配偶者には相続税がかからない?配偶者控除で1.6億円まで無税!

目次

  1. 1.配偶者控除とは?
  2. 1-1.配偶者控除の内容
  3. 1-2.配偶者控除を受けるための要件
    1. 1-2-1.法律上の婚姻関係にある配偶者であること
    2. 1-2-2.申告期限までに相続税の申告を行うこと
  4. 2.相続税の配偶者控除の計算事例
    1. 2-1.法定上の相続分が1億6000万円以下の場合
    2. 2-2.法定上の相続分が1億6000万円超の場合
  5. 3.相続税の配偶者控除のデメリットと注意点(配偶者控除が受けられないケース)
    1. 3-1.遺産について仮装や隠ぺいがあった場合
    2. 3-2.相続税の申告期限までに遺産分割協議が完了していない場合
    3. 3-3.相続税の配偶者控除により逆に税額が増えてしまうケース
  6. 4.配偶者控除を利用した場合としない場合における計算事例
    1. 4-1.二次相続も考慮する
    2. 4-2.二次相続は税負担が大きくなるので注意
    3. 4-3.一次相続で配偶者の持ち分を多くした場合の相続税負担額
    4. 4-4.一次相続で配偶者の持ち分を少なくした場合の相続税負担額
  7. 5.まとめ

 

相続税には配偶者控除(正しくは「配偶者の税額の軽減」と言います)という制度があります。
[相続税法第19条の2]

これは、ごく簡単にいうと「亡くなった人の配偶者は、相続税の計算ではとても有利な扱いをしてもらえる仕組み」のことです。

配偶者 相続税0円

上のイラストのとおり、配偶者が相続する財産が1.6億円以下であれば、納税額は1円も発生しません。

このような制度があるのは次の3つの理由によります。

配偶者の財産の形成における貢献があるため

配偶者の老後の生活を保障する必要があるため

短期間に相続が2回発生し、同じ財産に2回税金がかかることを避けるため

非常に有利な制度であるため積極的に活用したいですが、配偶者控除は上手に活用しないと、子の世代の相続で大きな負担が生じてしまう可能性もありますので、注意点やデメリットもあわせてしっかりと解説していきます。

配偶者控除とは?

相続税の配偶者控除は、上記説明のとおり、配偶者が相続する財産が1.6億円(または法定相続分)以下であれば、相続税が1円もかからないという制度です。

ただし、配偶者控除について理解して頂く前に、まずは「基礎控除」を理解していただく必要があります。なぜなら、そもそも遺産の金額が基礎控除を超えていなければ、相続税の申告自体が必要なく、配偶者控除についても気にする必要がなくなるからです。

基礎控除を超えてしまった場合は、その次にチェックすべき有利な制度が配偶者控除となりますが、この制度を使って税額が0円になったとしても、申告期限内に申告する必要がありますのでご注意ください。

そのほかにも、適用を受けるための要件や必要な手続きがありますので、しっかりと制度を利用するために、詳しく見ていきましょう。

配偶者控除の内容

故人の配偶者には、さまざまな税法上の優遇措置が設けられています。その一つが、相続税における「配偶者控除」です。配偶者が相続する財産は、評価額1億6,000万円までなら税金がかからない、1億6,000万円を超えても民法で定められたとおりの相続分の範囲内であれば税金がかからない、という特例です。極端なことをいえば、配偶者が10億円を相続しても、100億円を相続しても、法定相続分の範囲内であれば非課税になります。

相続税の総額 ❇下記①と②のうち少ない金額 配偶者控除額
相続税の課税価格の合計
  • ① 配偶者の法定相続分に相当する額(1億6,000万円未満のときは、1億6,000万円)
  • ② 配偶者が実際に取得した額(配偶者の課税価格)

例)配偶者の法定相続分が3億円であれば3億円、法定相続分が1億6,000万円までであれば1億6,000万円までの取得分が非課税となります。

配偶者は1億6000万円までは無税

配偶者は1億6000万円までは無税

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配偶者控除を受けるための要件

このように、よほどの富裕層でない限りは相続税の配偶者控除(税額軽減)によって配偶者の相続税は非課税となるケースがほとんどでしょう。

大きなメリットのある配偶者控除(税額軽減)ですが、その適用を受けるためには次のような要件があります。

法律上の婚姻関係にある配偶者であること

配偶者控除(税額軽減)を利用することができるのは、市役所に婚姻届けを提出している法律上の配偶者だけです。

いわゆる内縁関係にある妻または夫は配偶者控除(税額軽減)の適用を受けられないので注意しましょう。

法律上の婚姻関係は1日でもあれば問題ありませんので、被相続人が亡くなる直前に婚姻届けを出すという形で法律上の夫婦となっておけば、配偶者控除(税額軽減)の適用を受けることが可能です。

なお、これはあくまでも相続税の配偶者控除(税額軽減)の適用に関する要件ですので、内縁の配偶者であっても遺言によって財産を残すこと自体はなんら問題がありません。

申告期限までに相続税の申告を行うこと

配偶者控除(税額軽減)を受けるためには、相続税の申告期限(相続発生から10か月)までに遺産分割協議を完了し、その内容に基づいて相続税の申告を済ませていることが必要です。

配偶者控除(税額軽減)を使う場合、税額ゼロでも申告が必要

配偶者控除(税額軽減)の適用を受けた場合、多くの場合は配偶者が負担する税額がゼロになると思われます。

ただし、相続税の金額が0円である場合でも税務署に対して申告は行わなくてはなりません。

なお、そもそも遺産の金額が「相続税の基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人数)」以下となる場合には、そもそも相続税の申告を行う必要はありません。

配偶者の税額軽減を適用して申告するためには、申告期限までに遺産分割協議を行い、配偶者が相続する分を確定させる必要があります。申告期限までに遺産分割がまとまらなければ未分割で申告することになりますが、その場合は配偶者の税額軽減を適用できません。

遺産分割協議が完了しなかった時も配偶者控除(税額軽減)を受ける方法はある

ただし、遺産分割協議が相続税の申告期限までに整わない場合にも配偶者控除(税額軽減)の適用を受ける方法はあります。

具体的には、相続税の申告期限までに相続税の申告納税を行うとともに、遺産分割協議書の写しの代わりに「申告期限後3年以内の分割見込み書」という届け出を出します。

この場合、相続税申告時に配偶者の税額軽減を適用せず、多めに納税し、分割確定後に税務署へ所定の手続きを行い、税金が戻ってくるイメージとなります。一時的に多めに納税することになるので、納税資金の確保などの注意が必要です。

さらに、申告期限から3年を経過しても遺産分割できない事情がある場合には、分割を待ってもらうことができます。この場合は、税務署長の承認を受けることが必要です。

その後、実際に分割が完了してから4か月以内に「更正の請求」という手続きを行うことであらためて配偶者控除(税額軽減)の適用を受けることが可能になります。

このように、配偶者控除の特例は利用しやすくなっていますが、申告期限までに遺産分割協議を終わらせたほうが良い結果を得られるでしょう。遺産分割協議をスムーズに進めるためには、まず相続人を確定し、借金も含めて故人の遺産総額を把握することが大切です。人が亡くなると、やらなければならない手続きがたくさんあります。その中でも、相続に関する手続きは難しく感じられるかもしれません。そのような場合は、相続に詳しい税理士などの専門家に相談したほうが良いでしょう。

配偶者控除を受けるための手続き

配偶者控除を受けるための要件を満たした場合、あとは実際に申告書を税務署に提出する手続きが必要となります。

相続税の申告で配偶者控除の適用を受けるためには、下記の書類を添付しなければなりません。

  • 相続税申告書
  • 亡くなった人の出生から死亡までの履歴がわかる戸籍謄本
  • 遺言書があるときは遺言書
  • 遺産分割協議書の写し
  • 申告期限後3年以内の分割見込み書(遺産分割がまだ終わっていないとき)

相続税の申告は自分でできる?

相続税の申告は、納税者本人が自力で行うことも決して不可能ではありません。
相続税に関する解説テキストや、申告書の書き方について説明した書籍やネット情報はたくさんありますから、これらを参考にしながら申告書を作成する方も実際にいます。
ただし、相続税の申告書作成が現実の問題となる方の場合、相続財産の金額がかなり大きいことが考えられます。
もし申告書の内容に不備があり、後日に税務調査などが行われると追徴課税という形で大変大きな金額のペナルティを課せられてしまう可能性もあるので注意しなくてはなりません。
相続税の申告期限まで時間があまりない方や、相続する遺産の金額がかなり大きいという方は、相続発生後できるだけ早いタイミングで専門の税理士に相談してみることをおすすめします。
なお、遺言書作成や遺産分割についての相談は、税理士よりも弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談するのがスムーズです。


相続税の申告は自分でできる?

相続税の申告は、納税者本人が自力で行うことも決して不可能ではありません。
相続税に関する解説テキストや、申告書の書き方について説明した書籍やネット情報はたくさんありますから、これらを参考にしながら申告書を作成する方も実際にいます。
ただし、相続税の申告書作成が現実の問題となる方の場合、相続財産の金額がかなり大きいことが考えられます。
もし申告書の内容に不備があり、後日に税務調査などが行われると追徴課税という形で大変大きな金額のペナルティを課せられてしまう可能性もあるので注意しなくてはなりません。
相続税の申告期限まで時間があまりない方や、相続する遺産の金額がかなり大きいという方は、相続発生後できるだけ早いタイミングで専門の税理士に相談してみることをおすすめします。
なお、遺言書作成や遺産分割についての相談は、税理士よりも弁護士や司法書士といった法律の専門家に相談するのがスムーズです。

相続税の配偶者控除の計算事例

相続税の配偶者控除(税額軽減)とは、具体的には以下の2-1・2-2いずれかの計算方法によって算出します。

考え方の道筋として次の順番で行なうと計算しやすいです。まず2-1によって相続税が発生するかどうかを検討し、発生する場合には2-2のルールを当てはめるという形です。

法律上の相続分が1億6000万円以下の場合

実際に相続した遺産額が1億6000万円以下なら 配偶者の税額は0円となります。

例えば、遺産の総額が3億円である場合を考えます。

配偶者の法律上の相続分は2分の1ですので、この通りに遺産分割したとすると、配偶者の相続する遺産額は3億円×2分の1=1億5000万円と「1億6000万円以下」ですので、 配偶者の税額は0円となります。

3億円

1.5億円

1.6億円

遺産の総額

配偶者の
法定上の
相続分

配偶者控除が
かからない範囲

※配偶者と子が相続人とする

法律上の相続分が1億6000万円超の場合

実際に相続した遺産額が法律上の相続分以下なら配偶者の税額は0円となります。

今度は、遺産の総額が4億円あった場合を考えましょう。

上で見た2-1のルールに従うと、配偶者の法律上の相続分は4億円×2分の1=2億円で「1億円6000万円以下」ではありませんから、超過する分について相続税が発生します。

一方で、2-2のルールに従うと、配偶者が実際に相続する遺産が法律上の相続分の範囲内に収まっているのであれば、金額関わらず非課税ということになります。

具体的には4億円の遺産を法律上の相続分の通りに分割したとすると、配偶者の相続分は2億円となります。

この場合は2-1の1億6000万円のルールにかかわらず、配偶者の相続税は0円という結果になるのです。

4億円

2億円

2億円

遺産の総額

配偶者の
法定上の
相続分

配偶者控除が
かからない範囲

※配偶者と子が相続人とする

「法律上の相続分」とはどういうことか?

なお、上で「法律上の相続分」という書き方をしているのは、現実に相続する遺産額は遺言等によって法律とは異なった割合にすることが可能だからです。

例えば、配偶者の法律上の相続分は2分の1ですが、遺言によって4分の3としたり、5分の3としたりすることも可能ということですね。

亡くなった人が遺言を残している場合には、その内容は法律上の相続分のルールよりも優先されるので注意が必要です。

相続税の配偶者控除のデメリットと注意点(配偶者控除が受けられないケース)

相続税の配偶者控除についてここまで説明してきましたが、次に紹介するような場合にはそもそも配偶者控除の適用が認められないケースがあります。

また、配偶者控除が適用できるケースであっても、専門家から見ると明らかに「適用しないほうが良い」ケースもあります。

それらは一体どんなケースなのでしょうか?一つずつ確認していきましょう。

遺産について仮装や隠ぺいがあった場合

相続税の配偶者控除(税額軽減)を受けるためには、遺産の一部を隠したり、金額を偽ったりしてはいけません。

具体的には遺産の一部や全部を財産目録に載せなかった場合には仮装、隠ぺいの事実があったとみなされる可能性があります。

その他、財産目録に載せるべきではない負債を載せることで正味の遺産額を少なくしたり、相続税の評価額の計算を意図的に操作するなども仮装、隠ぺいの事実とされかねません。

高額の相続税が発生する相続事案では、相続税申告後一定期間が経過した後に税務調査が行われる可能性がありますから、申告内容は正確でなくてはなりません。

相続税の申告期限までに遺産分割協議が完了していない場合

配偶者控除の金額は、実際に配偶者が相続で受け取った遺産の額をもとに計算します。そのため、相続税の申告期限までに遺産分割協議を完了していなければなりません。

相続税の申告期限は、通常、相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内ですので、これまでに遺産分割協議を完了し、相続税の申告を済ませていなければ、配偶者控除を受けられなくなってしまいます。

相続税の配偶者控除により逆に税額が増えてしまうケース

ここまで見てきたとおり、配偶者控除は「税額を軽減」する制度であるため、得することはあっても、損することはない制度です。

では「配偶者控除により逆に税額が増えてしまう」というのはどういうことなのでしょうか?

具体的には、配偶者控除(税額軽減)によって配偶者自身の相続税負担は0にできたとしても、さらにその配偶者が亡くなった時には、この配偶者控除(税額軽減)は適用できないため、子供などに課せられる相続税負担が大きくなってしまう状況が考えられます。つまり一次相続のみならず、二次相続まで見据えた遺産分割を行うことが必要となります。一次相続の分け方次第で、一次・二次相続の合計税額が数千万円も違ってくるケースもありますので、慎重に遺産分割を行うことが必要です。

このような問題を「二次相続の問題」と呼ぶこともありますが、以下では配偶者控除(税額軽減)と二次相続の関係についてみておきましょう。

配偶者控除を利用した場合としない場合における計算事例

二次相続も考慮する

二次相続の問題とは、ごく簡単にいえば「相続税の負担は、親の世代と子の世代をトータルで考えて、税額が少なくなるようにしましょう」という問題です。

一次相続と二次相続とは

一次相続

被相続人が配偶者と子どもを残して亡くなった場合。配偶者に財産の大半を相続すれば、子どもに掛かる相続税の負担は小さくなる。

二次相続

すでに配偶者を亡くしている被相続人が子どもを残して亡くなった場合。子どもだけに相続されるため、相続税の負担が大きくなる。

二次相続は税負担が大きくなるので注意

相続税対策を考える上で、まずは一次相続と二次相続の違いを知っておく必要があります。
親からの相続は2回あり、両親のどちらかが亡くなったときの相続が一次相続、そして残されたもうひとりが亡くなったときの相続が二次相続です。
一次相続には配偶者に対する優遇措置が大きくふたつあります。ひとつは、相続する自宅の評価額が80%減額される「小規模宅地の特例」。もうひとつは、配偶者の相続した財産が「1億6000万円」または「法定相続分」以下なら相続税はゼロになるというものです。
一方、二次相続ではこうした優遇措置が使えなくなる可能性があるため、一次相続よりも税負担が大きくなるのが一般的です。
しかし、分割の仕方によっては二次相続の税負担をゼロにすることもできるので、二次相続まで見越した検討が大切です。

結論から言うと、親の世代(配偶者)で相続税を0円とすることに重点を置きすぎると、子の世代において相続税の負担が大きくなってしまうケースが多いので注意しなくてはなりません。

具体的なケースを見ながら考えたほうがわかりやすいので、次の項目で説明させていただきます。

一次相続で配偶者の持ち分を多くした場合の相続税負担額

以下のようなケースを考えます。

相続人となる人:配偶者と長男、次男の3名

遺産の金額:1億6000万円

このとき、「配偶者控除(税額軽減)を使えば相続税は0円にできる」ということで、遺言で配偶者の相続割合を極端に多くした(相続分100%)としましょう。

この場合、一次相続と二次相続のそれぞれで発生する相続税の金額はトータルで2140万円となります。

※計算過程は以下の通りです。

一次相続で発生する相続税

1億6000万円-基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人3人)=1億1200万円

配偶者控除(税額軽減)によって相続税は0円

二次相続で発生する相続税

1億6000万円-基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人2人)=1億1800万円

長男の課税遺産総額:1億1800万円×2分の1=5900万円
次男の課税遺産総額:1億1800万円×2分の1=5900万円

相続税の速算表より、相続税の金額は以下の通り。

長男の相続税額:5900万円×30%-700万円=1070万円
次男の相続税額:5900万円×30%-700万円=1070万円
相続税額合計:2140万円

一次相続で配偶者の持ち分を少なくした場合の相続税負担額

条件は同じで、一次相続時の配偶者の相続分を法定相続分通りとして、上の半分(8000万円)に抑えた場合を考えましょう。

結論から言うと、この場合には一次相続と二次相続トータルでの相続税額は1255万円となり、1つ目の例よりも885万円だけ相続税が安くできます。

もちろん、子の世代までもその遺産がそのまま残されたことを前提にしているほか、各種の相続税評価額を下げる特例(小規模宅地等の特例など)を考慮していないので実際には別の結論となることも考えられます。

しかし、「配偶者控除(税額軽減)があるのだから配偶者の相続割合は多ければ多いほど良い」と考えて早合点してしまうと、損をしてしまうケースがあることは理解しておいてください。

なお、計算過程は以下のようになります。

一次相続で発生する相続税

1億6000万円-基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人3人)=1億1200万円

妻の課税遺産総額:1億1800万円×2分の1=5900万円
長男の課税遺産総額:1億1800万円×2分の1×2分の1=2950万円
次男の課税遺産総額:1億1800万円×2分の1×2分の1=2950万円

妻の相続税は配偶者控除(税額軽減)により0円です。

長男、次男の相続税は相続税の速算表より以下のようになります。

長男の相続税額:2950万円×15%-50万円=392万5000円
次男の相続税額:2950万円×15%-50万円=392万5000円
相続税額合計:785万円

二次相続で発生する相続税

一次相続で配偶者の遺産を8000万円としましたので、二次相続では以下のようになります。

8000万円-基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人2人)=3800万円

長男の課税遺産総額:3800万円×2分の1=1900万円
次男の課税遺産総額:3800万円×2分の1=1900万円

相続税の速算表より、相続税の金額は以下の通り。

長男の相続税額:1900万円×15%-50万円=235万円
次男の相続税額:1900万円×15%-50万円=235万円
相続税額合計:470万円

一次相続、二次相続トータルの相続税額は、785万円+470万円=1255万円となります。


分割の仕方でトータルの納税額が変わる

※父の遺産が2億円で、子ども2人の場合

パターンA 法定相続分で分割

一次相続

母親が50%の1億円、子ども2人がそれぞれ25%の5000万円ずつ相続。

二次相続

母親の遺産1億円を、子ども2人がそれぞれ5000万円ずつ相続。

一次相続と二次相続の合計相続税額 
2120万円


パターンB 配偶者控除を最大限に活用する分割

一次相続

母親が配偶者控除をフル活用して1億6000万円を相続し、子ども2人はそれぞれ2000万円ずつ相続。

二次相続

母親の遺産1億6000万円を、子ども2人がそれぞれ8000万円ずつ相続。

一次相続と二次相続の合計相続税額 
2680万円


パターンC 二次相続の税額をゼロにする分割

一次相続

母親が二次相続の基礎控除額と同じ4200万円を相続し、子ども2人はそれぞれ7900万円ずつ相続。

二次相続

母親の遺産4200万円を、子ども2人がそれぞれ2100万円ずつ相続。

一次相続と二次相続の合計相続税額 
2133万円

上記のとおり、3パターンのうち一次相続で「配偶者控除を最大限活用する」方法を取ることが、結果的にもっとも納税額が多くなってしまいました。

この3パターンでは、母が亡くなるまでの時期や、その間の相続税対策などを一切無視して計算していますが、実際にこのパターンどおり、もっとも不利な税額を支払っているケースもたくさんあります。

配偶者控除を受ける場合は二次相続の税額に注意しましょう。

まとめ

今回は、相続税の配偶者控除(税額軽減)のメリットやデメリットを具体的に解説させていただきました。

配偶者控除(税額軽減)は配偶者本人の相続だけを考えた場合には非常に有利な制度といえますが、子の世代の相続まで考慮したうえで利用しないと、2世代トータルで考えた場合の税額負担が大きくなってしまう可能性があります。注意したい点ではありますが、2回分の相続を総合的に考えるのは、なかなか難しいことです。不動産に利用できる特例や生命保険金の控除の特例などを活用した相続対策も取り入れるとなると、なおさらです。複数の種類の資産を所有していて相続が気になっている場合などは、相続を得意としている税理士などに早めに相談したほうが安心できるでしょう。

相続税対策について不安がある方は、相続税に関する業務を専門で扱っている税理士に相談することも検討してみてくださいね。