遺言書パーフェクトガイド|種類・効力・書き方・検認を徹底解説!

“遺言書がなかったために・・・・”

仲が良かった兄弟姉妹が相続を巡って喧嘩してしまった

親としては、自分の財産を残すのはみんな、子供たちや孫が幸せになってもらうためです。
誰一人、相続が原因で争いや喧嘩をすることを望む人はいないでしょう。
しかし、残念ながら相続を巡って相続争い、いわゆる「争続」は非常にたくさん発生しています。
兄弟同士、親族同士だけに、感情がもつれると激しい衝突になることがよくあります。
だからこそ、きっちりした遺言書を作る必要があります。

 

間違った遺言書を作ってしまうと、
無効になったり、大きな相続税になったりします

  • ・決まった形式での作成や、承認を受ける手続きを間違うと無効になります。
  • ・相続税を視野に入れた遺産分割案を考えないと大きな相続税を支払うことになります。
  • ・遺留分(※)を考慮して遺言書を作成しないと、親族で裁判になることがあります。

※遺留分とは、法律で定めれらた相続人が、遺言の内容に関係なく最低限相続できる権利のことです。

遺言書パーフェクトガイドでは、遺言・遺言書についての種類・効力・書き方・検認までを徹底解説していきます。

これから遺言・遺言書を作成される方は「間違った遺言書」を作成しないように。事前にこちらをお読みいただければと思います。

また下記に自筆証書遺言のサンプル、公正証書遺言のサンプルをダウンロードできるようにしていますので、ご活用ください。

・自筆証書遺言

・公正証書遺言

・自筆証書遺言ポイント


公正証書遺言を利用する人が急速に増えています

まずは、近年の遺言書の作成状況の統計を見ていきましょう。

遺言書の作成状況

遺言者だけで手軽に作成できる自筆証書遺言の年間作成件数の推移は微増といったところですが、遺言書の中で最も確実性が高いと言われている「公正証書遺言」の年間作成件数の推移を見ていくと、2010年に8万件弱の作成件数だったのが2014年には10万件を超え、2015年に11万件を超えています。

「公正証書遺言の利用が急速に増えているんです!!」

日本の高齢化が進み、”遺産争続“をテーマにした映画やテレビ、雑誌等で相続問題も多く取り上げられています。。
“遺産相続”をテーマにした映画やドラマの放映もたまに見かけますよね。
まさか、自分の家族が・・・
といった、この「まさか」が自分の家族にも起きうるという認識が世間に浸透してきていることが公正証書遺言の利用増加の背景にあるようです。
また、公証人役場にしっかり有効性を保証され、保管される、確実な公正証書で遺言を行う方が増えているのも、公正証書遺言が認知されてきたといえますし、自筆証書遺言では不備になる可能性があるということも一般的に認知されてきたということも言えます。

それでは、自分の死後に財産をどのように分け与えるかを決める「遺言」についてみていきたいと思います。

遺言とは

遺言とは「被相続人の最後の意思表示」と定義されています。

死んだ後の財産処分等について自分の意思を反映していきます。民法で定められた形式により書き残さなければ法的効果が生じませんので細心の注意を払わなければなりません。
実際の相続の現場では、遺産分割について相続人間で争いが起こることもめずらしくありません。
相続が起きて、家族の争いが起こらないように遺言により、自分の財産を誰に帰属させるかを決めておくことで、自分の家族の相続によるトラブルを未然に防ぐことができます。

遺言が無い場合にはどうなる?

もし遺言が残されていなかった場合には、民法という法律のルールに従って遺産が分割されることになります。

民法のルールも一応は平等な分割となるように配慮がされていますが、例えば「配偶者は2分の1、子はそれぞれ4分の1…」というように、ごく大まかな規定があるにすぎません。
そのため、遺言がない場合には遺族同士が集まって具体的な分割の方法を細かく話し合いで決める必要が生じます。
利害関係を持つ当事者どうしが財産をめぐって話し合いを行うわけですから、どうしてもトラブルになる可能性が高くなるのが現実です。
仲の良い親族が相続協議をきっかけにいがみ合うようになる…というのは、決してドラマの中だけの話ではないのです。
遺言を残しておくことは、残された遺族が相続をめぐる話し合いを解決する際の指針となりますから、財産を所有している人は何らかの形で遺産分割の具体的な方法について遺言を残しておくことが望ましいといえるでしょう。

遺言書の種類

相続をめぐる争いを避けるために最も有効な方法の1つとして「遺言書」があります。被相続人(亡くなった人)が遺言書を作ろうと思った場合、まずどのような方式があるのかを知っておかなくてはなりません。
遺言はどのような形で残してもOKということではなく、必ず法律上指定された方法で残さなくてはなりません。
まず、遺言は大きく「普通方式」と「特別方式」の2つに分けることができます。名前のとおり、前もって遺言を残しておく場合には「普通方式」の遺言を行います。「特別方式」の遺言は、普通方式の遺言ができない、不可能な場合に用いられる遺言方式になってきます。

遺言の3つの種類

遺言を残す方法として、具体的には次の3つの方法が認められています。

自筆証書遺言
公正証書遺言
秘密証書遺言

逆に言うと、これら3つの方法以外のかたちで遺言を残したとしても、それは有効な遺言とは認められませんので注意しなくてはなりません。
以下、それぞれの形式の遺言について、作成時の注意点を解説させていただきます。

自筆証書遺言

一般的なものといえる自筆証書遺言について見てみましょう。自筆証書遺言は、遺言を残す人が自筆で遺言を作成するもので、現状認められている遺言の方式としてはもっとも簡便なものとなります。

自筆証書遺言の例

自筆証書遺言は、自宅で自分の準備した筆記具などで書くことができるので遺言者としてはとても手軽な方法と思えるのですが、最大の欠点は「自宅などで保存されるので改ざんのおそれがある」「見つけた人が破り捨ててしまえばなかったことになってしまう」「真に本人が書いたものかどうかで死後、争いになることが非常に多い」「法的に有効になるための条件がいくつもあるので、遺言書が見つかっても結局無効になることが多い」などです。つまり、中途半端な知識と状況で書いた自筆証書遺言は逆に相続人の争いを誘発することにすらなってしまうわけです。ごく簡単にいうと、「手書きで書いて、印鑑を押す」というのが自筆証書遺言ですが最低限、知っておかなければならない自筆証書遺言のルールを確認してみましょう。

パソコンではなく手書きで書く

自筆証書遺言は必ず手書きでなくてはなりません。自分以外の人に書いてもらって本人がサインする、というような形もとることができません。
パソコン入力で作成して印刷したり、音声テープや動画で残したりする方法は不可です。また、本人が手を怪我していて文章を書くことができないというような場合には、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言や秘密証書遺言の方法によって遺言書を作成することになります。

(注)平成30年6月現在、パソコンを使って自筆証書遺言を作成する方法を可能にする法改正が検討されています。
法改正が成立した後にはルールが変わる可能性がありますので注意してください。

遺言を書いた日付が明確にわかるようにする

遺言を作成した日付が明確にわかるような記載にしておかなくてはなりません。
例えば「平成30年6月吉日」という書き方は不可で、必ず「平成30年6月17日」といったように、日付を特定できる形で作成日を記さないといけません。

日付がおせる印鑑などを使うのもNGとなります。
ゴム印等を使って日付を印字するようなやり方だと無効となってしまいますから注意しておきましょう。本文と同様自筆で日付を記入してください。

財産を明確に指定する

自筆証書遺言で遺産分割の方法を指定する財産は、正確に特定できるようにしなくてはなりません。
注意が必要なのが銀行預金や土地や建物などの不動産です。
これらは解約や名義変更を行う際に遺言の内容に基づいて行うことが多いので、正確な情報が記されていないと手続きに支障が生じる可能性があります。
具体的には、銀行預金については金融機関名と支店名、口座種類や口座番号を正確に記載しましょう。
不動産については登記されている内容を登記簿謄本を取得して確認し、その内容と同じ形で遺言に記す必要があります。

訂正や加筆の仕方

いったん作成した自筆証書遺言を、後から加筆したり訂正したりするときにも、厳密にルールが決められています。
具体的には元の文章内容がわかる形で二重線を引いて消し、新しい内容を書いたうえで、遺言で使っているものと同じ印鑑で訂正印を押します。
さらに、「本行二十字加入 十五字削除」といったように小書きをして遺言をする本人が自筆で署名をする必要があります。
このように、訂正や加筆の手続きは非常に煩雑ですので、内容を変更する場合にはいったん破棄したうえで最初から作成し直すのが良いでしょう。

署名押印に関する要件

自筆証書遺言には本人の署名と印鑑がないと無効になってしまいます。
この点は一般的な契約書と扱いが異なりますから注意しておきましょう(一般的な契約書は印鑑がなくても成立します:そもそも契約書も証拠書類としての意味がなく、口頭の約束であっても有効に契約は成立します)
印鑑の種類については特に指定はありません。
印鑑登録をしてある実印である必要はなく、シャチハタ以外の印鑑であれば三文判でも問題はないですが、なるべく実印を使うのが良いでしょう。
自筆証書遺言を封入する封筒にも同じ印鑑を使って封印を推しておくと良いです。
戸籍上の名前とは異なる名称を記載しても問題はありませんが、戸籍通りの名前を書いておくのが手続き上スムーズです。

遺言者1名につき1枚の遺言のみ認められる

法律上、遺言は2人以上の人が共同で残すことができません。
例えば、夫婦が共同で子供達のために遺言を残すというようなこともできませんので注意が必要です。
夫婦の場合、現金などの財産が夫と妻のどちらのものなのかが明確でないケースが少なくないために財産の混同が起きやすいです。
夫婦それぞれが自分の意思を遺言書にこめたいというような場合には内容について事前によく話し合いを行い、最終的にどちらか1名の名前で遺言書を残すようにするのが良いでしょう。

遺言執行者はできれば指定しておこう

遺言にはあなたの死後に遺言の内容を実現する役割を持った「遺言執行者」を決めておくことができます。(必須ではありません)
遺言執行者がいる場合、相続人は勝手に遺産に手をつけることができず、相続人の確定や遺産分割協議はすべて遺言執行者が行うことになります。
遺言執行者は親族である必要はなく、資格を持った弁護士などを指定しておくと遺族間でのトラブルも避けることができる可能性も高くなります。

自筆証書遺言が無効となってしまうケース

上で解説させていただいた要件を満たしていないと、自筆証書遺言は無効となってしまいます。
以下では具体的にどのような場合に自筆証書遺言が無効となってしまうのかについて確認しておきましょう。

相続財産の内容が特定されていないケース

遺言書は簡単にいうと「私のこの財産を、この人に相続させます」という内容を書いた書類のことですから、遺言書に書いた財産が実際にどの財産を指すのかが明確にわからなくてはなりません。
例えば、「私の土地は妻に相続させる」という書き方をしたとしても、その土地がどこにあるのか?ということが読み手は把握することができません。
不動産登記簿謄本などを参考に物件の正確な所在地を記入しておきましょう。
できればあなたが所有している財産の一覧表(財産目録)を作成して、それぞれの所在地、現預金であれば口座番号や支店名をすべて記入しておくのが望ましいです。
なお、財産目録についてもパソコンなどで作ってしまうと無効になってしまいますから、必ず自分の手で記入するようにしてください。

本人が認知症等の場合

問題になりやすいのが、遺言を残した本人に認知症などの症状が見られる場合です。
遺言を残すためには、遺言書を作成する時点で正常な認識能力がなければなりませんから注意が必要です。
医師から認知症と診断されているような場合には、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言を利用すると有効性について問題となりにくくなります。
(ただし、公正証書遺言であれば常に有効というわけではありません)
過去の裁判例ではうなずくことしかできないような状態の人が残した遺言や、複数残されていた遺言書で相互に矛盾があるような遺言の場合には無効となった事例があります。

自筆証書遺言の保管方法

自筆証書遺言は、遺言を行う人が自分で保管するか、弁護士や行政書士などの専門家に保管してもらう、あるいは銀行の貸金庫などに保管する方法があります。
また、平成30年の法改正においては自筆証書遺言を法務局で預かってもらえる制度が新しく検討されていることも知っておきましょう。
自分で保存する場合には、封筒に入れて保存し、保存場所は遺族が容易に見当をつけられる場所にしておかなくてはなりません。

公正証書遺言


もし、数ある遺言の種類であえておすすめするのであれば公正証書遺言です。
公正証書遺言は、公証人という役割の人の支援を受けながら遺言を作成する方法です。日本公証人連合会によると、平成29年度において公正証書遺言の形で遺言を残した件数は11万191件で、過去10年間で最大の件数となっています。

公正証書遺言の例

公正証書遺言は手数料こそかかりますが、公証役場で公証人の面前で面談の形式を取るため本人確認もしっかり行いますし、真に本人が望んだ遺言内容であるかということも確認してくれます。つまり、これは本当に本人が書いたものなのか、本人がこの内容を望んでいたのかという前提に関する争いをしなくて済むわけです(それでも公正証書遺言の有効性を争う事例もあります)。ただ、公証人は遺言の中身が相続人全体に対して公平なのかといったことについて保証しているわけではありませんので、遺言内容の適切さということは次の問題になってきます。しかし、遺言書自体が本物であるという保証が得られることは相続手続き全体がスムーズに進むためには非常に重大な事柄ですから、特に争いの危険がある家庭では公正証書遺言作成は必須事項といえるでしょう。

公正証書遺言を作成する手続き

公正証書遺言は、おおまかな遺言内容を決めておいて、公証役場で公証人と相談しながら作成していくことになります(事前に電話でアポイントをとります)
遺言で実現したい内容さえ決めておけば、必要書類などは公証人が教えてくれます。
また、以下のような書類は公正証書遺言を作成するために必ず必要になりますから、事前に役所で取得しておきましょう。

  • •遺言者の印鑑証明
  • •遺言者の戸籍謄本
  • •相続人として指定する人の住民票
  • •遺産に不動産がある場合には、登記簿謄本と固定資産税の明細
  • •証人2名の職業や名前、住所や生年月日がわかるもの

遺言の原案が固まった段階で、証人となってもらう人2名を決め、あらためて公証役場に出向きます。
その場で遺言内容を確認し、遺言者と公証人、証人2名が署名押印して遺言が完成します。
完成した公正証書遺言の正本を渡してくれますので、手数料を渡して手続きは完了ということになります。

公正証書遺言を作成するときの注意点

公正証書遺言を作成する際には、以下のような点にも注意しておきましょう。

遺言執行者を指定する

遺言の内容をより確実に実現するためには、遺言の中で遺言執行者を指定しておくことが望ましいです。
遺言執行者は、その名の通り相続が発生した後に遺言の内容を執行するべく事務を行ってくれる人です。
遺産として残された銀行口座の管理を行ったり、不動産の名義変更などの事務を行ってもらったりする人ですので、法律的な実務知識がある人を指名するのが良いでしょう。
遺言執行者に必要な資格などはありませんが、司法書士や弁護士といった法律の専門家に依頼するケースが多いです。

証人になってもらう人の選び方

公正証書遺言を作成するためには、2名の証人が必要になります。
その際、証人となる人に次のような資格を満たしているかを確認しておいてください。

  • •未成年者は不可
  • •遺言に利害関係のある人や、その親族や配偶者は不可
  • •遺言書の内容を確認できない人は不可
  • •公証人の関係者や役場の職員は不可

こちらについても、法律家に遺言執行を依頼した場合には証人2名を準備してくれることが多いです。

公正証書遺言を作成するための費用

公正証書遺言を作成するためには、公証人に対して手数料を支払う必要があります。
この手数料の金額は、遺言の対象となる財産の金額によって決まります。
具体的な手数料の金額は以下の通りです。

100万円まで 手数料は5000円
200万円まで 手数料は7000円
500万円まで 手数料は1万1000円
1000万円まで 手数料は1万7000円
3000万円まで 手数料は2万3000円
5000万円まで 手数料は2万9000円
1億円まで 手数料は4万3000円
1億円を超える場合には、5000万円増えるごとに手数料が1万3000円ずつ(3億円を超える場合は1万1000円ずつ、10億円を超える場合は8000円ずつ)増えます。

公証人は法律知識を持った専門家ですので、遺言の方式や作成内容について心配がある方は自筆証書遺言よりも、公正証書遺言を選択するのが良いでしょう。

公正証書遺言を作成するときに準備するもの

公正証書遺言を作成するときには、公証役場に行く前にある程度遺言の内容を決めておく必要があります。
遺言の内容を決めるためには、何よりも遺言として残す遺産の内容を正確に把握することから始めます。
不動産などの遺産がある場合には法務局に行って登記簿謄本を取得するとともに、戸籍謄本や印鑑証明、住民票なども必要になります。
役所でこれらを発行してもらうためには発行手数料が必要になりますから、それらの費用についても考慮しておきましょう。
なお、印鑑証明や住民票の発行手数料は1通につき300円程度、登記簿謄本の発行手数料は1つにつき600円程度です。

公正証書遺言を作成するときの流れ

公正証書遺言を作成するときの流れは、①公証役場に行く前の準備と、②公証役場内で行う手続きの2つに分かれます。

①公証役場に行く前の準備

まず、どのような遺言を残したいかの内容について、遺言者自身の考えを整理しておきましょう。
具体的には、だれを相続人として指定するのかと、それぞれの相続人にどれだけの割合の遺産を相続させるのかを決めておきます。
また、以下のような書類は公正証書遺言を作成するために必ず必要になりますから、事前に役所で取得しておきましょう。

  • •遺言者の印鑑証明
  • •遺言者の戸籍謄本
  • •相続人として指定する人の住民票
  • •遺産に不動産がある場合には、登記簿謄本と固定資産税の明細
  • •証人2名の職業や名前、住所や生年月日がわかるもの

②公証役場内での手続き

以上のものが準備できたら、いよいよ公証役場に連絡をして公証人とアポイントをとりましょう。
指定した日程に必要書類を持っていき、公証人にあなたが残したい遺言の内容を説明します。
公証人は遺言の内容についてさまざまなアドバイスをしてくれますので、希望をあまさず伝えることが大切です。
決定した遺言の内容については公証人が法律上必要な書式をそろえてくれます。
遺言の内容が固まったら、後日に証人2名を連れて公証役場にいき、承認の立ち合いのもとで正式に公正証書遺言が作成されます。
作成した公正証書遺言は原本を公証役場で保管してもらえますので、紛失の恐れはありません。
また、正本と謄本を渡してくれますので、自宅などで大切に保管しましょう。

秘密証書遺言


秘密証書遺言という方式は、自筆証書遺言と公正証書遺言をミックスしたような方法です。秘密証書遺言では、公証人と証人2名に「遺言の存在」だけを確認、証明してもらいますが、遺言の内容については本人以外の人に知らせる必要がありません。遺言の内容は誰にも知られたくないけれど、死後に遺言が発見されない…という事態は絶対に避けたいという方は秘密証書遺言を選択するメリットがあります。ただ、この場合は2人以上の証人の立会が必要になりますし、手数料も必要になるため、そこまでやるのであれば公正証書遺言にするという人も多く、実務的にはあまり利用されていないのが実情です。
また、秘密証書遺言はパソコン作成や代筆もOKという特徴があります(署名は自筆で行う必要があります)
一方で、遺言の作成形式については自筆証書遺言と同様に自分でチェックする必要がありますから、もし不備があると無効となってしまう可能性があるのには注意を要します。
秘密証書遺言は作成の手続きや手間は公正証書遺言と同じなので、あえて秘密証書遺言を選択する方は少数派といえます(年間100件程度しか利用されていません)
遺言書は作り方を間違えると相続人の憶測を呼んで無用な争いを招き、むしろ最初から存在しない方が良かったということすらあるのです。自分で作ると何か問題が起こるのではないかと不安になる人は文案も含めて専門家に任せた方が安心できます。

※特別方式遺言とは?

遺言書の作成方式には大きく分けて「普通方式」と「特別方式」の2種類があります。普通方式は日常の生活を送る中で書かれる遺言書を、特別方式は日常とは異なる状況のもとで書かれる遺言書を想定した方式です。普通方式の中には、「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」があり、中でも多く使われる方式が公正証書遺言と自筆証書遺言となっています。特別方式の中には、臨終の状態にあることを想定した「一般危急時(臨終)遺言」と「難船危急時(臨終)遺言」、そして隔絶された場所にいることを想定した「一般隔絶地遺言」「船舶隔絶地遺言」がありますが、特別方式はいずれも利用されることがきわめて稀であるといえます。

「特別方式の遺言書」が認められる場合

一方で、これらの方式によって遺言を作成している時間的な余裕がない緊急事態では、「特別方式の遺言書」の作成が認められます。
具体的には病気やけがで危篤状態にある人や、船が遭難したなどの状態にあるときに、一定の人数の証人の立ち合いを求めることで遺言を有効に残すことができます。
なお、このような緊急事態から脱してから6か月以上その遺言者が生存している場合には、特別方式の遺言書は無効となります。

※普通方式遺言、3種類の遺言書のポイント

種類 自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
作成方法

全文自筆で記載、氏名・日付を自書し、押印が必須。訂正は二重線で消し、正しい記述をする。

本人及び証人2名で公証役場へ行き、本人が遺言内容を口述し、それを公証人が記述をする。

本人が証書に著名・押印した後、封筒に入れ封印して公証役場で証明してもらう。

証人 不要 証人2名以上 公証人1名・証人2名以上
家庭裁判所の検認 必要 不要 必要
遺言書の開封

遺言書に封がされている場合、家庭裁判所において相続人等の立ち合いを以って開封

開封手続きは不要

家庭裁判所において相続人等の立ち合いのもと開封

メリット

作成が簡単、費用が安価、遺言内容を秘密にできる

保管の心配必要。自分の意志に従った遺言を確実に残せる。検認手続きは不要

遺言の存在を明確にできる
遺言内容を秘密にできる

デメリット

検認手続きが必要
紛失リスク、要件不備による争いが起こるリスク

遺言内容が漏れる可能性がある。若干手間と費用がかかる

検認手続きが必要
要件不備による紛争がおこりやすい

遺言はどのように保管するのが良い?

せっかく残した遺言も、あなたが亡くなった後に遺族が発見してくれないと何の意味もありません。

公正証書遺言や秘密証書遺言の形で遺言を残した場合には、遺言が発見されずに放置されるという可能性はありませんが、自筆証書遺言の場合には問題となる可能性があります。
自筆証書遺言の形で遺言を残すときには、丈夫な紙に書いて封筒に入れておくとともに、家族が見当の付けられる場所に保管しておくようにしましょう(仏壇の棚や金庫など)
自宅に保管するのが心配な場合は、銀行の貸金庫を利用するか、弁護士などに依頼して保管してもらうことも可能です。
なお、平成30年の法改正においては、法務局で保管してもらう方法についても法整備が進んでいます。
今後は遺言の保管方法については選択肢が広がっていくものと思いますが、現状、不安がある場合には公正証書遺言や秘密証書遺言を利用するようにしましょう。

遺言執行者の指定

遺言書を利用すれば被相続人(亡くなった人)の思い通りに財産を承継させることができますが、確実に手続きを進めるには「遺言執行者の指定」が重要です。

遺言執行者とは

当然のことですが、遺言者自身は自分が亡くなった後に自分の遺言書の内容を実現させる手続きをすることはできません。確実に手続きしてほしいと考える場合、必要になってくるのが「遺言執行者」という役割の人です。遺言執行者は遺言の内容を具体化するために「相続人の代理人」としての働きをすることになっています。もし遺言執行者が選任されていないと、手続きの内容によっては相続人全員に協力を求めなくてはならないことになりますが、そうなると結局誰かが協力を拒めば実質的に手続きが進まないことになり、遺言書を書いた意味があまりなくなってしまいます。

遺言執行者しかできないこと

遺言執行者が指定されていれば、その人にしかできない手続きというのもあります。これは、遺言書により「認知」をした場合や「相続人の廃除(著しい非行があったので相続人から外す手続き)」や「廃除の取り消し」をした場合です。
これらはたとえ相続人がいるとしても、遺言執行者にしかすることができないことになっています。逆に、相続財産を相続人に配分する行為などは遺言執行者がいるケースにおいて相続人がすることも差し支えありません。

遺言執行者の選任方法

遺言執行者を選任する基本的な方法は「遺言書の中で指定すること」です。しかし、もし指定がなかった場合や、指定されていた遺言執行者がいなくなった場合には、相続人や遺言者の債権者や受遺者(遺言で財産を受ける者)は家庭裁判所に申し立てることにより遺言執行者を選任してもらうことができます。

遺言執行者の解任や辞任はできる?

遺言執行者になれないとされている者(欠格事由)は「未成年者」と「破産者」の2つだけですので、選任の際にはこれらの者を避けることが必要です。そして、いったん就任している遺言執行者を解任することについてですが、遺言執行者が任務を怠る、あるいはその他正当な事由があるときなどは、利害関係にある人は遺言執行者の解任を家庭裁判所に請求することができます。同様に、遺言執行者は正当な事由があれば家庭裁判所に辞任の申し出をすることができ、認められれば辞任することもできます。
遺言執行者は遺言者の意思を実現するという意味で非常に重要な役職です。相続人の中の一人であってもよいのですが、相続開始後の手続きが円滑に進められるかどうかなども考慮して慎重に選ぶことが必要です。