平成27年10月から国民に対するマイナンバーの通知が始まって既に4年が経っています。
公的な機関に対し申請などを行う際にマイナンバーの記載が必要とされることも増えてきました。
平成27年10月から国民に対するマイナンバーの通知が始まって既に4年が経っています。
公的な機関に対し申請などを行う際にマイナンバーの記載が必要とされることも増えてきました。
相続税の申告についてもマイナンバー記載が必要とされています。
その目的や実際の記載方法などを説明します。
マイナンバー制度について
マイナンバーは、「社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関が保有する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用される」と総務省では説明しています。
国民のうちある人物を特定するためには戸籍制度が存在します。
戸籍はその人物の家族構成や本籍地の移転について知ることはできますが、その人物が公的機関に対し行ったモーション(申請など)についてトータル的に知ることはできる制度ではありません。
いわゆる「消えた年金問題」のように、書類の紛失などで一人の人間の行為の足取りが追えなくなる事態が今後も発生する可能性があったのです。
そこで国としては情報の伝達を一機関の縦だけでなく各機関の横にも繋げてスムーズにするために、また、手続き時の添付書類の軽減化で国民の負担を減らすために、国民一人一人に12桁の個人番号を設定し、必要に応じて記入を義務付けるようにしたのがマイナンバー制度です。
相続税申告にもマイナンバーは必要
マイナンバー制度の運用は平成28年1月から始まりました。
相続税や贈与税などの税務書類にも記載が必要となっています。
記載が必要な理由は、主に税務署が行う税務調査における効率アップのためです。
相続人や受贈者の預貯金口座の情報と連動することで、不自然な預け入れや引き出しがないかのチェックがしやすくなるのです。
もちろんきちんと申告していれば心配することはありません。
マイナンバー記載が必要な人
相続税の申告の際に必要なのは、記載が必要な理由を考えれば分かるように、相続人のマイナンバーです。
被相続人のナンバーは必要ありません。
被相続人(亡くなった方)のマイナンバーを知ることが難しい場合があるからです。
なお、マイナンバーは「相続税申告書」の第1表、相続人の氏名欄の下の部分に記入します。
必要書類について
相続税の申告には以下の書類が必要となります。
① 申告書
税務署でもらいます。
ホームページからダウンロードもできますが、種類が多く、どの書類が必要か分かり辛い方は、税務署でアドバイスを受けた方が良いでしょう。
② 相続人を確定するための書類
法定相続人のうち、誰が被相続人の財産を相続するかを証明する書類です。
遺産分割協議書、遺言書などです。
法定相続分どおりの相続や、相続人が一人だけの場合は不要です。
③ 相続人の本人確認書類
運転免許証やパスポートのコピーです。
マイナンバーカードを持っていれば不要です。
③ 被相続人の出生から死亡までの全戸籍
法定相続人を正確に把握するために必要です。
④ 相続財産を証明する書類
提出しなければ申告ができない訳ではありませんが、正確に申告していることを証明するために出しておくべきでしょう。
不動産であれば固定資産税評価証明、預貯金であれば通帳のコピー、株券であれば証券会社の残高証明書などです。
その他、被相続人と相続人の関係や被相続人の財産の種類などにより、別途書類を必要とする場合があります。
詳しくは税務署に問い合わせましょう。
マイナンバーの扱いについて
マイナンバーカードを持っているか、番号通知の際に届いたカードを持っていれば自分のマイナンバーはそれで分かりますが、どちらも持っていない場合は住民票を取得するしかありません。
その際何も言わないとマイナンバーが記載されない住民票が出てきてしまいます。
必ず「マイナンバーを記載」にチェックしましょう。
マイナンバーカードは両面をコピー、通知カードは表面をコピー、住民票は原本を準備して税務署に持参します。
さて、マイナンバーは重要な個人情報であり、取り扱いは慎重にしなければなりません。
原則として他人に提供はできないことになっています。
相続人全員のマイナンバーを記載した申告書は税務署に提出しますが、申告人には控えが渡されるので、保管する時はマイナンバーの部分を情報保護テープなどで見えないようにしておくことをお勧めします。
同様に、申告人以外の相続人の住民票を預かる場合、住民票が世帯全員分の記載となっていることがあります。
世帯全員が相続人であれば良いのですが、相続人でない人が含まれている場合はマイナンバー部分をやはり保護テープで隠しておくようにしましょう。
おわりに
相続税申告に必要なマイナンバーですが、マイナンバー制度が始まってまだ日が浅く、申告人側は取扱いに慣れていない場合も多いでしょう。
特に税理士に依頼せず個人で申告する際には、大事な個人情報を預かっているということを忘れず、慎重に取り扱うことを忘れないようにしましょう。