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最終更新日:2023/7/31

【小規模宅地等の特例】確認すべき6つのポイント!

古尾谷 裕昭

この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
Twitter:@tax_innovation
YouTube:相続専門税理士チャンネル【ベンチャーサポート相続税理士法人】

「宅地を相続したいけど税金がいくらか気になる」「宅地を相続しても税金が多くて相続するのに躊躇している」 ― そんな思いはないでしょうか。

宅地を相続する場合にはそのまま相続してしまいますと、かなり高額な税金がかかってしまい、せっかく残してくれた遺産を泣き寝入りしなければならない場合もあります。

しかし、そんな状況には国に便利な制度があるのです。

それは「小規模宅地等の特例」というものです。

「税金ばかりとられて国が憎い」と思われるかもしれませんが、国が用意してくれた制度を知っておくことで効果的に切り抜けることができます。

特に、最大税金が80%も減額されるのです。

「難しそうだし面倒だ」と思わずに、一度勉強してみると状況が全く変わってくる可能性があるのです。

この記事では、法律について知らない方でも理解できるように法律用語をかみくだいて、詳しく解説していきます。

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小規模宅地等の特例のポイント

この制度は、「土地」を軸にした条件を考えることと、「人」を軸にした条件を考えることで、複雑な制度が理解しやすくなります。

まずは土地を軸にした条件とは何なのかについて解説します。

ポイント1:小規模宅地等の特例を利用できる土地

小規模宅地等の特例を利用できる土地について、①自宅(被相続人の居住の用に供されていた宅地等)、②会社の土地(特定事業用宅地)、③人に貸して土地代を得る(貸付事業用宅地)の3つに分けられます。

また、以下に出てくる「生計を一緒にする」というのは「生計一」とも呼ばれますが、これは必ずしも一緒に住んでいなければならないということではありません。

療養などで病院に入院していて生活を一緒にしていなくても日常生活に係る費用の主要な部分を共有した親族は生計を一緒にしているといえます。

土地の要件①:自宅(被相続人の居住の用に供されていた宅地等)

自宅は「被相続人(亡くなって土地を与える人)が実際に住んでいた土地」「被相続人が無償で親族に貸していた土地」の2つのパターンがあります。

ここで後者については「無償で貸していた」というところがポイントです。

実際に貸して賃貸収入を得ていた場合は③のパターンに該当するようになりますので注意してください。

まず、実際に住んでいた土地については被相続人の配偶者、被相続人と同居していた親族、被相続人と同居していなかった親族にわかれます。

それぞれに要件があるのです。

配偶者は相続の中では優遇されており、要件はありません。

「被相続人と同居していた親族」については、相続開始してから相続税の申告期限まで①引き続きその建物に居住し、かつ、②その宅地(土地)を相続開始時してから相続税の申告期限まで持っていること、が要件です。

「被相続人と同居していなかった親族」の場合は、平成30年4月以後に制度変更が行われました。

  • (1)日本国籍を有しない者ではないこと
  • (2)配偶者がいないこと
  • (3)相続開始の直前に被相続人の相続人がいないこと及びその宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで有していること
  • (4)相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の配偶者、取得者の三親等内の親族又は取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家に居住したことがないこと
  • (5)相続開始時に、取得者が居住している家を相続開始前に所有していたことがないこと

「被相続人が無償で親族に貸していた土地」の場合、被相続人の配偶者は要件なしです。

生計を一緒にしていた親族は相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有していることが必要です。

被相続人が老人ホームに入っていても適用される

被相続人が老人ホームに入っていた場合はどうなのでしょうか。

以前は、被相続人が老人ホームに入所していた場合には、それまで住んでいた家は「空き家」とみなされていました。

ですので、小規模宅地等の特例を適用させることができませんでした。

平成26年1月の改正から、老人ホームの所有権や終身利用権を取得していても、①自宅を貸していない、②相続開始段階で要介護、要支援など認定の要件を満たせば適用できるようになりました。

また、入所段階で介護の必要がなくてもその後に悪化して、相続開始段階で要介護、要支援、障碍者支援区分の認定を受けていた場合であっても受けられます。

土地の要件②:特定事業用宅地

特定事業用宅地、すなわち会社の場合はどうなのでしょうか。

法人格を持つ必要があるのですが、法人とは、相続開始の直前において被相続人及び被相続人の親族等が法人の発行済株式の総数又は出資の総額の50%超を有している場合における場合をいいます。

土地の要件③:貸付事業用宅地

貸付事業とは他人に賃貸して収入を得ていた場合などです。

この要件は簡単にまとめると、①継続性と②保有性という2つの要件が必要となります。

具体的には以下です。

被相続人の貸付け事業の用に供されていた宅地等の場合です。

これには①その宅地を相続税の申告期限まで有していること(=事業継続性)、②その宅地に係わる被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、かつ、その申告期限までその貸付事業を行っていること(=保有性)、の2つの条件です。

それに同居(生計を一緒にしていた)親族の貸付事業の場合ですと、①相続開始前から相続税の申告期限まで、その宅地に係わる貸付事業を行っていること(=事業継続性)、②その宅地を相続税の申告期限まで有していること(=保有性)、の2つです。

ポイント2:小規模宅地等の特例を利用できる人

小規模宅地等の特例を利用できるのはどのような人なのでしょうか。

これには「被相続人の自宅」の場合と「事業用の自宅」の場合があります。

被相続人の自宅

これには3人います。

①配偶者、②同居の親族、③被相続人と同居していない親族の3タイプです。

①配偶者

配偶者とは、被相続人と結婚している人のことです。

この場合、法律による裏付けが必要で、内縁の関係などでは認められないのです。

②同居の親族

同居の親族とは同居している親族なのですが、親族はどこまで認められるのでしょうか。

これは6親等内の親族です。

「はとこ」まで含まれます

これの見方としては家系図でいくつ離れているかの数字と考えるとわかりやすいかもしれません。

例えば、1親等内の親族ですと、本人から見て「親と子供」が1つ離れた関係です。

「孫と兄弟姉妹」ですと、「孫=子の子」、「親の子」で2隔てた関係ということで2親等内ということです。

また、祖父母も2つ隔てており、2親等内の関係です。

では、「はとこ」はどうみるのでしょうか。

まず、いとこは「①親の②親の③子の④子」と4つ隔てていますので、4親等内の親族であるといえます。

「はとこ」とは親同士のいとこ関係のことです。

「①親の②親(祖父母)の③④子(兄弟)の⑤子の⑥子(孫)」ということで6親等内の親族ということになります。

もはやここまでくると親族はほぼ含まれると考えても差し支えないのかもしれません。

なお、同居の定義としては一緒に住んでいればOKというかなり緩いものなのですが、住民票を移すことは法律上の義務となっていますので、きちんと手続きを経ておくことは必要となるでしょう。

被相続人と同居していない親族

この場合、持ち家がないことが主な条件となります。

特にそれを「家なき子特例」とも呼ばれますので、こちらのほうが覚えやすいかもしれません。

逆に言えば、「小規模宅地等の特例を受ける同居している親族」のことを「家なき子」と呼びます。

では、要件とは何なのでしょうか。

2018年4月から改正されましたので、最新情報を書きます。

要件は、被相続人に配偶者がいないこと、被相続人が亡くなるまで、その家に被相続人と同居していた相続人がいないこと、その家を相続後10ヵ月間は所有すること、相続開始前3年以内に3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある屋奥に居住したことがないこと、相続開始時に居住していた家屋を過去に所有していたことがないこと、というものです。

また、適用がない場合については①親族から借りている場合、②親族が経営する法人から借りている場合、③昔、子が居住用に買って売った場合、の3点は押さえておくべきです。

また、もうすでに改正はされていますが、平成30年3月31日時点でそれ以前の要件を満たしていれば、平成32年3月31日までの相続については「家なき子」として以前の要件でも適用できる経過措置がとられていました。

事業用の土地

事業用の土地について小規模宅地等の特例の適用が認められる人についてはどうなのでしょうか。

事業用地の場合は、被相続人がその土地を取得し、相続から10ヵ月以内に事業を引き継ぎ、かつ、相続から10ヵ月までは、その土地を所有し続けて事業を継続する必要があります

ポイント3:小規模宅地等の特例の税金計算方法

いよいよ、みなさんが一番気になるであろう「じゃあいくら税金が減額されるの?」というところに入っていきます。

これも、住んでいる宅地、貸している宅地、会社で使っている宅地ごとに説明していきます。

特定居住用宅地等(住宅で使っている土地)の場合

まず、結論から書きますと

  • 宅地の種類⇒居住用
  • 限度面積⇒330平方メートル
  • 減額される割合⇒80%

となります。

では、700平方メートルで評価額1億円の居住用宅地を相続した場合についてです。

小規模宅地等の特例の適用を受けた場合、1億円-(1億円×330平方メートル÷700平方メートル×80%)=約6228万円となります。

まず、①居住用宅地の限度面積は330平方メートルです。

土地の面積が700平方メートルということで限度額を超えてしまっています。

ですので、小規模宅地等の特例を受けるだけの面積を出すために、②330平方メートルを700平方メートルで割ります

その数値の③80%が減額される割合となります。

次に土地評価額ですが、1億円ですので④①~③で求めた適用範囲をかけていくら分の土地に小規模宅地等の特例を受けられるのかが求めることができます

土地評価額は1億円ですので、⑤1億円から減税される④で求めたものをひくと、土地の評価額となるのです。

貸付事業用宅地等(人に貸している土地)の場合

まず、結論を書きますと、

  • 宅地の種類⇒貸付事業用宅地等
  • 限度面積⇒200平方メートル
  • 減額される割合⇒50%

となります。

では、700平方メートルで評価額1億円の土地を相続した場合を考えてみましょう。

億円-(1億円×200平方メートル÷700平方メートル×50%)=約8,571万円
と求まります。

まず、①貸付事業用の限度面積は330平方メートルです。

土地の面積が700平方メートルということで限度額を超えてしまっています。

ですので、小規模宅地等の特例を受けるだけの面積を出すために、②200平方メートルを700平方メートルで割ります。

その数値の③50%が減額される割合となります。

次に土地評価額ですが、1億円ですので④①~③で求めた適用範囲をかけていくら分の土地に小規模宅地等の特例を受けられるのかが求めることができます。

土地評価額は1億円ですので、⑤1億円から減税される④で求めたものをひくと、土地の評価額となるのです。

特定事業用宅地等(会社で使っている土地)の場合

まず、結論から書きますと、

  • 居住用宅地⇒特定事業用宅地
  • 限度面積⇒400平方メートル
  • 減額される割合⇒80%

となります。

では、700平方メートルで評価額1億円の土地を相続した場合を考えてみましょう。

1億円-(1億円×400平方メートル÷700平方メートル×80%)=約5,428万円と求まります。

まず、①特定事業用の限度面積は330平方メートルです。

土地の面積が700平方メートルということで限度額を超えてしまっています。

ですので、小規模宅地等の特例を受けるだけの面積を出すために、②200平方メートルを700平方メートルで割ります。

その数値の③50%が減額される割合となります。

次に土地評価額ですが、1億円ですので④①~③で求めた適用範囲をかけていくら分の土地に小規模宅地等の特例を受けられるのかが求めることができます。

土地評価額は1億円ですので、⑤1億円から減税される④で求めたものをひくと、土地の評価額となるのです。

基礎控除額を考慮すると

以上で土地の評価額についての求め方を説明いたしました。

一方で、相続税には基礎控除という誰でも条件なく受けられる相続税の控除があります。

具体的には「3,000万円+600万円×人数」という式が表されます。

これと併用すると、相続税がかからない場合があるのです。

まず、居住用の土地の評価額は約6,228万円と求まりました。

一方で、配偶者と子供2人で相続した場合、「3,000万円+600万×3」となり、基礎控除額は4,800万円となります。

払う税金は6,228万円-4,800万円=1,428万円です。

続いて、貸付事業用の土地の評価額は約8,571万円と求まりました。

一方で、配偶者と子供2人で相続した場合、「3,000万円+600万×3」となり、基礎控除額は4,800万円となります。

払う税金は8,571万円-4,800万円=3,771万円です。

最後に、特定事業用の土地の評価額は約5,428万円と求まりました。

一方で、配偶者と子供2人で相続した場合、「3,000万円+600万×3」となり、基礎控除額は4,800万円となります。

払う税金は5,428万円-4,800万円=628万円です。

このように、税金がかなりお得になるのです。

また、土地評価額が基礎控除額である4,200万円を下回った場合は全額控除となり、相続税がかからないということもあり得るのです。

ただし、基礎控除で0円になった場合でも申告自体は必要となりますので、注意しましょう。

ポイント4:小規模宅地等の特例の他の制度との併用

では、小規模宅地等の特例を他の制度と他の制度を併用した場合を考えてみましょう。

居住用宅地が300平方メートル、特定事業用宅地が150平方メートル、貸付事業用宅地が150平方メートルである場合を想定します。

併用する場合の限度面積について

小規模宅地等の特例を受ける場合、それぞれの宅地について限度面積が決まっていることについては説明いたしましたが、ここに改めて記載しておきます。

・居住用宅地
限度面積⇒330平方メートル
軽減割合⇒80%

・事業用宅地
限度面積⇒400平方メートル
軽減割合⇒80%

・貸付事業用宅地
限度面積⇒200平方メートル
軽減割合⇒50%
でした。

ここで併用の場合は
A×200/400+B×200/330+C≦200㎡
という式を用います。

居住用宅地と貸付事業用宅地の特例の併用

ここで、居住用宅地を330平方メートル、貸付事業用宅地を150平方メートルとしていました。

ここで、注意しなければならないのは貸付事業宅地を優先して他の特例を併用する場合は限定併用となる点です。

さて、実際に式に当てはめてみましょう。

(特定事業用宅地)×200/330+(貸付事業用宅地)≦200平方メートルの式を使用します。

ここで、合計の限度面積である200平方メートルから貸付事業用地の150平方メートルを引いた残りが居住用宅地の計算のもとになる部分です。

200平方メートル-150平方メートル=50平方メートル (居住用宅地)×200/330=50平方メートル

となり、居住用宅地の限度面積は 50平方メートル×330/200=82.5平方メートル

ということで、居住用宅地の330平方メートルのうち82.5平方メートルが特例の適用面積になります。

特定居住用宅地と特定事業用宅地の特例の併用

では、被相続人が不動産以外の事業を行っていた場合はどうなるのでしょうか。

特定事業用宅地が600平方メートルで、居住用宅地が330平方メートルの場合を考えてみましょう。

この時、特定事業用宅地の限度額は400平方メートルでしたので、600平方メートルのうち、400平方メートルだけと居住用宅地の330平方メートルの合計である730平方メートルが限度面積となります。

400平方メートル+330平方メートル≦730平方メートル

また、貸付事業は減額割合が50%と低いため、減額割合が80%ある特定事業用宅地か居住用宅地を優先させたほうが減額される額が大きくなる傾向がありますので、おすすめです。

しかし、安易な考え方は損をすることもあるので、以下に説明いたします。

有利選択が可能

また、この制度は居住用宅地、貸付事業用宅地、特定事業用宅地の中で、優先させると有利になるものを自分で選ぶことができます。

しかし、逆に言えばご自分で選ばなくてはならないのです。

ですので、不安な方は税理士に相談することをおすすめしますが、その計算方法は特に難しくありませんので、自分でも気軽に求めることができます。

一見、80%と50%を比べると80%引きのほうが有利になりそうなので、とにかく80%を優先させようとしてしまうかもしれません。

では、いつでも80%が有利なのでしょうか。

これは、80%とか50%とか数字が大きいというよりも元の値段が高額なほど割引がお得になります。

ですから、必ずしも貸付事業用宅地の場合の50%割引が不利で80%割引の居住用宅地や事業用宅地が有利であるとは限りません。

たとえば、居住用の家は田舎に持っており実際に住んでいるのですが、それとは別に都会の一等地で貸付事業用の宅地を持っており、家賃収入を得ていたとしましょう。

田舎の自宅の宅地評価額が1,000万円、都会の一等地に持っている貸付事業用の宅地評価額が1億円であった場合、自宅は居住用宅地の特例が適用されて、80%割引です。

そのため、割引額は800万円となり、支払う額は200万円です。

一方で都会の一等地に持っている賃貸している宅地のほうは、貸付事業用宅地の特例が適用されて50%の評価額が減額されますので、1億円の評価額5000万円減額となり評価額は5000万円となります。

ここで、先ほどの居住用の宅地の場合と比べてみましょう。

  • 居住用宅地は80%割引で800万円減額されました。
  • 一方で貸付事業用宅地は50%割引にもかかわらず、5,000万円も割引されました。

この場合、どちらを優先すればいいかは一目瞭然でしょう。

ですので、単に割引率で優先を決めるのではなく、きちんと元の値段と割り引いた価格を考慮して優先を決めることが重要なのです。

ポイント5:小規模宅地等の特例が受けられない場合

小規模宅地等の特例には申告期限があります。

この申告期限を過ぎてしまうと、受けることができなくなってしまいます

では、その期限を過ぎてしまうとどうしようもないのでしょうか。

ご安心ください。

ちゃんと救済措置は残されているのです。

遺産分割が期限内に終わらない場合

不動産などの高額資産の場合、取り分などでもめてしまい、どうしても期限内に遺産分割決まらないということもよくある話です。

その場合、遺産分割が決まるまでは小規模宅地等の特例は受けることができません。

しかし「申告期限後3年以内の分割見込み書」を添付して提出すれば、相続税の申告期限から3年以内に分割された場合には遡って特例を受けることができます。

しかも、それまでに余分に支払ってしまっていた相続税も還付されます。

誤って申請期限を過ぎてしまった場合

うっかりミスで気づいたら申請期限を過ぎてしまっていた場合はどうするのでしょうか。

これには「期限後申請」という救済措置があります。

無申告課税や延滞税を取られてしまいますので、注意が必要です。

しかし、小規模宅地等の特例は無申告課税や延滞税を徴収されてしまったとしても、最大80%の減税ということで、あきらめずに申請する価値はあるといえます。

ポイント6:相続時精算課税制度は一旦考えよう

相続時精算課税制度というものを利用して自宅を家族に「贈与」した場合、小規模宅地などの特例が受けられなくなるので注意が必要となります。

相続時精算課税制度というのは2,500万円までの贈与であれば贈与税が非課税になる制度です。

また、2,500万円を超えてしまった部分については一律20%の贈与税が課税されるのです。

どういうことかといいますと、贈与税はかからなくても相続税が課税される可能性があるのです。

それに加えて、相続時課税制度によって贈与を受けた居住用自宅は小規模宅地等の特例の適用対象外となってしまいます。

なぜなら所有権が贈与されているということは、所有権が他人に移っているので、亡くなる段階で所有者が被相続人ではないからです。

この精算時課税制度を使用した場合と小規模宅地等の特例を使用した場合を具体例で比べてみましょう。

居住用宅地の評価額が5,000万円だとすると、小規模宅地等の特例を利用して80%割引で4,000万円割引になり、1,000万円のみの相続税課税となりますが、一方で精算時課税制度の場合ですと、5,000万円まるごと課税されてしまう可能性があるということです。

これが贈与税は非課税でも相続税の課税対象となるということなのです。

ですから、こういった事態を防ぐためにも、被相続人の生前によく話し合っておくことも大切なのではないでしょうか。

小規模宅地等の特例は確実に受けるようにしよう

今回は小規模宅地の評価額を下げる特例について解説いたしました。

例えば、居住用の宅地を相続した場合には土地の330平方メートルまでで評価額が4,000万円の場合ですと、その8割の3,200万円も減額され、その評価額は一気に800万円になります。桁が一桁違うのです。

ですから、今回紹介したポイントについては、しっかりと押さえておき、高額な税金を無駄に支払わなくてもいいように気をつけることが大切です。

特に、精算時課税制度を利用してしまうと思わぬ落とし穴もありますので、今後のことも考えて一度、家族や親族で話し合っておくのもいいでしょう。

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