相続税の税率と税金金額の計算方法をわかりやすく解説!

  1. 1.相続税の税率は?
    1. 1-1.相続税の税率表
      1. 1-1-1.現在の税率(平成27年以降)
      2. 1-1-2.平成26年以前の税率
      3. 1-1-3.税制改正について
    2. 1-2.税率表の使い方のポイント
      1. 1-2-1.基礎控除を計算しよう
      2. 1-2-2.「控除額」ってなに?
  2. 2.相続税の計算事例
    1. 2-1.相続財産の確認
    2. 2-2.法定相続人の確定
    3. 2-3.基礎控除額の計算
    4. 2-4.それぞれにかかる税率
    5. 2-5.相続税の合計額
    6. 2-6.それぞれが納める相続税額
  3. 3.まとめ

 

相続税は高い。

50%の税率で遺産の半分が持って行かれる。

遺産が多い家庭には必ず税務調査が入る。

など相続税に関しては、さまざまな噂が流れていますが、このような不安を解消するためにも、誰もが相続税と向き合わなければならない時代となった今、相続税の正しい知識が求められてきます。

では実際の所、相続税の税率は何%なのか?具体的に自分の家族にかかる相続税はいくらになるのか?など皆様が気になるポイントを事例をまじえて分かりやすく説明していきます。

相続税の税率は?

相続税の税率をお伝えする前に、注意していただきたいことがあります。

相続税の税率は、遺産の金額に直接乗じていくわけではないということです。

1億円以下の税率は30%、つまり1億円の遺産があれば3,000万円が相続税額ではないことに注意してください。

相続税の計算方法は少々複雑ですが、正しい手順を理解することが大事です。

そのあたりの注意点を 1-2. 税率表の使い方のポイント にまとめていますので税率表を使う場合は、必ずそちらも読んでください。

相続税の税率表

相続税の税率は、みなさんが思っている以上に、頻繁に改正されています。

この文章を書いている平成30年11月現在の相続税率は、平成27年1月1日以降から変わっていませんが、過去を振り返ると平成6年から平成14年までの相続税の最高税率はなんと70%でした。

税率も大きな税制の改正点として、その時々の経済状況や財政状況等の時勢によって変わっていきます。

1-1-1.現在の税率(平成27年以降)

平成30年11月現在の相続税率はこちらです。いつの税率表を使うかは「相続の開始の日」つまり「お亡くなりになった日」の時点で当てはめてください。

平成27年1月1日以後の相続税の税率表(速算表)

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

平成27年1月1日以後の相続税の税率表
(速算表)

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

国税庁のホームページにも掲載されています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

1-1-2.平成26年以前の税率

平成26年12月31日以前にお亡くなりになられた方に適用される相続税率はこちらです。

平成26年12月31日以前の相続税の税率表(速算表)

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40% 1,700万円
3億円超 50% 4,700万円
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40% 1,700万円
3億円超 50% 4,700万円

1-1-3.税制改正について

平成27年に相続税の税制改正が行われました。

最高税率は55%まで上がり、新たに45%という税率も誕生しました。

またそれ以上に、日本の全国民にインパクトを与えた改正内容は基礎控除の額の大幅引き下げです。

具体的には、改正前には、「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でしたが、改正後には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」まで引き下げられることになりました。

これにより、相続税申告の対象となる層が大幅に増えることになりました。

今まで何ら相続対策をしてこなかった方も、これを機に、相続税について真剣に考えて財産を守っていかなければいけません。

今後も相続税が上がる可能性も否定できませんので、相続税改正情報には注意してみていきたいものです。

税率表の使い方のポイント

冒頭でお伝えしたとおり、税率表を見るだけでは正しい相続税額は計算できません。
どこで税率を使用するか、正しい算式で確認してみましょう。

【1】課税遺産総額の計算

遺産金額 基礎控除額 課税遺産総額

【2】法定相続分に応ずる取得金額の計算

課税遺産総額 × 各人の法定相続割合基礎控除額 法定相続分に応ずる取得金額

【3】相続税額の計算

法定相続分に応ずる取得金額 × 税率 控除額 算出税額

 

税率を当てはめる前に、基礎控除を計算し、法定相続人の取り分を計算する必要があることが分かります。また税率を乗じた後に「控除額」を使用することになります。

法定相続人の取り分の割合を乗じて計算される金額を「法定相続分に応ずる取得金額」と言いますが、この単語が税率表にも書かれていることが分かると思います。

その金額を当てはめて、該当する税率を使用するのです。
これが税率表を使う上でのポイントとなります。1つずつ詳しく説明していきます。

1-2-1.基礎控除を計算しよう

相続税には「基礎控除」という考え方があります。遺産の総額が基礎控除の金額よりも小さい場合、相続税の計算や申告は必要ありません。つまり、基礎控除以下の場合は税率を気にする必要もありません。

基礎控除の計算は「3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)」で計算します。

言いかえると遺産が3,600万円以下であれば、相続税がかかることはありません。
「相続税はお金持ちだけが払うもの」というイメージの元をたどると、この基礎控除のことを言っていることが分かりますね。

法定相続人が多ければ、基礎控除の額は多くなり、法定相続人の数が少なければ基礎控除の額は少なくなります。

さて、あなたの場合の基礎控除の額は3,600万円なのか4,200万円なのか4,800万円なのかそれとももっと多いのか、それを計算するには「法定相続人の人数」を知る必要があることが分かりました。

法定相続人を知ろう

先程の基礎控除の計算において、「法定相続人」という言葉が出てきましたが、ここで「法定相続」について簡単に説明します。

民法では、相続により財産の承継を受ける者の範囲について規定しています。

法定相続は、以下の順位に従って相続されることになります。

法定相続順位 法定相続人 法定相続分
第一順位 配偶者と子ども 配偶者1/2、
子ども1/2
第二順位 配偶者と直系尊属
(父母や祖父母など)
配偶者2/3、
直系尊属1/3
第三順位 配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4、
兄弟姉妹1/4
法定相続順位 法定相続人 法定相続分
第一順位 配偶者と子ども 配偶者1/2、
子ども1/2
第二順位 配偶者と直系尊属
(父母や祖父母など)
配偶者2/3、
直系尊属1/3
第三順位 配偶者と兄弟姉妹 配偶者3/4、
兄弟姉妹1/4

上記順位は、上位の順位の条件の人物が存在しなければ、下位の条件を見ることになります。

例えば、子なし夫婦の一方が死亡した場合には、子どもがいないわけですから、順位を一つ落として検討し、父母がいれば第二順位の法定相続で相続が行われるというわけです。

なお、上記順位を確認しますと、配偶者には常に法定相続人となっていることが分かりますので、押さえておきましょう。

1-2-2.「控除額」ってなに?

さきほどの相続税の税率表に、税率のほかに「控除額」という金額が掲載されていました。これには何の意味があり、どのように使うのでしょうか?

この表にある「控除額」というのは、たんに早く計算するためだけのメモです。

たとえば、ある一人の相続人の、基礎控除を引いたあとの法定の取り分が3800万円だったとします。5,000万円以下なので…

税率は20%

ではありません。
10%・15%・20%の3種類の税率がその人にかかることになります。

1,000万円までは10%なので 1,000万円×10%=100万円

1,000万円を超えて3000万円までの部分は15%なので 2,000万円×15%=300万円

3,000万円を超えてはみ出た800万円部分は20%なので 8,00万円×20%=160万円

1,000万円までは10%なので 
1000万円×10%=100万円

 

1,000万円を超えて3,000万円までの部分は15%なので 
2,000万円×15%=300万円

 

3,000万円を超えてはみ出た800万円部分は20%なので 
800万円×20%=160万円

以上3つの合計560万円がその人の納税額になります。

相続税はこのような階段状に税率をかけ算することで、たとえば「1億円を100万円だけオーバーしてしまった!」という人が9,900万円の人と比べて大幅に損をしないように、なるべく公平に計算できる仕組みになっています。

ただ、この計算が面倒だということで登場するのが「控除額」です。

この控除額を使って、もう一度3,800万円で計算してみます。

3,800万円×20%-200万円(控除額)=560万円

本来の計算方法で計算した納税額と同じになりました!
相続税の本来の考え方は無視して、単に早く計算するために、この「控除額」が存在したのです。

相続税の計算事例

計算方法を見るだけで理解するのは難しいので、事例にあてはめて相続人全員の税額を一度計算してみましょう。

事例:

●家族構成:
亡くなった男性、妻、子2人。
亡くなった男性の両親は2人ともご健在で、妹が1人。

●財産:
現金:1,000万円
預金:2,000万円
上場株式:2,000万円
自宅土地建物:3,000万円
(総額 8,000万円)

相続財産の確認

相続税の計算をするためには、まず相続の対象となる財産を確定しなければいけません。

相続の対象となる財産は決められていますので、これを金銭評価の上算出することになります。

相続の対象となる主なものとして、土地や建物などの不動産・株式・預貯金・現金があります。

しかしながら、現金とは異なり、不動産・株式の場合には取得時と異なり、価値が変動する財産であり、簡単に財産を確定することは出来ません。

このため、不動産では、土地には路線価方式及び倍率方式という方法により、また建物の場合には固定資産評価基準金額により、算出する方法が採られます。

詳しくは、専門家に確認しましょう。

さきほどの事例に書いたとおり、以下の財産があったものとします。

現金 1,000万円
預貯金 2,000万円
株式 2,000万円
不動産 3,000万円
財産合計額 8,000万円

不動産以外は、亡くなった日時点の残高で集計します。

法定相続人の確定

家族構成はさきほどの事例のとおり、

亡くなった男性、妻、子2人。
亡くなった男性の両親は2人ともご健在で、妹が1人。

この場合は妻が健在ですので「配偶者がいる場合、配偶者は常に法定相続人になる」というルールに従って、妻がまず1人目の法定相続人となります。

次に、第一順位の法定相続人を見るわけですが、子2人が健在ですので、この子2人が法定相続人となります。法定相続人は妻と子2人の合計3人で確定します。

第二順位の父母、第三順位の妹は法定相続人とはなりません。

基礎控除額の計算

法定相続人が3人と確定したので、基礎控除額は次のようになります。

3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

3,000万円+(600万円×3人)
4,800万円

今回は分かりやすくするためにその他の控除は無いものとして計算を進めます。

それぞれにかかる税率

相続税は、基礎控除額を超えた部分だけにかかるものですので、その対象となる金額を計算します。

8,000万円-4,800万円=3,200万円

これが3人の相続人に配分されます。

ここで、本件家族構成を確認しますと、法定相続人は第一順位の配偶者と子ども2人(長男、次男)で、上記「法定相続の表」を見ると、「法定相続分」がそれぞれ1/2であることが分かります。

また、同じ法定相続順位の者が複数いる場合は、法定相続分をその人数分で割ることになります。

これらを元に各相続人の相続分を計算します。

妻

3,200万円×1/2=1,600万円
長男

長男

3,200万円×1/2×1/2=800万円
次男

次男

3,200万円×1/2×1/2=800万円
妻

3,200万円×1/2=1,600万円
長男

長男

3,200万円×1/2×1/2=800万円
次男

次男

3,200万円×1/2×1/2=800万円
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

ここで、相続税の額を計算するために、上記国税庁の「相続税の速算表」を用いることになります。

妻は最高15%
子2人は10%

これが、それぞれにかかる相続税の税率です。

相続税の合計額

次に相続税の合計額を計算しましょう。

妻

1,600万円×15%-50万円=190万円
(妻の相続分は「1,600万円」なので、相続税の早見表の「3,000万円以下」に該当します)

長男長男

800万円×10%=80万円
(長男の相続分は「800万円」なので、相続税の早見表の「1,000万円以下」に該当します)

次男次男

800万円×10%=80万円
(次男の相続分は「800万円」なので、相続税の早見表の「1,000万円以下」に該当します)

妻

1,600万円×15%-50万円
=190万円

(妻の相続分は「1,600万円」なので、相続税の早見表の「3,000万円以下」に該当します)

長男長男

800万円×10%=80万円
(長男の相続分は「800万円」なので、相続税の早見表の「1,000万円以下」に該当します)

次男次男

800万円×10%=80万円
(次男の相続分は「800万円」なので、相続税の早見表の「1,000万円以下」に該当します)

つまり、ここから相続税の合計は、350万円(=190万円+80万円+80万円)ということになります。

この350万円を使って、実際にそれぞれが納める相続税を計算します。

参考:国税庁 https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/4155.htm

それぞれが納める相続税額

最後に、妻と長男、次男が実際に納める相続税額の計算をします。

先程計算しました相続税の合計額は、法定相続分を元に計算しましたが、実際の相続は法定相続分の通りに相続されるとは限りません。

相続の財産の分配は、遺言書や遺産分割協議書などにより自由に分けることが出来るようになっています。

そうすると、正確な相続税を確定するためには、実際に相続した相続割合を確認する必要があります。

例えば、配偶者・長男・次男がそれぞれ遺産分割により、3/5、1/5、1/5の割合で相続することになったとします。

この場合、この実際の相続分割合を相続税の合計額にかけて、正確な相続税を計算していきます。

妻

350万円(相続税の合計額)×3/5(実際に相続する割合)= 210万円

長男

長男

350万円(相続税の合計額)×1/5(実際に相続する割合)=70万円

次男

次男

350万円(相続税の合計額)×1/5(実際に相続する割合)=70万円

この方法だと、法定相続分よりも実際の相続税額を算出することが出来る訳ですから、公平的ですね。

このページではこれ以上の説明は省きますが、この事例では、妻の210万円は配偶者控除により0円となり、子が70万円ずつ、合計140万円を実際に納付することになります。

まとめ

相続税の税率ひとつをとっても、かなり長い説明になってしまいました。

税率を知るだけなら、国税庁のホームページにすぐに記載されているのですが、ここで説明したように、相続税は、税率を当てはめるまで・当てはめた後の計算も非常に複雑です。

安易に税率だけを見てしまうと、相続税を間違って計算してしまう可能性がありますので、前後の計算もくわしく説明させて頂きました。

相続税の改正が行われて、今後は多くの方が相続対策を余儀なくされることになります。

そのためには、相続税に関する知識をつけて相続に対する関心を持つことが大切です。

ご自身で考えて難しければ、相続の専門家に依頼することも有効です。

ここで、ご紹介した以上の控除制度についてもご紹介して頂けますので、より有利に相続を進めることが期待出来ます。