相続税の基礎控除|相続税がかかるかは基礎控除を越えるか越えないか

  1. 相続税の基礎控除とは
  2. 基礎控除額の計算方法
  3. 相続税の基礎控除の特徴
  4. 相続税がかかるかどうかは基礎控除を超えるか超えないか
  5. 遺産の総額の計算方法
  6. 「特例」を活用することで基礎控除以下になるときは申告が必要
  7. 基礎控除は上回るが未成年者控除や障害者控除を使って相続税がゼロの場合には申告は不要
  8. 相続税の計算(基礎控除を上回る場合)
  9. 遺産総額が基礎控除を超えていた場合の相続税の申告手続き
  10. 基礎控除のまとめ

「親が亡くなった時、どのくらい相続税がかかるのか?」

このような不安をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
相続税がかかる場合、相続開始を知った日から10ヶ月以内に相続税の申告と納税をしなければいけません。 期限を越えると様々なペナルティがあるため、相続が発生した方は、すぐにこの疑問を解決すべきです。

本記事では「相続税がかかるかどうか?」の判断基準と、「相続税がかかる場合いくらかかるのか?」と「相続税の基礎控除」についてわかりやすく解説していきます。

相続税の基礎控除とは?

相続税は亡くなった人の遺産の総額に基づいて税金が計算されますが、「ここまでの範囲の財産には相続税をかけません」という基準の金額があります。
相続税がかからない範囲の金額のことを「基礎控除」といいます。基礎控除を含めた相続税の課税の概要を図にすると下記になります。

【相続税の課税の仕組み】

亡くなった人の遺産の総額

課税価格 この金額に対して相続税がかかる
基礎控除 基礎控除額
3,000万円+(法定相続人の数×600万円)

相続税は亡くなった人の遺産の総額から基礎控除を差し引いた金額(「課税価格」という)が課税の対象となってきます。

また、遺産の総額が基礎控除を下回る場合には相続税はかからないことになります。

相続税がかかるかどうかの判断を行っていくためには、

  • 自分のところは基礎控除がいくらになるのか?
  • 遺産総額はいくらなのか?

の把握をしていく必要があります。

それではまずは、基礎控除の計算方法についてみていきましょう。

基礎控除額の計算方法

それでは、相続税がかかるかどうかの基準の金額である基礎控除の計算方法を見ていきましょう。

基礎控除は下記の計算によって、計算します。この計算した金額のことを「基礎控除額」といいます。

    基礎控除 3,000万円 法定相続人の数 × 600万円

基礎控除の計算は「法定相続人」の人数によって控除額が変わってきます。

この「法定相続人の人数」を間違えると相続税の計算に大きな影響が出てきてしまいます。

2016年の相続税改正により相続税の基礎控除は
40%少なくなっています。

平成26年まで

5,000万円 1,000万円 × 法定相続人の数

4割減少!!

平成27年以降

3,000万円 600万円 × 法定相続人の数

この影響により、改正前と改正後では課税対象者は約2倍にも増えています。
「父の相続のときは相続税は関係なかったから・・・」
ということで相続税がかからないと素通りしてしまうと
実は遺産は基礎控除以上を超えていたということもあるので注意してください。

法定相続人とは?

まず、法定相続人とは民法で定められている相続する権利がある人のことです。
被相続人の意思によって相続人そのものの指定をすることはできません。

誰が法定相続人となるか?

相続人の対象は「配偶者と血縁関係にある人」が原則で、相続人にはそれぞれ相続順位があります。
この順位に従い法定相続人が決まってきます。

  • 第1順位:子供や孫(直系卑属)
  • 第2順位:父母や祖父母(直系尊属)
  • 第3順位:兄弟姉妹

例えば、亡くなった人の遺族が父と子の場合は、第1順位である子が相続人となり、第2順位の父は相続人になりません。

亡くなった人の遺族が弟と母の場合には、第2順位である母が相続人に、第3順位の弟は相続人になりません。


※相続人パターン図1

被相続人に配偶者がいる場合は、配偶者が相続人に、さらに配偶者に子どもがいれば、子も相続人になります。


※相続人パターン図2

被相続人が独身で子もいない場合、第2順位の親が相続人に、両親がいない場合は、祖父母が相続人になります。

※相続人パターン図3

被相続人が独身かつ子がなく、両親、祖父母ともに死亡している場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。

法定相続人の人数

亡くなった人の遺族の一般的なケースに応じた法定相続人のカウントの仕方は以下のとおりです。

  • 配偶者と子供がいる場合
    配偶者と子供の数の合計
  • 配偶者がいない場合
    子供の数の合計
  • 配偶者がいて、子供がおらず、親がいる場合
    配偶者と故人の親の数の合計
  • 配偶者がいて、子供がおらず、親もいない場合
    配偶者と故人の兄弟の合計

相続放棄をした人がいた場合

相続税の基礎控除を計算する場合の法定相続人とは、法定相続人のうちに相続放棄をした人が居た場合においても、放棄が無いものとして法定相続人数に含みます。

法定相続人の中に養子がいる場合

養子の場合も法律上、実子と同じ法定相続人となります。
ただし、法定相続人に含める人数に制限が設けられています。

法定相続人の人数に含める養子の数の制限

  • 1 被相続人に実子がいる場合 1人
  • 2 被相続人に実子がいない場合 2人

代襲相続があった場合

代襲相続とは?

相続は一般的に親、子供という順番に亡くなることを想定しています。親子の亡くなる順番が逆になった場合(相続人が被相続人より先に亡くなった場合)の財産の引き継ぎ方を代襲相続と言います。
例として、親をA、その子をB、Bの子供(つまりAの孫)をCとします。多くの場合、Aが亡くなり、その後、Aの財産をBが相続し、その後、Bが無くなった時にBの財産をCが相続するという流れになります。
逆に、AよりもBの方が先に亡くなってしまった場合、CがBの代わりにAの財産を相続できる法律が「代襲相続」です。Cのことを代襲相続人と呼びます。

被相続者(死亡)、子(死亡)、孫(孫が代わりに相続する=代襲相続)

代襲相続があった場合の法定相続人の人数

代襲相続がある場合、代襲相続人は実子として扱われます。
相続人である子が既に亡くなって孫が2人いる場合、2人とも実子として人数に含められます。

遺言によって法定相続人以外の人が相続する場合

よくある間違いとして、遺言によって法定相続人以外の人が相続する場合、「相続人」として人数にカウントしてしまうことです。
遺言によって財産を受け取る法定相続人以外の人のことは「受遺者」と呼びます。
相続人ではなく受遺者なので、法定相続人数としてカウントしないので注意してください。

基礎控除の計算の具体例

具体的なケースで基礎控除額がいくらになるかをみていきます。

  • ケース1 配偶者と子ども
  • 相続人が配偶者と子ども3人の場合の相続税の基礎控除額
  • 3,000万円+(4人×600万円)=5,400万円
  • ケース2 配偶者と親
  • 相続人が配偶者と被相続人の母親1名の場合の相続税の基礎控除額
  • 3,000万円+(2人×600万円)=4,200万円
  • ケース3 兄弟
  • 相続人が被相続人の兄弟3人の場合の相続税の基礎控除額
  • 3,000万円+(3人×600万円)=4,800万円
  • ケース4 養子
  • 相続人が配偶者と実子1人、養子1人の場合の相続税の基礎控除額
  • 3,000万円+(2人×600万円)=4,200万円
  • ケース5 養子
  • 相続人が配偶者と養子3人の場合の相続税の基礎控除額
  • 3,000万円+(2人×600万円)=4,200万円
  • ケース6 相続放棄
  • 相続人が配偶者と子ども4人で、うち1人が相続放棄をした場合の相続税の基礎控除額
  • 3,000万円+(5人×600万円)=6,000万円
  • ケース7 代襲相続
  • 相続人が母と代襲相続人となる孫2人の場合の相続税の基礎控除額
  • 3,000万円+(2人×600万円)=4,200万円
  • ケース8 相続人以外
  • 遺言で子ども1人、被相続人の兄の子ども2人に相続させる旨の記載があった場合の相続税の基礎控除額
  • ※兄の子どもとの養子縁組が無かった場合
  • 3,000万円+(1人×600万円)=3,600万円

相続税の基礎控除の特徴

基礎控除の計算は「法定相続人」の人数によって控除額が変わってきます。

法定相続人の人数が増えるほど控除額がアップ!

法定相続人というのは法律で定められた相続の権利がある人のことです。基礎控除として3,000万円、相続人ごとに600万円分が相続財産から控除されますので、相続人が多くなれば控除額も増えていきます。

相続人が1人 相続人が2人 相続人が3人

相続人が1人
控除額
3,600万円

相続人が2人
控除額
4,200万円

相続人が3人
控除額
4,800万円

 

※基礎控除額表
法定相続人の数 基礎控除額 (単位:万円)
1人 3,600
2人 4,200
3人 4,800
4人 5,400
5人 6,000
6人 6,600
7人 7,200

 

遺産総額が同じでも基礎控除額が大きいほど相続税は少なくなる

遺産総額が同じ世帯でも法定相続人数により、相続税の負担は大きく異なります。上段でも説明したとおり、法定相続人の人数が増えるほど基礎控除額はアップするからです。

例えば、山田家の遺産総額が1億円、田中家の遺産総額も同じ1億円であったとしても相続税はそれぞれ異なってきます。

前提として、山田家の相続人が2人、田中家の相続人が4人となっている場合、田中家の基礎控除額は山田家よりも2人相続人が多いため、基礎控除額は山田家より1200万円多くなります。

    それぞれの基礎控除額

    山田家 遺産総額1億円

    田中家 遺産総額1億円

    相続人2名

    相続人4名

    基礎控除額
    3,000万円+2人×600万円=4,200万円

    基礎控除額
    3,000万円+4人×600万円=5,400万円

    基礎控除額は山田家より田中家のほうが1,200万円多くなります

課税遺産総額の計算は遺産の総額から基礎控除額を差し引いて計算します。

相続税の課税の対象となる金額(課税遺産総額)は、基礎控除の多い田中家のほうが基礎控除額の分だけ少なくなります。

    それぞれの課税遺産総額

      【課税遺産総額の計算式】

      亡くなった人の遺産の総額 基礎控除額 課税遺産総額

     

    山田家は相続税の課税の対象となる金額は

      1億円 4,200万円
      (基礎控除額)
      5,800万円

    田中家は相続税の課税の対象となる金額は

      1億円 5,400万円
      (基礎控除額)
      4,600万円

    となります。

    同じ遺産総額であったとしても、基礎控除額が大きいほど相続税の課税対象となる金額が少なくなり、結果、相続税が少なく済むことになります。


養子縁組により基礎控除額を増やして節税できる?

「基礎控除は一人あたり600万円」ということは法定相続人数が増えればより節税効果が高くなります。

そのため、相続人数が少ない場合、養子縁組で法定相続人を増やすやりかたも可能です。気を付ける点として、民法において養子縁組の人数に上限はないですが、相続税法においては制限があります。相続税法において、実子がいない場合養子二人まで、実子がいる場合養子一人までを法定相続人にすることが可能です。ただ、税務署から「養子縁組の目的が明らかに節税対策である」と判断された場合、法定相続人として認められないこともありますので、有効なのかを吟味する必要があります。


三ツ本純

税理士:三ツ本純

節税目的の養子縁組は税務署が認めない!?

相続税法において、配偶者・一親等の血族以外の相続人の相続税は、20%増しにするという規定があります。一親等の血族とは、故人と血のつながりのある子どもと親のこと。この規定では、孫を養子にした場合、相続税は20%増しになるため、節税にならない場合もあります。ただ、親よりも先に子が亡くなり、孫が子の代わりの相続人となる「代襲相続」では20%増しになりません。また、身内でない第三者を養子にした場合、税務署が納得する合理的な理由が必要で、遺産分割協議が難航する場合もあるため注意ください。

基礎控除で相続税の有無が変わる

相続税がかの判断は、相続財産が基礎控除を超えるかどうかで判断してきます。
亡くなった方の遺産総額が基礎控除を超えれば相続税がかかり、遺産総額が基礎控除以下なら相続税の負担は生じないということです。

    遺産総額が基礎控除を超えていれば相続税がかかる

    基礎控除

    遺産総額 3,000万円 法定相続人の数 × 600万円

    遺産総額が基礎控除の範囲内であれば相続税負担は生じない

    基礎控除

    遺産総額 3,000万円 法定相続人の数 × 600万円

それでは具体例で相続がかかる場合とかからない場合を見ていきましょう。

  • 例1 相続税がかかる場合
  • 母が亡くなり、遺産の総額は4,500万円。法定相続人は子2人(法定相続人の数は2人)
  • 基礎控除=3,000万円+(法定相続人2人×600万円)=4,200万円
  • 遺産総額4,500万円>基礎控除4200万円
  • 結論:遺産の総額が基礎控除を超えているので相続がかかります
  • 例1 相続税がかからない場合
  • 夫が亡くなり、遺産の総額は4,500万円。法定相続人は妻と子2人(法定相続人の数は3人)
  • 基礎控除=3,000万円+(法定相続人3人×600万円)=4,800万円
  • 遺産総額4,500万円<基礎控除4,800万円
  • 結論:遺産の総額が基礎控除の範囲内なので相続はかかりません

上記は遺産総額が同じだとしても、法定相続人数が異なると相続税がかかったりかからなかったりする上記は遺産総額が同じいう具体例です。

相続税がかかるかどうかは、遺産総額がいくらになるかを把握することが重要になります。
次に遺産総額の計算方法についてみていきましょう。

遺産の総額の計算方法

遺産の総額(正味の遺産額)の計算方法

遺産の総額(正味の遺産額)には被相続人のプラスの財産(預貯金や株式等の金融資産、土地や建物、借地権といった不動産のほか、ゴルフ会員権、車や貴金属など)にみなし相続財産(死亡保険金、死亡退職金)や3年以内に贈与された財産、相続時精算課税制度で贈与された財産も加算していきます。ここからマイナスの財産(葬儀費用や債務)を差し引いた分が相続税の課税対象となってきます。

相続財産の算出を誤ると、基礎控除後の課税対象分にも影響してしまい、無駄な相続税がかかってしまう場合がありますので、しっかり確認しましょう。

    【遺産の総額(正味の遺産額)の計算方法】
  • プラスの財産
  • ●現金、預貯金
  • ●株式、国債
  • ●土地、建物など
  • みなし

    相続財産
  • ●死亡保険金
  • ●死亡退職金
  • 3年以内の贈与財産
  • 相続時精算課税財産

  • マイナスの

    財産
  • ●葬儀費用
  • ●ローン
  • ●未払い金

    など
  • 遺産の総額
    (正味の遺産額)

    【遺産の総額(正味の遺産額)の計算方法】
  • プラスの財産


  • ●現金、預貯金

  • ●株式、国債

  • ●土地、建物など

  • みなし相続財産

  • ●死亡保険金

  • ●死亡退職金

  • 3年以内の贈与財産

  • 相続時精算課税財産

  • マイナスの財産


  • ●葬儀費用

  • ●ローン

  • ●未払い金など

  • ❘❘

    遺産の総額
    (正味の遺産額)

例えば、亡くなった方の財産として銀行預金が1億円、借金が3,000万円残されているという場合には、正味の相続財産は7,000万円(1億円-3,000万円)ということになります。

相続財産の評価方法

相続税の評価は財産の種類ごとに評価方法が定められていおり、不動産のように評価方法が難解なものもあります。概算で評価額を計算する場合、原則として相続財産は、課税時期(通常は被相続人の死亡の時、つまり相続開始)の時価で評価されることが基本です。
そこから、個々の財産についての特別な補正を加えるなどして算出していきます。

代表的な相続財産の評価について具体的についてみていきましょう。

現金預貯金、有価証券などの場合

現金・預貯金は、相続発生時の金額ですが、株式の場合、上場株式あるいは非上場株式のどちらかで異なります。上場株式は上場市場の情報や証券会社などに問い合わせれば、簡単に把握できます。しかし、非上場株式の場合は取引相場がないため、規模や状態において評価方式が細分化されています。

建物の評価方法

家屋の価額は固定資産税評価額がそのまま評価額となります。なお、貸家は自用家屋の60%または70%の評価になります。相続財産がどのぐらいになるのかで相続税額が変わるだけでなく、場合によって、相続税申告の要否が決まるため、各計算を正確に行う必要があります。

  • ※自宅不動産(土地)の評価について
  • 自宅の土地の相続税評価は市街地にある宅地であれば「路線価」を基準に評価していきます。
  • 路線価を確認できる「路線価図」があり、税務署やインターネットで確認できます。
借地権の評価方法

借地権の評価額は下記の計算式で求められます。

  • 借地家の評価額
  • 土地の更地としての評価額×借地権割合
生命保険の評価方法

被相続人が保険料を払っていた生命保険は掛け捨て以外の全ての保険が相続税の対象になります。例えば、自分に生命保険をかけていたご主人が亡くなられて奥様が保険金を受け取った場合は、みなし相続財産となる死亡保険金として相続税の対象になります。

死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」で算出された金額分が相続税の非課税となります。

受け取った保険金額から非課税額を差し引いた金額が生命保険の評価額となります。

500万円法定相続人数生命保険金の非課税枠

まずは、自宅の不動産のように金額が大きくなる財産から把握し、細かい財産の概算を出してみて基礎控除を超えるかどうかの判断をしましょう。

「特例」を活用することで基礎控除以下になるときは申告が必要

相続税の申告をする場合、「特例」を活用できるか確認しましょう。
特例には、節税効果の高い「配偶者の税額控除」や不動産評価額の引き下げに有効な「小規模宅地の特例」などがあります。

節税効果の高い特例も、申告期限を過ぎると利用できない可能性もあります。

  • 遺産の総額(特例適用後)<基礎控除
  • 小規模宅地等の特例による評価減や配偶者控除の適用を受けるためには、相続税の申告が必要になります。
  • 「相続税の配偶者控除」を使って相続税がかからない場合

    亡くなった方の配偶者の場合、「実際に受け取った遺産の金額」が法定相続分の範囲内である場合には税金がかからないというルールがあります。

    「実際に受け取った遺産の金額」が採用される理由は、遺言がある場合、法律よりも優先されるため、法定相続分と異なる場合があるためです。
    この配偶者控除を使う場合には、相続税の申告期限までに、配偶者の方の相続分を計算した上で申告書を提出する必要があります。

    《相続税の配偶者控除》
  • 配偶者の相続財産においては、評価額1億6,000万円までは税金がかかりません。
  • 実際の取得金額が1億6,000万円
    又は法定相続分以下なら相続税はゼロ
  • 実際の取得金額が1億6,000万円
    又は法定相続分以下なら差額部分に対して相続税が発生
  • 例 配偶者控除を適用して相続税がかからない場合(申告は必要)

    相続人:配偶者と子ども2人
    遺産総額 8,000万円 > 基礎控除 4,800万円
    ※基礎控除の計算 3,000万円+(3人×600万円)=4,800万円
    遺産総額が基礎控除を超えているため、原則、相続税がかかります。
    しかし、遺産分割を配偶者に寄せる場合、子は相続税はかからず、配偶者の相続税も、配偶者控除の適用ができますので、相続税は0円になり、遺産総額は基礎控除を超えても相続税はかかりません。

    各相続人が実際に取得することとなる相続財産

    妻の
    相続財産
    長男の
    相続財産
    次男の
    相続財産
    妻 長男 次男
    8,000万円 0円 0円

    各相続人の相続税額を計算

    妻の
    相続財産
    長男の
    相続財産
    次男の
    相続財産
    妻 長男 次男
    1,400万円 0円 0円
    →配偶者の税額軽減の適応により0円

    気をつけるべきなのが、配偶者控除の適用には、相続税の申告が必要ですので、期限までに申告を忘れず行いましょう。

    「小規模宅地等の特例」を使って基礎控除以下の場合

    亡くなった方が居住していた住宅等を相続した場合、住宅の遺産評価額を下げてもらえる(80%~50%)という特例があります。

    例えば、本来は5,000万円の価値がある住宅を相続したけれど、小規模住宅等の特例を使うことによってこの住宅の遺産としての評価額を1,000万円となるようなケースです。

    遺産の評価額を下げることができれば、相続税の負担額も小さくなり、基礎控除以下になることもあります。
    小規模住宅等の特例を使うには相続税の申告を行う必要があるので、相続税がかからない場合でも、申告手続きだけは期限内にするようにしましょう。

    小規模宅地等の特例
    貸付用

    宅地の評価額

    50%減

    (例)
    適用前 5,000万円
    適用後 2,500万円

    事業用
    居住用

    宅地の評価額

    80%減

    (例)
    適用前 5,000万円
    適用後 1,000万円

    相続税の負担が大幅減!

    例 小規模宅地等の特例を適用して基礎控除以下になる場合(申告は必要)
    相続人:配偶者と子ども2人
    遺産総額 8,000万円 > 基礎控除 4,800万円
    ※基礎控除の計算 3,000万円+(3人×600万円)=4,800万円

    遺産総額が基礎控除を超えているため、原則、相続税がかかります。

    ただし、遺産のうちの土地に対して小規模宅地等の特例が適用できる場合には、土地の評価額が下げることができます。

    特例適用前の自宅土地の評価額
    5,000万円
    小規模宅地等の特例適用後の自宅土地の評価額
    5,000万円×(1-0.8)=1,000万円

    4,000万円の評価減
    遺産総額は8,000万円から4,000万円に。
    遺産総額4,000万円 < 基礎控除 4,800万円

    小規模宅地等の特例を適用した結果、遺産総額は基礎控除の範囲内となり、相続税はかかりません。
    相続税がかからない場合でも、小規模宅地等の特例の適用には、相続税の申告が要件になるため期限まで忘れずに行うようにしましょう。

    基礎控除は上回るが未成年者控除や障害者控除を使って相続税がゼロの場合には申告は不要

    「相続税の基礎控除は超える」
    「未成年者控除又は障害者控除を適用すると相続税はゼロになる」
    こういったケースの場合は配偶者の税額控除と異なり、申告の必要はありません。

    (1)未成年者控除

    1つ目は「未成年者控除」です。これは、満20歳未満の相続人(相続放棄した場合も含む。国内財産のみが課税対象となる一定の非居住者は除く)は、10万円×満20歳になるまでの年数(1年未満の端数は切り上げ)で計算した金額を控除できます。

    (2)障害者控除

    2つ目は「障害者控除」です。これは、日本国内に住所を有する障害を持つ相続人(相続放棄した場合も含む。国内財産のみが課税対象となる一定の非居住者は除く)は、通常の障害者で10万円×満85歳になるまでの年数(1年未満の端数は切り上げ)で計算した金額、特別障害者(重度の障害)で20万円×満85歳になるまでの年数(1年未満の端数は切り上げ)で計算した金額を控除できます。

  • 遺産の総額>基礎控除
  • 障害者控除・未成年者控除の適用で相続税がかからない場合
  • 配偶者控除や小規模宅地等の特例と違い、相続税の申告は必要ありません
  • 未成年者控除や障害者控除などの税額控除について、知らない人も多いでしょう。しっかりと考慮し申告の可否判断をしましょう。

    相続税の計算(基礎控除を上回る場合)

    財産額が基礎控除を上回る場合、相続税申告が必要になります。課税対象は基礎控除を超えた財産額になります。例えば、相続人が3人、財産額が1億1,000万円の場合、

    1億1,000万円

    【妻】【長男】【次男】
    妻長男次男

    【相続人 3人】

    基礎控除 3,000万円+600万円×3人=4,800万円

    この場合、基礎控除は4,800万円になるので相続財産額4.800万円を差し引きます。

    財産1億1,000万円-基礎控除4,800万円=6,200万円(課税遺産総額と呼びます)

    に対して課税が生じます。

    次にこの6,200万円を法定相続分通りに分けた際の取得金額を算出します。

    ※法定相続分の割合 法定相続分は相続人のパターンにより下記のように決められてます。

    • 配偶者と子の場合
    • 法定相続分は、配偶者が1/2、子が1/2 ※子が複数いる場合、子の1/2を按分。
    • 配偶者と直系尊属の場合
    • 法定相続分は、配偶者が2/3、直系尊属が1/3 ※直系尊属が複数いる場合(父と母など)、1/3を按分。
    • 配偶者と兄弟姉妹の場合
    • 法定相続分は、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4 ※兄弟姉妹が複数いる場合、1/4を按分。
    • 配偶者のみの場合
    • 配偶者がすべての財産を受け継ぐ。
    • 被相続人に配偶者がいない場合
    • 相続人が子のみ、直系尊属のみ、兄弟姉妹のみの場合、相続人となった者がすべての遺産を受け継ぐ。複数いる場合は人数で按分。
    • 代襲相続の場合
    • 代襲相続の法定相続分は、本来の相続人の相続分と同じ。代襲者(代襲相続人)が複数の場合、その相続分を按分。
    • ※ 配偶者は必ず法定相続人になり、相続分を持つ。
    • ※ 非嫡出子の相続分は嫡出子の1/2。
    • ※ 子供が養子の場合、実子と同じ法定相続分になる。
    • ※ 相続放棄した人は、はじめから相続人とならなかったものとみなされる。

     

    ※ 法定相続分の具体的割合 表示する

    6,200万円を法定相続分通りに分けると、それぞれ下記の取得金額となります。

    配偶者:
    3,100万円(1/2)
    長男:
    1,550万円(1/4)
    次男:
    1,550万円(1/4)
    妻 長男 次男

     

    更に、法定相続分通りに分けたとしたときの取得金額に下表の税率を乗じて控除額を引きます。

    配偶者の場合、法定相続分に応じる取得金額が3,100万円(3,000万円超~5,000万円以下)となり、

    配偶者:3,100万×20%-200万=420万円
    妻

    同様に考えると、子2人は

    長男:
    1,550万円×15%-50万円
    =182.5万円
    次男:
    1,550万円×15%-50万円
    =182.5万円
    長男 次男

    以上の全てを合計した 420万円+182.5万円+182.5万円=785万円 この額が相続税額総額となります。

    ※ 相続税の税率区分
    法定相続分に応じる取得金額 税率 控除額
    1,000万円以下 10%
    1,000万円超~3,000万円以下 15% 50万円
    3,000万円超~5,000万円以下 20% 200万円
    5,000万円超~1億円以下 30% 700万円
    1億円超~2億円以下 40% 1,700万円
    2億円超~3億円以下 45% 2,700万円
    3億円超~6億円以下 50% 4,200万円

    相続税の総額は630万円ですから、相続人それぞれが実際に相続する財産の負担割合でこれを按分し、各相続人それぞれの相続税額を計算します。

    各相続人の相続税額を計算

    785万円×5,000万円/11,000万円=約357万円
    ・・・配偶者の納税額
    妻 ⇒配偶者の税額軽減の適用により 0円
    785万円×3,000万円/11,000万円=約214万円
    ・・・長男の納税額
    長男
    785万円×3,000万円/11,000万円=約214万円
    ・・・次男の納税額
    次男

    なお、この場合に配偶者は税額軽減となる配偶者控除を受けることが出来ます。その対象となるのは約357万円で、配偶者の納税額は0円となります。
    ※法律上の相続分が1億6,000万円以下であれば全額が非課税となります。

    配偶者は1億6,000万円までは無税
    配偶者は1億6,000万円までは無税

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    遺産総額が基礎控除を超えていた場合の相続税の申告手続き

    遺産総額が基礎控除を超えている場合、相続税がかかっても、特例を利用して相続税がかからない場合でも、相続税の申告をしなければなりません。
    相続税の申告は相続税の申告書に財産や債務、税額控除などを記入して、期限内に税務署に提出することをいいます。

    相続税の申告書サンプル
    相続税の申告書サンプル

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    相続税の申告は、相続があることを知った日の翌日から起算して10ヵ月以内に、管轄税務署に行う必要があります。

    基礎控除のまとめ

    相続税がかかるどうかの判断のポイントは3つです。

    • 基礎控除の計算に必要な法定相続人の人数を間違えないこと
    • 基礎控除と比較する遺産の総額を間違えないこと
    • 基礎控除より遺産の総額が少ない場合には、相続税はかからないこと

    基礎控除と比較する遺産の総額を計算する際に、自宅不動産や生命保険などのように相続税の評価は財産ごとに評価方法が定められており、特に不動産等の相続税評価は難解です。

    基礎控除を超えるかどうか微妙な方は、税理士に一度相談をしてみたほうがよいでしょう。

    また基礎控除を超えて相続税の申告が必要な方についても同様です。
    相続サポートセンターに相続税も関することを無料相談、無料試算を行っています。

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