相続税を自分で計算できる【プロが教える!】相続税計算ガイド

 

相続税は
どうやって
計算するのか

身内が亡くなって、相続が発生したけれど、相続税がいくらかかるか分からない、計算できないというお悩みはありませんか?

相続税は、端的にいえば、亡くなった人の遺産の総額から基礎控除を差し引き、その金額に税率をかけて計算します。

亡くなった人の遺産の総額が基礎控除より少ない場合は、相続税はかかりません。

具体的な計算STEPは以下のとおりです。

また、相続税を計算するためには、亡くなった人の遺産をきちんと把握しなくてはなりません。遺産が把握できても、

・不動産をどう計算すればいいか分からない

・亡くなる前に引き出した預金を含めるのか含めないのか分からない

など金額を計算するのに意外と手間取るポイントがたくさんあります。

この記事では、具体的によくある財産構成の事例に基づいて相続税の計算方法も説明していきますので、ご家族の相続税がどれくらいになるのか?を知りたい方が自分で相続税も計算することができるようになっています。

STEP1.正味の
相続財産の計算

相続財産の調査・把握

亡くなった方の遺産の総額が課税対象となるのが相続税です。

相続税を計算していくためには、最初に相続財産がいくらあるのかを把握していかなければなりません。

相続財産にはプラスの財産だけでなく債務等のマイナスの財産も含まれてきます。

債務や葬儀費用は、マイナスの財産として相続財産の額から控除することができます。

墓地や墓石、仏壇、仏具等は相続税の非課税財産です。亡くなった人の生命保険金や死亡退職金も一定の非課税枠が設けられており「相続人の人数×500万円」で計算されます。

死亡保険金も死亡退職金も相続税では”みなし相続財産”とされ、上記非課税枠を越える部分については相続税の課税対象となります。

また、被相続人が亡くなる前3年以内に贈与された財産、また生前に相続時精算課税制度を活用して贈与を行った財産については、相続財産に含めて相続税を計算しなければなりません。

※相続時精算課税制度とは、相続発生前に贈与の形で財産を渡しておくことで、財産分配をスムーズに行う方法のことです。

具体的には、贈与をした翌年の2月1日から3月15日までに行う贈与税の申告書に一定の届出、書類を添付することで、2500万円までの贈与であれば非課税となります。

これら相続税の対象となる財産が把握できれば、遺産総額を計算していきます。

遺産総額はこれらプラスの財産からマイナスの財産を差し引き、保険金や退職金等のみなし相続財産や2年以内の相続財産、相続時精算課税の適用財産をプラスして、正味の相続財産を計算していきます。

この正味の相続財産が遺産の総額として課税対象となります。

遺産総額の計算を図にまとめると下記のようになります。また、相続財産の具体的な範囲は下記の通りです。

相続税の申告書サンプル

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それでは、具体的にプラスの財産やマイナスの財産にはどのようなものがあるかをみていきましょう。

プラスの財産
金融資産 現金・預貯金・有価証券(公社債、上場株式、投資信託等)
不動産 家屋(貸家も含む)・宅地(貸家建付地も含む)・山林・農地等
不動産上の権利 借地権・地上権等
動産 自動車・家財・黄金属・宝石・骨董品等
その他 ゴルフ会員権・リゾート会員権・特許権・著作権・商標等
マイナスの財産
借金 住宅ローンなどの借入金、未払い金など
保証債務 保証人、連帯保証人としての地位
公租公課 滞納している所得税、住民税、固定資産税、税金など
葬式費用 通夜や葬儀社、寺などに支払った一般的な葬式費用一式※香典返しや初七日、四十九日等の法要費用は除外
その他 損害賠償責務など
非課税財産
日常礼拝をしているもの 生前、所有していた墓地や墓石、仏壇、仏具等 ※純金製の仏壇や骨董品など高額なものは除く
寄付財産 相続税の申告期限までに国または地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定法人に寄付したもの
公益事業用の財産 寺社の境内地など、公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
みなし相続財産
死亡保険金 生命保険金、損害保険金などが相続人に本人へ支払われた場合のみ非課税枠の適用を受けられる
死亡退職金 退職金や功労金、これに準ずる給与等で、被相続人の死亡後、3年以内に確定したもの。非課税枠の適用有
その他 生命保険契約に関する権利、定期金に関する権利など
贈与財産
贈与税がかかる贈与財産 被相続人が亡くなった日から起算して前3年以内に贈与された財産
相続時精算課税適用財産 生前に相続時精算課税制度を適用して贈与した財産

ここまでは、一般の書籍等にも記載されている相続財産の範囲になりますが、実際に相続を迎えて相続財産に含めるか含めないかの判断に迷ってしまう点がいくつか出てくることになります。

その代表的な論点を見ていきましょう。

亡くなる前に引き出した預金を含めるのか含めないのか分からない

亡くなる前に預金から引き出したお金は、亡くなった方の生前にかかった費用ですから無視してかまいません。

相続後のお葬式代や物入りで引き出したお金は相続時点で現金等で残るため、相続財産に含まれることになります。

専業主婦だった妻名義の多額の預金がある含めるのか含めないのわからない

あくまで生活費として夫から受け取っていた預金(これを「名義預金」といいます)であれば、夫の相続財産に含めなければなりません。いわゆる”へそくり”についても同様です。

夫が取得した財産は妻への贈与等がない限り、夫自身の財産となります。

”名義預金”は税務調査で指摘を受けやすい論点となります。

実際に名義だけの預金となれば相続財産に含めなければいけないので気をつけましょう。

後期高齢者医療保険、後期高額療養費などの還付金は含めるのか含めないのかわからない

後期高齢者医療保険は年金から天引きのため、相続時において払い過ぎの状況の場合には還付請求で返戻されます。

また、後期高額療養費も請求により市区町村から支払われます。

これら還付金は、被相続人に支払うべきものですので、相続財産に含めなければなりません。

遺産のリストアップは意外と大変です

実際に相続となり、相続財産の調査の進め方についてみていきます。

代表的な予算は銀行預金などの金融資産ですが、まず通帳がどこにあるかを見つけなければいけません。

探索方法は極めてアナクロで、タンス・鏡台・サイドボードの引き出しなどめぼしい場所をひっくり返すのです。

郵便物も、大切な手掛かりです。

とくに投資信託や株式は証書が発行されないケースが多く、自宅に届く運用報告書などから手繰っていくしかありません。

金融資産の口座を把握したら、次は残高の確認です。

銀行に電話しても、絶対に教えてくれません。

残高証明書を取得するには、故人の戸籍謄本・申請者との相続関係を証明する書類・申請者の印鑑証明書などが必要で、金融機関によってさらに追加の書類を求めてくる場合もあります。

土地や建物などの不動産については、登記簿や権利証を確認します。

もし見つからなければ、管轄の法務局に申請すれば登記簿を取得できます。

相続財産の評価

相続財産の把握が出来たら、それぞれの財産について相続税評価を行っていく必要があります。

相続税の評価は原則的に、相続時点での財産の価値、時価で評価していきます。

評価を行っていくのに最も難解なのは土地です。

土地については相続税評価ならではの国税庁が決めている路線価を基本に特別な補正を加えるなどして最終的な評価額を算出していかなければならないのが特徴的です。

主な相続財産の評価方法
主な財産の種類 評価方法
土地 対象となる宅地が接する路線価×土地の面積
※路線価は全国の主要市街地の道路にしか設定されていないため、農地や山林が多い場所は同じく国税庁のホームページにて記載されている「倍率方式」という方法を使って評価します。
建物・家屋 固定資産税評価額×1.0
※マンションも同じ。固定資産税評価額は、市区町村の「固定資産課税台帳」で確認が可能
預貯金 預入残高プラス既経過利息(20%源泉税控除後の金額 )
上場株式 次の①~④のうち最も低い価格

  • ①課税時期(相続・贈与のあった日)の最終価格(終値)
  • ②課税時期の属する月の毎日の最終価格の平均額
  • ③課税時期の属する月の毎月の毎日の最終価格の平均額
  • ④課税時期の属する月の前々月の毎日の最終価格の平均額
死亡保険金 死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」で算出された金額分が相続税の非課税となります。
受け取った保険金額から非課税額を差し引いた金額が生命保険の評価額となります。

500万円×法定相続人=生命保険金の非課税枠

500万円×法定相続人=生命保険金の非課税枠

※土地の
路線価による
評価方法について

国税庁が毎年発表している路線価図はWEB上で確認することができます。

道路に490c(仮)とかの数字と記号が書いてあります。490という数字が路線価です。

490という数字が路線価です。

千円単位ですので490という数字は1㎡あたりの価値が490,000円であることを意味しています。

土地面積が100㎡の場合には、
49万円×100㎡=4,900万円
と計算することができます。

土地評価はこれで終わりではありません。

土地の形状に応じて補正を行ったり、近隣の環境によって評価の減額を行うことができます。

※土地評価額を
概算で簡単に
計算する方法

土地や家屋等の固定資産の所有者には毎年、市区町村から「固定資産税の納付書兼課税明細書」が届いてらっしゃるかと思います。

そのうちの「固定資産の課税明細書」をご覧ください。

「評価額(円)」の記載欄が固定資産税評価額になります。

結論から先に言うと、

この固定資産税評価額の1.14倍をすると概算の相続税評価額になります。

なぜなら、土地の公示価格(時価)を100とすると、固定資産税評価額は70、相続税評価額は80という比率に近づくことが一般的なことから、固定資産税評価額の1.14倍が相続税評価額に近い金額となります。

  • 固定資産税評価額
  • 相続評価額
  • 売買の取引価格
  • 固定資産税の
    課税明細書に
    記載してある金額
  • 相続税申告の計算
    に使用する金額
  • 売買取引を
    行なう際の
    予想金額

※小規模宅地等の特例

相続財産として一定の種類の宅地を相続する場合に要件を満たすことで最大80%もの評価減となる「小規模宅地等の特例」という節税方法を使えることがあります。

居住用のための土地(特定居住用宅地)

居住用のための土地について適用を受けるためには、以下の条件のうち一つ以上を満たす必要があります。

(1)亡くなった方の同居者が土地を相続したこと
(2)亡くなった方の配偶者の方が土地を相続したこと
(3)3年にわたって借家に居住していた相続人がいること(ただし、亡くなった方に配偶者並びに同居者もいない場合)

本適用がある場合には、80%まで減額され、対象面積は330㎡が限度となっています。

賃貸のための土地(貸付事業用宅地)

賃貸のための土地について適用を受けるためには、相続が発生する前から貸し付けを行っている必要があり、本適用を受けるためだけに相続後に始めたという場合は対象外になってしまいます。

この貸付について、相続税申告が完了するまでに継続して行っている必要があります。

本適用がある場合には、50%まで減額、対象面積は200㎡が限度となっています。

土地の種類としては、駐輪場若しくは駐車場など、賃貸・アパート以外の敷地にも適用されます。

事業用のための土地(特定事業用宅地)

事業用のための土地について適用を受けるためには、相続が発生する前より当該土地で事業(個人名義)を行っている必要があり、かつ、この事業運営について、相続税申告が完了するまでに継続して行っている必要があります。

例えば、商店街のお店などを思い浮かべて頂ければ分かりやすいかもしれません。

ただし、土地が亡くなった方の名義であっても、法人名義の建物で事業を行っていた場合でも、小規模宅地等の特例を受けること自体は可能ですので、覚えておきましょう。

小規模宅地等の特例適用には他にも注意すべきところが非常に多い論点です。

具体的な相続財産の評価については「相続財産の評価について」の記事をご参照ください。

相続財産の把握と評価ができれば遺産総額(正味の相続財産)が計算できます。

繰り返しになりますが、遺産総額(正味の相続財産の計算)はプラスの財産からマイナスの財産を差し引き、保険金や退職金等のみなし相続財産や2年以内の相続財産、相続時精算課税の適用財産をプラスして計算した金額となります。

この遺産総額(正味の相続財産)が計算できれば、”基礎控除”を差し引いて、相続税率を乗じる前の課税遺産総額が計算されます。

それでは、次に基礎控除の計算についてみていきましょう。

STEP2.相続税の
基礎控除の
計算をしよう

遺産総額(正味の相続財産)から、誰でも差し引くことができる一定の控除額のことを相続税の「基礎控除」と呼びます。

この基礎控除の額(基礎控除額という)は一律の金額ではなく、法定相続人の人数によって異なります。

具体的には、3000万円+(法定相続人の数×600万年)で計算していきます。

遺産総額(正味の相続財産)が基礎控除に満たない場合には相続税はかかりません。

基礎控除ギリギリの方は、相続税がかかるかどうかは基礎控除を超えるか超えないかの記事もご参考ください。

基礎控除額

3,000万円法定相続人の数600万円

※相続税基礎控除額の計算式

たとえば、父親が亡くなり、母親と子3人が相続人になる場合、法定相続人は4人です。

その場合、基礎控除は3000万円+600万円×4人で5400万円になります。

この事例でいえば、遺産総額が5400万円以下の場合、相続税はかかりません。

このように、遺産総額が○○円だから相続税がかからないというわけではなく、法定相続人の人数で計算する基礎控除の金額を計算し、遺産総額が基礎控除に満たなければ相続税はかからないということになります。

また、法定相続人の人数が多ければ多いほど基礎控除が大きくなるのが特徴です。

下記は法定相続人の人数に応じた基礎控除額一覧ですのでご参考ください。

法定相続人の数に応じた基礎控除額一覧

法定相続人の数 基礎控除額 (単位:万円)
1人 3,600
2人 4,200
3人 4,800
4人 5,400
5人 6,000
6人 6,600
7人 7,200

基礎控除額がわかれば、次は課税遺産総額を計算していきましょう。

STEP3.課税遺産総額の
計算をしよう

正味の相続財産と相続税の基礎控除額を把握できたら、次に「課税遺産総額」を計算します。(計算式は以下のようになります。)

計算式は単純に遺産の総額(正味の相続財産)から基礎控除を差し引くだけです。

遺産の
総額
(正味の相続財産)
相続税の基礎控除額 課税遺産総額
※課税遺産総額の計算式

STEP2でも少し解説させていただいた通り、遺産総額(正味の相続財産の金額)が相続税の基礎控除の金額を下回っている場合(正味の相続財産<相続税の基礎控除額)、相続税の金額はかかりません。

例えば、
正味の相続財産が3000万円、相続人数3人のとき、課税遺産総額は以下のようになります。
3000万円 - (3000万円 + 600万円×3人)= 0円未満
※相続税は発生しません

一方、正味の相続財産が1億円ある場合、課税遺産総額は5200万円となり、この金額が相続税を計算する際の最終の課税対象(相続税率をかける対象金額)となってきます。

1億円 ー(3000万円 + 600万円×3人)=5,200万円

STEP4では最終的な相続税額の計算過程をみていきましょう。

STEP4.相続税を
計算する

課税遺産総額まで算出できれば、負担すべき相続税の計算まであと一息です。

ただし、相続税の計算は、単純に課税遺産総額に税率をかければよいのではありません。複数の各相続人の相続税まで計算しないといけないため、少々煩雑です。

相続税特有の税額計算の仕組みをみていきましょう。
相続税の計算を分かりやすく解説!の記事も合わせてご参照ください。

相続税の申告書サンプル

———–画像タップで拡大———–

上記の図を見ると非常に複雑な計算体系のように見えるかもしれませんが、計算の仕組みを理解すれば、自分で計算することができます。

それでは、計算の過程を一つづつみていきましょう。

相続税の
総額を計算する

相続税の計算は、法定相続人が法定相続分で遺産を分割したものとして算出した各人の相続税を合計し、その相続税の総額を各相続人が実際に財産を取得した割合に応じて負担することになります。

課税遺産総額

×

(法定相続人の法定相続分)

法定相続分に応ずる
取得金額

×

 

税率

 

 

算出税額

法定相続分に応ずる
取得金額

×

 

税率

 

 

算出税額

法定相続分に応ずる
取得金額

×

 

税率

 

 

算出税額

相続税の総額

課税遺産総額

×

(法定相続人の法定相続分)

法定相続分に応ずる
取得金額

×

税率

算出税額

法定相続分に応ずる
取得金額

×

税率

算出税額

法定相続分に応ずる
取得金額

×

税率

算出税額

相続税の総額

相続税の総額の計算では、それぞれの相続人がどの財産をいくら相続するかについては全く関係してきません。

法定相続人が法定相続分どおりに財産を相続したものとして相続税の総額を計算していきます。

法定相続分とは

法定相続分とは「亡くなったの遺産を相続する割合」のことで、民法では相続を受ける権利を有する者(法定相続人)とその範囲(相続順位)および権利の割合を定めています。この権利の割合を法定相続分と呼びます。

法定相続分は遺産分割をする上での目安となる割合であり、実際の遺産分割は相続人同士の遺産分割協議で決めていきます。

民法において、配偶者(内縁関係を除く)は常に相続人としての権利を有します。配偶者以外は、子や孫(第1順位)、直系尊属(第2順位、兄弟姉妹(第3順位)の順番で相続人の範囲と法定相続分が決まります。

第1順位
配偶者の法定相続分は1/2、残りは子・孫で均等に法定相続分を有します

第2順位
第1順位の法定相続人がいない場合、配偶者の法定相続分は2/3、残りは直系尊属で均等に法定相続分を有します

第3順位
第1・2順位の法定相続人がいない場合、配偶者の法定相続分は3/4、残りは兄弟姉妹で均等に法定相続分を有します

法定相続分とその割合を詳細に解説!の記事もあわせてご参考ください。

相続税の税率は?

相続税の課税標準となる課税遺産総額(遺産の総額ー基礎控除)に応じて税率が定められており、相続税は相続財産が多いほど税率が高くなる累進課税となっています。

相続税の課税標準 税率 控除額
1000万円以下 10%
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

それではここまでの計算を具体例に沿って計算してみましょう。

事例)相続人:妻、子供2人、課税遺産総額1億円

まず法定相続分は妻1/2、子供がそれぞれ1/4となります。

課税遺産総額が1億円で妻と子供2人が相続する場合、妻の法定相続分は5000万円となり、相続税額は5000万円×20%-200万円=800万円となります。

子供の法定相続分はそれぞれ2500万円、相続税額は2500万円×15%-50万円=325万円となります。

この3人の相続税額を合計した1450万円が相続人3人で負担すべき相続税額の総額となります。

相続税の総額を
実際の取得割合で
分ける

相続税の総額の計算ができたら次は、各相続人が実際に取得する相続財産の割合に応じた相続税を計算していきます。

上記図のように、相続税の総額を、各人が実際に相続ずる財産の割合によって按分計算していきます。

相続税の総額×実際の取得割合=各人の相続税額

事例)相続税の総額1450万円、実際の取得割合(妻4/5、子供1/10づつ)

妻の取得割合は2/3のため、1450万円×4/5=1160万円 が妻の相続税となります。

子の取得割合は1/10づつのため、 1450万円×1/10=1450万円 がそれぞれの子供の相続税となります。

税額控除と2割加算

相続税には相続税を減額できる税額控除の制度があります。

また、相続人が一親等の血族及び配偶者以外の人で有る場合には、相続税の2割に相当する金額が加算される制度があります。

上記で計算した相続税から税額控除、2割加算を加減算して最終の相続税額を計算します。

それでは具体的にどのような税額控除の制度があるかをみていきましょう。

配偶者の税額軽減(配偶者控除)

亡くなった被相続人の配偶者が相続財産を取得した場合、配偶者が取得した相続財産にかかる相続税額が大幅に軽減される「配偶者の税額軽減」を適用することが可能です。

配偶者は被相続人の財産形成や維持に貢献したと考えられるため、被相続人の亡き後も生活ができる様、多くの財産を残せるような配慮がなされています。

ただし、配偶者には内縁関係にある妻や愛人は含まれず、法的に夫婦となった場合のみ、配偶者控除の対象になります。

配偶者控除を適用後、相続税額がゼロであっても相続税の申告書は、提出する必要があります。

配偶者の相続税から控除できる額の計算式
相続税の総額 下記①と②のうち少ない金額 配偶者税額軽減税
相続税の課税価格の合計
  • ① 配偶者の法定相続分に相当する額(1億6,000万円未満のときは、1億6,000万円)

  • ② 配偶者が実際に取得した額(配偶者の課税価格)

配偶者の法定相続分が3億円までは3億円、1億6,000万円以下は1億6,000万円の取得分が非課税になります。

未成年者控除

未成年者控除とは、未成年の相続人が相続財産を取得した場合、20歳になるまでの年数×10万円の相続税額を控除するものです。

例えば相続した時の年齢が15歳9か月の場合、9か月を切り捨てて15歳とし、20歳までの年数を5年とします。

したがって未成年者控除額は、10万円×5年=50万円となります。

また、未成年者控除額をその未成年者本人から引ききれない場合には、ほかの相続人の相続税額からの控除が可能です。

未成年者控除の計算式

10万円 × (20歳 - その相続人の年齢)= 未成年者控除額

障害者控除

障害者控除とは、相続人が85歳未満の障害者である場合、85歳になるまでの年数×10万円の相続税額を控除するものです。

例えば60歳5か月の相続人について障害者控除額を計算する場合、年齢を60歳として85歳までの年数25年×10万円=250万円の控除を受けることができます。

なお、相続人が特別障害者に該当する場合は、控除額が1年につき20万円になります。

また、障害者控除額をその障害者本人から引ききれない場合には、ほかの相続人の相続税額から控除することができます

障害者控除の計算式

障害者 : 10万円 × (85歳 - その相続人の年齢)= 障害者控除額
特別障害者 : 20万円 × (85歳 - その相続人の年齢)= 障害者控除額

障害者控除・未成年者控除の記事もあわせてご参考ください。

相次相続控除

一定期間内に立て続けに相続が発生することを相次相続といいます。

例えば、父が亡くなり配偶者である母が遺産を相続、さらにすぐに母が亡くなるような場合、相続が発生する度に相続税が課されるため、短い期間に同じ財産に対して相続税が課税されてしまいます。

この二重課税による税負担を防ぐため、短期間に相続が発生した場合、相次相続控除が適用されます。

相次相続控除における短期間とは、10年以内に続けて相続が発生した場合のことです。

1. 相次相続控除の計算
  • A:今回の被相続人が前回の相続時に取得した財産に課された相続税額
  • B:今回の被相続人が前回の相続時に取得した財産の価額
  • C:今回の相続により相続人と受遺者が取得した財産の総額
  • D:今回の相続でその控除対象者が取得した財産の価額
  • E:前回の相続から今回の相続までの年数(1年未満は切り捨て)

【適用要件】

  • 1 被相続人の相続人であること
  • 2 その相続の開始前10年以内に開始した相続により被相続人が財産を取得していること
  • 3 その相続の開始前10年以内に開始した財産について、被相続人に対し相続税が課税されたこと

相次相続控除の記事もあわせてご参考ください。

直近で贈与した場合「贈与税額控除」

故人が亡くなる3年前までに、相続人が財産を贈与していた場合、すでに支払った贈与税を相続税から差し引かれる制度が「贈与税額控除」です。

故人が亡くなる1年前に故人の子供が1,000万円の贈与を受けた時、贈与税を納めていたとします。

贈与税は「(贈与金額-基礎控除額)×金額に応じて決められた税率-決められた控除額」で算出します。

(贈与金額-基礎控除額) × 金額に応じて
決められた税率
贈与税の金額 贈与税の金額

課税価格

贈与財産の
合計額
基礎控除額
110万円
税率 控除額 = 贈与税額
(贈与金額
– 基礎控除額)
金額に応じて
決められた税率
決められた
控除額
贈与税の金額
課税価格
贈与財産
合計額
基礎控除額
110万円
税率
控除額
贈与
税額
※贈与税額の計算方法

贈与税率表

課税価格 一般税率
(一般贈与財産)
特例税率
(特例贈与財産)
200万円以下 10% 10%
200万円超~300万円以下 15% 15%
300万円超~400万円以下 20%
400万円超~600万円以下 30% 20%
600万円超~1,000万円以下 40% 30%
1,000万円超~1,500万円以下 45% 40%
1,500万円超~3,000万円以下 50% 45%
3,000万円超~4,500万円以下 55% 50%
4,500万円超~ 55%

この式で計算した場合

贈与税は、(1,000万円-基礎控除額110万円)×税率40%-控除額125万円=231万円になります。

この231万円を贈与税として、子供がいったん納付します。

その後、故人が亡くなった際に5,000万円相続したとすると、他に相続人がいないとき、相続した5,000万円と贈与した1000万円を足して6000万円が相続税の課税対象の総額になります。

この金額をもとに相続税を計算すると

(課税する財産の総額6,000万円-基礎控除額3,600万円)×税率15%-控除額50万円=310万円になりますが、この金額からすでに納付した贈与税分を差し引きできます。

310万円-贈与税231万円=79万円が、実際に納付する相続税の金額となります。

贈与された財産金額は、相続開始時の財産ではなく、贈与された際の金額を相続財産にプラスします。

(注意点)
1 贈与税の基礎控除額110万円以下の財産も相続税の計算の際は加算されます。
2 相続開始前3年以内に贈与が合った場合のみ適用されます。

相続税の外国税額控除

相続あるいは遺贈により、日本国外の財産を取得した場合は、財産の所在地国の法令に日本の相続税に相当する税が課せられている場合、国内外で二重に課税される可能性があります。

そこで、海外で徴収された相続税相当分については国内では徴収しないという制度です。

この制度は、納付した相続税相当額を国内の相続税額から控除する制度で、国家間の合意無く日本の課税を譲歩できる仕組みになっています。

財産の所在地国によって相続税相当額の課税方法が異なるため、財産の所在地国毎に相続税相当額の算出をする必要があります。

海外で徴収された税額が国内の税率よりも高い場合、その財産においてはそれ以上の税金を納めることはありません。

ただし、国内の財産については、食い込んで税額控除することはできません。

【適用要件】

  • 1 相続あるいは遺贈で取得した財産であること
  • 2 ①により取得した財産が日本国外にあること
  • 3 ①により取得した財産について、その財産の所在地国において、相続税に相当する税が課税されたこと

相続税が1.2倍かかる人

父母、子、配偶者以外が遺産を取得する場合は相続税額の20%を加算します。

具体的に2割加算される対象は下記のとおりです。

相続税の2割加算の対象者
    • 兄弟姉妹の相続人
    • 祖父祖母の相続人
    • 遺言等で血のつながりがなく財産をもらう人
    • 遺言等で財産をもらう孫

ちなみに代襲相続によって孫が相続人になる場合は相続する場合には2割加算は適用されません。

※代襲相続

例えば、親をA、その子をB、Bの子、つまりAの孫をCとします。

多くの場合、相続関係は、Aが亡くなった際の財産をBが相続し、その後、Bが亡くなった際の財産をCが相続するという流れになります。

しかし、場合によってAよりもBの方が先に亡くなってしまうこともあります。

その場合、CがBの代わりにAの財産を相続できるのが「代襲相続」です。

この場合、Bを「被代襲者」、Cを「代襲者(代襲相続人)」とよびます。

代襲相続のイメージ

いかがでしたでしょうか?相続税の計算の流れはご理解いただけたかと思います。

それでは、具体的に事例に沿って相続税の計算を確認していきましょう。

事例に沿って
相続税を
計算してみよう

それでは事例でみていきます。

課税遺産総額は5200万円、相続人として亡くなった方の配偶者(妻)、子供2人(長男・次男)がいるケースでは、遺産分割は、配偶者(妻)が4000万、子供がそれぞれ600万円ずつ相続するとして相続税がそれぞれいくらかかるか?見ていきます。

STEP.01 法定相続分を確認する

法定相続分は配偶者と子供2人ですので、それぞれ下記のとおりになります。

長男 次男
妻 長男 次男
2分の1 4分の1 4分の1

実際に取得する相続財産額とは異なりますが、まずは各相続人が法定相続分で相続したものとしたものとして課税遺産総額を割り振ります。

STEP.02課税遺産額を法定相続分で割り振る

長男 次男
妻 長男 次男
5200万円×2分の1=2600万円 5200万円×4分の1=1300万円 5200万円×4分の1=1300万円

STEP.03 相続税の速算表から税額を計算

上で計算した各人の相続税額をもとに、相続税の具体的金額を計算していきます。

相続税の速算表とは、課税遺産総額の金額によって異なる相続税を計算する一覧表で、一部を抜粋すると以下のようになっています。

課税遺産総額 相続税率 控除額
1,000万円超
3,000万円以下
15% 50万円
3,000万円超
5,000万円以下
20% 200万円
5,000万円超
1億円以下
30% 700万円

この速算表に従って、法定相続分により取得する財産に対する相続税額を計算すると以下のようになります。

妻の
相続税額
長男の
相続税額
次男の
相続税額
妻 長男 次男
2600万円×相続税率15%-控除額50万円=340万円 1300万円×相続税率15%-控除額50万円=145万円 1300万円×相続税率15%-控除額50万円=145万円

STEP.04 相続税の総額を計算する

相続人がそれぞれ法定相続分で相続したものとして計算した相続税額を合算して相続税の総額を計算します。

妻 長男 次男 お金
妻340 万円+ 長男145万円+ 次男145万円= 630万円

今回の事例でいいますと、妻340万円、長男145万円、次男145万円を合算して相続税総額が630万円になってきます。

STEP.05 相続人が実際に相続する財産額の割合に応じた相続税額を計算する

今回の事例では、課税遺産総額は5200万円、遺産分割協議で、妻4000万円、長男600万円、次男600万円で相続しますので、相続人それぞれが取得する相続財産割合に応じて相続税の総額を按分して、個々の相続人の相続税を計算します。

それぞれの相続人が取得することになる相続財産

妻の
相続財産
長男の
相続財産
次男の
相続財産
妻 長男 次男
4000万円 600万円 600万円

相続税の総額が630万円ですので、各相続人が相続する財産の負担割合で按分し、それぞれの相続税額を計算します。

各相続人の相続税額を計算

妻の
相続税額
長男の
相続税額
次男の
相続税額
妻 長男 次男
630万円×4000万円/5200万円=484万 630万円×600万円/5200万円=72万 630万円×600万円/5200万円=72万

これが各相続人が実際に納付する相続税額ということになります。

STEP.06 各相続人の相続税納付額を計算する(相続税の2割加算、税額控除)

ただし、配偶者は被相続人の相続財産を取得した際、「配偶者の税額軽減」の制度を適用できますので、法定相続分が1億6,000万円までの金額であれば非課税になります。

今回のケースでは相続人に配偶者がいるため配偶者の税額軽減を適用します。(それ以外の税額控除はないものとします)

妻の
相続税額
長男の
相続税額
次男の
相続税額
妻 長男 次男
484万
⇒配偶者の税額軽減の
適用により 0円
72万 72万

また、相続税には税額控除の制度や一親等の血族及び配偶者以外が相続人の場合には、算出した相続税額の20%相当額を加算する「相続税の2割加算」といった制度があります。

相続税計算シミュレーション

次のステップ1、ステップ2の情報を入力することで、相続税の概算計算を自動で行うことが出来ます。計算が苦手の方はこちらの相続税計算シミュレーションをお使いください。

相続税簡単計算

相続人人数と財産額を入れるだけで簡単にシミュレーションできます!

ステップ1法定相続人の入力

配偶者の有無
子供

ステップ2財産額の入力

合計額
万円

(入力例)1億3千万円の場合"13000"とご入力ください。

※当シミュレーションは、各法定相続人が法定相続分で相続するものとして算出した概算の相続税額を表示します。参考数値としてお考えください。
※Javascriptを利用しています。ご利用環境における動作の保証は致しかねます。
※平成27年1月1日以降の税制に基づき計算しております。
※当シミュレーションはあくまで概算税額の算出です。シミュレーション結果を利用したことで生じた不利益や損害等に関しましては、弊社では責任を負いかねますのでご了承ください。

相続税計算結果

あなたの納税額は0円です

配偶者は配偶者控除につき0円です

法定相続人
1人 【 配偶者 |
財産総額
1000万円
基礎控除額
3600万円
課税遺産
0円

※当シミュレーションは、各法定相続人が法定相続分で相続するものとして算出した概算の相続税額を表示します。参考数値としてお考えください。
※Javascriptを利用しています。ご利用環境における動作の保証は致しかねます。
※平成27年1月1日以降の税制に基づき計算しております。
※当シミュレーションはあくまで概算税額の算出です。シミュレーション結果を利用したことで生じた不利益や損害等に関しましては、弊社では責任を負いかねますのでご了承ください。

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3-1.まとめ

このように、相続税の計算はいくつかのステップを踏む必要があるため、それぞれの過程を間違いのないよう慎重に計算していかなければなりません。

これから相続に関する手続きを行う予定の方、「相続税がかかる?」「どれくらいかかるのか?」を知るため相続税の試算をしたい方は是非、参考にしてみてください。

また、相続サポートセンターに相続税に関することを無料相談、無料試算を行っています。

以上、相続税の基本的な計算方法を解説させていただきました。

実際に相続税を計算するときには、相続財産の評価(不動産が遺産に含まれる場合などに問題となります)などを巡って複雑な計算が必要になることがありますので、遺産の金額が大きい場合には税理士に相談してアドバイスをもらうのが適切です。

相続税の申告と納付には期限がありますから、期限後の納付となってしまわないよう早めに手続きを進めていくことが大切です。

 

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