相続税申告は自分でもできる?申告の有無や期限・必要書類や計算方法までを徹底解説!

相続税申告は自分でもできる?申告の有無や期限・必要書類や計算方法までを徹底解説!

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  1. 相続税の申告が必要な場合と、必要ない場合
    1. 相続税が発生する場合
    2. 相続税申告の手続きは誰がやる?
      1. 「相続税の配偶者控除」を使う場合
      2. 「小規模住宅等の特例」を使う場合
  2. 相続税の申告期限
    1. 期限をすぎたらどうなる?
      1. 延滞税
      2. 延滞税以外のペナルティ
  3. 相続税の申告は自分でもできる?
    1. 相続税の申告は個人でもできる?
      1. 相続に関する諸手続き
    2. 時間はかなり必要だが不可能ではない
    3. 専門家に依頼するデメリットは費用
    4. 相続税の申告を自分で行う方法
      1. STEP1 法定相続人を確定させる
      2. STEP2 相続財産を確定させる
      3. STEP3 必要な書類の手配
      4. STEP4「 相続税の申告書」の作成
      5. 個人で申告するメリット
      6. 個人で申告するデメリット
    5. 専門家からのアドバイス
    6. 相続税の申告は個人でもできる? まとめ
  4. 相続税の計算はどうやって計算するの?
    1. 相続税における財産とは?
      1. ■プラスの財産
      2. ■マイナスの財産
      3. ■みなし相続財産
      4. ■非課税の財産
    2. 相続税の計算にはすべての財産のリストアップが必要
    3. 相続財産の把握が一番の難関
    4. 相続税の計算① 課税遺産の総額を算出する
      1. STEP1 プラスの財産を算出(遺産総額+みなし相続財産+相続時精算課税の対象となる贈与)
      2. STEP2 マイナスの財産を算出する(債務+葬式費用+非課税財産)
      3. STEP3 正味相続財産を算出する(プラスの財産-マイナスの財産)
      4. STEP4 課税価格の合計額を算出する(正味相続財産+3年以内の贈与)
      5. STEP5 課税遺産総額を算出する(課税価格の合計額-基礎控除)
      6. ■法定相続人の人数と控除額
    5. 課税遺産総額が0円なら相続税はかからない
    6. 専門家からのアドバイス
    7. 相続税の計算② 相続税額を算出する
      1. 課税遺産総額に法定相続分をかけるのが相続税計算のポイント!
      2. ■相続税の速算表(平成27年1月1日以降の相続開始)
    8. 専門家からのアドバイス
    9. 相続税の計算③ 各相続人の納税額を算出する
      1. 納税額は各相続人が取得した割合をもとに算出
    10. 配偶者は1億6000万円までは無税
    11. 専門家からのアドバイス
    12. 相続税の計算はどうやって計算するの?・まとめ
  5. 相続税申告に必要な書類は?
    1. 相続の手続きにはたくさんの書類が必要
    2. 手間と時間のかかる必要書類の収集
    3. 相続税の申告に必要な添付書類① 公的書類
      1. ■申告時に必要になるもの
      2. 改製原戸籍謄本とは?
      3. 除籍謄本とは?
      4. 被相続人が生まれたときからのすべての戸籍を揃える必要あり!
    4. 相続税の申告に必要な添付書類② 相続財産
      1. ■現金・預貯金
      2. 相続発生時の残高証明が必要
      3. ■土地・建物
      4. 登記事項証明書は法務局で取得
      5. ■有価証券類
      6. 株の実券や債券は見落としやすい
      7. ■生命保険金・退職手当金など
      8. 保険金と退職金も申告の必要あり
      9. ■その他の財産
      10. 計上漏れしやすい相続財産に注意!
    5. 相続税の申告に必要な添付書類③ 債務・葬式費用
      1. ■債務
      2. 借入金などの計上漏れに注意
      3. ■葬儀費用
      4. 葬儀費用の記録はきちんと保存
    6. 相続税の申告に必要な添付書類④ 生前贈与財産
      1. ■生前贈与
      2. 3年以内の贈与も相続税の対象
    7. 専門家からのアドバイス
      1. 相続に必要な書類は?・まとめ
  6. 相続税はどうやって申告するの?
    1. 「相続税の申告書」とは?
      1. 相続税を申告するために財産や債務、税額控除などを記入して提出
    2. 手引きに従って金額を記入し相続税の申告書を作成する
    3. 「相続税の申告書」作成の概要
      1. STEP1
      2. STEP2
      3. STEP3
    4. 専門家からのアドバイス
    5. 相続税はどうやって申告するの? まとめ
  7. 相続税の税務調査
    1. 相続税の申告後1~2年後が一般的
      1. 相続税の税務調査は事前連絡アリ
      2. 税務調査の事前通知は被相続人の三回忌後
    2. 税務調査の一般的な流れ
    3. 専門家からのアドバイス
      1. 相続税の申告後1~2年後が一般的・まとめ
  8. 必ずチェックされる名義預金と定期贈与
    1. 非課税のはずの暦年贈与が課税対象に!?
      1. 名義預金と定期贈与とは?
      2. 名義預金や定期贈与と判断されないために
    2. 贈与契約書の作成例
      1. 契約書の作成と一緒に銀行で通帳記入もしておこう
    3. 専門家からのアドバイス
      1. 必ずチェックされる名義預金と定期贈与・まとめ
  9. 骨董品や趣味の品にも注意!
    1. 予想外の品物から申告漏れが発覚!?
      1. 困るのは遺族が知らない故人の財産
      2. 故人の財産をどこまで把握できるかが重要
    2. こんな場所・物がチェックされる!
    3. 専門家からのアドバイス
      1. 予想外の品物から申告漏れが発覚!?・まとめ
  10. 相続税法違反になると?
    1. 悪質な場合は懲役刑が科される場合も!
      1. 違反者のペナルティは?
      2. 巨額の申告漏れや悪質な場合は懲役も!?
    2. 追徴課税の一覧
    3. 専門家からのアドバイス
      1. 相続税法違反になると?・まとめ
  11. 相続税申告を依頼する税理士の選び方
    1. 相続税の分野に特化した税理士とは?
      1. 年間で処理している相続税申告の数
      2. 他業種との連携ができているか
      3. 相続税申告に関する費用

相続税の申告にかかわる手続きは、人生のうちでそう何度もあることではありませんよね。

普段から相続に関する仕事をしているという人でない限り、「相続税の申告をしないといけないけれど、何から始めたら良いのかさっぱりわからない…」という方もひょっとしたら多いのではないでしょうか。

相続税の申告を行うにあたっては、次のポイントを押さえておくと具体的な手続きの意味が理解しやすくなります。

以下、順番に解説させていただきます。

相続税の申告が必要な場合と、必要ない場合

相続税の申告は、遺産として残されている財産が一定額以上のときに必要になります。

逆にいうと、遺産の金額が少ない場合には相続税の申告や税金の負担はしないで良いということですね。

相続税の税率は最大で55%ですから、半分以上を国に税金として持っていかれてしまうこともありますし、もし期限内に税金を納めないと延滞税を負担しなくてはならないこともあります。

どのような場合に相続税の申告と納付が必要になるのか?については正確に理解しておきましょう。

相続税が発生する場合

相続税は「遺産総額−基礎控除額」で計算する金額が1円以上である時に発生します。

基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人数」で計算し、例えば法定相続人が3人である場合には4800万円(3000万円+600万円×3人)ということになります。

この場合、遺産の総額が4800万円未満であれば、相続税の負担は発生しないことになります。

相続税申告の手続きは誰がやる?

相続税の申告は、相続によって財産をひきつぐ人が行う義務があります。

相続によって財産を受け取るのですから、それに付随する税金の手続きもやらなくてはならないということですね。

相続税の申告を行うためには複雑な税法の知識が必要になりますから、税理士などの専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。

一方で、遺産の金額が少ないために相続税が発生しないケース(「遺産総額<基礎控除額」となるケース)では、相続税の申告は基本的に行う必要がありません。

「過去に親族が亡くなって相続があったけど、そのときは相続税の手続きなんて何もしなかったけど?」という方の場合、相続財産が基礎控除額の範囲内であったために相続税の負担が必要なかったものと思われます。

しかし、相続税の負担が発生しないケースでも例外的に相続税の申告手続きが必要になることがあります。

相続税の負担額がゼロでも例外的に申告手続きが必要になるのは以下のような場合です。

「相続税の配偶者控除」を使う場合

亡くなった方の配偶者の場合、「実際に受け取った遺産の金額」が法定相続分の範囲内である場合には税金がかからないというルールがあります。

実際に遺産をいくら受け取るか?は亡くなった方が遺言を残している場合には遺言が法律上ルールよりも優先されますから、実際に受け取る金額と法定相続分が異なるケースがあるのです。

この配偶者控除を使う場合には、相続税の申告期限までに、配偶者の方の相続分を計算した上で申告書を提出する必要があります。

「小規模住宅等の特例」を使う場合

亡くなった方が居住していた住宅等を相続した場合には、その住宅の遺産としての評価額を大幅に小さくしてもらえる(80%〜50%)という法律上のルールがあります。

例えば、本来は5000万円の価値がある住宅を相続したけれど、小規模住宅等の特例を使うことによってこの住宅の遺産としての評価額を1000万円としてもらうことができるケースがあるのです。

遺産としての評価額を小さくしてもらうことができれば、相続税の負担額も小さくなりますから、結果として相続税の負担が必要なくなることもあります。

この小規模住宅等の特例を使うためには相続税の申告を行う必要がありますから、結果として相続税の負担が0円となる場合にも、期限までに相続税の申告手続きだけは行わなくてはならないことになります。

相続税の申告期限

相続税の申告は、相続があったことを知った日の翌日から計算して10ヵ月以内に、管轄の税務署に対して行わなくてはなりません。

「相続があったことを知った」というのは、簡単にいうと親族が亡くなったことを知った日のことです。

遠方に住んでいたり、疎遠となっていたりする場合には、親族が亡くなってかなりの期間がたってから相続の発生を知るということも決して珍しいことではありません。

その場合、お葬式の通知や相続財産の分割協議を行う旨の通知を受けた日の翌日から相続税の申告期限についての日数計算がスタートすることになります。

なお、税金の納付期限も申告期限と同じ日となります。

期限をすぎたらどうなる?

相続税の申告期限を過ぎても申告手続きを完了できない場合、「期限後申告書」を提出する義務があるとともに、状況に応じて延滞税や加算税などのペナルティを課せられる可能性があります。

申告期限を過ぎた場合や、申告額に誤りがあった場合のペナルティは具体的には以下のようなものです。

延滞税

申告期限までに申告と納付を行わない場合、日割り計算で延滞税を負担しなくてはなりません。

延滞税の利率は申告期限から2ヶ月以内であれば7.3%、それ以降は14.6%となります。

例えば、100万円の相続税を支払わなくてはならないときに、申告期限から5ヶ月(仮に60日間+90日間=150日間とします)が経過してから相続税の申告と納付を行なった場合の延滞税の負担額は以下のようになります。

  • 2ヶ月間分の延滞税(60日間) :100万円×7.3%÷365日×60日間=1万2000円
  • 2ヶ月以降の延滞税(90日間) :100万円×14.6%÷365日×90日間=3万6000円
  • 5ヶ月(150日)の延滞税合計 :1万2000円+3万6000円=4万8000円

延滞税以外のペナルティ

期限内に申告と納付を行えない場合、上の延滞税以外にも追加のペナルティとしての納税が必要になることがあります。

具体的な税目としては過少申告加算税、無申告加算税、重加算税の3つあります。

延滞税以外のペナルティとしてどの税金が課されるかについては、税務署の調査を受けたときの申告義務がある人の具体的な状況から判断されます。

例えば、単に申告期限を過ぎてしまっただけで税額は正しく計算して納めたという時には比較的負担が小さい無申告加算税(税率5%〜10%)という税金が課せられます。

一方で、本来は相続財産に含めなくてはならない財産を隠していたというような事実が発覚した場合には最も重い重加算税(税率40%)が課されることがありますので注意が必要です。

相続税の申告は自分でもできる?

相続税の申告は個人でもできる?

相続に関する諸手続き

・必要書類の手配
・相続人の確認
・相続財産の調査
・相続税の計算
・相続税の申告書の作成
・不動産の名義変更
・年金・保険の手続き etc…

時間はかなり必要だが不可能ではない

相続税の申告をするのに特別な資格は必要ありません。遺産をリストアップし、必要な書類をすべて揃え、相続税の申告書を作成して提出、とやることは多いのですが、個人でもできます。ただし、かなりの手間と時間がかかることは覚悟してください。

専門家に依頼するデメリットは費用

相続の手続きには、相続税の申告と土地や建物、株などの名義変更があります。ほとんどの方が相続税の申告は税理士、登記は司法書士といったように専門家に依頼しますが、これらの手続きはすべて自分で行うことができます。
自分で手続きを行うメリットは、税理士や司法書士に支払う費用がかからないということです。相続税の申告は、遺産額によって変わりますが最低でも30万円、土地建物の名義変更は5万円の手数料が必要になります。
ただし、手続きに不備が起きにくい、特例や控除を活用して節税につなげるノウハウがあるなど、専門家に依頼するメリットもたくさんあるので、単純に費用の節約だけで判断するのは避けたほうがよいでしょう。
ここから、相続税の計算や各種手続き、必要書類のリストなどについて解説していきますので、自分で行うか、専門家に依頼するかを判断する参考にしてください。

相続税の申告を自分で行う方法

STEP1 法定相続人を確定させる

相続の手続きをするには、最初に「誰が相続人なのか」を確定させる必要があります。そのため、被相続人の「出生から死亡した時までの戸籍・除籍・改製原戸籍謄本」が 必要になります。戸籍の収集は時間がかかることも珍しくなく、数カ月かかることもあるので早めに取り掛かりましょう。

STEP2 相続財産を確定させる

被相続人がどんな財産をどれくらい持っていたのかも、確定させる必要があります。現金、預貯金や有価証券、生命保険だけでなく、土地や建物の評価額も算出しなければなりません。そのうえで、それぞれの相続人が、どの財産をどれくらい相続するかも決めます。

STEP3 必要な書類の手配

相続税の申告に必要な書類を揃えます。相続人の戸籍や印鑑証明、銀行の預金残高証明書、登記簿謄本など、集めなければならないものはたくさんあります。オンラインで手続きできるものもありますが、窓口に行かなければ取得できないものもあり、予想外に手間がかかる作業となります。

STEP4「 相続税の申告書」の作成

遺産の分割が決まり、必要な書類を揃えたら、「相続税の申告書」を作成します。申告書は順番通りに記入していけば完成するようになっていますが、かなりのボリュームがあり、作成には時間が必要です。完成したら必要書類とともに税務署に提出しますが、提出期限に注意してください。

個人で申告するメリット

・税理士などへの費用がかからない

個人で申告するデメリット

・節税が難しい
・申告漏れの可能性が高まる
・土地の評価を間違う可能性が高い
・税務調査が入る確率が高くなる
・税務調査に自身で対応

専門家からのアドバイス

税理士:古尾谷 裕昭

手続きや申告の期限に注意!

相続にまつわる手続きは、じっくり調べれば自分で終わらせることができるものも多いのですが、相続の手続きは死亡届の提出に始まり、相続放棄、準確定申告、相続税申告など期限があるものが多く、期限を過ぎると、手続きが出来なくなるものや、相続税申告や準確定申告でいえば、加算税や延滞税等の付帯税がかかってしまいます。
また、書類の不備等が出てくれば、後日税務署から不足の書類をもとめられるでしょうし、提出しないまま放置しておくと無申告扱いにされても文句はいえなくなってしまいます。
さらに、期限内の申告が要件とされている特例の適用を受けられない恐れもありますので、特例を受けようとする場合には特に注意が必要です。

相続税の申告は個人でもできる? まとめ

個人が相続手続きを行うことは可能

デメリットがあることに注意!

相続税の計算はどうやって計算するの?

相続税における財産とは?

■プラスの財産

金融資産 現金・預貯金・有価証券(公社債・国債・上場株式・投資信託など)
不動産 家屋(貸家含む)/宅地(賃宅地・貸家建付地も含む)/借地権/農地・山林など
その他 ゴルフ会員権・リゾート会員権など/貴金属・宝石・書画・骨董・車など/債権/特許権・著作権など

■マイナスの財産

借金 住宅ローンなどの借入金の残金/クレジットカードの未払い分/未払の入院費や医療費、税金
葬式費用 通常の通夜、葬儀に伴い葬儀社や寺などに支払った葬式費用一式
※香典返し、初七日、四十九日などの法要の費用は除く

■みなし相続財産

保険金 契約者と被保険者が同じで、被相続人の死亡後に相続人に支払われる死亡保険金、死亡給付金、死亡一時金など
退職金 勤務先から支払われる死亡退職金。通常は配偶者、配偶者がいなければ子どもなどの相続人に支払われる

■非課税の財産

日常礼拝をしているもの 生前から所有していた墓地・墓石、霊廟、仏壇・仏具など
※純金製の仏壇、骨董品の仏像など高額なものは除く
寄付財産 相続税の申告期限までに国又は地方公共団体や公益を目的とする事業を行う特定の法人
に寄附したもの
公益事業用の財産 公益を目的とする事業に使われることが確実なもの

相続税の計算にはすべての財産のリストアップが必要

上のリストにあるものすべてが、相続税における“財産”となります。これらの財産をすべてリストアップして「財産目録」を作成しないと、相続税の計算ができません。被相続人の財産が多い場合、かなりの時間が必要になるでしょう。

相続財産の把握が一番の難関

各相続人の相続税額は、「課税遺産総額の算出、「相続税の総額の算出」、「納税額の算出」の3つの段階を経て決まります。
一番手間がかかるのが第一段階の課税遺産総額の算出です。すでに財産目録を作成している場合は、それをもとに計算することができますが、作成していない場合はすべての財産のリストアップから始めなければなりません。
第2段階以降は、電卓があれば誰でもできるレベルのかんたんな計算ですが、第2段階の相続税総額の算出は、法定相続分で計算することに注意が必要です。
また、第3段階の納税額の算出では、適用できる控除を忘れないようにしましょう。基本的に税務署は控除漏れなどは指摘してくれませんので、自分でしっかりチェックする必要があります。

相続税の計算① 課税遺産の総額を算出する

STEP1
プラスの財産を算出(遺産総額+みなし相続財産+相続時精算課税の対象となる贈与)

プラスの財産
遺産総額 みなし相続財産 相続時精算課税の対象となる贈与

STEP2
マイナスの財産を算出する(債務+葬式費用+非課税財産)

マイナスの財産
債務 葬式費用

STEP3
正味相続財産を算出する(プラスの財産-マイナスの財産)

プラスの財産 マイナスの財産

STEP4
課税価格の合計額を算出する(正味相続財産+3年以内の贈与)

正味相続財産 3年以内の贈与

STEP5
課税遺産総額を算出する(課税価格の合計額-基礎控除)

課税遺産総額 基礎控除

■法定相続人の人数と控除額

人数 基礎控除額
1人 3600万円
2人 4200万円
3人 4800万円
4人 5400万円
5人 6000万円

課税遺産総額が0円なら相続税はかからない

最初にプラスの財産(STEP1)とマイナスの財産(STEP2)を算出し、その差額(STEP3)に3年以内の贈与を加算します(STEP4)。これが相続税の対象となる「課税価格の合計額」となります。最後にこの課税価格の合計額から基礎控除額を差し引き(STEP5)、最終的な課税遺産総額が決まります。もし、計算の結果0円以下になった場合、相続税はかかりません。

専門家からのアドバイス

税理士:三ツ本 純

経験と知識で差が出る財産評価

課税遺産総額を計算するうえで必要になるなのが、相続財産の把握、つまり、それぞれの財産を適切に評価しなければなりません。
特に非上場株式や土地の評価については、それぞれのケースに適した評価を行うことが求められるため、どう評価するかが節税のポイントにもなってきます。
そのため、税理士のなかでも相続に精通している税理士とそうでない税理士とでは、評価金額が何千万と変わってくることまであり、納税額も大きく変わります。
こうしたことも含めて考えると、ご自身で相続税の申告を行うこともできますが、相続に詳しい税理士にご相談することをお勧めします。

相続税の計算② 相続税額を算出する

課税遺産総額に法定相続分をかけるのが相続税計算のポイント!

相続税は実際の相続割合に関わらず、法定相続分で計算します。具体的には、課税遺産総額に法定相続人の法定相続分をかけて取得価格を算出(STEP1)し、税率をかけて各相続人の税額を算出(STEP2)します。最後に各相続人の税額を合計(STEP3)し「相続税の総額」が決まります。

■相続税の速算表(平成27年1月1日以降の相続開始)

取得金額 税率 控除額
1000万円以下 10%
3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

専門家からのアドバイス

行政書士:本間 剛

法定相続分をしっかり確認!

相続税は、まず法定相続人が法定相続分を相続したものとして各法定相続人の税額を算出します。
各法定相続人の税額を合計したものが相続税の総額となります。たとえ、法定相続人以外に相続する人がいたとしても、相続税の総額を計算する際は無視されます。
ここがわかりにくい方が多いようですが、あくまでも税額の計算は法定相続したものとして計算するということです。
法定相続の確定はもちろん、法定相続分を間違えると税金計算に影響を及ぼします。法定相続人の数が多いケースや多様な法定相続人がいるケースの相続では法定相続分も間違いやすいので、しっかり確認しておきましょう。

相続税の計算③ 各相続人の納税額を算出する

納税額は各相続人が取得した割合をもとに算出

相続税の総額が決まったら、今度は実際の相続割合に応じて納税額を計算します(STEP1)。最後に各種控除を適用(STEP2)し、各相続人の納税額が決まります。

税額控除
配偶者の税額軽減 被相続人の配偶者は、1億6000万円または配偶者の法定相続分のどちらか多い金額までの取得財産について相続税が免除されます。
贈与税額控除 「相続開始前3年以内に贈与された財産」に対する支払い済みの贈与税は相続税から控除されます(詳しくは、下記のアドバイスを参照)。
未成年者控除 相続人が未成年者のとき、その相続人が満20歳になるまでの年数1年につき10万円が控除されます。なお、1年未満の端数は切り上げて1年として計算します。
障害者控除 相続人が85歳未満の障害者のとき、その相続人が満85歳になるまでの年数1年につき10万円(特別障害者の場合は20万円)が控除されます。

配偶者は1億6000万円までは無税

・実際の取得金額が1億6000万円、または法定相続分以下なら相続税はゼロ
・実際の取得金額が1億6000万円、及び法定相続分以上の場合は差額部分に対して相続税が発生

専門家からのアドバイス

税理士:古尾谷 裕昭

税額控除の適用漏れや加算に注意!

法定相続分で計算した相続税の総額に実際に相続する人の相続割合をかけた納税額に、軽減や加算、控除を適用したものが最終的な納税額になります。
上で紹介した相続税の税額控除以外に、10年間に2回以上の相続があった場合税負担が軽減される「相次相続控除」、外国にある財産を相続し、外国の相続税が課税された場合控除される「外国税額控除」、相続時精算課税制度を適用していた場合、相続税額から、相続時精算課税制度における贈与税額を控除する「贈与税額の控除(精算課税)」という3つの控除があります。
なお、一親等の血族及び配偶者以外が相続した場合、相続税額の20%が加算されます。

相続税の計算はどうやって計算するの?・まとめ

すべての相続財産を合計

相続割合に応じて税額を算出


相続税申告に必要な書類は?

相続の手続きにはたくさんの書類が必要

  • ・市町村役場
  • ・郵便局
  • ・銀行
  • ・法務局相

相続の手続きに必要な書類は、戸籍謄本などの市町村役場でもらえるものだけではありません。銀行や郵便局、法務局の窓口で手続きが必要なものもあり、手続きに必要な書類を集めるだけでも、かなりの手間がかかることを覚悟しておきましょう。

手間と時間のかかる必要書類の収集

相続税の申告に必要な書類は多岐に渡ります。申告の際、かならず必要になる書類だけでも、被相続人の改製原戸籍謄本や除籍謄本、住民票の除票、相続人全員の戸籍謄本や住民票、印鑑証明など、10種類以上の書類を用意しなければなりません。
基本的に市町村役場で取得できるものばかりですが、戸籍謄本のように本籍地の役場でしか取得できないものもあるため、想像以上に大変です。特に被相続人が何度も転籍を繰り返しているような場合、転籍前の本籍地の役場で戸籍謄本取得を繰り返すことになり、大変な手間がかかります。
そのほか、銀行の預金残高証明書も口座のある銀行の窓口に行って発行してもらわなければならないなど、書類の収集は非常に手間と時間がかかります。このため、相続が発生したら、こうした書類の申請はできるだけ早めに行いましょう。

相続税の申告に必要な添付書類① 公的書類

■申告時に必要になるもの

書類 条件等 申請先
1 被相続人の戸籍謄本 生まれた時からのもの(改製原戸籍謄本・除籍謄本) 各市町村役場
2 被相続人の住民票の除票 省略のないもの 各市町村役場
3 被相続人の死亡診断書コピー ご自身でコピー
4 各相続人の戸籍謄本 家族全員の記載のあるもの 各市町村役場
5 各相続人の住民票 家族全員の記載があり、省略のないもの 各市町村役場
6 各相続人の印鑑証明 遺産分割協議書作成時に必要 各市町村役場
7 遺言書または遺産分割協議書 申告時にどちらかが必要

改製原戸籍謄本とは?

戸籍法の改正により戸籍の様式が変更され、新しい様式で戸籍の書き換えが行われます。この改製(つくり直し)が行われる前の古い戸籍のことを指します。

除籍謄本とは?

死亡のほか、結婚、離婚、転籍(本籍地変更)などにより、在籍している人が誰もいなくなった戸籍のことを指します。

被相続人が生まれたときからのすべての戸籍を揃える必要あり!

相続の手続きでは、相続人を確定するため原則として被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍が必要になります。そのため、最初に被相続人の最後の本籍地の役所で最終の戸籍謄本を取り、その記載内容をチェックして、転籍があれば転籍前の役場で戸籍謄本を取得し、これを繰り返して出生までの戸籍を遡って追跡しなければなりません。

謄本を取得するには?

戸籍謄本は本籍地の役所でしか取得できません。取得方法は窓口で直接取得するか、郵送で取得することになります。本籍地が遠方の場合は郵送での取得になりますが、1週間程度かかるので、手続きは早めに行いましょう。

  • ・窓口で取得
  • ・郵送で取得

相続税の申告に必要な添付書類② 相続財産

■現金・預貯金

書類 条件等 申請先
1 預金残高証明書 死亡日の残高 各金融機関
2 既経過利息計算書 定期預金の場合 各金融機関
3 被相続人の過去の通帳のコピ-
4 家族全員の過去の通帳のコピ-

相続発生時の残高証明が必要

残高証明書は、相続が発生した時点での被相続人の口座残高が記載された書類です。
各金融機関の窓口で「残高証明書を取得したい」と申請してください。

■土地・建物

書類 条件等 申請先
1 全部事項証明書(登記簿謄本) 法務局の各出張所
2 地積測量図又は公図の写し 法務局の各出張所
3 固定資産税評価証明書  各都税事務所・市町村役場
4 実測図
5 賃貸借契約書貸家、貸地・借地の場合

登記事項証明書は法務局で取得

土地の登記関係の書類は、法務局(支局・出張所含む)の窓口で取得するか、オンラインで申請します。固定資産税評価証明書は各市区町村の窓口で取得できます。

■有価証券類

書類 条件等 申請先
1 証券・株券・通帳・預り証明書 死亡日の残高 各銀行・証券会社
2 配当金支払通知書  保有株数表示 証券代行業者

株の実券や債券は見落としやすい

未上場企業の株式や債券類は見落としやすいので注意しましょう。遺産の分配や申告が終わった後に見つかると、手続きのやり直しが必要になってしまいます。

■生命保険金・退職手当金など

書類 条件等 申請先
1 生命保険の保険証書のコピ- 継続中のもの 各保険取扱会社
2 支払保険料計算書 各保険取扱会社
3 火災保険等の保険証書のコピ-  満期返戻金があるもの 各保険取扱会社
4 退職金の支払調書

保険金と退職金も申告の必要あり

支払保険料計算書は銀行や保険会社、退職金の支払調書は勤務先から送られてきます。各種保険の証書は、被相続人が保管しているはずなので探してください。

■その他の財産

書類 条件等 申請先
1  金銭消費貸借契約書のコピ- 貸付金がある場合
2 会員証 ゴルフ会員権など
3 電話加入権
4 家財一式

計上漏れしやすい相続財産に注意!

貸しているお金、ゴルフやリゾートの会員証、電話加入権も相続税の対象です。それぞれ証明できる書類や証書、会員証をコピーして提出します。

相続税の申告に必要な添付書類③ 債務・葬式費用

■債務

書類 条件等 申請先
1 金銭消費貸借契約書のコピ- 借入金がある場合
2 借入残高証明書 借入金がある場合 各金融機関
3 請求書 未払金の場合
4 課税通知書・納付書 4 未納の租税公課−
5 明細など その他の債務

借入金などの計上漏れに注意

借入金や未払金はマイナスの財産としてプラスの財産から差し引くことができるので、証明できる書類をきちんと用意しましょう。

■葬儀費用

書類 条件等 申請先
1 請求書・領収書
2  諸経費の明細 心付けなど
3 お布施などのメモ

葬儀費用の記録はきちんと保存

葬儀費用もマイナスの財産になりますので、葬儀会社の領収書のほか、葬儀にかかった諸経費の明細と領収書もきちんと保管しておきましょう。

相続税の申告に必要な添付書類④ 生前贈与財産

■生前贈与

書類 申請先
1 贈与税の申告書(控) 相続時精算課税・暦年課税
2 被相続人の戸籍の附票のコピ- 相続時精算課税
3 相続人の戸籍の附票のコピ- 相続時精算課税
4 贈与証書 暦年課税
5 貯金通帳  暦年課税

3年以内の贈与も相続税の対象

相続税の対象となる生前贈与の金額を証明する書類も必要になります。また、被相続人の戸籍の附票のコピーも必要になるので、忘れないようにしましょう。

専門家からのアドバイス

税理士:三ツ本純

必要書類の漏れには十分注意

相続税の税務調査で最も見られるのは、金融資産の漏れです。実際の調査では、過去5年分のお金や株式などの移動、使いみちを重点的に調べられ、被相続人の財産を把握されます。

そのため、相続財産を証明する書類、債務や葬式費用を証明する書類、生前贈与財産に関する書類をしっかりと集めて申告書類を作成しなければ、申告漏れを指摘されてしまいます。

相続税の申告に慣れていない税理士では、こうした書類の確認を漏らすことも十分ありえます。たとえば、過去5年分の銀行通帳がない場合には、各銀行で過去の取引明細を発行してもらうことができますので、面倒ではありますがしっかり確認しておきましょう。

相続に必要な書類は?・まとめ

戸籍謄本や印鑑証明などの公的書類

残高証明書などの財産を証明する書類


相続税はどうやって申告するの?

「相続税の申告書」とは?

相続税を申告するために財産や債務、税額控除などを記入して提出

「相続税の申告書」とは、相続税の申告のための所定の用紙です。項目別に第1表から第15表まであり、各表に必要事項と金額を記入し、必要な書類を添えて期日までに提出しなければなりません。

手引きに従って金額を記入し相続税の申告書を作成する

遺産の分割協議、または遺言書で各相続人の遺産の取得割合が決まり、相続税の申告書を作成します。申告書は所定の用紙があるので、税務署に行って取得してください。
申告書の作成方法は申告書と一緒にもらえる『相続税の申告のしかた』という冊子に詳しく記載されていますので、それを参考に必要事項と金額などを記入していきます。
基本的に指示通りに記入していけば完成するようになっていますが、冊子だけではわかりにくい部分も多いので、わからない場合は、税務署に相談してみましょう。
申告書が完成したら、必要な書類(118ページ参照)をすべて添付して、被相続人の死亡日の翌日から10カ月以内に税務署へ提出します。
なお、相続税の申告書は、同じ被相続人から相続や遺贈などによって財産を取得した人が共同で作成して提出することができます。

「相続税の申告書」作成の概要

STEP1

相続税のかかる財産(課税財産)と債務・葬式費用、贈与財産などを第9表から第14表までの各表に記載して、「相続財産の種類別価格表(第15表)」を作成する。

STEP2

「課税価額・相続税額(第1表)」と「相続税の総額(第2表)」を作成する

STEP3

税額控除額を計算するために第4表から第8表を作成し、「課税価額・相続税額(第1表)」に転記。各相続人の相続税額を算定する。

専門家からのアドバイス

税理士:三ツ本純

期日までに申告しないとペナルティあり

相続税を申告しなかったり、申告期限に間に合わなかったりした場合、税金が加算されてしまいます。
 まず、申告しなかった場合は、「無申告加算税」が課されます。申告期限後に自分で申告した場合は5%、税務調査後に申告した場合は、税額50万円までは15%、50万円を超える分については20%もの加算税が課されます。さらに、申告期限後の納付になったことで「延滞税」も課されます。延滞税(2018年)は、申告期限後2カ月までは年率2.6%、2カ月を超えると年率8.9%の利率です。もし、相続財産を隠していたのが見つかった場合は、無申告加算税の代わりに、40%もの「重加算税」が課されます。

相続税はどうやって申告するの? まとめ

申告用紙の指示通りに金額を記入する

10カ月以内に必要書類とともに提出


相続税の税務調査

相続税の申告後1~2年後が一般的

相続税の税務調査は事前連絡アリ

税務調査は納税者(相続人)に電話等での事前通知することが原則として義務化されている。※ただし、悪質な脱税行為が明らかな場合は、無予告の査察調査が行われる可能性も!

税務調査の事前通知は被相続人の三回忌後

税務調査と聞くと、つい映画『マルサの女』のような厳しい調査をイメージしがちです。
しかし、相続税の税務調査には「マルサ」と呼ばれる強制捜査や、警察の「ガサ入れ」のような突然の家宅捜査はありません。税務署から必ず事前連絡があるので、怖がる必要はないのです。
一般的に、相続税の税務調査は「被相続人が亡くなって三回忌が済んだ頃」と言われています。具体的には、申告書の提出から1年~1年半が多いようです。ただし、事前に綿密な調査が必要なケースでは2、3年後に行われることも多いので油断は禁物です。
事前連絡は一般的に電話で行われ、調査日の都合を聞かれます。このとき、都合が悪ければ変更も可能で、変更によって心象が悪くなることもありません。
相続税の時効は5年(悪質な場合は7年)なので、この期間が過ぎれば税務調査は入りません。

税務調査の一般的な流れ

事前調査:相続税申告書の提出後~、提出された相続税申告書をチェックし税務調査が必要かどうかを検討事前通知:税務調査予定日の7~10日前申告から1~2年後が目安:相続税の税務調査は申告の翌年か翌々年の秋頃が多い。また、相続税の時効は5年(悪質な脱税は7年)のため、申告期限から5年が経過すれば税務調査の心配はない。事前通知で伝えられる内容調査対象となる納税義務者(相続人)の氏名と居住地実地調査の開始日時・調査場所・調査目的調査対象となる税目(相続税)調査対象となる期間・調査対象となる書類担当する調査官の氏名と所轄税務署名調査日時と調査場所の変更が可能であること上記項目に記載されていない事項でも、非違の疑いがある場合は質問調査が行われること相続発生 2018年2月相続税の申告期限 2018年12月税務調査の入る可能性が高い時期 2019年8月~2020年11月税務調査が入る可能性が低い時期 2021年8月~2023年11月税務調査が入らない時期 2023年12月~税務調査:1~2日程度、長ければ約1ヵ月、相続人立ち会いのもと、国税調査官が相続財産のチェックを行う検討~終了:1~2ヵ月程度、長ければ約1年、調査内容を検討し、必要ならば追加調査を実施。修正箇所がなければ調査終了の通知書が送られ、修正箇所がある場合は修正申告書を作成し、追徴税額を納める

専門家からのアドバイス

税理士:桑原 弾

税務調査が入りやすい時期がある!

相続税がかかりそうでも申告していない人には、税務調査前の段階で連絡が入ります。申告期限2~3カ月前に「相続についてのお尋ね」や「相続税申告書」が送られてくることがあります。
なかには期限1 ヵ月前ということもあり、何も準備していない場合には間に合わないことあります。間に合わない場合は、相続税の本税に延滞税などが加算されてしまうこともあるので、早めに申告書を手に入れましょう。
ちなみに税務調査の時期は、遺産総額が大きく手間がかかりそうなケースは8~ 11月頃、問題が少ないケースは5~6月頃に行われる印象があります。これは確定申告や人事異動など税務署の都合が関係していると考えられます。

相続税の申告後1~2年後が一般的・まとめ

申告後1~2年後に税務調査が入りやすい

税務調査が入る場合は事前連絡がある

必ずチェックされる名義預金と定期贈与

非課税のはずの暦年贈与が課税対象に!?

名義預金と定期贈与とは?

名義預金他人名義の口座を開設し、自分のお金を管理すること。被相続人本人の預金と見なされるため、税率の低い贈与にも認められない。名義預金と判断されたら…隠し財産として「重加算税」がかかる場合も!定期贈与「毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与する」などの契約のもとで行われる贈与で、一括贈与と同じ扱いになる。定期贈与と判断されたら…一括贈与として贈与した全額が課税対象に!

名義預金や定期贈与と判断されないために

税務調査では必ず預金通帳をチェックされますが、このとき職員が目を光らせるのが「名義預金」と「定期贈与(連年贈与)」の確認です。
名義預金とは、他人名義の口座で自分のお金を管理すること。たとえば、故人が子どものために定期的に貯金していた口座が名義預金と見なされることがあり、そうなると隠し財産として重加算税を課される場合もあります。
また、暦年贈与のつもりでも、毎年決まった時期に決まった金額を贈与していると、定期贈与と見なされる恐れがあります。定期贈与と見なされると、1回目の贈与にのみ基礎控除が適用されるだけで、残る全額が課税対象となってしまいます。
名義預金対策としては受贈者本人が通帳を管理し、財産を自由に利用できる状態にすること。定期贈与対策としては贈与の額や時期をずらすなどの工夫が必要です。

贈与契約書の作成例

名義預金や定期贈与と判断されないように、贈与のたびに金額や内容を記載した贈与契約書を作成しましょう。

契約書の作成と一緒に銀行で通帳記入もしておこう

贈与契約書とは、贈与者と受贈者の贈与合意を客観的に記録する書類です。必ず贈与するたびに作成し、大切に保管しておきましょう。また、銀行の通帳記入で振り込み履歴を残しておくと、入金・出金の記録が残るのでより安心です。

専門家からのアドバイス

税理士:桑原 弾

通帳を隠しても無駄!

税務署の職員は、故人の預金通帳のみならず親族の預金通帳の内容も、故人が亡くなる5年前に遡って調べています。
そして1回につき50万円以上の出金があると、その用途についてひとつひとつ質問してきます。通帳を見られないよう金庫にしまったとしても、すでに職員は出金記録を把握しているのです。
それならば「いっそ海外へ送金すればわからないのでは」という人もいるでしょう。ところが、100万円以上の海外への送金があった場合は「国外送金の調書」が金融機関から税務署へ提出されることになっています。海外資産が見つかって追徴税を課されるケースは意外に多いので、注意してください。

必ずチェックされる名義預金と定期贈与・まとめ

名義預金対策→受贈者が通帳を管理する

定期贈与対策→贈与の額や時期をずらす

骨董品や趣味の品にも注意!

予想外の品物から申告漏れが発覚!?

困るのは遺族が知らない故人の財産

「××銀行の預金と○○社の株式が申告されていませんが…」税務調査で指摘され、把握していなかった故人の財産が発覚する場合も!

故人の財産をどこまで把握できるかが重要

相続税は大きな金額が動くケースが多いため、税務署側もシビアにチェックします。
税務調査当日、調査官によってあらゆるものがチェックされます。預金通帳・生命保険・不動産といった金額が大きくなりやすいもののほか、「こんなものまで!?」と思うものにも調査が及びます。
たとえば金融機関の名前が入った景品が挙げられます。これは申告書に記載されていない金融機関との関係を確認するためで、故人の日記帳や電話帳などの確認を求められるのも同様の理由です。
相続税の税務調査では、自分の行為ではなく、故人の行為について質問されます。そのため、どうしても虚を突かれる質問などが出てきますが、慌てず正直に答えるように心掛けてください。
当日に申告漏れが出ないよう、あらためて第1章を読み返し、預金から骨董品まで被相続人の財産を把握できるようにしましょう。

こんな場所・物がチェックされる!

通帳相続開始前に多額の引き出しがないかなどを確認金融機関の名前が入った景品(カレンダー、タオルなど)申告書に記載されていない金融機関のグッズがないかを 確認し、隠し財産などの可能性をチェック高価な動産申告書に記載されていない高価な骨董品・書画などを確認遺言書申告書に記載されていない財産がないかを確認自宅の金庫&金融機関の貸金庫申告書に記載されていない通帳や株式、権利証などがないかを確認印鑑朱肉を付けずに印影を採取し、直近で使用されたかどうかを確認ゴルフ大会のトロフィー申告書にゴルフ会員権の記載はあるかを確認その他日記帳、手帳、電話帳など確認し、隠し財産などの可能性をチェック申告書にない金融機関・保険会社との付き合いをチェック

専門家からのアドバイス

税理士:桑原 弾

追徴されるケースには共通点がある

税務調査の指摘は非常に多岐にわたり、調査対象の家庭によってケースバイケース。そのため、一概に「ここが指摘される」といった内容を列挙するのは難しいものです。
しかし、しばしば追徴されるケースには、ある共通する原因があります。
それは「奥さんや子どもが故人の財産を把握できていない」ということです。
たとえば、知らない間に故人が国債や株式に投資をしていたり、家族のために家族名義で貯金をしていたりするケースです。
逆に言うと、これが法人税や所得税の税務調査とは異なり、納税者が税務調査を怖く感じる原因でもあります。

予想外の品物から申告漏れが発覚!?・まとめ

調査官は金融機関のヒントに目を光らせる

第1章を参考に徹底的に財産を把握する

相続税法違反になると?

悪質な場合は懲役刑が科される場合も!

違反者のペナルティは?

相続税法違反=不正行為により相続税または贈与税を免れた者は、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(併科あり)。しかし、高額の脱税(億単位)や逃亡の可能性などがない限りは以下の追徴課税が一般的。無申告加算税正当な理由なく申告期限までに申告しなかった場合に課される税金過少申告加算税申告期限内に提出した申告書の金額が不足していた場合に課される税金重加算税課税対象の財産を意図的に隠していた場合に課される税金延滞税相続税の納付期限(被相続人の死亡を知った日から10 ヵ月以内)までに納税されなかった場合に課される税金

巨額の申告漏れや悪質な場合は懲役も!?

税務調査の結果、申告内容に不備や金額漏れが発覚すると、修正が必要となり、ペナルティが発生してしまいます。
相続税法によれば「違反者は10年以下の懲役か1000万円以下の罰金(併科もあり)」ですが、よほど悪質でない限り、追徴税が課されるのが一般的です。
追徴課税には「無申告加算税・過少申告加算税・重加算税・延滞税」の4種があり、それぞれの税率については左ページに記した通りです。
なお、修正申告を提出してしまうと、原則として不服申立を行うことができなくなります。
税務署の指摘内容に納得できず、修正申告に応じなかった場合、税務署長から更正または決定の処分が通知されます。これに対して不服があれば、再調査の請求や審査請求を行うことになりますが、個人で進めるのは非常に難しいので専門家を頼るのが賢明です。

追徴課税の一覧

税名 内容 税率
無申告加算税 申告期限までに申告せず、自主的に期限後申告した場合 5%
税務調査により期限後申告した場合 納税額のうち50万円までの部分 15%
納税額のうち50万円を超える部分 20%
過少申告加算税 自主的に修正申告した場合 ──
税務署に指摘されて修正申告した場合 10%
税務署に指摘されて修正申告した場合で
追徴税額が「期限内申告税額」または「50万円」のいずれか多い金額を超える部分
15%
重加算税 財産を意図的に隠す、または証拠書類を隠蔽した上で申告した場合 35%
財産を意図的に隠す、または証拠書類を隠蔽した上で申告しなかった場合 40%
延滞税 納付期限の翌日から2ヵ月以内に納付した場合 年7.3%
or
特例基準割合+1%の低い方(※)
納付期限の翌日から2ヵ月を超えた場合 年14.6
or
特例基準割合+7.3%の低い方(※)

※特例基準割合とは、各年の前々年10月から前年9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で割って得た割合に、さらに年1%を足した数字。2017年の特定基準割合は1.7%。

専門家からのアドバイス

税理士:桑原 弾

相続財産を使って追徴税が払えない!?

追徴税で注意したいのは、税務調査が相続から1~2年後に行われるということです。この期間に、相続した財産をすでに住宅ローンの返済や学費などに使った結果、税務調査の追徴税金が払えないというケースがあります。また「追徴税は相続人全員に課税されるもの」と理解しておく必要があります。というのも、「追徴税」をめぐって、ご家族によけいな争いがおこることもあるためです。
しばしば相続は「争続」との表記で揶揄されることもあります。無駄な争いが起こらないよう、相続の協議だけでなく、追徴税が発生した場合についても話し合っておきましょう。

相続税法違反になると?・まとめ

違反者は追徴課税を納めなくてはいけない

修正申告に納得できなければ専門家に相談

相続税申告を依頼する税理士の選び方

ひとくちに「税理士」といっても、いろんな仕事をしている人がいます。

お医者さんにも外科医や内科医、眼科医や産婦人科医…といったようにいろんな専門分野がありますよね。

これと同じように、税理士にもそれぞれ専門で扱っている分野というものがあるのです。

特に、相続税に関する実務は専門性が極めて高く、1件の依頼ごとにかける必要がある時間と労力が大きいという特徴があります。

このような専門性が高い相続税の申告については、相続税の分野に特化した税理士に依頼をするのが適切です。

相続税の分野に特化した税理士とは?

とはいえ、これまで税理士と関わったことなんてない…という方にとっては、どのような税理士が相続税を専門にしているのか?は外部から見てもよくわからないというのが実際のところですよね。

相続税申告についての依頼をするときには、具体的には以下のような点を見ながら税理士を選ぶようにすると良いでしょう。

年間で処理している相続税申告の数

相続税に関する分野を得意にしている税理士事務所の場合、年間で処理している相続税申告の依頼数が多いという特徴があります。

年間の処理件数でいえば少なくとも50件以上、できれば100件以上の処理件数を売りにしている税理士事務所を選択すると大きな間違いはないでしょう。

他業種との連携ができているか

相続に関する実務は他業種との連携が特に重要となる分野です。

相続財産に含まれる不動産の評価や、家族についての法律知識も必要となるため、弁護士や司法書士、不動産鑑定士といった別業種の人たちとも連携していることをアピールしている税理士事務所は、相続税に関する依頼を多く処理してきている可能性が高いです。

土地や建物、非上場の株式など相続財産としての評価が難しい遺産が多くある場合には、どの税理士事務所に依頼をするかをしっかりと吟味する必要があります。

相続税申告に関する費用

相続税に関する事務をを依頼した時の費用についても事前にチェックしておきましょう(その事務所のホームページなどで確認できます)

相続税申告に関する費用については、遺産の金額と相続人の人数から基本的な料金を設定し、その他の手続きが発生するごとに追加料金が発生するという形をとっている税理士事務所が多いです。

相続税に関する実務実績が浅い税理士事務所の場合、相続税申告の依頼をした場合の料金設定がそもそも画一的でないことがあります。

一方で、相続事務に関する料金設定が画一的でシンプルなものになっている税理士事務所なら、相続税に関する依頼を多く受けている可能性が高いといえるでしょう。

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