遺産相続専門の弁護士を選ぶポイントと、費用について

遺産相続専門の弁護士を選ぶポイントと、費用について

この記事をシェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

相続が発生した際に、まずは専門家に依頼すべきか自分で処理すべきか悩むことが多くあります。
金額が大きい場合の相続や、身内の間で意見が一致していないような場合には、後から後悔しないように専門家に依頼することも考えたほうが良いかもしれません。

相続専門の弁護士に依頼する際には、どのような基準で選べばよいのでしょうか。
多くの人の場合、そう何度も相続は発生するものではありません。
また、結果として依頼した弁護士によって依頼者が得る経済的利益の金額に違いが出ることがあるのも相続の特徴です。
間違いのない弁護士を選ぶにはどのような視点で検討すればよいのでしょうか。

弁護士にも得意な分野があります。
一般の人は、弁護士であればだれでも法律に詳しく、どのようなジャンルの法律についても熟知していると考えがちです。
たしかに、一般的な法律問題を解決するために必要な最低限度の知識については、どの弁護士も持ち合わせているといえます。

しかし、相続についてはそもそも特殊な分野です。
また、発生する件数もそこまで多いわけではありません。
近年相続税の基礎控除が見直されて、相続税の課税対象となる人が大幅に増えました。
それでも、国税庁の発表するデータによれば、平成28年中に亡くなった131万人のうち、相続税が発生した人の数は10万6千人であり全体の約8%です。
その中には、比較的小規模の簡単な内容の相続も多く含まれています。

このように考えると、金額が大きい案件で、わざわざ弁護士に依頼する相続の件数はいったい何件あるのでしょうか。
この様な少ない件数を、相続を専門としていない弁護士も含め弁護士業界全体で契約していることになります。
相続の案件については、経験が非常に重要です。
必然的に、本当に相続専門を謳い多く数をこなしている弁護士のもとに多くのノウハウが集積されています。

一口に相続と言っても、実は多くの内容を含んでいます。
ここでは、相続発生前と相続発生後に分けて考えます。

相続発生前

遺言作成・・・弁護士の相続相談での対応 ○

遺言書の作成は弁護士において対応が可能です。
しっかりとした形式を整えた遺言書の作成を幅広く手伝ってくれます。

相続税対策・・・弁護士の相続相談での対応 △

相続においては、手続き面と金額面を考える必要があります。
複雑難解な手続きを代行してもらえることはそれだけで安心感があります。
相続には、納税という問題が付きまといます。
財産が大きくなれば大きくなるほど、また、土地や建物など金額的な価値が大きくあるのにもかかわらず、すぐには換金することができない財産が含まれる場合には特に注意が必要です。
例えば、亡くなった夫が残した一軒家などは、そこに残された人が住むことが前提となりますので、これを処分して納税をするなどということはできません。

相続税は、被相続人が亡くなった時の財産の金額に対して課税されます。
だれでも納税する額は小さいほうが良いと思うものです。
そこには評価の問題があります。
例えば、現金は原則的に誰が数えても同じ金額になりますが、家屋についてはどのように使用されているかに応じて金額が大きく異なります。

税額の決定において特に重要なのは、亡くなった時の財産の構成です。
この財産の種類に応じて、金額が評価され課税され、納税額が確定します。
来るべき相続の時に備えて、対策を立て、計画的に相続を迎えることは非常に重要です。
この辺りは、得意な弁護士もいますが、税金の問題ですので税理士のほうがより得意としていることが多いようです。

相続発生後

相続発生後においては、さまざまな手続きがあります。大きく分けて次の6つの項目に分類されます。

相続登記・・・弁護士の相続相談での対応 ×(→司法書士が専門)

相続財産の内容が登記を必要とするものである場合には、定められた期限内に登記を行う必要があります。
適切に登記を行わないと、相続人に不利益が及ぶ可能性がありますので、適切に迅速に手続きを行いたいものです。
登記の専門家は、司法書士になります。
相続の内容がまとまっていれば、具体的な登記手続きがメインになりますのでそうむずかしいことではありません。

金融資産の名義変更・・・弁護士の相続相談での対応 △

相続により名義が変更となった金融資産については、名義変更の手続きが必要となります。
例えば、銀行口座の預金者の変更や、有価証券の所有者の変更がこれに当たります。
大切な財産の名義を変更する手続きですので、重要であること変わりはないのですが、内容はそれほど難しいわけではありません。
特に弁護士の独占業務とされているわけでもありませんが、依頼する弁護士に一括してお願いする方が手間が省けます。

相続税の申告・・・弁護士の相続相談での対応 ×(→税理士が専門)

相続税の申告ついては、別途税理士への依頼が必要になります。
税務申告の代理は税理士の独占業務とされているため、弁護士において手続きを行うことはできません。
しかも、相続税に関する申告については、複雑な規定が多く、既定の適用忘れや見逃しなどによって、もっとも有利な形で税務申告がなされていないなどという理由で税務訴訟が起こりやすい分野です。
税理士にも相続に強い人とそうでない人がいますので、適切な外部専門家に依頼するとよいでしょう。

相続争い・・・弁護士の相続相談での対応 ○

相続争いには、実際に争いが発生して依頼者の利益を守る業務の他、争いが発生するのを予防する内容も含まれます。
法律知識と経験を駆使して問題の解決を図ります。
依頼する弁護士によって結果も異なることが多く、この内容が弁護士の相続に関する中心業務といっても良いかもしれません。

遺留分減殺請求・・・弁護士の相続相談での対応 ○

遺留分減殺請求は自分の遺留分が侵害された場合に、それを取り戻す手続きです。
しかるべき方法によって請求すれば侵害された遺留分を自分のもとに取り戻すことができます。
手続きにおいて正確性と確実性を期すために依頼することも理由の一つですが、たとえば、すべて愛人に相続させる等といった、遺留分が侵害される内容の遺言書が発見された場合には、複雑な人間関係がある場合がります。
多くの場合は、身内同士当で今後も付き合いが継続することが前提となります。
この様なときに、本人同士がお金のことで利害の対立する事柄について話し合うことは避けたほうが良い場合もあります。
この様なときには、外部専門家の存在はありがたいものです。

相続放棄・・・弁護士の相続相談での対応 ○

相続放棄についても、複数の手法があります。
一歩間違えると、完全に放棄をしたつもりになっていても、限定的な部分での放棄しかできていない場合もあります。
専門家に相談をした方が確実です。

遺産相続に強い弁護士の選び方

上記のように、弁護士に依頼する業務の内容を理解した後は、実際にそのような弁護士を探すことになります。
具体的どのような内容で探せばよいのでしょうか。

インターネットを利用する方法

今の時代は、どの弁護士事務所もホームページを保有しています。
まずは、気軽にインターネット上で弁護士事務所をさがしてみるのも良いかもしれません。
弁護士に面談や電話連絡をするのは少し抵抗がありますが、インターネットで検索するだけであれば気兼ねなく行うことができます。
複数の弁護士事務所を見比べて、よさそうな事務所を探してみるとよいでしょう。
相談する際の利便性で検討するのも一つの手かも知れません。
自分の最寄り駅と弁護士のキーワードを入力して検索すれば簡単に複数の事務所を見つけることができます。

弁護士事務所をホームページ上で比較する際には、次のところに注目して下さい。

相続相談に関する項目があるか

相続の案件は非常に特殊です。
金額も大きくなる場合が多く、この分野の仕事に取り組みたいものの、経験がなく手をこまねいている事務所も多くあるのも現実です。
もしも、相続の取り扱いに自信があるような場合には、ホームページ上に相続に関する内容を掲載するなどのアピールがあるはずです。
相続に関する記載がない場合には、積極的に募集するほどのノウハウがないものとして見て問題ありません。

相続に関する案件の実績が記載されているか

相続については、他の案件と同様に、取り組んだ案件数がモノを言います。
数々の相続の場面に立ち会えばトラブルも多く経験し、それを回避するノウハウも蓄積されています。
もともと、業界全体で取り扱いの件数の少ない分野の案件ですので、具体的な案件数を掲載している場合には、得意な弁護士とみていいでしょう。

弁護士費用の規定があるか

相続の案件については、非常に個別の問題が多くケースバイケースといえます。それでも、目安をキチンと示している弁護士事務所の方が安心できます。

インターネット上には、弁護士紹介サービスというものも存在します。
例えば、「法テラス」「弁護士ドットコム」といった紹介サイトです。
法テラスは法務省の管轄になり、公的な機関ですので、安心して依頼することができます。
弁護士ドットコムについても、上場企業が運営するものになるので、利用してみるとよいかもしれません。
いずれにせよ、沢山の弁護士に関する情報の中から自分に合った弁護士を検索する必要があります。
相続に関するキーワードを用いて慎重に検索する必要があります。

知り合いの弁護士や税理士に紹介してもらう方法

知り合いに弁護士がいるような場合には、紹介してもらう方法も良いかもしれません。
相続の依頼については、依頼者側の立場からすると内容が複雑なため、相場が適切なのか、提案を受けた内容がベストなものなのか正直なところ判断がつきません。
結局、依頼した弁護士を信じるしかない部分もあります。
この様なときに、もともとの知り合いを通じて紹介された弁護士であれば安心できます。

相続が発生した場合、また相続税対策を行う場合は税理士に相談することになります。
税理士はいろいろな手法を用いて依頼人の相続税の圧縮を試みます。
中には複雑なスキームもあり、法的に問題がないかどうかのチェックを弁護士に依頼する場合もあります。
相続に対して前提知識のない一般の人が相談する内容に比較して複雑高度な内容になることは容易に想像がつきます。
この様な専門家が、日頃より信頼して相談している弁護士であれば相続に強い弁護士と言っても全く問題ないでしょう。

弁護士費用の相場

弁護士費用の相場は、旧来規定されていた報酬規定の6割から7割程度と言われています。
依頼者が得る経済的利益の額に応じて変動します。

報酬規定(旧弁護士規定)
経済的利益 着手金 報酬金
300万以下の部分 8% 16%
300万超3,000万円以下の部分 5%+9万円 10%+18万円
3,000万超3億円以下の部分 3%+69万円 6%+138万円
3億円超の部分 2%+369万円 4%+738万円

また、弁護士費用については、どこまでの内容を依頼するのかによっても異なります。
上記で紹介した弁護士業務の範囲外の内容をお願いする場合には一括して依頼できるメリットがあります。
ただし、結局は提携する外部専門家に外注されることを考えると、例えば相続登記や遺言書作成など他の専門家においても対応できる場合に、内容によっては自分で個別に依頼先を探した方が結果として費用が安く済む可能性もあります。

この記事をシェアする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加