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最終更新日:2023/6/16

成年後見人の手続きの流れ【必要書類や費用をわかりやすく解説】

本間 剛 (行政書士)

この記事の執筆者 行政書士 本間剛

ベンチャーサポート行政書士法人 代表行政書士。山形県出身。

はじめて相続を経験する方にとって、相続手続きはとても難しく煩雑です。多くの書類を作成し、色々な役所や金融機関などを回らなければなりません。専門家としてご家族皆様の負担と不安をなくし、幸せで安心した相続になるお手伝いを致します。

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この記事でわかること

  • 成年後見制度について理解できる
  • 成年後見制度の手続き方法、必要書類がわかる
  • 手続きに必要な費用、専門家に依頼した場合の費用の目安がわかる

「遠くで暮らす認知症の親が、悪徳商法に引っ掛かったりしないか心配している」とか「知的障害のある子に関して、親である自分が死亡した後は、安心できる人にみてもらいたい」といった悩みを抱える方もいらっしゃると思います。

認知症や知的障害、精神障害などの理由から、判断能力が十分でない人が、預貯金や不動産といった財産の管理、介護サービス等の契約締結、遺産分割の協議などを行うことは困難です。

たとえば、自分に不利益な契約であっても、十分な判断能力がないために、契約を結んでしまい、騙されてしまうこともあります。

このようなことが起きないように、十分な判断能力を有しない人自身の権利や財産を保護して、安心して生活できるように様々な支援を行うのが「成年後見制度」です。

本記事では、成年後見制度を申立てる場合、どのような手続きが必要になり、費用はどのくらいかかるのかについて解説していきます。

成年後見制度とは

成年後見制度とは

成年後見制度とは、悪質商法や不利益な契約などから、判断能力が十分ではない高齢者や障がい者の権利・財産等を守る制度です。

成年後見制度によって後見人となった人には、不正な契約を取り消す権限が与えられるため、高齢者や障がい者を悪質商法や不利益契約などから守ることができます。

この成年後見制度は、内閣府、法務省などが、認知症高齢者や知的障害、精神障害を持つ方を保護するために推進しています。

成年後見制度は、「法定後見制度」「任意後見制度」に分かれていますので、それぞれの制度の概要について、確認していきましょう。

法定後見制度とは

法定後見制度とは、認知症などの理由ですでに判断能力が十分ではない場合、申立てによって家庭裁判所が適切な保護者を選任する制度です。

選任される保護者は、対象となる本人の判断能力の程度によって、「後見人」「保佐人」「補助人」のいずれかとなります。

「後見人」の場合、本人の財産管理、生活に必要なすべての契約を、本人に代わって行います。

生活に必要なすべての契約とは、介護サービスや介護施設への入居契約などが含まれます。

また後見人は、本人の財産を守る義務もあるため、本人にとって不利益な契約などが行われた場合、その契約を取り消すことも法的に認められています。

任意後見制度とは

判断能力が低下する前、正常な判断力がある間に、家庭裁判所ではなく本人が選んだ後見人と「任意後見契約」を結びます。

この任意後見契約は、公正証書による契約であることが必要です。

そして、認知症などによって本人の判断能力が低下し、不十分となった時には、家庭裁判所に「任意後見監督人選任」の申立て手続きを行います。

これにより、あらかじめ決められていた任意後見人が本人に代わって、財産管理や生活に必要なすべての契約などを行うこととなります。

なお、任意後見制度は、法定後見制度と異なるため、任意後見人には契約を取り消す権限はありませんので、ご注意ください。

法定後見制度と、任意後見制度は、手続きや権利などに違いはありますが、大きな違いは下記の点です。

  • 法定後見制度
    すでに判断能力が十分でない人が対象
  • 任意後見制度
    判断能力が低下する前に準備しておきたい人が対象

法定後見人になる手続きの流れ

法定後見人になる手続きの流れ

成年後見制度には、法定後見と任意後見がありますが、それぞれ、手続き方法や流れが異なります。

ここでは法定後見の手続きについて解説していきます。

申立て事前準備

  • 申立人と家庭裁判所を確認する
  • 医師の診断書を取得する
  • 必要書類を集める
  • 申立書類を作成する
  • 面接日を予約する

法定後見の手続き

  • 家庭裁判所へ申立てを行う
  • 家庭裁判所で審理が開始される
  • 申立人・後見人候補者との面接
  • 裁判官の本人面接
  • 裁判官の親族への意向照会
  • 医師への鑑定依頼
  • 家庭裁判所の審判
  • 後見登記

申立人と家庭裁判所を確認する

まず裁判所へ申立てをする人と、申立てを行う家庭裁判所がどこになるかを確認しましょう。

申立てができる人は、本人・配偶者・四親等以内の親族・市区町村長です。

四親等以内の親族というと、子、孫はもちろん、叔父や叔母、いとこなど、基本的に交流があるような親戚はすべて含まれます。

また、申立てを行う家庭裁判所は、本人の住所地を管轄する家庭裁判所で、申立人の住所地ではありませんので、ご注意ください。

医師の診断書を取得する

申立てに際し、まず医師の診断書が必要となります。

本人の判断能力がどの程度で、どのような支援が必要なのか、診断書を元にして判断する必要があるからです。

法定後見制度は、判断能力に応じて「後見」「保佐」「補助」の3段階に分かれていますので、診断書の内容によって、判断能力を分類します。

この診断書は、特別な精神科医などに依頼する必要はなく、主治医等のもので結構です。

主治医がいない場合は、内科や精神科のある病院に相談し、作成してもらうようにしましょう。

必要書類を集める

申立てに必要な書類を集めます。

細かい書類の内容や、入手方法については、この後の記事でご確認いただきたいのですが、大まかにいいますと、「申立書類一式」と「役場等で入手する住民票などの書類」に分けられます。

まずは、管轄の家庭裁判所のホームページで申請書類をダウンロードしたり、窓口で書類を入手したりしてください。

申立書類の様式や、必要とされる書類については、裁判所によって異なる場合もありますので、書類を集める前に確認しておくことをおすすめします。

申立書類を作成する

入手した申立書類の作成を行います。

家庭裁判所のホームページからダウンロードして、パソコンで作成すると簡単です。

基本的に、申立書類にはどのように記入すべきか指示がされていますし、記入例等もありますので、そういったものを参考にして、書類作成しましょう。

面接日を予約する

家庭裁判所では、申立て後に申立人や成年後見人の候補者の面接が行われます。

この面接の日時は、裁判所の状況によって2週間から1ヶ月程先になりますので、申立書類の作成と必要書類の収集の目途がついた時点で、先に予約をとるようにしましょう。

申立書類は、予約をとる時点ではまだ必要ではありませんが、面接予約日の1週間前までには、裁判所へ提出する必要がありますので、書類は余裕をもってご準備ください。

家庭裁判所へ申立てを行う

家庭裁判所へ、作成した申立書類一式と必要書類を合わせて提出します。

この提出をもって、家庭裁判所へ申立てを行ったということになります。

提出は、管轄の家庭裁判所へ直接持参しても良いですし、郵送でも構いません

申立書類一式は、後日行われる面接時に受け答えするためにコピーを手元に残しておくと役立ちます。

家庭裁判所で審理が開始される

申立てを受け付けた後、審理が始まります。

審理とは、裁判官による申立書類の審査、過不足や不備の確認を行った後、本人の状況や取り巻く環境を総合的に考慮することをいいます。

裁判所の繁忙や審理内容にもよりますが、審理が始まってから終局するまでの期間は、おおよそ2ヶ月以内となるケースが全体の8割です。

この期間よりも鑑定などで長引くケースもありますが、約95%が4ヶ月以内に終局します。

申立人・後見人候補者との面接

事前に予約した面接日時に、申立てを行った家庭裁判所にて面接が行われます。

裁判所が指定した参与員(非常勤の裁判所職員)によって、申立人や後見人候補者から、申立てに至る事情や、本人の判断能力、生活状況、財産状況、親族等の意向などが聴取されます。

面接の所要時間は、おおよそ1~2時間です。

当日は、本人確認書類(運転免許証など)、申立書に押印した印鑑、預金通帳など財産を証明する書類の原本などを持参します。

また、面接内容に受け答えしやすいように、申立書類一式のコピーを持参しましょう。

裁判官の本人面接

裁判官が必要と判断したときは、本人との面接が行われます。

この本人面接は、原則として家庭裁判所で行われます

ただし、本人が入院中、体調不良などの事情がある場合は、家庭裁判所の担当者が自宅や入院先へ訪問してくれます。

本人面接は、提出された診断書の内容だけで、本人の判断能力が全くないと判定できる場合などは省略されます。

裁判官の親族への意向照会

裁判官が必要と判断したときは、本人の親族へ意向照会を行います。

意向照会とは、後見申立てや後見人候補者について、親族がどういう意向を持っているか確認することです。

親族への意向照会は、申立て時に親族全員から同意書が提出されている場合、省略されることもあります。

申立人や後見人候補者と親族の間で、意思統一が図れておらず、親族への意向照会を行わないで欲しいという要望があったとしても、考慮されることはありません。

裁判官が必要と判断した場合は、親族への意向照会が行われます。

親族への意向照会において、後見人候補者への異議など反発意見が出た場合、申立てにおいて指定した後見人候補者が最終的に選ばれない可能性が高くなります。

医師への鑑定依頼

診断書の内容や親族からの情報では、本人の判断能力の程度を明確に判断できないという場合は、裁判所から医師へ鑑定の依頼を行います。

通常、鑑定は本人の主治医へ依頼されますが、事情によっては、主治医以外の医師へ依頼されることもあります。

ただし、実際に鑑定まで行われるのは、申立て全体の7%程です。

家庭裁判所の審判

審判とは、裁判官が申立書類や調査結果に基づき、判断を決定する手続きのことです。

成年後見の申立てでは、後見開始の審判と同時に、成年後見人の選任も行います。

この成年後見人は、申立て時に候補としてあげた成年後見人候補者が選ばれるとは限りません。

また、場合によっては成年後見人を監督する成年後見監督人も同時に選任されることもあります。

審判の内容を記した審判書が、選任された成年後見人に送付され、2週間以内に不服申立てがなければ、後見開始の審判の効力が確定となります。

申立人や利害関係人は、審判の内容に不服がある場合、この審判が確定する前に限って、即時抗告という不服申立てを行うことができます。

後見登記

審判が確定したら、裁判所から法務局へ後見登記の依頼が行われます。

後見登記とは、後見人の氏名や後見人の権限などが記載されたものです。

裁判所が依頼してから約2週間で完了し、後見人へ登記番号が通知されます。

後見人は、本人の財産調査、預金口座の解約など、様々な手続きの際に、自身が後見人であることおよび後見人の権限を証明する必要があります。

この証明のために、法務局で登記事項証明書を取得する必要がありますので、通知された登記番号を元に申請しましょう。

なお、申請は最寄りの法務局の本局へ行います。

支局や出張所では取得できませんので、ご注意ください。

成年後見人の仕事が始まる

成年後見人となったら、まず本人の財産目録を作成する必要があります

財産目録とは、本人の財産を調査して一覧表にしたものです。

この財産目録は、審判の確定から1ヶ月以内に裁判所に提出しなければなりません。

成年後見人の仕事は、財産目録の作成だけではなく、金融機関の手続き、役場への届出など多岐に渡ります。

法定後見人の手続きにおける必要書類と入手方法

最初に、成年後見制度の法定後見の手続きに必要な書類を一覧表でまとめますので、ご確認ください。

必要な書類 取得先
(1) 申立書類一式

  • 申立書
  • 申立事情説明書
  • 親族関係図
  • 財産目録
  • 収支状況報告書
  • 後見人候補者事情説明書
  • 親族の同意書
本人の住所地を管轄する家庭裁判所の窓口かホームページからダウンロードして入手してください
申立ての家庭裁判所によって、書類の名称や様式が異なる場合がありますので、ご注意ください
(2) 戸籍謄本(本人および後見人候補者) 各市区町村役場の窓口
(3) 住民票(本人および後見人候補者) 各市区町村役場の窓口
(4) 登記されていないことの証明書 管轄の法務局本局
(5) 医師の診断書等 主治医の病院等
(6) 本人に関する資料 財産目録に記載された不動産、預貯金に関する資料
(7) その他裁判所が必要とする書類等

(1) 申立書類一式

成年後見人の申立先となる家庭裁判所の窓口で入手するか、ホームページからダウンロードして作成してください。

申立書類は、家庭裁判所によって様式が異なりますので、本人の住所地を管轄する家庭裁判所を調べてから取得しましょう。

(2) 戸籍謄本

戸籍謄本は、本籍地のある市区町村役場で取得することができます。

本籍地のある市区町村役場に出向けば、その場で取得することができますし、本籍地が遠方の場合は郵送での取り寄せも可能です。

本人と後見人候補者の戸籍謄本が必要ですが、2人が同一の戸籍に記載されているときは1通の取得で大丈夫です。

(3) 住民票

住民票は、住所のある市区町村役場で取得することができます。

住民票とは、住所や世帯を証明するものですので、本人と後見人候補者が同一世帯の場合は、2人が記載されている住民票1通で構いません。

(4) 登記されていないことの証明書

こちらの証明書は、馴染みがない書類だと思いますが、証明書申請時に成年後見制度を利用していないことを証明する書類です。

本人の分の証明書が必要ですが、管轄の法務局本局で取得することができます。

本人に代わって、四親等内の親族などが取得申請できますが、認印、運転免許証などの本人確認書類、本人との関係がわかる戸籍謄本が必要となります。

なお、証明書の取得場所は法務局の本局のみです。

法務局の支局や出張所では取得できませんので、事前に法務局のホームページなどでご確認ください。

(5) 医師の診断書等

診断書は、精神科医の作成が必須というわけではありませんので、本人の主治医や近隣の内科、精神科のある病院に作成してもらってください。

その際、成年後見人の申立てに必要である旨を伝えると話がスムーズに進みます。

(6) 本人に関する資料

ここでいう「本人に関する資料」とは、本院の健康状態、収入、支出、財産などを証明するための書類です。

すべての方に該当する資料と、本人が保有する財産や負債の種類に応じて必要になる資料があります。

・すべての方に該当する資料

健康状態がわかる資料 介護保険認定書、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者手帳など本人の要介護度や状態がわかる書類
収入に関する資料 年金額決定通知書、確定申告書、給与明細など収入がわかる書類
支出に関する資料 納税通知書、国民健康保険料や介護保険料の決定通知書、そのほか家賃・施設利用費・医療費などの領収書等で支出がわかる書類

・本人の資産・負債に応じて必要となる資料

不動産に関する資料 本人が保有する不動産の全部事項証明書、固定資産評価証明書または固定資産税納税通知書
預貯金、株式等に関する資料 通帳または預金残高証明書、株式の預かり証や残高報告書等
生命保険、損害保険等に関する資料 保険内容がわかる保険証書など
遺産に関する資料 本人が相続人となっている場合の遺産について内容がわかるもの
負債に関する資料 借金の契約書、返済明細書、請求書など負債内容がわかるもの

(7) その他裁判所が必要とする書類等

申立てを行う家庭裁判所や、本人の状況の違いなどによって、必要となる書類が増える場合もありますので、指示にしたがってご準備ください。

成年後見人は誰がなれるのか?

成年後見人は本人のためにどのような保護・支援が必要かにより、家庭裁判所が選任します。

そのため、本人の親族以外にも専門家など他の第三者が選ばれる場合があります。

成年後見人に選ばれる可能性がある方は下記の通りです。

  • 親族
  • 法律・福祉の専門家
  • 福祉関係の公益法人
  • その他の第三者

親族を中心に必要に応じて適切だと判断された方が、成年後見人として選ばれることがあります。

成年後見制度の注意点

成年後見人制度を利用する際に注意すべきことについて紹介します。

成年後見の申立てをしても必ずなれる保証はない

仮に成年後見人の申立てを行ったとしても、必ず選ばれる訳ではありません。

どのような保護・支援が必要かを基準に適切な方が選ばれます。

特に資産家など専門的な知識が必要な場合は弁護士などが選ばれることがあります。

司法書士などが成年後見人の場合報酬の支払いが発生

司法書士などの専門家が成年後見人になる場合、本人の財産から報酬を支払う必要があります。

不動産売却などのために一時的に専門家に依頼した場合であっても、本人が生存している間は継続して報酬を支払わなければなりません。
途中でやめられない
成年後見人制度で選ばれた場合、原則途中で辞めることはできません。

そのため、申立て前に慎重に検討しましょう。

継続的に家庭裁判所への報告が必要

成年後見人に選任された場合、毎年家庭裁判所へ報告する必要が発生します。

成年後見人としての仕事以外に手続きも必要な認識を持っておきましょう。

対応できる範囲が限定されている

成年後見人は本人の代わりに全ての対応が許されている訳ではありません。

例として、不動産の売却などは成年後見人にはできません。

資産を多く所有する方はできることと・できないことを明確にしたうえで成年後見人を選任しましょう。

任意後見人になる手続きの流れ

任意後見人になる手続きの流れ

任意後見人は、本人が元気なうちに行う手続きであり、法定後見人になるための手続きとは違いがあります。

どのような流れで、任意後見人になるための手続きが進められるのか、確認しておきましょう。

任意後見人の決定

すべての手続きを始める前に、任意後見人となる人を決定しておかなければなりません。

将来、任意後見人になる人のことを「任意後見受任者」と言います。

判断能力が低下した時には、財産の管理や様々な手続きを依頼することとなる人であり、信頼関係のある人でなければなりません。

任意後見受任者には、誰でもなることができます。

家族や親族などの身近な人のほか、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することも可能です。

任意後見人の契約内容の決定

任意後見受任者を決定したら、その人に何をしてもらうのか、任意後見契約の内容を決定する必要があります。

以下のような内容を決めておきます。

  • 任意後見開始後の介護の方法、生活のしかた
  • 金銭や不動産の利用方法
  • 任意後見人に委任する事務や代理権の範囲
  • 任意後見人に対する報酬の金額

後見内容を決める際には、本人の希望に沿った内容にすることに法的な問題がないか、あるいは任意後見人にとって実現可能なものであるか、確認しなければなりません。

弁護士や司法書士などの法律の専門家のアドバイスを受けながら決めるのが望ましいでしょう。

法務局で登記の依頼

任意後見人に対する後見内容を決定したら、その原案を公証役場に持っていき、公証人に公正証書を作成してもらいます

公証役場で公正証書を作成してもらい、任意後見契約が締結されると、公証人から法務局に登記の依頼が行われます。

公証人から法務局に登記が依頼されると、およそ2~3週間で登記が完了します。

後見登記が行われると、任意後見契約の内容、具体的には任意後見受任者の氏名や代理権限の範囲などが公的に証明されることとなります。

任意後見監督人選任の申し立て

判断能力の低下により、任意後見が必要な状態となった場合、家庭裁判所に任意後見監督人の選任の申し立てを行います。

家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると、任意後見契約の効力が発生します。

任意後見監督人とは、任意後見人が任意後見契約のとおりに後見事務を行っているかを監督する人です。

家庭裁判所により、弁護士や司法書士が選任されることが多く、その報酬は本人の財産から支払われます。

任意後見監督人の選任

任意後見監督人の選任の申し立てを受けた家庭裁判所は、本人や任意後見受任者の状況を踏まえたうえで、職権で任意後見監督人を選任します。

選任された人は、任意後見人の後見事務を監督し、定期的に家庭裁判所に報告する義務があります。

任意後見監督人が選任されると任意後見が開始されるため、任意後見監督人の情報とともに、家庭裁判所から法務局に登記が依頼されます。

任意後見監督人の選任の申し立てに必要な書類と入手方法

任意後見監督人の選任の申し立てに必要な書類と取得先は下記です。

(9)

成年後見登記事項証明書

  • 本人の登記事項証明書(任意後見契約)
  • 本人の成年被後見人等の登記がされていないことの証明書

各法務局

必要書類 取得先
(1) 申立書類一式

  • 申立書
  • 申立事情説明書
  • 親族関係図
  • 任意後見受任者事情説明書
  • 財産目録、相続財産目録、収支予定表
各家庭裁判所(ダウンロードも可)
(2) 申立添付書類(申立人)

  • 戸籍謄本
市区町村役場の窓口
(3) 申立添付書類(本人)

  • 戸籍謄本
  • 住民票
市区町村役場の窓口
(4) 申立添付書類(任意後見人受任者)

  • 住民票
市区町村役場の窓口
(5) 本人の診断書、診断書付票 主治医に作成してもらう
(6) 本人情報シート写し 福祉関係者に作成してもらう
(7) 本人の健康状態に関する資料 介護保険認定書、身体障害者手帳の写しなど
(8) 任意後見契約公正証書の写し
(10) 本人の財産に関する資料 預金通帳の写し、不動産登記事項証明書など

(1)申立書類一式

申立書類として必要なものは、家庭裁判所で書式が定められています。

各家庭裁判所で違いがある可能性はあるので、最寄りの裁判所で入手するようにしましょう。

(5)~(7)本人の診断書や健康状態に関する資料等

任意後見監督人の選任を申し立て、実際に任意後見監督人が選任されると、任意後見契約が効力を持つようになります。

後見契約が必要な状況か判断するため、本人の健康状態などに関する書類が必要となります。

任意後見人の手続きの必要書類と入手方法

任意後見制度を利用するために公証役場に提出する書類は下記です。

必要書類 取得先
(1) 戸籍謄本(本人のみ) 各市区町村役場の窓口
(2) 住民票(本人および任意後見受任者) 各市区町村役場の窓口
(3) 印鑑証明(本人および任意後見受任者) 市区町村役所で入手契約当日は実印が必要
(4) 現住所のメモ(住民票と現住所が異なる場合) 手書きのメモでOK
(5) 本人および任意後見人受任者の職業を書いたメモ 手書きのメモでOK

(1)戸籍謄本

戸籍謄本は、本籍地のある市区町村役場で取得します。

本籍地と現住所が異なる場合でも、本籍地のある市区町村役場に行けば、その場で取得することができます。

また、本籍地が遠方の場合は、郵送で取り寄せることができます。

(2)住民票

住民票は、住民登録している市区町村役場で取得します。

現在住んでいる場所に住民票がない場合もあるため、どこで取得するのか、あらかじめ確認しておく必要があります。

(3)印鑑証明

印鑑登録は、住民登録をしている市区町村役場で取得できます。

住民票を取得する際に、印鑑証明も一緒に取得しておくとスムーズに進みます。

(4)現住所のメモ・(5)本人および任意後見人受任者の職業を書いたメモ

必要な項目だけ、分かるように記載したメモを作成して提出します。
手書きで構いません。

成年後見人の手続きにかかる期間

成年後見人のうち、法定後見人の選任の申し立てを行う場合、早ければ申し立てから1ヶ月~1ヶ月半程度で、法定後見人が選任されます。

ただ、実際には申し立てを行う前に必要な書類を収集する必要があり、この時間がかなりかかることも予想されます。

また、法定後見人となる人がすんなりと見つからないなどの事情があると、その期間は大幅に伸びてしまい、選任までに半年程度かかることもあります。

本人の家族や親族の中で意見の対立があると、この期間は長くなる傾向があるため、事前に意見を調整しておく必要があるでしょう。

成年後見人の手続きに必要な費用の内訳と相場

成年後見人の申立ての手続きに際し、準備する書類の費用や、申立て手数料は下記の通りです。

この料金は、手続きを弁護士や司法書士といった専門家に依頼せず、自分で行った場合も必要となる実費です。

成年後見人申立て手続きに必要な費用

必要書類および手数料 金額 支払先等
申立書類一式 無料 家庭裁判所
戸籍謄本(各1通) 450円 市区町村役場(本籍地)
住民票(各1通) 300円 市区町村役場(住所地)
登記されていないことの証明書 300円 法務局
医師の診断書 5千~1万円程度 主治医の病院
申立手数料(収入印紙) 800円 裁判所または郵便局
成年後見登記手数料(収入印紙) 2,600円 裁判所または郵便局
郵送料(郵便切手) 3~5千円 裁判所または郵便局など
医師の鑑定料(必要な場合のみ) 5~10万円 裁判所

医師の鑑定が必要となるのは、全体の7%程度ですので、それ以外の費用の合計は1万2千円程度となります。

手続きを専門家に頼んだ場合の費用

成年後見人の申立て手続きは自分で行うことができますが、必要書類の収集や書類作成等にかなり手間がかかりますので、専門家に代理申立てを依頼することもできます。

依頼する司法書士や弁護士によって後見申立て代理の報酬額は変わってきますが、相場としては20万円程度です。

この報酬額に、申立手数料などの実費が必要となります。

専門家への報酬額は本人の財産状況などによっても変わってきますので、依頼前に弁護士、司法書士事務所へ問い合わせするようにしてください。

専門家に無料相談しよう

後見人制度は1度選任されると、途中で辞めることができないことに加え、司法書士などの方が選ばれた場合は、報酬を支払う必要があります。

そのため後見人制度の申立てを行う際は、慎重に選んだ方がよいでしょう。

制度に関して、詳しい内容や注意すべき内容は保護すべき方の内容により様々のため、成年後見人の利用を検討している方は専門家に1度相談することをおすすめします。

なお相続サポートセンターでは、初回完全無料で相談を受け付けています。

初回相談後に専門家を使うべきかを判断できますので、まずは無料相談をお試しください。

まとめ

成年後見人には費用もかかりますが、本人の財産や生活を守るという有益な制度です。

成年後見人の手続きには、手間と時間もかかります。

制度の内容を理解し、必要であれば専門家に代理申立てを依頼しましょう。

高齢の親の認知症対策で成年後見制度の利用を考える方もいらっしゃると思いますが、成年後見制度を利用せざるを得ない状況になる前に行動することが大切です。

早めに本人や家族と将来について話し合い、どのような制度を利用するかを比較検討して、準備しておきましょう。

初回の相談料無料の弁護士、司法書士事務所もありますので、成年後見人を検討する際には相談してみてください。

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税理士:高山 弥生

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相続は、近しい大切な方が亡くなるという大きな喪失感の中、悲しむ間もなく葬儀の手配から公共料金の引き落とし口座の変更といった、いくつもの作業が降りかかってきます。おひとりで悩まず、ぜひ、私たちに話してください。負担を最小限に、いち早く日常の生活に戻れるようサポート致します。
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