【相続の手続 全手順】コレさえ見れば大丈夫!

【相続の手続 全手順】コレさえ見れば大丈夫!

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親族がなくなると、相続に関する手続きを行う必要があります。

特に相続税の申告については厳密に期限が定められており、期限を過ぎてしまうと延滞税や加算税という形でペナルティを受けてしまう可能性がありますから注意しておきましょう(必要であれば税理士などの専門家の支援を受けながら手続きを一つずつ進めていくことが大切です)

専門家に相談する場合にも、書類を集めたり、遺族と話し合いを行ったりといったことに関しては相続人となる方自身が行わなくてはなりませんから、相続に関する全体の流れを理解しておく必要があります。

以下では相続に関する手続きの流れについて解説させていただきます。

親族が亡くなってから7日間以内に行う手続き

親族が亡くなった後には、7日以内に市役所に対して死亡届の提出と火葬の許可申請を行う必要があります。

法律上の期限は「親族が亡くなったのを知った日から7日間」となっていますが、通常はそれまでに葬儀と火葬を行う必要がありますから、葬儀社と相談しながら手続きをすみやかに済ませる必要があります。

死亡届の提出と火葬の許可申請は葬儀社が代行してくれる場合が多いですが、遺族が行うことも可能です。

初七日法要

仏教による法要を行う場合、故人が亡くなった日から数えて7日目に初七日法要を行うのが一般的です。
(ただし、近年では葬儀の当日に初七日法要を兼ねた法要を行うケースも多くなっています)

3ヶ月以内に行う手続き

法要に関しては四十九日法要が済んだところで一区切りと考え、その前後に相続財産の分割に関する手続きを開始するのが一般的です。

以下では相続開始から3ヶ月以内に行う必要がある手続きについて概要を把握しておきましょう。

遺言書の確認(ある場合)

まず、遺言書が残されている場合にはその内容の確認を行います。

遺言書の残し方としては自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類がありますが、自筆証書遺言が残されている場合にはむやみに開封してしまうと5万円以下の過料に処せられてしまうことがあるので注意しましょう。
(封筒を開けずにそのまま家庭裁判所に持っていきます)

自筆証書遺言と秘密証書遺言の開封はまず家庭裁判所に提出した上で検認という手続きを受けなくてはなりません。
(通常は弁護士に相談することになります)

公正証書遺言場合は遺言書は役所に保管されていますから検認の手続きを経る必要はありませんし、原本が役所にあるので製本の中身を確認したとしても問題ありません。

公正証書遺言が残されている場合、遺言執行者(遺言の内容実現について権限を持っている人)が指定されていることが多いです。

相続人となる遺族に連絡する

相続人となる人が複数人いる場合には、遺産分割の協議を行わなければなりません。

遺産分割協議を行う前準備として、まずは誰が相続人となるのかの確定を行いましょう。

相続人の確定のためには戸籍を取得する必要があります。

相続人となる遺族として、これまで連絡を取り合ったことのない人と話し合いを行わなくてはならない可能性もありますから、トラブルを避けるためにも、戸籍の取得で相続人の確定をしていきましょう。

1 スケジュールについての意識共有

相続に関する手続きは期限が設けられています。

相続人の中には期限についての認識がない人もいるかもしれませんから、いつまでにどのような手続きを行う必要があるのか?についてのスケジュール認識を共有しておくことが大切です。

特に相続税については期限後の納付になるとペナルティが課されてしまうので注意が必要です。

2 金銭出納の記録や財産目録の作成

故人と生前交流が多かった人とそうでない人がいる場合、交流が少なかった人は財産の状況について詳細が把握しにくくならざるを得ません。

無用なトラブルを避けるためにも財産の状況についてはできる限りオープンにしておくことが適切です。

できれば故人の生前から金銭の出入りについての記録をつけておき、遺産についてはすみやかに財産目録(相続財産の一覧表)を作成するようにしましょう。

財産目録については特に正式なフォーマットがあるというわけではありませんが、裁判所のホームページで雛形をダウンロードすることができますから活用すると良いです。

3 法律上は兄弟間に優先順位はないことを知っておく

日本では長男が実家を継ぐという習慣がありますが、法律上は遺産の相続順位や持分について兄弟姉妹は平等となっています。

慣習と法律の認識の違いによってトラブルとなってしまうことのないよう注意しておきましょう。
(ただし、墓などの管理を行う人が必要になる場合にはその人に対して一定の配慮を行うことは重要です)

4 故人の生前に同居していた人への配慮を持つ

故人の生前に同居していた人とそうでない人とでは遺産分割についての認識が異なることが多いです。

法律上は遺産の管理や運用による増加に貢献して人には「寄与分」として遺産分割にあたって上乗せ分を認めてもらえる場合があります。

単に故人の生前に介護を行なっていたことだけでは法律上の寄与分を認めてもらうことは難しいですが、相続人間での話し合いによって遺族の一人に寄与分を認めたり、法定相続人以外の人に寄与分を認めることは差し支えありません。

話し合いがうまくいかない場合には家庭裁判所に調停を求め、寄与分の算定をしてもらうことも可能です。

相続人となる人は誰?

誰が相続人となるかについて法律で定められています。
(法定相続人といいます)

配偶者は常に相続人となり、それ以外の親族は以下の優先順位に従って法定相続人となります。
(高い順位の法定相続人がいる場合には、低い順位の人は法定相続人とはなりません)

第1順位:亡くなった人の子供や孫(直系卑族)

子供と孫の両方がいる場合には孫は法定相続人とはなりません。

子供がすでに亡くなっていて、孫がいる場合には孫が法定相続人となります。
(これを代襲相続といいます)

第2順位:亡くなった人の父母や祖父母(直系尊族)

亡くなった人に直系卑族がいない場合には直系尊族が法定相続人となります。

直系卑族の場合と同様、亡くなった人との続柄が近い人が法定相続人となります。

例えば、父母が健在のときには祖父母は法定相続人はなりません。

第3順位:亡くなった人の兄弟姉妹や甥姪

亡くなった人に直系卑族、直系尊族がともにいないときには亡くなった人の兄弟姉妹が法定相続人となります。

兄弟姉妹もすでに亡くなっている場合には、その兄弟姉妹の子(亡くなった人の甥や姪)が法定相続人となります。

なお、故人が残した遺言によって指定された遺言執行者がいる場合には相続人への連絡や遺産分割等は遺言執行者が行います。

相続財産について物件や評価額を調査する

相続人となる人が確定したら、どのぐらいの遺産が残されているのかの調査を行います。

現預金等については単純に金額を確認すれば問題ありませんが、土地や建物などの不動産、非上場の株式などが遺産に含まれている場合にはその評価額の算定が困難であることも少なくありません。

これらの財産の評価については、多くの場合税法についての専門知識が必要になりますから、税理士に相談するようにしましょう。

相続財産の金額によって相続税の金額も決まることになりますので、遺産の調査については慎重に行う必要があります。

相続人の間で遺産分割協議を行う

相続人となる人が各地し、どれぐらいの財産が残されているのかがわかったら、いよいよ相続人間で遺産分割についての協議を行います。

誰がどれだけの遺産を相続するかについては法律でルールが決まっていますが、土地や建物などの不動産や宝石などの分割が難しい財産が残されている場合には、単純に分割することはできません。

遺産分割協議では誰がどの財産を相続するのかを話し合いによって決定し、最終的に遺産分割協議書という書類に全員が署名捺印することで確定します。

一度確定した遺産分割協議書は原則としてやり直しができないため慎重に手続きを進めなくてはなりません。

なお、相続税の負担についても法律上の遺産相続の割合に準じて行われますので注意しておきましょう。

遺言が残されている場合は?

故人が遺言を残している場合には法律のルールよりも遺言の内容が優先されます。

公正証書の形で遺言が残されている場合には遺言執行人が指定されている場合がほとんどですから、その場合には遺言執行人の指示にしたがって相続財産の分割を行うことになります。

なお、遺言書の内容によって遺族に認められる遺留分が侵害されている場合(特定の遺族に対して極端に不利な内容の遺言となっているような場合)には、遺留分減殺請求という手続きによって救済措置を裁判所に対して求めることが可能です。

相続放棄や限定承認についての期限

法律上、相続人となる人であっても、必ず財産を相続しなくてはならないというわけではありません。

相続財産にはプラスの財産(資産)だけではなくマイナスの財産(つまり借金)が残されている可能性もありますから、その場合には相続放棄や限定承認といった方法を使うことで相続に参加しないという選択肢も考えられます。

相続放棄や限定承認は「相続があったことを知った日から3ヶ月以内」に行う必要があります。

4ヶ月以内に行う手続き:所得税の準確定申告

亡くなった人が個人事業主である場合など、所得税の確定申告を行う義務があった場合には、亡くなった年の分の確定申告を遺族が行わなくてはなりません。

遺族が故人に代わって行う確定申告のことを準確定申告と言います。

所得税の確定申告は1月〜12月を一区切りとして、翌年の2月16日〜3月15日の間に行います。

そのため、亡くなった日が1月〜3月である場合には前年分と今年の分の2年分の準確定申告を行う必要がありますから注意しておきましょう。

準確定申告の期限は前年分、今年の分ともに相続の開始があった日から4ヶ月以内となっています。

10ヶ月以内に行う手続き:相続税の申告と納付

相続税の申告と納付は親族が亡くなった日から10ヶ月以内に行う必要があります。

相続税の負担は相続財産を取得した人が、取得した割合に応じて行うのが原則です。

相続税の計算や申告を行うためには税法に関する専門知識が必要になりますから、必要であれば税理士に相談してアドバイスを受けるようにしましょう。

なお、相続税はすべての場合に発生するというわけではなく、遺産の金額が一定額未満である場合には税金が0円となることも珍しくありません。

相続税の基本的な計算式

具体的には、相続税の金額は以下の計算式によって計算した金額がマイナスとなる場合には、相続税は発生しません。

正味の相続財産−相続税の基礎控除

正味の相続財産とは?

正味の相続財産というのはプラスの財産(資産)からマイナスの財産(借金等)を差し引きした金額のことをいいます。

例えば、1億円の現金と3000万円の借金があるという場合、正味の相続財産は7000万円(1億円−3000万円)ということになります。

相続税の基礎控除とは?

相続税の基礎控除は以下の計算式で計算します(相続人となる人の人数が多いほど、基礎控除の金額も大きくなるため相続税の負担も小さくなります)

相続税の基礎控除=3000万円+600万円×法定相続人の人数

例えば、

亡くなった人に法定相続人として子供3人がいるという場合、相続税の基礎控除は3000万円+600万円×3人=4800万円ということになります。

そのため、この場合には正味の相続財産の金額が4800万円未満である場合には相続税の負担は発生しないことになります。

なお、相続税の負担額が0円となる場合には相続税の申告は必要ありません。

期限に遅れてしまったときのペナルティ

相続税の申告と納付の期限を過ぎてしまうと、延滞税や加算税という形でペナルティを課せられてしまうことがあります。

延滞税の税率は2ヶ月以内に納付を行なった場合には年2.7%、
それ以降に納付を行なった場合には年9.0%で計算した金額を負担しなくてはなりません。

(延滞税の税率はその年によって異なります。上記の税率は平成29年1月1日〜12月31日の税率です)

また、申告を長期間に行わなかった結果、税務調査などの形で強制的に申告と納付を行うことになったような場合には無申告加算税や重加算税(財産を隠匿したような場合)といったさらに思いペナルティが課せられてしまうことがありますから注意しておきましょう。

その後の手続き

相続税の申告までが完了すると、役所に対して行う必要がある手続きについては完了したことになります。

これ以降に生じる手続きは遺族間で相続財産の取り分についてトラブルが発生した場合の解決(遺留分減殺請求)や、権利関係が確定した遺産を所有権移転などの手続き(不動産の名義変更など)が中心となります。

遺留分減殺請求の期限:1年以内

財産を所有していた人が亡くなった場合、その人の親族には一定額の遺産を相続する権利が生じます。
(この一定額の遺産のことを遺留分といいます)

遺産を誰がいくら相続することができるか?については民法という法律でルールが決まっていますが、故人が生前に遺言書を残していた場合には遺言の内容が法律上のルールに優先することになります。

この遺言書の内容があまりにも遺族に対して不利な内容となっている場合には、遺留分を相続できない遺族が生じる可能性があります。

遺留分を侵された遺族は多くの財産を相続した人に対して遺留分減殺請求という形で訴えを起こすことが可能になります。

遺留分減殺請求の期限は相続があったことを知った日から1年以内です。

ただし、相続の開始から10年間が経過すると、相続があったことを知らなかったとしても遺留分減殺請求はできなくなってしまいますので注意が必要です。

まとめ

以上、相続にかかわる手続きについて基本的な流れを解説させていただきました。

本文でも解説させていただいたように、役所に対して行う手続きには期限が厳密に定められています。

もし期限を過ぎてしまった場合には延滞税などのペナルティが課せられてしまうことがありますから注意しましょう。

なお、相続手続きに関して不安がある場合には税理士などの専門家に相談するとアドバイスを受けることができますから、必要に応じて専門家の事務所を利用するようにしましょう。