被相続人が亡くなって、相続が開始された場合、被相続人が有していた財産の評価額が基礎控除額を超える場合には、相続税を課されることになります。
しかも、その税率は相続財産の評価額が多いほど税率も高いという超過累進課税となっているため、相続税対策としては相続財産の評価額をできるだけ低くするということが有効となります。
これらの相続税対策の多くは、被相続人が生前に行っておくものですが、相続開始後に利用できる制度として、小規模宅地等の特例という制度があります。
これは、被相続人が居住または事業の用に使用していた建物の敷地を、相続人が相続する場合に、一定の要件を満たせば、その評価額を最大で80%減額評価してもらえるという制度です。
その具体的な要件については、別記事で説明されていますが、本記事では、具体的な相続パターンによってこの制度がどのように利用できるかについて見ていきたいと思います。
借地権と所有権が複雑な場合
借地権とは
借地権とは、借地借家法により認められた権利で、建物の所有を目的とする地上権または賃借権をいいます(借地借家法第2条第1号)。
そこで、被相続人が第三者の所有する宅地上に借地権を設定してもらい、その借地上に建物を建築・所有して、居住の用または事業の用に供していた場合についても、小規模宅地等の特例が適用されるかが問題となり得ます。
というのは、借地権も財産的な価値を有する資産として、相続税の評価に際しては、その他宅地等の評価額の一定割合が借地権の価値として、相続財産の評価額に加算されるため、この借地権の評価に際して、小規模宅地等の特例が適用されるか否かは、相続財産の評価全体においても大きな影響力を有するからです。
租税特別措置法の規定
小規模宅地等の特例という制度は、租税特別措置法第69条の4において定められています。
そして、この規定では、小規模宅地等の特例を受けることができる宅地について、「土地又は土地の上に存する権利をいう」としています。
その結果、小規模宅地等の特例を受けるのは、その宅地自体の所有権に限らず、借地権も含まれるということになります。
借地権の評価方法
借地権の評価額は、その土地の自用地としての評価額(その土地を所有者自らが使用するとした場合の評価額)に路線価図または倍率表によって定められた借地権割合を乗じて算定します。
仮に、自用地としての評価額が2,000万円の土地(200㎡)で、借地権割合が70%とすると、その借地権の評価額は
2,000万円×70%=1,400万円
となります。
これが特定居住用建物の敷地の場合であれば、
1,400万円×80%=1,120万円
が減額され、その結果、この借地権の評価額は280万円となります。
自用地としての評価額が5,000万円で面積が500㎡、借地権 割合が70%とすると、その借地権の評価額は
5,000万円×70%=3,500万円
これが特定居住用建物の敷地であれば、減額される金額は、
3,500万円×330㎡/500㎡×80%=1,840万円 となります。
その結果、この借地権の評価額は 3,500万円−1,840万円=1,652万円 となります。
建物の敷地が所有土地と借地権とにまたがっている場合
この場合も小規模宅地等の特例の適用は可能です。
ただ、その合計面積が小規模宅地等の特例の適用の上限を超える場合には、その適用を任意に割り振ることができます。
基本的には、評価額が高い方について多く適用することがより多くの減額を得ることができるといえるでしょう。
自用地 250㎡、借地権250㎡、借地権割合70%、自用地としての評価額10万円/㎡とした場合を考えてみます。
自用地の評価額は、
250㎡×10万円=2,500万円
借地権の評価額は、
250㎡×10万円×借地権割合70%=1,750万円
となり、その評価額の合計は
2,500万円+1,750万円=4,250万円
となります。
特定居住用建物の敷地の場合、特例の上限面積は330㎡ですので、これを自用地250㎡、借地権80㎡で適用すると、
自用地の減額:2,500万円×80%=2,000万円
借地権の減額:1,750万円×80㎡/250㎡×80%=448万円
その結果、合計で 2,000万円+448万円=2,448万円 の減額を受けることができ、その評価額は 4,250万円−2,448万円=1,802万円 となります。
代償分割した場合
代償分割とは
遺産分割の方法として、代償分割という方法があります。
これは、相続財産のうちの不動産などのようにそれ自体を分割することが難しい財産について、相続人の一人がその所有権を取得した上で、他の相続人に対してはその相続人の相続分に相当する金銭などを代償として支払う方法による遺産分割方法です。
例えば、相続財産が被相続人の自宅で、相続人が兄弟2人の場合、被相続人自宅の土地250㎡(評価額1億円)、建物(評価額2,000万円)を長男が取得し、長男がその評価額の1/2に相当する6,000万円を次男に現金で支払う、といった場合です。
代償分割と小規模宅地等の特例
まず、上記の例で、長男が被相続人と同居していた場合には、小規模宅地等の特例を受けることができます。
その結果、土地の評価額1億円×80%=8,000万円の減額を受けることができ、評価額は2,000万円となります。
一方、長男が被相続人と同居していなかった場合には、いわゆる、家なき子の適用要件を満たす場合に限って、小規模宅地等の特例を受けることができます。
代償分割を行った場合相続税の計算
長男の取得財産
(土地評価額1億円−小規模宅地等特例減額8,000万円)+建物評価額2,000万円−代償として支払った金額6,000万円=▲2,000万円
長女の取得財産
代償金額6,000万円
相続財産は
- ・長男取得財産 0円
- ・長女取得財産 6,000万円
合計 6,000万円となります。
これから基礎控除額(3,000万円+600万円×2人=4,200万円)を控除すると、課税対象資産は1,800万円となります。
これを法定相続分で分割したとすると長男・長女とも法定相続分は900万円
これに相続税率を乗じて控除額を差し引くと、長男・長女とも相続税はそれぞれ
900万円×相続税率10%−控除額0円=90万円となります。
その結果、相続税の総額は90万円×2(長男と長女)=180万円となります。
なお、仮に、代償分割ではなく共同分割とした場合は、長男のみに小規模宅地等の特例が適用されることになります。
その結果
長男の相続財産:建物評価5,000万円−特例減額4000万円+建物1,000万円=2,000万円
長女の相続財産:土地評価5,000万円+建物評価1,000万円=6,000万円
となり、合計は7,000万円となります。
ここから基礎控除4,200万円を控除しても課税対象額は2,800万円
これを法定相続分によって分割すると、それぞれ1,400万円となり、
相続税額はそれぞれ1,400万円×15%−50万円=160万円となり、合計で320万円となります。
以上から、代償分割を行った方が、相続税の総額で140万円の節税になることになります。
養子に相続した場合
小規模宅地等が適用される人の範囲
小規模宅地等の特例は、相続の場合の他、遺贈についても適用が認められています。
ただし、小規模宅地等の特例による相続財産の評価額の減額を受けることができるのは、配偶者、同居の親族、被相続人と生計を一にする親族、3年間借家住まいの別居親族が、被相続人の所有する宅地等を取得した場合に限られます。
つまり、相続であろうと、遺贈であろうと、この特例の適用を受けるためには、被相続人の親族でなければならないわけです。
その結果、たとえ同居等していた相手に財産を遺そうと思った場合であっても、親族でない人に自宅等を遺贈した場合については、小規模宅地等の特例による評価額の減額を受けさせることはできません。
これを回避するためには、その財産を遺したい人を養子として、相続人とすることが考えられるわけです。
詳細については、「小規模宅地等の特例の適用要件|最大8割の節税効果を受けるための条件」をご覧ください。
養子縁組のメリット
また、被相続人の一親等の血族以外の者が相続・遺贈等によって財産を取得する場合には、相続税は2割加算されることになります(ただし、被相続人の子供が先に亡くなったために孫が代襲相続する場合を除きます)。
その結果、せっかく遺贈等をした場合でも、一親等以内の血族以外の者に財産を遺す場合には、予想外に相続税の負担を生じさせる可能性があります。
これに対して、財産を遺したい相手を養子とした場合には、養子は被相続人の1親等の血族となるため、相続税の2割加算を回避することができます(ただし、孫を養子にした場合については、代襲相続の場合を除き、相続税の2割加算がなされるため、注意が必要です)。
また、不動産を遺贈した場合、相続人への遺贈であれば不動産取得税は課税されませんが、相続人以外への特定遺贈の場合には不動産取得税がかかることになります。
さらに、養子縁組により法定相続人が増加するため、基礎控除額が600万円増加するということもメリットとして考えることができます。
このように、不動産を遺したい相手がいる場合には、その者を養子として、相続人としてしまう方法が、相続税対策としても有効ということがいえます。
遺贈で相続した場合
小規模宅地等の特例が適用される範囲
小規模宅地等の特例という制度は、租税特別措置法第69条の4において定められている制度です。
そこでは、小規模宅地等の特例が適用される場合として、「個人が相続または遺贈により取得した財産」と規定しています。
つまり、相続によって宅地が承継される場合のほか、遺贈(包括遺贈および特定遺贈を含みます)によって個人が宅地を取得する場合についても、小規模宅地等の特例制度が適用されるということになります。
また、生前贈与については、小規模宅地等の特例は適用されませんが、死因贈与については遺贈に関する規定が適用されることから(民法第554条)、小規模宅地等の特例も適用されるとされています。
遺贈を行う場合の注意点
①小規模宅地等の特例を受けるための要件
遺贈においても、その受遺者が小規模宅地等の特例による相続税の減額措置を受けるためには、小規模宅地等の特例による一般の要件を満たしていることが必要となります。
つまり、配偶者、同居の親族、生計を一にする別居の親族、3年借家住まいの親族に限られるということです。
それ以外の者に対する遺贈については、小規模宅地等の特例の適用を受けることはできません。
また、配偶者以外の場合における継続性の要件なども、そのまま適用されることになります。
②不動産取得税の問題
相続人以外の者に対して不動産を特定遺贈する場合には、不動産取得税が課税されることになる点も注意が必要です。
一方、包括遺贈の場合については、相続人以外への遺贈であっても、不動産取得税が課されることはありません。
この場合は、受遺者は相続人と同じ立場で遺産分割協議に参加して財産を取得することになりますので、相続税が課税されることになります。
③相続税の2割加算
また、既に述べたとおり、遺贈の場合には相続税が課されることになりますが、その際に注意が必要なのは、被相続人の1親等内の血族以外の者が遺贈を受けた場合については、相続税の額が2割加算されるということです。
孫が相続した場合
孫が相続する場合
被相続人の孫が被相続人の財産を「相続」によって取得する場合としては、以下の3つの場合が考えられます。
- ①被相続人の子供で孫の親が被相続人よりも先に亡くなっていたために、孫が代襲相続をする場合
- ②孫が被相続人の養子となり、被相続人の財産を相続する場合
- ③被相続人が孫に財産を遺贈する場合
この場合は厳格には「相続」ではありませんが、被相続人が遺言により孫に財産を遺贈する場合も、相続に準じた形で孫が被相続人の財産を取得することになるため、同様に考えることができるでしょう。
実際、小規模宅地等の特例は、相続の他、遺贈の場合に適用があるとされています。
小規模宅地等の特例の適用範囲
小規模宅地等の特例が適用される余地があるのは、被相続人の配偶者、同居の親族、生計を一にする親族、3年間借家住まいの親族(家なき子)です。
詳細については、「小規模宅地等の特例の家なき子特例とは【平成30年税制改正】による変更点など徹底解説」をご覧ください。
孫が被相続人の配偶者になるということはあり得ませんので、孫について小規模宅地等の特例が適用されるのは、同居の親族、生計を一にする親族、家なき子のいずれかの場合ということになると思われます。
孫に相続させる場合の注意点
孫に財産を相続等させる場合には、以下の点に注意が必要です。
すでに、該当箇所で触れられた内容ですが、再度確認しておきたいと思います。
①孫は、被相続人からすると2親等の血族となります。
そのため、孫に相続財産を取得させる場合については、相続税率の2割加算が適用されることになります。
これは、孫を養子とした場合であっても変わりありません。
②孫が代襲相続する場合を除いて、孫は直接祖父母の相続人となることはできません。
そのため、被相続人から孫に不動産を遺贈する場合については、相続人以外への遺贈となるため、特定遺贈の形をとる場合には不動産取得税が課税されることになります。
なお、遺贈は、被相続人が遺言で行う必要がありますので、注意が必要です。
遺言の形式をとらない場合については、その遺贈は基本的に無効とされてしまいますので、注意が必要です。
遺言は、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言のいずれでもかまいません。
非居住者が相続した場合
問題となる場合
被相続人が日本国内に居住していて、日本国内に財産を有しているが、相続人が海外赴任や留学等によって海外にいるという場合が生じる可能性があります。
この場合、そもそも、相続人は相続税を課されるのか、そして、相続税が課されるとした場合に、その相続税の計算に際して小規模宅地等の特例による相続財産の評価額の減額処理を受けることができるのか、が問題とされます。
納税義務者の範囲
まず、最初に相続税の納税義務者について確認しておきます。
相続税法第1条の3は、相続税の納税義務者について以下の4つを定めています。
①居住無制限納税義務者
相続または遺贈により財産を取得した一時居住者ではない個人、一時居住者である個人(その被相続人が一時居住被相続人または非居住被相続人である場合を除く)で、取得時に日本国内に住所を有する者。
②非居住無制限納税義務者
相続または遺贈により財産を取得した日本国籍を有する個人で、相続または遺贈に係る相続の開始前10年以内のいずれかの時において日本国内に住所を有したことがある者、相続または遺贈に係る相続の開始前10年以内のいずれの時においても日本国内に住所を有したことがない者(その被相続人が一時居住被相続人または被相続人である場合を除く)、日本国籍を有しない者(その被相続人が一時居住被相続人または非居住被相続人である場合を除く)。
③居住制限納税義務者
相続または遺贈により日本国内にある財産を取得した個人で、取得時に日本国内に住所を有する者(ただし、居住無制限納税義務者に該当する者を除く)。
④非居住制限納税義務者
相続または遺贈により日本国内にある財産を取得した個人で、取得時に日本国内に住所を有しない者(ただし、非居住無制限納税義務者を除く)。
ただし、上記①から④に該当しない場合でも、被相続人から相続時精算課税制度の適用を受ける財産を取得した個人については、当該財産については相続税の納税義務があるとされています。
相続税の納税義務が生じる場合
相続開始時に、被相続人か相続人のいずれかが、日本国内に住所を有している場合には、その国籍の如何、日本または海外における居住期間に関わらず、相続人が取得した財産について、相続税の課税対象になります。
すなわち、被相続人の財産が日本国内にある以上、相続人が海外在住であっても、相続税を課されることになるわけです。
小規模宅地等の特例の適用
相続人が非居住者であっても、相続税が課税されるとした場合、相続税の計算については通常の場合と何も異なりません。
つまり、非居住者についても、小規模宅地等の特例が適用されることになります。
ただ、小規模宅地等の特例が適用されるためには、配偶者、家なき子以外の場合には、被相続人と同居しているか、被相続人と生計を一にしている必要があることから、現実的に、相続人が非居住者の場合には要件への該当が難しいと思われます。
そのため、非居住者について小規模宅地等の特例が適用される場合というのは、相続人が被相続人の配偶者の場合、または、被相続人に配偶者、同居の親族、生計を一にする親族がいない場合で、かつ、相続人が家なき子の要件を満たしているという場合に限られることになるでしょう。
つまり、家なき子として小規模宅地等の特例の適用を受けるには、
- ①居住制限納税義務者または非居住制限納税義務者のうち、日本国籍を有しないものではないこと
- ②被相続人に配偶者がいないこと
- ③相続開始の直前において、被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人(同居の親族)がいないこと
- ④相続開始前3年以内に日本国内にある取得者、取得者の拝具者、取得者の3親等内の親族、または取得者と特別の関係がある一定の法人が所有する家屋に居住したことがないこと。
- ⑤相続開始時に取得者が居住していた家屋を相続開始時のいずれの時期においても所有していたことがないこと
- ⑥その宅地等を相続開始時から相続税の申告期限まで所有していること
という要件をすべて満たす必要があることになります。
売却する場合
配偶者の場合
小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、相続開始による宅地取得から、相続税申告期限である相続開始日の翌日から10ヵ月が経過する日まで、当該宅地を保有していることという保有継続の要件が定められている場合があります。
この場合には、保有継続の要件を満たさなかった場合には、小規模宅地等の特例の適用を受けることができないことになってしまいます。
しかし、唯一、相続により宅地を取得した者が被相続人の配偶者である場合については、このような保有継続要件がありません。
したがって、配偶者が相続により宅地を取得した場合については、配偶者はいつでも、当該宅地を売却することが可能ということになります。
配偶者以外の場合
配偶者以外の宅地取得者が小規模宅地等の特例を受けるためには、相続開始により宅地を取得してから、相続税の申告期限である相続開始日の翌日から10ヵ月を経過する日まで、当該宅地を継続して保有していなければならないとしています。
①相続税申告期限までに宅地を売却する旨の契約を締結し、その引き渡しも完了してしまった場合
この場合は、保有継続要件を満たさないこととなってしまい、小規模宅地等の特例による評価額の減額を受けることができないことになります。
②相続税申告期限までに拓地を売却する旨の契約は締結したが、引き渡しは所属税申告期限の経過後に行われた場合
この場合は、売買契約自体は相続税納付期限前に締結されていますが、引き渡しは、相続税納付期限後になされている点が上記の①とは異なります。
そこで、法律が求めている保有継続要件が、売買契約の締結自体を制限するものなのか、その引き渡しを制限する者なのかという点がポイントになります。
この点については、不動産については「引き渡し」によって所有権が移転すると一般的に会されていることから、売買契約の締結自体は相続税申告期限前であっても、引き渡しが相続税申告期限後であれば、保有継続要件は満たされると考えられています。
未分割のまま申告期限を過ぎた場合
遺産分割の必要性
小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、法律の定める要件を備えた者が当該宅地を取得することが必要です。
したがって、その前提として、当然に、遺産分割協議によって、当該宅地を誰が取得するのかが確定していなければならないはずです。
そうでないと、当該宅地の取得者について、小規模宅地等の特例の適用を受けるための要件が備わっているかを判定できないからです。
相続税申告期限までに遺産分割が確定しない場合
この場合にも、一定の手続きを行うことで、小規模宅地等の特例の適用を先延ばしすることが認められています。
①告期限後3年以内に分割する見込みである場合
この場合には、相続税申告期限までに、小規模宅地等の適用のない形での相続税の申告を行った上で、「申告期限後3年内の分割見込書」を申告書に添えて提出することで、小規模宅地等の特例を申告する期限の延長をしてもらうことができます。
この場合、分割がなされた時点で、更正の請求を行うことで、払いすぎた税金の還付を受けることになります。
②告期限後3年に分割が完了しない場合
上記①の「申告期限後3年内の分割見込書」を提出して、期限の延長をしてもらったにもかかわらず、申告期限後3年内の分割ができないこととなった場合について、やむをえない理由がある場合には、申告期限後3年を経過した日から2ヵ月以内に「遺産が未分割であることについてやむを得ない理由がある旨の承認申請書」を管轄税務署に提出し、その承認を受ければ、さらに、そのやむを得ない理由が解消した日から4ヵ月を経過する日までに更正の請求を行うことで、小規模宅地等の特例の適用を受けることが可能となります。
まとめ
小規模宅地等の特例が具体的な事例において、どのように適用・運用されるのかについて解説しました。
ただ、相続における具体的な事情は千差万別なため、一見、似たような場合であっても、具体定期な事情の相違によっては、異なる取扱いになる場合になることも考えられます。
分からないことが生じた場合には、直接税務署に確認するか、専門家に相談する等して、適切な対応を行うようにすると良いでしょう。
勝手な思い込みで判断して、取り返しのつかない事態に陥らないように注意する必要があります。
また、余裕を持って対応することも重要です。
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