相続税の計算方法と流れ-自分でできる相続税計算ガイド

  1. 1.相続税はどうやって計算するのか
    1. 1-1.正味の相続財産の計算
    2. 1-2.現金預貯金、有価証券などの場合
    3. 1-3.路線価による土地評価方法
    4. 1-4.評価倍率法による土地評価方法
    5. 1-5.借地権の評価方法
    6. 1-6.小規模宅地等の特例とは
    7. 1-7.建物の評価方法
    8. 1-8.生命保険の評価方法
    9. 1-9.ゴルフ会員権の評価方法
    10. 1-10.書画・骨董品の評価方法
    11. 1-11.家庭用財産の評価方法
    12. 1-12.相続税の基礎控除額の計算
    13. 1-13.課税遺産総額の計算
    14. 1-14.相続税を計算する
  2. 2.相続税計算のポイント
  3. 3.事例に沿って相続税を計算してみよう
    1. 3-1.法定相続分を確認する
    2. 3-2.課税遺産額を法定相続分で割り振る
    3. 3-3.相続税の速算表から税額を計算する
    4. 3-4.相続税の総額を計算する
    5. 3-5.相続人が実際に相続する財産額の割合に応じた相続税額を計算する
    6. 3-6.各相続人の相続税納付額を計算する(相続税の2割加算、税額控除)
  4. 4.相続税の税額控除
    1. 4-1.配偶者の税額軽減(配偶者控除)
    2. 4-2.障害者控除・未成年者控除
    3. 4-3.相次相続控除
    4. 4-4.直近で贈与していたら「贈与税額控除」
    5. 4-5.相続税の外国税額控除
  5. 5.相続税が1.2倍かかる人
  6. 6.相続税自動概算シミュレーション
    1. 6-1.まとめ

[このページは平成30年4月1日現在の法令を参考に作成しています]

身内が亡くなって、相続が発生したけれど、相続税がいくらかかるか分からない、計算できないというお悩みはありませんか?

相続税を計算するためには、亡くなった人の遺産をきちんと把握しなくてはなりません。遺産が把握できても、

・不動産をどう計算すればいいか分からない

・亡くなる前に引き出した預金を含めるのか含めないのか分からない

など金額を計算するのに意外と手間取るポイントがたくさんあります。
このページでは、相続税の計算手順をわかりやすく解説していきます。

また、このページの最後に相続税を自動で概算できるシミュレーションがありますので、こちらもご活用ください。

相続税はどうやって計算するのか

相続税の計算は、まず亡くなった人の遺産の総額から基礎控除を差し引き、その金額に税率をかけて計算します。

亡くなった人の遺産の総額が基礎控除より少ない場合は、相続税はかかりません。くわしくは、相続税の基礎控除のページでご確認ください。

ただ、遺産の総額を計算したり、税率をかけたりする部分には専門的なルールがたくさんあります。次の順番に分けて、解説していきます。

正味の相続財産の計算

財産を所有している人が亡くなった時、財産は死亡した本人の家族が相続することになります。
相続の対象財産は、プラスの財産(資産)とマイナスの財産(借金)も含まれます。

プラスの財産

金融資産現金・預貯金・有価証券(公社債、上場株式、投資信託等)
不動産家屋(貸家も含む)・宅地(貸家建付地も含む)・山林・農地等
不動産上の権利借地検・地上権等
動産自動車・家財・黄金属・宝石・骨董品等
その他ゴルフ会員権・リゾート会員権・特許権・著作権・商標等

マイナスの財産はプラスの財産から差し引くことができ、これを「債務控除」といいます。それでも借金が多い時は、相続放棄と限定承認というような手法を考えましょう。

マイナスの財産

借金住宅ローンなどの借入金、未払い金など
保証債務保証人、連帯保証人としての地位
公租公課滞納している所得税、住民税、固定資産税、税金など
葬式費用通夜や葬儀社、寺などに支払った一般的な葬式費用一式※香典返しや初七日、四十九日等の法要費用は除外
その他損害賠償責務など

ほか相続財産には、みなし相続財産非課税財産があります。
みなし相続財産とは、被相続人が亡くなった後に遺族に支払われる死亡退職金や死亡保険金などのこと。
被相続人の固有財産ではないが、実質的に相続財産とみなされます。

みなし相続財産

死亡保険金生命保険金、損害保険金などが相続人に本人へ支払われた場合のみ非課税枠の適用を受けられる
死亡退職金退職金や功労金、これに準ずる給与等で、被相続人の死亡後、3年以内に確定したもの。非課税枠の適用有
その他生命保険契約に関する権利、定期金に関する権利など

一方、仏壇や墓地・墓石などは非課税財産です。

非課税財産

日常礼拝をしているもの生前、所有していた墓地や墓石、仏壇、仏具等 ※純金製の仏壇や骨董品など高額なものは除く
寄付財産相続税の申告期限までに国または地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定法人に寄付したもの
公益事業用の財産寺社の境内地など、公益を目的とする事業に使われることが確実なもの

このほか、気をつけたいのが贈与財産。
被相続人が亡くなった日から起算して3年前以内に贈与された財産は、相続財産とみなされます。

贈与財産

贈与税がかかる贈与財産被相続人が亡くなった日から起算して前3年以内に贈与された財産

被相続人が亡くなる前3年以内に贈与された財産、また生前に相続時精算課税制度を活用して贈与を行った場合には、生前に贈与してもらった財産を相続時に持ち戻し、相続財産に含めて相続税を計算していきます。

※相続時精算課税

相続時精算課税制度とは、相続発生前に贈与の形で財産を渡しておくことで、財産分配をスムーズに行う方法のことです。
具体的には、贈与をした際に税務署に届出を行うと、2500万円までの贈与であれば非課税にできるのです。

 

相続財産

相続財産まとめ 線

相続税が
かかる財産

非課税財産
(相続税がかからない財産)

債務
(マイナスの財産)

相続財産まとめ 線

本来の相続財産
(プラスの相続財産)

みなし相続財産

相続税がかかる
贈与財産

相続財産まとめ 線

相続開始前3年
以内の贈与財産

相続時精算課税
による贈与財産

相続財産

相続財産まとめ 線

相続税が
かかる財産

非課税財産
(相続税がかからない財産)

債務
(マイナスの財産)

相続財産まとめ 線

本来の
相続財産
(プラスの相続財産)

みなし
相続財産

相続税が
かかる
贈与財産

相続財産まとめ 線

相続開始前
3年以内の
贈与財産

相続時
精算課税
による
贈与財産

※相続財産まとめ


 

正味の相続財産計算

相続税は、このプラスの財産とマイナスの財産を差引きした「正味の相続財産」に課税されます。そのため、プラスの財産とマイナスの財産の金額を確定しなくてはなりません。

    正味の遺産額(相続財産)の計算方法
  • プラスの財産
  • ●預金、預貯金
  • ●株式、国債
  • ●土地、建物など
  • マイナスの
    財産
  • ●葬儀費用
  • ●ローン
  • ●未払い金
    など
  • みなし
    相続財産
  • ●死亡保険金
  • ●死亡退職金
  • 3年以内の贈与財産
  • 相続時精算課税財産

  • 正味の
    遺産額

    正味の遺産額(相続財産)の計算方法
  • プラスの財産

  • ●預金、預貯金

  • ●株式、国債

  • ●土地、建物など

  • マイナスの財産

  • ●葬儀費用

  • ●ローン

  • ●未払い金など

  • みなし相続財産

  • ●死亡保険金

  • ●死亡退職金

  • 3年以内の贈与財産

  • 相続時精算課税財産

  • ❘❘

    正味の遺産額

例えば、亡くなった方の財産の内訳が銀行預金2億円、借金6000万円が残されている場合、正味の相続財産は1億4000万円(2億円-6000万円)ということになります。
 

相続財産の評価方法

相続税がいくらかかるかというのは、相続財産の評価額がいくらかにかかってきます。各財産の評価方法を見てみましょう。

現金預貯金・有価証券等の場合

現金・預貯金は、相続発生時点での評価価格で考えればよいのでシンプルです。
ただ、有価証券の場合、株式は上場株式と非上場株式で異なります。

上場株式は、日々の終値や月平均値を基準にしています。投資信託は、相続開始日(被相続人の死亡日)に、解約請求や買取請求を行った際の支払い額が評価額になります。
非上場株式は、取引相場がないため会社規模等で評価方式が変わってきます。

資料準備:相続人が証券会社や金融機関に残高証明書(または評価証明書)を請求する

上場株式(証券取引所に上場されている株式のこと)の場合

被相続人が死亡した日を基準にして、右記の4つの数値を算出

  • ①死亡日の最終価格
  • ②死亡月の最終価格の平均額
  • ③死亡前月の最終価格の平均額
  • ④死亡前々月の最終価格の平均額

①~④の中で最も低い価格評価額になる

投資信託などの場合

相続開始日(被相続人の死亡日)に解約請求または買い取り請求を行ったとした場合に、支払いを受けることができる価格が表価額になる

路線価による土地評価方法

市街地の宅地は「路線価方式」という評価方式がとられています。これは宅地が面している道路の価格を基準にして評価額を計算する方法です。

路線価の一覧図の「路線価図」を税務署で調べることができ、インターネットにも公開されています。しかし、すべての土地において、路線価図の価格を使用できるわけではなく、土地の立地や形状などの各土地の条件を加味し、決められた計算式を使い、補正を加えて算出します(「画地調整」)。

路線価方法

路線(道路のこと)に面する標準的な宅地の1㎡あたり1,000円単位の評価額は国税庁によって決められています。路線価に土地面積をかけて土地価格を計算できます。路線価は、毎年7月頃に国税庁が公表しています。

路線価図例

※路線価図例

30万円×100㎡3,000万円

路線価図にある「300C」の「300」が路線価。1㎡あたり1,000円単位なので、この場合の路線価は30万円。計算すると、評価額は3,000万円となる。

評価倍率法による土地評価方法

路線価がない地域は、「倍率方式」を使って評価します。
倍率方式を使う場合、宅地の固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて、価額を算出します。
倍率についても決まっており、税務署での閲覧、あるいはインターネットで調べることもできます。

固定資産税評価額×倍率評価額
※倍率方式による評価額の計算式

路線価方式、倍率方式ともに自用地(自分で自由に使える土地)でない土地は、計算方法が変わることに注意が必要です。

借地(人から借りている土地)の場合、自用地評価額に借地権の割合をかけて算出します。
逆に貸地(人に貸している土地)の場合、自用地の評価額から、借地権の価額を引いて計算します。

借地権の評価方法

借地権の評価額は下記の計算式で求められます。

  • 借地家の評価額
  • 土地の更地としての評価額×借地権割合

事例でみていきましょう。

  • 例:更地の評価額が1億円、借地権割合が70%の土地の場合
  • 借地権の評価額は1億円×70%=7000万円となります。
    借地権割合は、地価の高い商業地ほど高くなります。東京の住宅地では60%~70%、商業地では80%~90%程度が多くなっています。相続の場合、名義書換料や承諾料を地主に支払う必要はありません。


古尾谷 裕昭

税理士:古尾谷 裕昭

土地の評価額=税額を下げる方法もあります

相続で節税対策するなら、土地の評価を下げることが効果的です。家屋の評価額は固定資産税の評価額になるため、あまり高くなりませんが、土地は立地条件などによっては高額な評価になることがあるからです。土地は路線価等を基準に評価していきますが、二路線以上に道路に接していれば価格が高くなります。反対に、減額要素としては、土地の形状がいびつ、間口が狭い、崖地、道路の中心から2m後退して建物を建てないといけないセットバックなどがあり、土地の状況によって評価額を下げることができます。税理士であっても土地の評価は難しい項目ですが、逆にどれだけ評価額を下げることができるかといった腕の見せ所でもあります。

古尾谷 裕昭

税理士:古尾谷 裕昭

土地の評価額=税額を下げる方法もあります

相続で節税対策するなら、土地の評価を下げることが効果的です。家屋の評価額は固定資産税の評価額になるため、あまり高くなりませんが、土地は立地条件などによっては高額な評価になることがあるからです。土地は路線価等を基準に評価していきますが、二路線以上に道路に接していれば価格が高くなります。反対に、減額要素としては、土地の形状がいびつ、間口が狭い、崖地、道路の中心から2m後退して建物を建てないといけないセットバックなどがあり、土地の状況によって評価額を下げることができます。税理士であっても土地の評価は難しい項目ですが、逆にどれだけ評価額を下げることができるかといった腕の見せ所でもあります。

※小規模宅地等の特例は

小規模宅地等の特例は、被相続人(亡くなった人)の自宅や事務所、店舗など、事業用に使用していた宅地の評価額を大幅に下げることが可能な措置のことです。不動産の評価額を下げることで、結果として算出される税額も下がります。

小規模宅地等の特例をあてはめることができる宅地には、大まかに分けて3種類のタイプがあります。

1. 特定居住用宅地等

被相続人が住んでいた自宅の土地、被相続人と生計を一つにする親族が住んでいた宅地がこれにあたります。
相続した人が被相続人の配偶者であれば、何ら要件なしにこの特例の適用を受けることができます。他の親族でも受けられる場合がありますが、やや要件が厳しくなり「同居の親族」もしくは「同居でなければ被相続人に配偶者がおらず、相続人自身に過去3年、自分や配偶者名義の家がない」などの要件を満たさなければならないと定められています。
この要件に該当すれば、自宅の敷地330㎡まで相続税評価額を80%減額することができます。
特定居住用宅地等の評価額イメージ図(自宅敷地)

※特定居住用宅地等の評価額イメージ図(自宅敷地)

2. 特定事業用宅地等

被相続人や生計を一つにする親族の事業に使われていた宅地のことです。被相続人がオーナーになっている会社などが使っていた宅地であっても、「特定同族会社事業用宅地」として特例の対象になります。
この要件に該当すれば、店舗の敷地400㎡まで相続税評価額を50%減額することができます。
特定居住用宅地等の評価額イメージ図(店舗敷地)

※特定居住用宅地等の評価額イメージ図(店舗敷地)

3. 貸付事業用宅地等

被相続人や生計を一つにする親族が貸付事業に使っていた宅地のことです。

この要件に該当すれば貸家の敷地200㎡まで相続税評価額を50%減額することができます。

貸付事業用宅地等の評価額イメージ図

※貸付事業用宅地等の評価額イメージ図

小規模宅地等の特例は上手に使えば節税に非常に有効です。しかし、「居住していた住人」「取得する人」「面積」など、利用の際の要件が複雑です。税務署や税理士などに相談し慎重に判断するようにしましょう。

建物の評価方法

家屋の価額は、固定資産税評価額が評価額となります。
固定資産税評価額は毎年、市区町村から送付されてくる固定資産税の納税通知書にある課税明細書からも把握することが出来ます。
課税明細書に記載のある「価格」のところが固定資産税評価額となります。

なお、貸家は自用家屋の60%または70%の評価になります。相続財産の評価によって相続税の金額が変わるだけでなく、相続税申告の要否も決まってくる場合があるため、各種計算は慎重に行わなくてはなりません。

生命保険の評価方法

被相続人が保険料を払っていた生命保険は、掛け捨て以外の保険が対象になります。生命保険をかけていたご主人が亡くなり奥様が保険金を受け取った際は、みなし相続財産対象の死亡保険金として相続税の対象になります。

死亡保険金については「500万円×法定相続人の数」で算出された金額が、相続税の非課税分になります。

受け取った死亡保険金

生命保険の評価額
非課税限度額

非課税限度額=500万円×法定相続人の数

非課税額の範囲内であれば相続税の課税はされません。

受け取った保険金額から非課税額を差し引いた金額が生命保険の評価額となります。

500万円法定相続人数生命保険金の非課税枠

(例)相続人が4人の場合
500万×4人=2,000万円
生命保険金2,000万円までは非課税となります。

生命保険金の非課税枠の計算例

また、奥様に生命保険をかけていたご主人が亡くなられて奥様が生命保険会社からお金を受け取った場合は、解約返戻金相当額が相続税の課税対象となります。

ゴルフ会員権の評価方法

ゴルフ場の会員権の多くは、取引相場があり、譲渡可能な預託金制の権利のため、相続財産に含まれます。取引相場の存在するゴルフ会員権の評価額は、相続発生日の取引価格の70%になります。
相続財産の評価は、買い相場の取引価格になります。ゴルフ会員権の売買業者で価格が大きく異なる場合があるため、複数業者の提示取引価格の平均額を採用することが一般的です。

書画・骨董品の評価方法

国税庁の通達においては「精通者」と表現されてますが、骨董品や美術品を扱っている店や鑑定家に依頼することになります。鑑定対象が本物かどうかや保存状態などで価値が決まりますが、鑑定をする人の権威や信頼度などによって異なることが多いと言われています。鑑定料が多くかかってしまいますが、複数の鑑定を依頼したほうが良いでしょう。

家庭用財産の評価方法

相続財産に含まれている動産も、すべて課税対象になります。

自動車や船舶、金・プラチナ等の貴金属、ブランド品やアクセサリー、骨董品、書画、美術品、エアコンや洗濯機などの家電、家具、農機具、電話加入権、書籍や書類なども家庭用財産となります。
こういったものは故人の生活や趣味が色濃く表れているものが多いため、財産価値という観点から見ると、価値の高くないものも多くといえます。


三ツ本 純

税理士:三ツ本 純

経験と知識で差が出る財産評価

課税遺産総額を計算するうえで必要になるなのが、相続財産の把握、つまり、それぞれの財産を適切に評価しなければなりません。
特に非上場株式や土地の評価については、それぞれのケースに適した評価を行うことが求められるため、どう評価するかが節税のポイントにもなってきます。
そのため、税理士のなかでも相続に精通している税理士とそうでない税理士とでは、評価金額が何千万と変わってくることまであり、納税額も大きく変わります。
こうしたことも含めて考えると、ご自身で相続税の申告を行うこともできますが、相続に詳しい税理士にご相談することをお勧めします。

三ツ本 純

税理士:三ツ本 純

経験と知識で差が出る財産評価

課税遺産総額を計算するうえで必要になるなのが、相続財産の把握、つまり、それぞれの財産を適切に評価しなければなりません。
特に非上場株式や土地の評価については、それぞれのケースに適した評価を行うことが求められるため、どう評価するかが節税のポイントにもなってきます。
そのため、税理士のなかでも相続に精通している税理士とそうでない税理士とでは、評価金額が何千万と変わってくることまであり、納税額も大きく変わります。
こうしたことも含めて考えると、ご自身で相続税の申告を行うこともできますが、相続に詳しい税理士にご相談することをお勧めします。

マイナスの主な財産(相続税の債務控除)

相続財産は、不動産・預貯金等のプラス財産ではなく、借入金や未払い金等のマイナスの財産も同時に引き継ぎます。相続税の計算をする際は、プラス財産からマイナス財産を控除でき、これを債務控除といいます。
被相続人が亡くなられた日(相続開始日)を基準とし、相続開始日時点で確定しており未払いのもの、もしくは相続開始日以降に相続人が支払ったものが対象になります。
また、相続放棄をした方や欠格・排除で相続権を失った方の債務は、債務控除の対象外となります。しかし、遺贈で財産を取得した場合、葬式費用を負担した際は、葬式費用を相続財産から差し引くことができます。

①債務、公租公課

被相続人が亡くなった日の時点で未払いとなっている借入金・未納の税金(延滞税・加算税等は除外)等

【債務控除の対象となるもの】

  • ・各種ローン、借入金等
  • ・水道光熱費等
  • ・未納の税金(延滞金、加算税等は除く)
  • ・アパートなどの預かり敷金

【債務控除の対象にならないもの】

  • ・墓地購入の費用、非課税財産にかかる債務等
  • ・弁護士に対する遺言執行報酬や税理士報酬
  • ・物納等の為の土地測量費用等
  • ・保証債務
②葬式費用

被相続人の葬式費用やその他葬式に伴う費用

【葬式費用の対象となるもの】

  • ・仮葬式・本葬式の費用
  • ・お寺等に支払うお布施、戒名料等
  • ・通夜、葬儀の為に要した飲食代等
  • ・遺体・遺骨の捜索、運搬などに要した費用

【葬式費用の対象とならないもの】

  • ・香典返し費用
    (常識的な範囲の金額の香典は非課税となります。返戻である香典返しは控除対象になりません)
  • ・墓石、墓地の購入費用
  • ・法要にかかる費用
    (初七日、四十九日等の法要にかかる費用は対象外です)

相続税の基礎控除額の計算

相続税は、一定額以上の相続財産に対して課税されます。

この相続税がかかる基準が「相続税の基礎控除額」です。

相続税は、正味の相続財産から基礎控除額を引いた金額に対して、課税されます。「正味の相続財産相続税の基礎控除額」となっている場合、相続税の発生や相続税の申告も必要ありません。

改正点のところでも説明しましたが、この基礎控除額がいくらになるかで相続税がかかるかどうかの最初の目安となってきますので、再度詳しく説明します。

相続税の基礎控除額は、下記の計算になります。

基礎控除額

3,000万円法定相続人の数600万円

※相続税基礎控除額の計算式

たとえば、父親が亡くなり、母親と子3人が相続人になる場合、法定相続人は4人です。その場合、基礎控除は3000万円+600万円×4人で5400万円になります。

この事案は、遺産総額が5400万円以下の場合、相続税はかかりません。それを超えるときは、超える部分に対して相続税が課税されます。

法定相続人の数に応じた基礎控除額一覧

法定相続人の数基礎控除額 (単位:万円)
1人3,600
2人4,200
3人4,800
4人5,400
5人6,000
6人6,600
7人7,200

課税遺産総額の計算

正味の相続財産と相続税の基礎控除額を把握できたら、次に「課税遺産総額」を計算します。(計算式は以下のようになります。)

正味の相続財産相続税の基礎控除額課税遺産総額
※課税遺産総額の計算式

2でも少し解説させていただいた通り、正味の相続財産の金額が相続税の基礎控除の金額を下回っている場合(正味の相続財産<相続税の基礎控除額)、相続税の金額は0円ということになります。

例えば、
正味の相続財産が3000万円、相続人数3人のとき、課税遺産総額は以下のようになります。
3000万円 - (3000万円 + 600万円×3人)= 0円未満※相続税は発生しません

一方、正味の相続財産が1億円ある場合、課税遺産総額は以下になります。

1億円(3,000万円+600万円×3人)5,200万円

相続税を計算する

(1) 相続税特有の税額計算の仕組み

相続税の計算は、法定相続人が法定相続分で遺産を分割したものとして算出した各人の相続税を合計し、その相続税の総額を各相続人が実際に財産を取得した割合に応じて負担することになります。

課税遺産総額

×

(法定相続人の法定相続分)

法定相続分に応ずる
取得金額

×

税率

算出税額

法定相続分に応ずる
取得金額

×

税率

算出税額

法定相続分に応ずる
取得金額

×

税率

算出税額

相続税の総額

×

(按分割分)

各相続人の税額

各相続人の税額

各相続人の税額

課税遺産総額

×

(法定相続人の法定相続分)

法定相続分に応ずる
取得金額

×

税率

算出税額

法定相続分に応ずる
取得金額

×

税率

算出税額

法定相続分に応ずる
取得金額

×

税率

算出税額

相続税の総額

×

(按分割分)

各相続人の税額

各相続人の税額

各相続人の税額

※相続税特有の税額計算の仕組み図

具体的に相続税額の計算をみていきましょう。

課税遺産総額の金額が計算後、相続人となる人それぞれが法定相続分※で取得したものとみなして相続税額を計算し、総額をまず計算します。
この相続税の総額を、各相続人が実際に取得する相続分に応じて、按分してそれぞれの相続税額を計算します。

最後に、各相続人の相続税額から税額控除を適応した残額が、それぞれの相続税納付額となります。

法定相続分というのは、法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)の誰に、どれだけ相続分があるのかということを決めた民法のルールのことです。民法の基本的な考え方としては、配偶者は被相続人(亡くなった人)の財産を形成することに貢献しており、被相続人が死亡した後もその生活をある程度保障しなければならないという観点から、離婚や死別などしていなければ無条件に相続人になりますし、その相続分も他の立場の相続人より多く定められています。

極端な話をすれば、結婚して1日しか経たずに被相続人が死亡した場合でも、配偶者の相続分は50年連れ添った人と同じなのです。こういった背景から、高齢者の再婚がその子供によって反対される事例も珍しくありません。

法定相続人は基本的な親族の相続分を定めたものではあるものの、決してその通りでなければならないということではなく、たとえば遺言書で法定相続分と異なる相続分を定めてもかまいませんし、遺産分割協議が成立すれば結果的に法定相続分と異なる割合になったとしても違法ではないのです。実際、ほとんどの家庭では遺産分割協議を行って法定相続分と異なる割合で相続しているのが実情でしょう。

(2)相続税の税率

相続税は、相続財産が多くなると税率が高くなる累進課税になります。相続税の課税標準金額は、正味の相続財産額から相続税の基礎控除額を引いた金額となります。

相続税の課税標準税率控除額
1000万円以下10%
3000万円以下15%50万円
5000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1700万円
3億円以下45%2700万円
6億円以下50%4200万円
6億円超55%7200万円

※「将来的に相続が発生するとき、相続税を払うか、生前贈与をして贈与税を払うか?」は、節税を考えるときに重要なテーマです。

相続税、贈与税ともに最大税率は55%にもなるため、2つの税金の計算方法を理解しておくことが大切です。

法定相続分は相続人のケースによって以下のように定められています。

① 相続人が配偶者の場合

法定相続分は、配偶者が1/2、子が1/2となります。子が複数いる場合は子の1/2をそれぞれ按分します。

② 相続人が配偶者直系尊属の場合

法定相続分は、配偶者が2/3、直系尊属が1/3となります。直系尊属が複数いる場合(父と母など)は、1/3をそれぞれ按分します。

③ 相続人が配偶者兄弟姉妹の場合

法定相続分は、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4となります。兄弟姉妹が複数いる場合は、1/4をそれぞれ按分します。

④ 相続人が配偶者のみの場合

相続人が配偶者のみの場合は、配偶者がすべての財産を受け継ぎます。

⑤ 被相続人に配偶者がいない場合

相続人が子のみ、直系尊属のみ、兄弟姉妹のみの場合、相続人となった者がすべての遺産を受け継ぎます。複数いる場合は人数で按分します。

代襲相続の場合

代襲相続の法定相続分は、本来の相続人の相続分と同じです。代襲者(代襲相続で相続人となる人)が複数いる場合は、その相続分を按分します。
※ 配偶者は必ず法定相続人になり、相続分を持ちます。
※ 非嫡出子の相続分は嫡出子の1/2となります。
※ 子供が養子であっても実子と同じ法定相続分となります。
※ 相続放棄した人は、はじめから相続人とならなかったものとみなされます。

相続税計算のポイント

相続税の計算において大切なのは、

・相続人は誰か?各相続人の法定の取り分はいくらか?
・すべての相続財産を把握できているか?

の2点です。このポイントが間違っていると、相続税が正しく計算できませんので、確実にチェックしましょう。

1 相続人は誰か?各相続人の法定の取り分はいくらか?

誰が相続人になって誰がどれだけもらえるのかについて疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。具体的に法定相続人(民法で相続人になると決まっている人)と法定相続分(民法で決まった相続分)を確認して相続税の計算に誤りがないようにしましょう。

法定相続人


※相続人パターン図1

被相続人に配偶者が含まれている場合は、配偶者が相続人になります。配偶者に子どもがいる場合は、子どもも相続人となります。


※相続人パターン図2

被相続人が独身でかつ子供がいない時は、第2順位の両親が相続人になります。両親が死亡しているとき、祖父母が相続人になります。

※相続人パターン図3

被相続人が独身でかつ子供がいない時は、両親も祖父母が死亡しているとき、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。

相続人について、法律的な分類として、次の4つを挙げることができます。

  • 配偶者は常に相続人となる
  • 配偶者以外の相続人には順位がある
  • 同じ順位の人は全員が相続人となり、相続割合は平等
  • 遺言がある場合には遺言内容が優先する

相続人が誰か?というのは遺産分割を考える上でも、遺言を作成する際にも重要ですが、相続人の人数は相続税の計算においても相続税の基礎控除額の計算に影響してきますので誤りのないようしっかり確認していきましょう。

法定相続分

複数の相続人がいる場合、相続割合は、次の3パターンがあります。

  • ①配偶者+子供(直系卑属)の時
  • 配偶者と子(直系卑属)が相続人になる場合、配偶者の相続割合も子の相続割合も2分の1となります。
  • ②配偶者+父母(直系尊属)の時
  • 配偶者と父母(直系尊属)が相続人となる場合には、配偶者の遺産分割割合が3分の2、父母の相続割合は3分の1となります。
  • ③配偶者+兄弟姉妹の時
  • 死亡した人の配偶者と兄弟姉妹が相続人となる時は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分のので遺産を相続できます。

遺産の分割は、法定相続分で必ずしなければならないということではありませんが、法定相続分は遺産分割の目安になる重要な割合であるとともに相続税の総額の計算に影響してきます。
相続税の計算においては、法定相続分で分割したものとして相続税の総額を計算していきますので間違えられないところです。

2 すべての相続財産を把握できているか?

相続税の計算は相続財産の価額(「相続税評価額」という)を元に課税されますので、まずは相続税の課税対象となる相続財産がどれだけあるかを把握することが重要になってきます。

相続財産を把握するための進め方

まずは、すべての相続財産のリストアップから始めます。

相続対象の財産はプラスの財産(資産)とマイナスの財産(つまり借金)が含まれます。金融資産や不動産、その他財産といったプラスの財産から、死亡保険金や死亡退職金といったみなし相続財産や葬儀費用、借入金残金といったマイナスの財産の差引になります。

財産の中には相続税が非課税となる財産もあります。まずは、財産をリストアップし、「財産目録」を作成することで、相続財産の一覧を正確に把握していくことができます。

財産目録 見本

財産目録サンプル


財産目録サンプル

———–画像タップで拡大———–

※財産目録サンプル

次に、各相続財産の評価額を計算していきますが、不動産のような金額が大きくなりそうなものから先に把握し、他の財産の概算額と合計してみて基礎控除を超えれば相続税の申告義務があるため、次に個々の財産を細かく見ていく、という手順がよいでしょう。

事例に沿って相続税を計算してみよう

事例に沿って相続税を計算してみよう
それでは事例でみていきます。

課税遺産総額は5200万円、相続人として亡くなった方の配偶者(妻)、子供2人(長男・次男)がいるケースでは、遺産分割は、配偶者(妻)が4000万、子供がそれぞれ600万円づつ相続するとして相続税がそれぞれいくらかかるか?見ていきます。

STEP.01
法定相続分を確認する

法定相続分は配偶者と子供2人ですので、それぞれ下記のとおりになります。

長男次男
妻長男次男
2分の14分の14分の1

実際に取得する相続財産額とは異なりますが、まずは各相続人が法定相続分で相続したものとしたものとして課税遺産総額を割り振ります。

STEP.02
課税遺産額を法定相続分で割り振る

長男次男
妻長男次男
5200万円×2分の1=2600万円5200万円×4分の1=1300万円5200万円×4分の1=1300万円

STEP.03
相続税の速算表から税額を計算

上で計算した各人の相続税額をもとに、相続税の具体的金額を計算していきます。
相続税の速算表とは、課税遺産総額の金額によって異なる相続税を計算する一覧表で、一部を抜粋すると以下のようになっています。

課税遺産総額相続税率控除額
1,000万円超
3,000万円以下
15%50万円
3,000万円超
5,000万円以下
20%200万円
5,000万円超
1億円以下
30%700万円

この速算表に従って、法定相続分により取得する財産に対する相続税額を計算すると以下のようになります。

妻の相続税額長男の相続税額次男の相続税額
妻長男次男
2600万円×相続税率15%-控除額50万円=340万円1300万円×相続税率15%-控除額50万円=145万円1300万円×相続税率15%-控除額50万円=145万円

STEP.04
相続税の総額を計算する

相続人がそれぞれ法定相続分で相続したものとして計算した相続税額を合算して相続税の総額を計算します。

妻長男次男お金
妻340 万円+長男145万円+次男145万円=630万円

今回の事例でいいますと、妻340万円、長男145万円、次男145万円を合算して相続税総額が630万円になってきます。

STEP.05
相続人が実際に相続する財産額の割合に応じた相続税額を計算する

今回の事例では、課税遺産総額は5200万円、遺産分割協議で、妻4000万円、長男600万円、次男600万円で相続しますので、相続人それぞれが取得する相続財産割合に応じて相続税の総額を按分して、個々の相続人の相続税を計算します。

それぞれの相続人が取得することになる相続財産

妻の相続財産長男の相続財産次男の相続財産
妻長男次男
4000万円600万円600万円

相続税の総額が630万円ですので、各相続人が相続する財産の負担割合で按分し、それぞれの相続税額を計算します。

各相続人の相続税額を計算

妻の相続税額長男の相続税額次男の相続税額
妻長男次男
630万円×4000万円/5200万円=484万630万円×600万円/5200万円=72万630万円×600万円/5200万円=72万

これが各相続人が実際に納付する相続税額ということになります。

STEP.06
各相続人の相続税納付額を計算する(相続税の2割加算、税額控除)

ただし、配偶者は被相続人の相続財産を取得した際、「配偶者の税額軽減」の制度を適用できますので、法定相続分が1億6,000万円までの金額であれば非課税になります。

今回のケースでは相続人に配偶者がいるため配偶者の税額軽減を適用します。
(それ以外の税額控除はないものとします)

妻の相続税額長男の相続税額次男の相続税額
妻長男次男
484万
⇒配偶者の税額軽減の適用により 0円
72万72万

また、相続税には税額控除の制度や一親等の血族及び配偶者以外が相続人の場合には、算出した相続税額の20%相当額を加算する「相続税の2割加算」といった制度があります。
次の章では、これら税額控除、相続税の2割加算について見ていく事にしましょう。


行政書士:三ツ本 純

法定相続分をしっかり確認!

相続税は、まず法定相続人が法定相続分を相続したものとして各法定相続人の税額を算出します。
各法定相続人の税額を合計したものが相続税の総額となります。たとえ、法定相続人以外に相続する人がいたとしても、相続税の総額を計算する際は無視されます。
ここがわかりにくい方が多いようですが、あくまでも税額の計算は法定相続したものとして計算するということです。
法定相続の確定は、金額等を間違えると計算に影響があります。法定相続人の数が多い、多様な法定相続人がいる、というような相続では法定相続分も間違いやすいため、しっかり確認しておきましょう。

行政書士:三ツ本 純

法定相続分をしっかり確認!

相続税は、法定相続人が法定相続分を相続したものとして各法定相続人の税額を算出します。
各法定相続人の税額を合計したものが相続税の総額となります。法定相続人以外に相続する人がいたとして相続税の総額を計算する際は無視されます。
わかりにくいのですが、税額の計算は法定相続したものとして計算するということです。
法定相続の確定は、金額等を間違えると計算に影響があります。法定相続人の数が多い、多様な法定相続人がいる、というような相続では法定相続分も間違いやすいため、しっかり確認しておきましょう。

相続税の税額控除

相続税の税額控除

相続税には相続税を減額できる税額控除の制度、また、相続人が一親等の血族及び配偶者以外の人で有る場合には、相続税の2割に相当する金額が加算される制度があります。

配偶者の税額軽減(配偶者控除)

亡くなった被相続人の配偶者が相続財産を取得した場合、配偶者が取得した相続財産にかかる相続税額が大幅に軽減される「配偶者の税額軽減」を適用することが可能です。配偶者は被相続人の財産形成や維持に貢献したと考えられるため、被相続人の亡き後も生活ができる様、多くの財産を残せるような配慮がなされています。ただし、配偶者には内縁関係にある妻や愛人は含まれず、法的に夫婦となった場合のみ、配偶者控除の対象になります。
配偶者控除を適用後、相続税額がゼロであっても相続税の申告書は、提出する必要があります。

    配偶者の相続税から控除できる額の計算式
    相続税の総額下記①と②のうち少ない金額配偶者税額軽減税
    相続税の課税価格の合計
    • ① 配偶者の法定相続分に相当する額(1億6,000万円未満のときは、1億6,000万円)

    • ② 配偶者が実際に取得した額(配偶者の課税価格)

    配偶者の法定相続分が3億円までは3億円、1億6,000万円以下は1億6,000万円の取得分が非課税になります。

障害者控除・未成年者控除

相続又は遺贈により財産を取得した者が障害者又は未成年者である場合には、それぞれ下記計算式によって求めた金額を控除することができます。

※引ききれないときはその未成年者または障害者を扶養する親族とされる相続人の相続税から控除することが出来ます。

【1】障害者控除

障害者 : 10万円 × (85歳 - その相続人の年齢)= 障害者控除額
特別障害者 : 20万円 × (85歳 - その相続人の年齢)= 障害者控除額

【2】未成年者控除

10万円 × (20歳 - その相続人の年齢)= 未成年者控除額

相次相続控除

一定期間内に立て続けに相続が発生することを相次相続といいます。
例えば、父が亡くなり配偶者である母が遺産を相続、さらにすぐに母が亡くなるような場合、相続が発生する度に相続税が課されるため、短い期間に同じ財産に対して相続税が課税されてしまいます。
この二重課税による税負担を防ぐため、短期間に相続が発生した場合、相次相続控除が適用されます。
相次相続控除における短期間とは、10年以内に続けて相続が発生した場合のことです。

1. 相次相続控除の計算
  • A:今回の被相続人が前回の相続時に取得した財産に課された相続税額
  • B:今回の被相続人が前回の相続時に取得した財産の価額
  • C:今回の相続により相続人と受遺者が取得した財産の総額
  • D:今回の相続でその控除対象者が取得した財産の価額
  • E:前回の相続から今回の相続までの年数(1年未満は切り捨て)

【適用要件】

  • 1 被相続人の相続人であること
  • 2 その相続の開始前10年以内に開始した相続により被相続人が財産を取得していること
  • 3 その相続の開始前10年以内に開始した財産について、被相続人に対し相続税が課税されたこと

直近で贈与して場合「贈与税額控除」

故人が亡くなる3年前までに、相続人が財産を贈与していた場合、すでに支払った贈与税を相続税から差し引かれる制度が「贈与税額控除」です。

故人が亡くなる1年前に故人の子供が1,000万円の贈与を受けた時、贈与税を納めていたとします。贈与税は「(贈与金額-基礎控除額)×金額に応じて決められた税率-決められた控除額」で算出します。

(贈与金額
– 基礎控除額)
金額に応じて
決められた税率
決められた
控除額
贈与税の金額
課税価格
贈与財産
合計額
基礎控除額
110万円
税率
控除額
贈与税額
※贈与税額の計算方法

贈与税率表

課税価格一般税率
(一般贈与財産)
特例税率
(特例贈与財産)
200万円以下10%10%
200万円超~300万円以下15%15%
300万円超~400万円以下20%
400万円超~600万円以下30%20%
600万円超~1,000万円以下40%30%
1,000万円超~1,500万円以下45%40%
1,500万円超~3,000万円以下50%45%
3,000万円超~4,500万円以下55%50%
4,500万円超~55%

この式で計算した場合
贈与税は、(1,000万円-基礎控除額110万円)×税率40%-控除額125万円=231万円になります。

この231万円を贈与税として、子供がいったん納付します。その後、故人が亡くなった際に5,000万円相続したとすると、他に相続人がいないとき、相続した5,000万円と贈与した1000万円を足して6000万円が相続税の課税対象の総額になります。

この金額をもとに相続税を計算すると
(課税する財産の総額6,000万円-基礎控除額3,600万円)×税率15%-控除額50万円=310万円になりますが、この金額からすでに納付した贈与税分を差し引きできます。

310万円-贈与税231万円=79万円が、実際に納付する相続税の金額となります。
贈与された財産金額は、相続開始時の財産ではなく、贈与された際の金額を相続財産にプラスします。

(注意点)
1 贈与税の基礎控除額110万円以下の財産も相続税の計算の際は加算されます。
2 相続開始前3年以内に贈与が合った場合のみ適用されます。

相続税の外国税額控除

相続あるいは遺贈により、日本国外の財産を取得した場合は、財産の所在地国の法令に日本の相続税に相当する税が課せられている場合、国内外で二重に課税される可能性があります。そこで、海外で徴収された相続税相当分については国内では徴収しないという制度です。

この制度は、納付した相続税相当額を国内の相続税額から控除する制度で、国家間の合意無く日本の課税を譲歩できる仕組みになっています。財産の所在地国によって相続税相当額の課税方法が異なるため、財産の所在地国毎に相続税相当額の算出をする必要があります。

海外で徴収された税額が国内の税率よりも高い場合、その財産においてはそれ以上の税金を納めることはありません。ただし、国内の財産については、食い込んで税額控除することはできません。

【適用要件】

  • 1 相続あるいは遺贈で取得した財産であること
  • 2 ①により取得した財産が日本国外にあること
  • 3 ①により取得した財産について、その財産の所在地国において、相続税に相当する税が課税されたこと

相続税が1.2倍かかる人

父母、子、配偶者以外が遺産を取得する場合は相続税額の20%を加算します。具体的に2割加算される対象は下記のとおりです。

    相続税の2割加算の対象者
  • 兄弟姉妹の相続人
  • 祖父祖母の相続人
  • 遺言等で血のつながりがなく財産をもらう人
  • 遺言等で財産をもらう孫
  • ちなみに代襲相続によって孫が相続人になる場合は相続する場合には2割加算は適用されません。

※代襲相続

例えば、親をA、その子をB、Bの子、つまりAの孫をCとします。多くの場合、相続関係は、Aが亡くなた財産をBが相続し、その後、Bが亡くなった際の財産をCが相続するという流れになります。しかし、場合によってAよりもBの方が先に亡くなってしまうこともあります。その場合、CがBの代わりにAの財産を相続できるのが「代襲相続」です。この場合、Bを「被代襲者」、Cを「代襲者(代襲相続人)」とよびます。

代襲相続のイメージ

※代襲相続のイメージ


税理士:古尾谷 裕昭

税額控除の適用漏れや加算に注意!

法定相続分で計算した相続税の総額が相続する人の相続割合をかけた納税額に、軽減や加算、控除を適用したものが最終的な納税額になります。
上で紹介した相続税の税額控除以外に、10年間に2回以上の相続があった場合税負担が軽減される「相次相続控除」、外国にある財産を相続し、外国の相続税が課税された場合控除される「外国税額控除」、相続時精算課税制度を適用していた場合、相続税額から、相続時精算課税制度における贈与税額を控除する「贈与税額の控除(精算課税)」という3つの控除があります。
なお、一親等の血族及び配偶者以外が相続した場合、相続税額の20%が加算されます。

税理士:古尾谷 裕昭

税額控除の適用漏れや加算に注意!

法定相続分で計算した相続税の総額に実際に相続する人の相続割合をかけた納税額に、軽減や加算、控除を適用したものが最終的な納税額になります。
上で紹介した相続税の税額控除以外に、10年間に2回以上の相続があった場合税負担が軽減される「相次相続控除」、外国にある財産を相続し、外国の相続税が課税された場合控除される「外国税額控除」、相続時精算課税制度を適用していた場合、相続税額から、相続時精算課税制度における贈与税額を控除する「贈与税額の控除(精算課税)」という3つの控除があります。
なお、一親等の血族及び配偶者以外が相続した場合、相続税額の20%が加算されます。

相続税自動概算シミュレーション

相続税簡単計算

相続人人数と財産額を入れるだけで簡単にシミュレーションできます!

ステップ1法定相続人の入力

配偶者の有無
子供

ステップ2財産額の入力

合計額
万円

(入力例)1億3千万円の場合"13000"とご入力ください。

※当シミュレーションは、各法定相続人が法定相続分で相続するものとして算出した概算の相続税額を表示します。参考数値としてお考えください。
※Javascriptを利用しています。ご利用環境における動作の保証は致しかねます。
※平成27年1月1日以降の税制に基づき計算しております。
※当シミュレーションはあくまで概算税額の算出です。シミュレーション結果を利用したことで生じた不利益や損害等に関しましては、弊社では責任を負いかねますのでご了承ください。

相続税計算結果

あなたの納税額は0円です

配偶者は配偶者控除につき0円です

法定相続人
1人 【 配偶者 |
財産総額
1000万円
基礎控除額
3600万円
課税遺産
0円

※当シミュレーションは、各法定相続人が法定相続分で相続するものとして算出した概算の相続税額を表示します。参考数値としてお考えください。
※Javascriptを利用しています。ご利用環境における動作の保証は致しかねます。
※平成27年1月1日以降の税制に基づき計算しております。
※当シミュレーションはあくまで概算税額の算出です。シミュレーション結果を利用したことで生じた不利益や損害等に関しましては、弊社では責任を負いかねますのでご了承ください。

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6-1.まとめ

このように、相続税の計算はいくつかのステップを踏む必要があるため、それぞれの過程を間違いのないよう慎重に計算していかなければなりません。

これから相続に関する手続きを行う予定の方、「相続税がかかる?」「どれくらいかかるのか?」を知るため相続税の試算をしたい方は是非、参考にしてみてください。
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