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最終更新日:2022/3/10

個人事業の法人化で相続税を節税する方法とその仕組み

古尾谷 裕昭

この記事の執筆者 税理士 古尾谷裕昭

ベンチャーサポート相続税理士法人 代表税理士
東京税理士会 登録番号104851

東京、横浜、千葉、大宮、名古屋、大阪、神戸など全国の主要都市22拠点にオフィス展開し、年間2,200件を超える日本最大級の相続税申告実績を誇る。 業界最安水準となる明朗料金ときめ細かいフォローで相続人の負担を最小にすることを心がけたサービスが評判を得る。1975年生まれ、東京都浅草出身。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/profilefuruoya/
書籍:今さら聞けない 相続・贈与の超基本
Twitter:@tax_innovation
YouTube:相続専門税理士チャンネル【ベンチャーサポート相続税理士法人】

相続税の節税対策としてよく検討される方法の一つが、法人化するというものです。

なぜ、法人化すると節税できるのでしょうか。

その仕組みと方法を解説します。

個人事業と法人化の違い

法人化すると相続税が節税できる理由は、個人事業と法人では法律上の考え方が違ってくるからなのです。

では、個人事業と法人ではどう違うのでしょうか。

法人の仕組みはどのようなものになるのでしょうか。

法人化とは

法人とは、法律によって定められた条件に従って設立することで、人と同じく権利義務の主体となれるもののことをいいます。

たとえば、法律上では物を買うことができるのは、人と法人になります。

人は、物を買ったり、売ったりすることができ、買った物の所有者になれます。

同じように法人も物を買ったり、売ったりすることができ、買った物の所有者になれるのです。

このように法人は人と同じように権利義務の主体となることができ、物を所有したり、物を買ったり、売ったりする活動ができるのです。

ですので、基本的に人と法人は、法律上は別人格として考えます。

たとえば、ある個人が法人を設立しその法人の代表取締役に就任したとします。

その法人は代表取締役社長1人だけしか存在しないとします。

それでも、個人と、その個人が代表取締役社長になっている法人とは法律上は別人格となります。

その法人が所有している不動産があるとすると、その不動産は法人の持ち物であり、社長個人の持ち物ではありません。

その不動産を売却する権利は法人にあり、個人にあるわけではないのです。

もしその不動産から賃貸収入などの収益が発生する場合、その収益は法人の収益として計上され、個人に計上されるわけではありません。

個人はその法人の代表取締役社長として、法人から役員報酬という形の報酬をもらうのみになるのです。

反対に個人事業の場合、その事業にかかってくる権利義務関係はすべてその個人が負うことになります。

個人事業として物を買う場合は、個人が物を買う権利を得、その対価を支払う義務を負います。

個人事業として借金をする場合は、その債務に関する責任は個人自身が負うことになります。

これが法人ですと、法人の債務は法人自身が負うことになり、役員は経営責任の範囲内においてのみ、株主は出資金額の範囲内においてのみ責任を負うことになるのです。

このように事業を個人事業で行うのか、法人で行うのかは、法律上大きく違っており、かかってくる税金や各種控除額なども違ってくるため、事業を法人化することで節税対策になることがあるのです。

法人いろいろ

一口に法人といいましても、各種法律によって設立できる法人はいろいろあります。

一番メジャーなところでは株式会社があります。

また最近では合同会社という法人も増えてきています。

そのほか、NPO法人や一般社団法人、一般財団法人などもあります。

どの法人がいいかというのは、その設立目的にもよります。

営利目的なのか非営利目的なのか、あるいは出資目的などによっても異なってくるところでしょう。

ただし、一般的に節税対策としては株式会社などの営利企業で設立することが多くあります。

法人化することでどのような相続税の節税対策ができるのか

相続税とは、亡くなった人の財産を受け取った人がその財産の課税価格に対して納税する義務のある税金となります。

個人が亡くなった場合、相続人がその財産を受け継ぐことになり、相続人が相続税の申告をする必要があります。

もしこれが法人の場合、法人自体が亡くなるわけではありません。

法人の財産と個人の財産は分けて考える必要があります。

とある法人に就任している役員個人が亡くなったとしても、役員の個人財産は相続の対象となりますが、法人の財産は、法人の所有物ですので、相続の対象とはなりません。

ですので、もちろん相続税がかかる財産の対象ともなりません。

こういった意味から個人事業を法人化しておくことで、法人の財産は相続税がかからず次世代に引き継ぐことができるようになります。

法人化することで相続税以外にも節税対策ができる

法人の役員は役員報酬をもらうことができます。

たとえば、個人事業をしている場合で、何らかの収益が出ている場合、その収益は個人の所得になります。

その所得には所得税がかかります。

その所得税を差し引いた分が自分の持ち分となるのですが、生前贈与したいと思ったときは所得税を差し引いた後の財産から、贈与することになります。

また、その贈与分にも贈与税がかかってきます。

これが役員報酬であれば別の話になります。

個人事業を法人化し、相続人になる予定のものを役員に就任させておきます。

そうすると法人から役員報酬を出すことができます。

法人の場合、役員報酬は経費として計上します。

ですので、役員報酬を出した残りから法人の所得税を支払うという形になります。

また、役員報酬に贈与税はかかってきません。

個人事業をしていて生前贈与しようと思うと、所得税や贈与税などがかかってくるのですが、これが法人化して役員報酬という形で支払うと所得税も安くなりますし、贈与税はかかってきません。

このように生前から役員報酬という形で財産を移しておくことができ、相続税対策とすることができるのです。

また、このほか、法人であれば、生命保険や退職金なども法人として経費で支出することができ、将来のための貯蓄も法人として蓄えていくことができます。

こういったあたりをうまく利用していくことで、個人事業を法人化し相続税の節税対策をしていくことができるのです。

不動産事業を法人化する

法人化して節税対策をするのはよくありますが、その中でも多いのは不動産事業を法人化しておくという形です。

不動産事業を法人化するにはどのような方法を取るのでしょうか。

不動産事業での節税対策

相続税は、基礎控除額があるため、ある程度の資産がある人が対象となってきます。

なかでも不動産を多く持つ人がその対象になるということがよくあります。

この不動産事業を個人事業から法人化にしておくことで節税対策となるのです。

個人事業で不動産賃貸収入がある場合、その収入はすべて個人の所得になります。

先ほどいいましたように、この場合は、個人の所得に所得税がかかってくることになります。

これを法人の収入に変えることで所得を分散することができ、節税効果が大きくなります。

賃貸収入のある建物を法人に売却する

まず、法人を設立します。

このときの注意点は、株主を相続人にしておくということです。

なぜなら株券は、個人の持ち物であり相続の対象となるからです。

被相続人になる予定の者が株主になってしまうと、結局亡くなったときに株券の相続が発生してしまいますし、その株券の評価額の分だけ相続税がかかることになります。

ですので、相続税対策として法人を設立する場合は、できるだけ相続人になる方が株主になるようにします。

法人ができましたら、個人の所有物である、土地建物のうち、賃貸収入のある建物を法人に売却します。

法人は、建物を購入したことになりますので、もちろん購入代金を個人に支払う必要があるのですが、資金がない場合は、長期借入金にするなど、長期間かけての返済とします。

こうすることで、建物は法人の所有物となり、建物から発生する賃貸収入も法人の収益となります。

土地に関しては、法人化のときに売却するのではなく、相続発生のときに法人に譲渡するようにします。

土地売却の際の注意点

個人所有の土地建物のうち、建物だけを法人に売却しました。

法人はその建物を収益物件として活用し賃貸収入を得ています。

この場合、土地自体は個人の所有物になるのですが、借地権という権利が発生します。

この借地権を権利金なく譲渡すると贈与とみなされ、課税対象に該当します。

ですので、「土地の無償返還に関する届出書」を税務署に提出しておきます。

この届出を提出しておくことで認定課税を回避できます。

賃貸収入から役員報酬を支払う

賃貸収入は法人の収益となりますので、この収益から役員報酬を支払います。

役員には、法定相続人を平等に配置します。

そうすることで、賃貸収入を各相続人に分配することができます。

また役員報酬には控除がありますので、個人事業として個人が収入のすべてを所得としていたときよりも、各役員報酬に分散した方が控除の金額が大きくなり、支払う所得税の節税にもなるのです。

また賃貸収入から退職金や生命保険などの経費にまわすことで、うまく節税しながら貯蓄していくことも可能となります。

その他、法人の場合、出張の日当が経費と認められたりしますし、個人の場合では経費と認められないものも法人の場合経費と認められるなど、経費の幅が増えますので、そのあたりも節税効果があります。

法人化する場合のデメリット

さて、個人事業を法人化する場合の節税対策について話してきたのですが、もちろん法人化すればメリットだけというわけにもいきません。

では、法人化することでどんなデメリットがあるのでしょうか。

そこをみていきましょう。

設立費用がかかる

法人を設立するとなると、設立に費用がかかります。

法人設立には、定款認証をしてから法人設立登記申請をするという2つの作業を行います。

定款認証に5万円(※電子定款認証にしない場合は印紙代としてさらに4万円)、登記申請の際の登録免許税に15万円(※資本金によって異なります)と設立の実費だけでこれだけかかります。

これに専門家に設立を依頼するとその報酬もかかってきます。

また、資本金なども用意する必要がありますので、そのあたり設立時にはある程度の費用が必要となります。

維持するのに費用がかかる

法人は作って終わりではありません。

設立後もきちんと運営していく必要があります。

法人は登記制度ですので、登記事項が変わると変更手続きが必要になりますし、その度ごとに登録免許税などの費用がかかります。

本店所在地や商号、目的事項の変更などにもお金がかかりますし、役員の任期によっては、重任などの登記をする必要もあります。

役員任期を忘れていて、登記を忘れていると過料が発生してきますので、この点も注意が必要です。

このように法人は維持しているだけでも何かと費用がかかります。

やめるときにも費用がかかる

個人事業の場合は、やめるときはすぐにやめることができ費用がかかるわけではありません。

ところが法人の場合、簡単にやめるわけにはいきません。

法人を清算する場合などは、きちんとした手続きを経る必要がありますし、その費用もかかります。

このように法人の場合、設立、維持、清算に費用がかかりますので、設立は慎重に見極める必要があります。

会計処理が複雑

個人事業の場合、確定申告などの会計は専門家に頼まず、個人でしているという場合も多くあります。

ですが、法人の場合、個人の会計に比べて複雑になりなかなか個人が自分でするというのは難しいものがあります。

ですので、会計処理を税理士などの専門家に依頼する必要があり、そのあたりの費用も必要になってきます。

社会保険の加入義務がある

個人事業の場合、社会保険に加入義務がないのですが、法人の場合、社会保険に加入する義務があります。

このあたりも個人事業にはない経費負担となります。

法人設立はよく考えて計画的に行おう

このように法人を設立すると何かと費用が発生してくる部分があります。

そのためある程度個人事業として収益が上がっていないと、法人化するメリットがありません。

相続税の節税対策として法人化する場合でも、本当に法人化したほうが節税になるのかどうかは、いろいろな角度から総合的に検討し判断する必要があります。

そのあたりは、専門家に相談し、長期的な計画のもとに行うのがいいでしょう。

まとめ

個人と法人は、法律上は別人格となり、個人の所有物と法人の所有物とは分けて考えることができますので、法人化し、財産や収益を法人に移しておくことで相続税の節税対策になる場合があります。

また、収益から役員報酬を支払うことで、贈与税などの節税対策にもなるメリットがあります。

特に不動産事業の場合、個人所有の建物を法人に売却することで賃料収入を法人の収益とすることができ、そこから相続人を役員として役員報酬を支払うことで所得の分散が可能となり、相続税対策となります。

ただし、法人化することはメリットばかりでなく、法人は設立、維持、精算するにも費用がかかってきますので、本当に節税効果があるかどうかはきちんと判断する必要があります。

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