遺産分割と相続の違いについて

この記事では、近い将来に親族の相続にかかわる可能性がある方に向けて、遺産分割と相続という言葉の違いについて説明します。

遺産相続に関する手続きの大まかな流れについても理解していただける内容となっていますので、参考にしてみてください。

遺産分割と相続の違い

ごく簡単にいうと、「相続」とは親などの親族から財産を受け継ぐことです。

一方で、「遺産分割」とは、相続する人が複数いる場合に、だれがどれだけの割合で遺産を受け取るのかを決めることです。

相続人が1人しかいないような場合には、「相続」=「遺産分割」と考えて問題ありませんが、2人以上の相続人がいる場合には、財産を相続して自分のものにするためには、遺産分割の手続きを行わないと行けません。

遺産分割は亡くなった人が遺言書などで分割方法を指定している場合にはその内容に従いますが、遺言書がない場合には、相続人となる人たちが集まって話し合いで決める必要があります。

この話し合いのことを遺産分割協議といい、遺産相続に関するもっとも重要な手続きといえます。

遺産分割のための方法

相続が発生した直後(つまり親族が亡くなった直後)の段階では、遺産は相続人全員の共有状態になっているため、相続人の中の一人が勝手に処分することはできません。

現実に遺族が遺産を受け取るためには、遺産分割の手続きを行う必要があるのです。

遺産分割を行うための具体的な方法としては、大きく分けて①遺言書の内容に基づく遺産分割と、②遺産分割協議による遺産分割の2つが考えられます。

①遺言による遺産分割

亡くなった人が遺言書を残している場合には、その内容に従って遺産分割が行われます。

遺産分割の方法については、法律上さまざまなルールが設けられていますが、これらのルールはあくまでも遺言書の内容を補完するものにすぎません。

遺言書と法律のルールが食い違う場合には、公序良俗に反する内容となっていない限りは遺言書の内容が優先されます。

遺言書がある場合には、その遺言書の内容に従って遺産分割の手続きを進めていきますが、遺言書の中で遺言執行者が定められている場合には、遺族に代わってその遺言執行者が遺言書の内容を実現すべく手続きを進めていくことになります。

ただし、配偶者や子供といった「亡くなった人とごく近しい関係にあった親族」については、最低限の遺産分割を受ける権利である遺留分が認められています。

遺言書によってこの遺留分が侵害されている場合には、遺留分減殺請求という手続きを行うことで本来受け取れるはずの遺産分割を受けることが可能となります。

②遺産分割協議による遺産分割

遺言書がない場合には、遺産分割協議によって各相続人が相続する遺産の割合を決める必要があります。

遺産分割協議で話し合って決めた内容は、最終的に遺産分割協議書という書類にまとめます。

この遺産分割協議書を使って、不動産や預貯金といった遺産の名義変更手続きを行っていくことになります。

遺産分割協議書には相続人となる人全員の署名と押印が必要ですから、もし一部の相続人を排除する形で遺産分割協議書を作成したとしても、その内容は後からくつがえされてしまう可能性があります。

当然、金融機関などはこの点で不備がある場合には預貯金などの払い戻しに応じてくれない可能性が高くなりますから、遺産分割協議書は必ず相続人となる人全員の合意のもとに作成しなくてはなりません。

まとめ

今回は、遺産分割と相続の言葉の意味の違いについて説明しました。

本文でも説明した通り、相続人となる人が複数人いる場合には、遺産分割の手続きを完了しないと遺産を現実に分け合うことができません。

遺産分割の手続きの中には期限が設けられているものもありますから、相続が発生したらすみやかに遺産分割の手続きを完了するのが適切といえます。