限を越えたら放棄ができなくなり大変なことになってしまいます。

遺産分割に向けた具体的な対応方法について

相続人となる遺族に連絡する

相続人となる人が複数人いる場合には、遺産分割の協議を行わなければなりません。

遺産分割協議を行う前準備として、まずは誰が相続人となるのかの確定を行いましょう。

相続人の確定のためには戸籍を取得する必要があります。

相続人となる遺族として、これまで連絡を取り合ったことのない人と話し合いを行わなくてはならない可能性もありますから、トラブルを避けるためにも、戸籍の取得で相続人の確定をしていきましょう。

1 スケジュールについての意識共有

相続に関する手続きは期限が設けられています。

相続人の中には期限についての認識がない人もいるかもしれませんから、いつまでにどのような手続きを行う必要があるのか?についてのスケジュール認識を共有しておくことが大切です。

特に相続税については期限後の納付になるとペナルティが課されてしまうので注意が必要です。

2 金銭出納の記録や財産目録の作成

故人と生前交流が多かった人とそうでない人がいる場合、交流が少なかった人は財産の状況について詳細が把握しにくくならざるを得ません。

無用なトラブルを避けるためにも財産の状況についてはできる限りオープンにしておくことが適切です。

できれば故人の生前から金銭の出入りについての記録をつけておき、遺産についてはすみやかに財産目録(相続財産の一覧表)を作成するようにしましょう。

財産目録については特に正式なフォーマットがあるというわけではありませんが、裁判所のホームページで雛形をダウンロードすることができますから活用すると良いです。

3 法律上は兄弟間に優先順位はないことを知っておく

日本では長男が実家を継ぐという習慣がありますが、法律上は遺産の相続順位や持分について兄弟姉妹は平等となっています。

慣習と法律の認識の違いによってトラブルとなってしまうことのないよう注意しておきましょう。
(ただし、墓などの管理を行う人が必要になる場合にはその人に対して一定の配慮を行うことは重要です)

4 故人の生前に同居していた人への配慮を持つ

故人の生前に同居していた人とそうでない人とでは遺産分割についての認識が異なることが多いです。

法律上は遺産の管理や運用による増加に貢献して人には「寄与分」として遺産分割にあたって上乗せ分を認めてもらえる場合があります。

単に故人の生前に介護を行なっていたことだけでは法律上の寄与分を認めてもらうことは難しいですが、相続人間での話し合いによって遺族の一人に寄与分を認めたり、法定相続人以外の人に寄与分を認めることは差し支えありません。

話し合いがうまくいかない場合には家庭裁判所に調停を求め、寄与分の算定をしてもらうことも可能です。

相続放棄または限定承認

相続するかどうか、受け取る側にも選択の権利があります。
ただし、3ヶ月以内に何もしなければ自然に「財産も借金もすべて受け継ぐ」ことになってしまいます。この場合のような相続に限定をつけず、権利も義務も承継することを「単純承認」といいます。
債務が多額に有る場合などは、相続放棄や限定承認の手続を家庭裁判所で行わなければなりません。この手続の期限が「相続があったことを知った日」から3ヶ月以内となっています。
遺産相続の一切をせずに放棄することを「相続放棄」といい、プラスの資産のみを相続することを「限定承認」といいます。
故人に借金がたくさんあった場合で、放棄をしたいと思っても、期限を越えたら放棄ができなくなり大変なことになってしまいます。

相続の3つの選択肢

選択肢 説明
単純承認:相続する 被相続人全ての財産債務を受け継ぐ。
相続破棄:相続しない 全ての財産・財産債務を受け継がない。
限定承認:条件付きで相続する 受け継いだ財産の範囲内で、被相続人の債務を引き受ける。

詳細:相続放棄または限定承認

故人の所得税の申告(準確定申告)

相続人が個人事業主で事業を行っていた場合、不動産賃貸を行っていた場合など年度の途中で死亡すると確定申告を行うことができなくなります。そこで、相続人が変わりに確定申告をする必要があります。これを「準確定申告」と呼びます。相続があったことを知った日の翌日から4カ月以内に申告と納税をしなければならない「準確定申告」。他の手続きと比べても時間がかかるため、早めの準備と対応が求められます。準確定申告は文字通り、通常の確定申告に準ずる形で、被相続人の1月1日から死亡した日までに確定した所得金額と税額を計算します。申告が必要なのは、被相続人が個人事業を営んでいた場合、不動産を賃貸していた場合や譲渡した場合、給与所得が2000万円を超えている場合などが該当してきます。年金収入のみの方は、年金400万円以下であれば確定申告が不要となりますが、確定申告を行うことで源泉徴収された所得税が還付される場合もあります。早めに確認しましょう。

準確定申告の申告期限

準確定申告の申告期限

詳細:故人の所得税の申告(準確定申告)

遺産分割協議書の作成

遺産分割協議で相続人全員の合意で遺産分割が確定すれば、合意の証明として「遺産分割協議書」を作成しなければなりません。
この遺産分割協議書がなければ不動産の相続登記や金融機関での名義変更や口座解約が出来ない場合があります。
遺産分割協議書の作成方法、記載方法等については下記の記事をご参照ください。

不動産の名義変更登記

不動産をもらうことになった相続人が、法務局で名義を変える作業です。
変更登記申請は法務局に登記申請書を作成し、一定書類を添付して提出し、登録免許税を支払うことで変更登記が完了します。
申請の書式などが特殊なので、自分でやろうとすると5回以上、法務局に出向くハメになるでしょう。
7万円程度余分にかかりますが、司法書士に依頼することをお薦めします。

相続登記の流れ

相続登記の流れ

詳細:不動産の名義変登記(相続登記)

相続税の申告・納付

相続に関する手続きのなかで、もっとも難解なのが税金です。
相続が起こったら、相続税の申告と納税が必要になるケースがあります。
相続税には基礎控除があるので、基礎控除内におさまっている場合には相続税は発生せず、申告も不要です。これに対し、基礎控除を超える場合には、相続税の申告と納税が必要です。
相続税の申告と納税には期間があり、具体的には相続開始後 10 カ月以内となります。
延滞すると、税務署から督促が来たり、利子税、延滞税などが課税されたりすることもあるので、早めに手続きましょう。
遺産の額が3千万円に満たないような場合は申告がいりませんが、その金額の計算が特殊だったり、また控除などで申告はするが税額は0円となるような場合も、後日、税務署から調査を受けたりする可能性を考えれば、一度は税理士に相談に行くべき手続きです。

相続税の申告が必要な人とは?

相続財産額が多い

死亡を知った日の翌日から
10カ月以内に
申告・納税する

相続財産額が少ない

基本的には不要
ただし小規模宅地等の特例による評価減や配偶者控除の適用を受けるためには、相続税の申告が必要

相続税の申告期限

相続税の申告期限

詳細:相続税の申告

手続きや話し合いのため早めに動くのが賢明

続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に行うルールになっています。申告には、所定の申告用紙と相続財産に関する資料をまとめて税務署に提出します。この申告書類の作成には時間がかかるので、早めに動きましょう。遺言がない場合、申告の前にしなければならないのが、「遺産分割協議」です。これは、相続人全員が遺産をどう分け合うかを決める話し合いのことです。一度で合意を得られればいいですが、遺産分割の方法でもめてしまうと、何度も集まることになり、時間も労力もかかってしまいます。相続人全員が分割方法に合意したら、「遺産分割協議書」に結果をまとめ、相続人の人数分作成して署名・実印を押します。この書式は決まっていませんが、誰が、何を、どれだけ相続したかを明確に記せば問題ありません。下の見本を参考に書いてください。

申告前に知っておこう!遺産分割協議書の書き方

ポイント1

遺産分割協議書の書式に決まったルールはなく、手書きでもパソコンでも構いません。ただし、相続人の住所と氏名は手書きにしましょう

ポイント2

不動産は、名義変更の登記をすることを考えて、登記事項証明書(登記簿謄本)の記載されている通りに正確に記載する

ポイント3

預貯金、車、株式等の遺産や債務はもれなく記載。預貯金は、具体的に銀行口座を特定できる情報まで書くこと

ポイント4

相続人同士が平等に保管しておくために、相続人の数だけ同じものを作成すること

ポイント5

相続人全員の署名と実印の押印が必要

遺産分割協議は相続人全員が揃わなくても可能

遺産分割協議は、必ず相続人全員で行います。というと相続人全員のスケジュールの調整などが大変そうですが、実は必ずしも一堂に会して話し合う必要はありません。もちろんお互いの顔を見て話し合ったほうがスムーズですが、全員が合意している内容の協議書を、郵送などの持ち回りで署名・押印する、という形をとってもいいのです。気をつけたいのが、合意後。遺産分割協議が成立した後に、もう一度遺産分割協議をやり直すことは原則としてできません。ただし、無効、取り消しの原因となる正当な理由があれば、一部または全面的にやり直すことができます。とはいえ、合意の署名と押印をする際には、内容に問題がないかなどをよく検討することが大切です。


相続税申告に関わる一般的なスケジュール

被相続人の死亡(相続開始)

  • 葬儀の手配
  • 死亡届の提出
  • 税理士への業務依頼
  • 遺言書の有無の確認
  • 相続人の確認

3ヶ月以内相続放棄 or 限定承認

相続の放棄または限定承認をする場合には、その旨を家庭裁判所に申述します。
何もしなければ単純承認されます。債務が多い場合の相続の際等には注意が必要です。

単純承認 …

相続人が被相続人(亡くなった人)の土地の所有権等の権利や借金等の義務をすべて受け継ぐ

限定承認 …

被相続人の債務がどの程度あるか不明であり財産が残る可能性もある場合等に相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ。

相続放棄 …

相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない。

4ヶ月以内被相続人の準確定申告

被相続人の死亡した年の1月1日から死亡した日までの所得の申告をします。

相続人の青色申告の届出

相続人が被相続人の事業を引き継ぐ場合、事業を引き継ぐ相続人が新たに青色申告の届出をする必要があります。

  • 遺産の調査、評価・鑑定
  • 遺産分割協議書の作成
  • 相続税申告書の作成

10ヶ月以内遺産の名義変更

遺産分割協議が終了したら、遺産分割協議書に基づき遺産の名義変更を行います。

相続税の申告と納付

相続税申告書を所轄の税務署に提出し、納税を行います。

2年以内税務調査

申告期限後、半年から1年の間に行われることが多いです。
申告をした全ての方が対象となるわけではなく、統計上約1/4の方に税務調査が行われています。

遺留分減殺請求

遺言が遺されているケースで、「長男に遺産を全て相続させる」「他の相続人と比べて明らかに相続分が少ない」など遺言の内容によっては、全ての相続人にとって公平でない遺産分割の内容の場合もあります。亡くなった人(被相続人)の財産というのは基本的にその人の意思に従って遺言書等で配分を決められることから、相続人側の利益を守るために一定の相続財産の取り分を保障する制度があります。これを「遺留分」といいます。

遺産を誰がいくら相続することができるか?については民法という法律でルールが決まっていますが、故人が生前に遺言書を残していた場合には遺言の内容が法律上のルールに優先することになります。

この遺言書の内容があまりにも遺族に対して不利な内容となっている場合には、遺留分を相続できない遺族が生じる可能性があります。

遺留分を侵された遺族は多くの財産を相続した人に対して遺留分減殺請求という形で訴えを起こすことが可能になります。

遺留分減殺請求の期限は相続があったことを知った日から1年以内です。

ただし、相続の開始から10年間が経過すると、相続があったことを知らなかったとしても遺留分減殺請求はできなくなってしまいますので注意が必要です。


相続財産の名義書き換えはいつするの?

名義変更が必要な主なものリスト

・不動産
・預貯金
・株式
・公共料金
・固定電話
・クレジットカード
・自動車所有権移転(相続確定後15日以内)
名義変更は早めに手続きを!

相続財産が確立したら早めに取り掛かるのが正解

遺産分割協議で相続財産が確定したら、名義変更の手続きをしましょう。預貯金や、株式などの金融商品、不動産などの名義変更は、遺言書がある場合は、遺言書および家庭裁判所の検認が済んでいることが確認できる資料が、遺言書がない場合は、遺産分割協議書が必要になってきます。これらの名義変更に関しては、いつまでにという期限はありません。しかし、変更しないままでいると、勝手にほかの身内にお金をおろされた、許可なく土地を売却されたなどのトラブルも発生します。できるだけ早めに名義変更を済ませておきましょう。特に大変なのが、土地建物の名義変更をする相続登記。下記にあるように必要な書類が多く、ケースによっては追加の必要書類が発生することも。司法書士に依頼すれば、かかる費用+約10万円程度が相場なので、一考したいところです。

相続税の特別な納付方法の「延納」と「物納」

相続税の納税は、期限までに現金で一括で納付するのが原則です。しかし、期限までに現金が用意できない場合、「延納」と「物納」という特別な納付方法が認められています。「延納」とは、簡単にいうと相続税を分割払いできる制度のことです。左ページで紹介している4つの条件が満たされれば、最長20年間の延納が可能です。ただし、延納できるのは全額ではなく、納付が困難な金額を上限としています。さらに、利子税がかかってくるので注意が必要です。一方、「物納」は、延納しても現金を納付できないときに、物で納める制度。ただし、どんな相続財産でもいいわけではなく、下記で紹介しているように、優先順位が決められています。ほか、不動産がある場合は、不動産を売却して現金化する方法がありますが、相続税の申告前に売却して納税しないといけません。

知っておきたい延納と物納

延納ができる4つの条件

延納には、以下の4つの条件が満たされた場合のみ、受けることができる。延納期間には利子税がかかり、その期間と金利は相続財産によって異なる

  • ・相続税額が10万円を超えること
  • ・金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること
  • ・延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること
  • ・延納申請書および担保提供関係書類を期限までに提出すること

物納できる相続財産と順位

現金一括納付が困難で、延納の条件を満たせられない場合に受けられる最終的な措置の物納。物納できるものは限られ、優先順位も決まっている。そのため、上位のものを持ちながら、下位のものを物納することはできない。また、不動産に関しては物納の条件が厳しく決められている

  • 第1順位・・・不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等
  • 第2順位・・・非上場株式等
  • 第3順位・・・動産(不動産以外の家財、宝石、貴金属、書画、骨董など)

延納・物納・不動産を売却するときのメリットとデメリット

メリット デメリット
延納 相続税を分割で納付できる 延納税額に利子税がかかる
物納 物納許可限度額までは譲渡所得税が非課税になる 物納申請の手続きが難しい
物納が許可されるまで利子税が発生する
不動産の評価を市場の時価ではなく、申告したときの評価額で評価する
不動産の売却 取得費加算の特例が利用可能で、所得税や住民税を減税することができる 不動産を売却して利益が出た場合、所得税や住民税など、最低でも20%以上の税金が発生する
相続開始を知った翌日から10ヶ月以内に売却して納税をしなければならない

延納、物納は最終手段と考えよう

延納、物納というのは他に手段がない場合に延納→物納という優先順位で最後に選択される方法です。手続き的にもさまざまな書類を添付して税務署を説得しなければならないため、さほど簡単にできるものではありません。また、他に金融資産があるのにそちらを運用しながら相続税を延納するなどということは許されないので要注意です。延納をする場合、まず税務署の審査があり、これにパスすることが必要です。そして、所定の利子率に応じた利息も払わなければいけないので、場合によっては銀行から借り入れを行ったほうが有利の場合もあります。一方、物納については判断が厳しく、実際に利用されるケースは非常に少ないといえます。

葬祭費、埋葬料、高額医療費、生命保険の請求

(1) 葬祭費、埋葬費の請求

国民傾向保険、健康保険に加入していた場合には、葬儀を行った人(喪主)であれば誰でも葬祭費用の給付を受けることが出来ます。
また、埋葬費についても給付制度があります。
申請した際に受け取れる給付額や申請期間、申請先は以下の通りです。

葬祭費(国民健康保険加入の場合)

国民健康保険加入の方 50,000~70,000円
後期高齢者保険加入の方 30,000~70,000円
申請期間 2年間
申請・問い合わせ先 市・区役所の保健年金課

葬祭費(健康保険加入の場合)

埋葬料 上限50,000円までで実費精算
申請期間 2年間
申請・問い合わせ先 全国健康保険協会

葬祭費(国家公務員共済組合の組合員の場合)

葬祭費 100,000~270,000円各組合により異なります
申請・問い合わせ先 加入している各共済組合

埋葬費

埋葬料 50,000円
申請期間 2年間
申請・問い合わせ先 全国健康保険協会

(2) 高額医療費

医療費が高額になった場合に一定の金額が払い戻される高額医療費制度は相続の際でも請求して還付金を受け取ることが出来ます。ただし、相続人が相続放棄をしている場合には受け取ることができない点に注意が必要です。
期限や手続場所、準備するものは以下の通りです。

期限 すみやかに
手続きする場所 手続きする場所
申請期間 2年間
準備するもの 高額療養費支給申請書、故人との関係を証明できる戸籍の写し、病院の領収書など

(3) 生命保険金の請求

まずは保険契約者または保険受取人が生命保険会社に書面もしくは電話にて連絡を入れるところから始めます。その後、保険会社から必要書類の案内が送られてきますので、保険金受取人が請求手続を取り、保険会社の支払い可否判断の終了後、保険金が支払われます。
保険金の申請には請求書、被保険者の住民票、受取人の戸籍抄本、印鑑証明、死亡診断書、保険証券などが必要に名手T来ます。スムーズに手続を進めるためにも生命保険会社の連絡先や担当者を把握しておくこと大事になってきます。

遺族年金の受給申請

遺族年金は国民年金又は厚生年金保険の被保険者の方が亡くなったときに遺族が受け取ることができる年金です。受給申請は現役の厚生年金加入者であれば会社を通じて資格喪失届の提出がされますが、それ以外の場合には市区町村、年金事務所にて国民年金被保険者死亡届又は年金受給権者死亡届を提出しなければなりません。申請する際は戸籍謄本、住民票、住民票の除票、所得証明書、死亡診断書等が必要になります。
必要書類が場所によって変わることもあるため、年金事務所等であらかじめ連絡をして確認することが必要です。

相続で自分だけが大損しないために、専門家を有効活用しましょう!

相続手続きを専門家に依頼する際の注意点と選び方

相続にまつわる手続きは、じっくり調べれば自分で終わらせることができるものも多いです。ではなぜ多くの相続人が数万円~数十万円という安くはない料金を支払って専門家に依頼をするのでしょうか?
理由は2つあります。1つ目は、移動や作業の時間を考えると、自分でやるより安上がりだと感じられるから。2つ目は、専門的な法律を駆使して手続きを進めることで、税務署に余分な相続税を取られずに済んだりして、
結果的に専門家を雇わなかったときよりも、自分の手元に残る金額が多くなることがあるからです。

親の借金が自分に… 余分な相続税を税務署に… 自分の取り分となるべき遺産が兄弟に…

法律知識であなたの財産を守る

イラスト

専門家の選びかた

長年、相続人の方々と接する仕事に携わってきた経緯から、相続手続きの専門家に依頼するときは税理士弁護士からまずしっかり探すべきです。
相続人同士で揉めごとがない方は税理士を。揉めている・争いが起こりそうな方は弁護士をまず探して下さい。
理由は、あらゆる相続手続きの中で、税理士・弁護士の腕の差による違いが、相続人であるあなたにとって金銭的な影響が大きいからです。

税理士・弁護士を選ぶ基準

どの税理士・弁護士の事務所に依頼するかは、次の条件で見極めてみてください。

  • 各専門家がワンストップで連携出来ていますか?
  • 相続業務という専門的分野の知識・経験が豊富ですか?
  • 依頼した際の料金は、明快で良心的ですか?
  • 組織としての規模が十分ありますか?

この4つで判断すべき根拠を説明します。

1つ目の「ワンストップな連携」ができていない事務所に依頼してしまうと、いろんな場所に足を運ばされたうえに、あなたの相続について何度も別の人に説明しなければならず、非常にムダな時間がかかります。そして、料金も割高になってしまうことが多いです。

2つ目の「専門知識」が十分でない事務所に依頼してしまうと、たとえ料金が安くても、税務署に追徴税をくらったりして、結果的に自分に残る遺産額が少なくなったりすることがあるからです。

3つ目の「料金」について、いくら専門知識が豊富でもそれを良いことに
バブル期の法外な料金をふっかけてくるような事務所が後を絶ちません。
専門家のそういう悪しき慣習を防ぐために、このホームページを作りましたのでしっかりと見極めてください。

4つ目の「組織規模」ですが、小さな事務所ですと、業務が偏って忙しくなりすぎ、あなたの案件が後回しにされないとも限りません。法律事務所は大小入り混じっていますので、依頼するのに適正な規模の所を探しましょう。