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最終更新日:2022/7/12

【民法改正】成年後見制度の改正内容をわかりやすく解説!【成年後見制度を取り巻く環境の変化も紹介】

本間 剛 (行政書士)

この記事の執筆者 行政書士 本間剛

ベンチャーサポート行政書士法人 代表行政書士。山形県出身。

はじめて相続を経験する方にとって、相続手続きはとても難しく煩雑です。多くの書類を作成し、色々な役所や金融機関などを回らなければなりません。専門家としてご家族皆様の負担と不安をなくし、幸せで安心した相続になるお手伝いを致します。

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この記事でわかること

  • 成年後見制度とはどのような制度なのかを理解することができる
  • 成年後見制度について行われた改正の内容を知ることができる
  • 成年後見制度の改正によりどのような変化が起こるかがわかる

成年後見制度をご存知でしょうか。

認知症や知的障害などを理由に、意思能力に一定の低下が見られる人を保護するため、成年後見制度が設けられています。

この成年後見制度が2019年6月に改正されています。

改正が行われるということは、それまでの制度に何らかの問題があったため、その問題を解消するねらいがあると考えられます。

はたしてどのような問題があると認識され、どのような改正が行われたのでしょうか。

2019年6月に成年後見制度が改正された

2019年6月に成年後見制度の一部が改正されました。

この改正のポイントは、成年後見制度を利用した場合の欠格条項が廃止されたことです。

欠格条項とは、資格制限とも呼ばれる成年後見制度の大きな特徴です。

成年後見制度を利用した人は、医師、税理士などの資格や会社役員、公務員などとしての地位を失うこととされています。

このような制限は、全部で180以上に及ぶものとされています。

しかし、成年被後見人や被保佐人の人権を侵害するものであるなどの指摘がされ、見直しが検討されていたのです。

そして、2019年6月に欠格条項を原則として一括削除する法案が成立したのです。

成年後見制度とは?


意思能力や判断能力が衰えてしまうと、自分で正しい判断をして法律行為を行うことができなくなります。

その結果、必要のない買い物をしてしまったり、不当な契約を締結してしまったりすることがあります。

このような不当な法律行為から認知症など判断能力の衰えてしまった人を守るためには、その周囲の人の支援が欠かせません。

ただ、家族が判断能力の衰えた人を支えるというだけではその効果は極めて限定的となってしまいます。

認知症となっていても日常生活には支障のない人も多く、家族も常にその行動を見守っていることはできないためです。

そこで民法で定めているのが成年後見制度です。

判断能力が低下した状態にある人について、申立てにより家庭裁判所により選任された人が、本人に代わって財産を守るのです。

このことを法定後見制度といいます。

なお、成年後見制度については民法に規定されていますが、今回の改正で民法の条文自体に変更はありません。

また将来、認知症などになって判断能力が低下した場合に備えて、後見人を自ら選任し任意後見契約を結んでおくこともできます。

こちらは任意後見制度と呼ばれます。

法定後見人の種類

法定後見制度には、後見・保佐・補助の3つの類型があります。

この3つの類型では、それぞれ対象となる人が異なるほか、後見人などになる人の権限にも違いがあります。

後見の場合の対象者や権限など

「後見」の対象となるのは、判断能力が全くない人です。

このような人を後見する人(後見人)には、財産管理の代理権や取消権などが与えられます。

後見人となった人は、日用品の購入などを除きすべての契約を取り消すことができるのです。

医師や税理士、会社役員、公務員などが後見の対象である成年被後見人となった場合は、その資格や地位を失うこととされています。

保佐の場合の対象者や権限など

判断能力が著しく不十分な人は、「保佐」の対象となります。

保佐人となった人は、借金、相続の承認、家の新築や増改築などの特定の事項についての同意権や取消権が与えられます。

また申立てによって、特定の法律行為についての代理権なども付与されます。

医師や税理士、会社役員、公務員などが保佐の対象である被保佐人となった場合は、その資格や地位を失うこととされています。

補助の場合の対象者や権限など

判断能力が不十分な人が「補助」の対象となる人です。

補助人となった人には自動的に権限が付与されるわけではありません。

しかし、申立てにより借金や相続の承認、家の新築や増改築など特定の事項の同意権や取消権・代理権が付与されます。

被補助人については、欠格条項の適用はありません。

任意後見制度の特徴

任意後見制度は、本人の判断能力があるうちに、将来、判断能力が低下したら財産管理を行ってもらう人を選任するものです。

法定後見制度を利用する場合、すでに判断能力が低下しているため、後見人などを自分で決めることはできません。

しかし、任意後見制度を利用する場合は、自分で信頼できる人を任意後見人とすることができるのです。

成年後見制度の改正内容

成年後見制度が改正されて、具体的にどのような点に変化が生じるのでしょうか。

改正内容を確認し、今後どのように成年後見制度が運用されていくのか、チェックしておきましょう。

欠格条項の削除

今回の成年後見制度の改正で、もっとも大きく変化するのが欠格条項の取り扱いです。

これまで、成年被後見人や被保佐人となった人は一定の資格を失い、あるいは特定の職業に就くことができないこととされていました。

対象となる主なものは、医師、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士などの資格、公務員、医療法人やNPO法人などの役員などです。

また、貸金業の登録や建設業の登録などの営業許可を取得することもできないこととされていました。

このような欠格条項は、実に187もの法律に設けられていたのです。

しかし、成年被後見人や被保佐人に対するこのような措置については、様々な観点から批判が生じていました。

まずは、成年被後見人や被保佐人に対する人権侵害という批判です。

一般的に、資格や職業に就くことを制限することは認められません。

もしそのような制限が行われていたとすれば、憲法違反ともいわれるような重大な人権侵害なのです。

これまでは、成年被後見人や被保佐人の意思能力を考慮して制限が設けられてきたのですが、一律の制限には批判がありました。

これと関連して、成年被後見人や被保佐人であることを理由とした差別があることも批判されていました。

成年後見制度を利用した人について、職業などに制限が加えることは、国が不当な差別を助長していると考えられていたのです。

また、数多くの法律にある欠格条項が成年後見制度の利用を妨げているとの批判もあります。

実際、成年後見制度の利用により資格や職業を失うため、制度を利用したくても利用できないという人もいるのです。

このような批判もあることから、成年被後見人・被保佐人についての欠格条項をすべて削除することとなりました。

個別審査規定を設ける資格もある

いったん資格を取得してしまえば、その後は資格を維持することに特別な規定がないものも多くあります。

このような資格については、欠格条項を削除すると、本人の判断能力の有無については一切考慮しないということになりかねません。

そこで、個別審査規定を設けて、心身の故障がある者の適格性を個別的・実質的に審査する制度を設けるものがあります。

ただし、個別審査を実施する資格の種類がすべて明らかになっているわけではありません。

また、実際どのような状態になったら個別審査を実施するのかといった点については議論があります。

個別審査については、この先より具体的に、制度化に向けて検討されていくものと思われます。

2020年4月1日には民法改正も行われた


欠格条項の削除に関する法案が成立してから10か月後の2020年4月に、民法の改正が行われました。

この改正は、民法が制定された1896年から、実に124年ぶりの大改正といわれるものでした。

この改正の最も重要なテーマは、債権に関する法律の変更です。

法定利率を5%から3%に変更したうえ、市中金利の動向に合わせて変動することとされています。

また、賃貸借契約の敷金の返還や原状回復などのルールを明確にするなど、民法の制定以来の変化に対応する内容となっています。

この中の1つに、認知症などで意思能力が無い状態で行った行為は無効とする「意思能力制度」が明文化されています。

新設された条文は以下のとおりです。

「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。」(改正民法第3条の2)

意思能力とは、自分が行った行為の結果を判断することができる能力をいいます。

つまり、本人に判断能力が無ければその行為はなかったものとされるのです。

以前から意思能力が無い人が行った行為は、無効であるとされていました。

しかし、このことは法律の条文に規定されているわけではなく、裁判所の判断や解釈によりそのように考えられていたのです。

ところが、今回の改正で意思能力について明記されたことから、より厳密な対応を行う必要が出てきます。

たとえば、住宅売買の契約を行う際に、その相手方や銀行が意思確認に関する書類を取得するなどといったものです。

その時に意思能力に疑問符が付くような人については、成年後見制度を利用するように促される可能性もあるのです。

なお、この改正により、成年後見制度に関する条文自体の変更は行われていません。

ただ、意思能力に関する改正の結果、成年後見制度の利用に大きな変化が生ずると思われます。

成年後見制度の改正や民法改正で予想される変化

成年後見制度が改正され、ほぼ同時期に民法の改正も行われました。

その内容についてはここまで紹介してきたとおりなのですが、それにより今後どういった影響が出るのでしょうか。

成年後見制度を取り巻く環境の変化が及ぼす影響について、考えてみましょう。

成年後見制度を利用しやすくなる

まずは、成年後見制度の改正により、成年後見制度が利用しやすくなると思われます。

認知症の人あるいは認知症の疑いのある人などが、成年後見制度を利用して後見人や保佐人を選任してきました。

しかし、すべての人が成年後見制度を利用してきたわけではありません。

本来はそういった制度を利用したいと考えている人も、欠格条項があるためにその利用をためらっている人がいたのです。

しかし、欠格条項がすべて削除され、成年被後見人や被保佐人となっても資格や職業はこれまでどおり維持することができます。

その結果、今までであれば欠格条項を理由として成年後見制度をためらっていた人が、成年後見制度を利用するようになるのです。

意思能力を確認される場面が増える

民法が改正され、意思能力のない人が行った法律行為は無効になることが明確になりました。

このことは、消費者との契約を結んできた事業者にとって、これまで以上に消費者との契約を慎重に考えるきっかけとなります。

特に、住宅や不動産の売買やリフォーム、金融商品の売買などは、金額的に大きくなります。

このような取引が無効となった場合、その影響が大きくなるため、後から無効とならないよう慎重に考える必要があります。

そのため、契約を行う段階でその人の意思能力があるかどうかを確認されるようになるでしょう。

民法改正の前後で、意思能力のない人が行った法律行為の効力の有無に変化はありません。

ただし、意思能力が無かった場合の取扱いが明確化された以上、意思能力の有無についても明確にする必要が出てくるのです。

成年後見制度の利用が求められる場面が出てくる

意思能力が無いと判断された人から不動産を購入しても、相手方との取引が無効になる可能性があります。

しかし、そのままでは無効になる取引でも、成年後見制度を利用すれば後から無効になることはありません。

そのため、意思能力に疑問がある人が契約を行う場合、相手方から成年後見制度を利用するように求められることとなるでしょう。

特に不動産業者や金融機関などは、後から無効になることを許容することはないはずです。

意思能力が少しでも疑わしい場合には、成年後見制度を利用して後見人や保佐人・補助人を立てるように求められるのです。

まとめ

成年後見制度は古くからある制度です。

意思能力がない人、あるいは意思能力が著しく不十分な人は、不利益を被らないよう、この制度を利用して保護されています。

しかし、成年後見制度を利用すると、欠格条項によりその資格や職業などに著しい制限が加えられてきました。

そこで、改正によりその欠格条項が削除されることとなったのです。

この欠格条項の削除は、単に成年被後見人や被保佐人となった人の資格や職業を守るだけのものではありません。

成年被後見人や被保佐人が、これまでと変わらず社会の一員としての活動を行っていくためにも大きな意味のあるものです。

このことは、すべての人が平等に参画することのできる社会を築く新たな一歩となるでしょう。

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