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最終更新日:2022/3/17

【自筆遺言書が無効になる10のケース】作成後に確認するべき注意点

本間 剛 (行政書士)

この記事の執筆者 行政書士 本間剛

ベンチャーサポート行政書士法人 代表行政書士。山形県出身。

はじめて相続を経験する方にとって、相続手続きはとても難しく煩雑です。多くの書類を作成し、色々な役所や金融機関などを回らなければなりません。専門家としてご家族皆様の負担と不安をなくし、幸せで安心した相続になるお手伝いを致します。

PROFILE:https://vs-group.jp/sozokuzei/supportcenter/profilehonma/

この記事でわかること

  • 自筆証書遺言は正しく書かないと無効になることが理解できる
  • 日付・署名・捺印など要件を満たしていないと無効なことがわかる
  • 加筆や修正時の手順が間違っていると無効なことが理解できる
  • 本文など財産目録以外でパソコンを利用すると無効なことがわかる
  • 相続内容や相続人が不明瞭・不適切だと無効になることがわかる

遺言書があれば、財産の分け方に自分の意思を反映でき、相続時の遺産を巡るトラブルを回避する有効な手段になります。

なかでも自筆証書遺言は、公証役場に行く手間や証人を依頼する労力もなく、自分一人で費用をかけずに作成できることが大きな魅力です。

ただし、自分一人で完結できるだけに、遺言書が法的な効力を有するために必要な要件を満たさず、無効となるケースがあります。

このような事態を避けるために、正しく書かない場合や要件を満たさない場合に、自筆証書遺言が無効となる10のケースを紹介します。

自筆遺言書は正しく書かないと無効になる

自筆証書遺言は、だれにも頼らず単独で作成でき、作成も書き直しも自由にできることがメリットです。

しかしながら、せっかく作成した遺言書も、相続で法的な効力を持たなければ準備した意味がなくなってしまいます。

というのも、遺言書の作成については民法に規定があり、正しく書かない場合は、すべて無効になってしまうリスクがあるからです。

また、遺言書そのものは法的な効力を持つ場合でも、書き方が正しくなければ、一部が無効になるリスクもあります。

自分の死後に第三者が読んで理解できる必要があるため、解読不能や財産が特定できない箇所などがあれば、遺言として有効に機能しません。

以下では、自筆証書遺言の形式的な要件や内容に関する要件を満たすための、正しい書き方について細かく確認してきましょう。

今後の作成を考えている方や、遺言書による相続が予想される方には、予備知識として役立ちます。

また、すでに自筆証書遺言を作成している方は、できあがった遺言書が無効にならないかをチェックできます。

日付・署名・捺印がないと無効

自筆証書遺言は、「日付」と「氏名」を自書」し、「捺印」しなければ無効になってしまいます。

注意すべきポイントを紹介しますので、自筆証書遺言を作成した方は、正しく書けているかどうか確認しましょう。

日付が正しく書かれているか

遺言書には、作成日を自筆で記入することが必須で、「令和〇年〇月〇日」など、年月日を特定できる書き方をしなければなりません。

注意点やポイント

令和〇年〇月吉日などでは、日付が特定できませんから、条件を満たしたことになりません。

また、スタンプ印などを使用せず、「自書」しなければならないことにも注意が必要です。

自分の氏名を手書きで書いてあるか

氏名を手書きで書くことは必須で、手書きによる署名がない自筆証書遺言書は、無効です。

注意点やポイント

遺言者自身が、自分の氏名を「自書」しなければなりません。

また、あとで触れますが、遺言書を共同で作成することはできませんから、必ず一人の遺言者名だけを書かなければなりません。

必須の捺印はできるだけ実印を利用

捺印も必須条件で、印を押していない自筆証書遺言は無効です。

注意点やポイント

使用する印は、実印でなければならないとの規定はありませんが、偽造を防ぐためにも極力、実印を利用することをおすすめします。

加筆・修正時の手順が間違っていると無効

自筆証書遺言は、全文や氏名、日付を自書しなければならないため、加筆や修正がつきものと言えるでしょう。

ただし、この加筆や修正の方法については厳格な規定があるため、従っていない場合は、その部分が無効になります。

つまり、加筆や修正が無効になれば、前の内容に戻ってしまい、意図しない遺言書になってしまいます。

加筆や修正がルールに従っているか

手書きの場合、書き間違えや漏れが発生しやすいデメリットがありますが、加筆や修正する場合はルールに従わなければ効力が生じません

自分で書く場合も受取る場合も、十分な確認が必要です。

加筆や修正のルール

加筆や修正をする場合は、一連のやり方が決められていて、どれが不足しても無効になります。

  • ・「修正」
    修正する箇所には二重線を引き、その近くに押印するとともに、横に正しい文字や数字を追記します。
    なお、押印の際は、消した文字や追記した正しい文字などが見えるように印を押すことに、注意が必要です。
    見えない部分があれば、記載がないものとみなされる恐れがあります。
  • ・「加筆」
    加筆する場合は、挿入の記号で場所を示したうえで、文字や数字を追記し、その近くに押印します。
    押印の際は、修正の場合と同様、元の文字や数字、追記した文字や数字が印で隠れてしまわないように注意しなければなりません。
  • ・「共通」
    修正や加筆ができたら、遺言書の行頭や末尾の余白部分に「〇字削除〇字加入」「〇字加入」などと自書し、さらに署名する必要があります。

【加筆修正のルール】

  • ・訂正
    二重線で消去
    二重線の近くに押印(文字や数字が見えるように)
    横に正しい文字や数字を追記
  • ・加筆
    挿入記号で場所を示し、追記
    追記した近くに押印(文字や数字が見えるように)
  • ・行頭や末尾の余白
    「〇字削除〇字加入」「〇字加入」などと自書
    署名

加筆修正による無効を避けるためのヒント

加筆修正が正しくないことによる無効を避けるためには、すべて書き直すことをおすすめします。

また、遺言書本体の文字数を減らすことができ、書き間違えなどを防止できる方法として、財産目録を作成する方法がおすすめです。

財産目録は、パソコン利用や代筆によって作成できるとともに、不動産登記簿や通帳コピーなどの既存の資料でも代用できるため、容易に作成できます。

財産目録によって間違いのない財産の指定ができれば、遺言書の本文では財産目録の番号などだけを指定すれば済み、間違いが減ります。

財産目録以外にパソコンを使用していると無効

自筆証書遺言は、2019年の民法改正により、財産目録を作成する際にパソコン利用や代筆、既存資料の利用が認められました。

ただし、遺言書本体を自書することについては、従来と変わりがありません

財産目録以外のすべてを自書してあるか

自筆証書遺言は、ほかの遺言方法と異なり、遺言者が全文と日付、氏名を自書しなければ効力が発生しません

つまり、パソコンを利用して作成したものや、代筆を依頼して作成したものは、すべて無効です。

また同様に、自筆ではない、CDやDVD、メモリーなどの電子記録媒体に録音や録画した遺言も効力が生まれず、無効です。

注意点やポイント

自身の手書きでないものは全て無効で、氏名のゴム印や日付のスタンプ印を利用することもできません。

なお、遺言書の用紙や筆記用具については規定がありませんが、ある程度の強度がある用紙や消せない筆記用具を用いることがおすすめです。

自筆遺言書の要件を満たしていないと無効

15歳以上の意思能力のある方であれば、作成した遺言書に法的な効力が発生するものの、書き方の要件を満たしていなければ無効になることがあります。

以下では、ここまでに確認してきた要件を整理して、自筆証書遺言の要件を満たさずに無効となってしまう5つのケースとして紹介します。

すでに自筆証書遺言を作成している方は、できあがった遺言書が無効にならないかチェックしましょう。

日付が正しく自書されていないケース

遺言書の作成日を記入し忘れた場合や、日付のスタンプ印を使用した場合など、日付を自書していなければ、無効になってしまいます。

また、年月日が特定できなければならないため、「令和〇年〇月吉日」などのように、日付を特定することができない書き方は無効です。

複数人が共同で自書しているケース

氏名は、遺言者が自書しなければならないため、書き忘れのほか、氏名が成型されたゴム印の使用や家族などの代筆は無効です。

また、遺言書は単独で作成する必要があるため、遺言者本人分だけしか書くことができず、夫婦の氏名を記載した場合などは無効です。

遺言書は、単独で作成する必要があり、「撤回の自由」を保障する観点から、夫婦など複数人が共同で作成しても効力が生じません

なぜなら、共同で作成した場合には、本人の意思だけで遺言を撤回することが、自由にできなくなるからです。

捺印されていないケース

捺印は必須条件で、印を押していない自筆証書遺言は無効です。

なお、印鑑は実印が好ましいのですが、必ずしも実印でなければならないとの規定はありません。

修正や加筆がルールに従っていないケース

自筆証書遺言を修正する際は、修正箇所に二重線を引き、近くに捺印して正しい文字や数字を追記します。

修正した文字が見えなくなるような黒塗りの修正や、捺印によって修正前後の文字が判読できないようなケースは、その部分が無効になる恐れがあります。

また、修正部分の捺印を忘れると、修正は無効となります。

修正が無効になってしまえば、遺言者の意図を反映することができない遺言のまま、相続が進められる結果につながります。

一方、加筆する場合は、挿入記号で場所を示したうえで文字や数字を追記し、近くに捺印しなければなりません。

この際、加筆する文字や数字などを記入し忘れることは考えにくいものの、捺印を忘れた場合は加筆が無効になってしまいます。

また、捺印によって加筆した文字や数字が隠れてしまうような場合は、読み取れない部分が無効になる恐れがあります。

財産目録以外でもパソコンを利用しているケース

2019年の民法改正では、自筆証書遺言で財産を指定するための「財産目録」については、パソコンや遺筆などの利用が認められました。

しかしながら、遺言書本体は、自書しなければ自筆証書遺言と認められず、パソコンや代筆によって作成したものは無効です。

また、遺言者自身の手書き文字で作成しなければならない制約があるため、録画や録音した遺言も無効です。

なお、作成している様子を録画し、遺言書と共に保存するケースでは、録画は、自筆証書遺言を本人が作成したことを証明する補助手段としては有効です。

相続内容や相続人が不明瞭・不適切だと無効

せっかく作成した自筆証書遺言も、形式が要件を満たしているのにもかかわらず、遺言書の内容によっては無効になることがあります。

自筆遺言書の要件を満たしていないケース同様、内容が不明確なものや、相続人の権利や公序良俗に反するような不適切なものは無効になります。

以下では、相続の内容や相続人などが不明瞭な2つのケースと、不適切な3つのケースについて確認しましょう。

相続内容や相続人が不明瞭なケース

遺言は、第三者が読んだときに明確にわかる必要があり、内容が曖昧で解釈できない場合は、その部分が無効になることがあります。

財産や相続人の指定が不明瞭

財産の指定、相続人の指定などに曖昧な部分があれば、その部分は無効で、相続人に混乱やトラブルを引き起こす恐れもあります。

たとえば、不動産を指定する場合には、登記簿に記載されている必要事項を正確に記載しておかないと、明確にならないケースもあります。

土地が分筆や合筆されているケースや、建物を増築後に登記していない場合などは、不動産を特定することができません。

財産の指定は、不動産なら不動産登記簿、預貯金なら通帳のコピーなどを資料として利用する方法が確実でしょう。

また、たとえば、相続人の名前に、読みが同じで異なる漢字を使用しているような場合は、正確に特定できないことになってしまいます。

相続人の指定は、続柄や氏名、生年月日、住所を組み合わせて正確に特定できるよう記載することが重要です。

財産が実在しない

すでに生前贈与や売却した財産などがあっても、勘違いや覚え違いなどで、遺言書に記載してしまうケースがあります。

遺言書に記載したものの、相続財産と一致するものが実在しない場合は、その記載が無効になるだけでなく、混乱の原因です。

財産を指定する際は、新たに認められたパソコンや代筆による財産目録や、既存資料を利用することが、有効な解決策と期待されます。

相続内容や受取人が不適切なケース

相続人には最低限の財産を受け取ることができる権利があるほか、受取人が公序良俗に反するなど、内容が不適切な場合は無効になります。

遺留分を侵害している

相続人には、被相続人が死亡したあとの生活保障を図るため、最低限の取り分が保障される遺留分と呼ばれる権利があります。

相続人の遺留分を侵害する遺言は、相続人からの請求によって覆され、該当部分が無効になります。

遺留分は、兄弟姉妹には認められず、配偶者と子、直系尊属に対し、法定相続により受け取る財産額の2分の1が認められます。

ただし、直系尊属だけが相続人の場合は、遺留分の割合は3分の1に減少します。

公序良俗に反する

代表的な例として、愛人への贈与が知られていますが、不倫な関係の維持継続のためなど、公序良俗に反する遺言は無効になります。

本人の正常な意思で書かれたか疑わしい

遺言書としては要件を満たして有効なものでも、相続人からの「遺言無効確認の訴え」によって無効になるケースもあります。

たとえば、正常な判断能力がない方に対し、特定の人物が有利になるよう、誘導して遺言書を書かせるような悪質なケースもありました。

なお、このような疑いを晴らすために、遺言書を作成する様子をビデオで撮影しておく方法なども利用されています。

まとめ

自筆証書遺言は、自分一人で完結できる反面、遺言書としての要件を満たしていないミスが発生しやすいデメリットがあります。

作成する前に、法的な効力が発生するための書き方を把握しておくことは、もちろん重要なことですが、作成後の確認も大切です。

有効な要件を満たしているかどうかをチェックしたら、時間を置いて、無効になるケースに該当しないかどうかを改めてチェックすると安心です。

なお、それでも不安や心配が残る場合は、相続を専門に扱う弁護士など、専門家に相談することをおすすめします。

また、法的に有効な遺言書が作成できても、相続時に適切に利用されなければ意味がありません。

封印して改ざんを防ぐ方法などのほか、2020年7月からは法務局での保管も可能になっていますから、一考の余地があるでしょう。

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