遺言書を作成しよう!|種類・書き方・効力・手続き|遺言書パーフェクトガイド

“遺言書がなかったために・・・・”

仲が良かった兄弟姉妹が相続を巡って喧嘩してしまった

親としては、自分の財産を残すのはみんな、子供たちや孫が幸せになってもらうためです。
誰一人、相続が原因で争いや喧嘩をすることを望む人はいないでしょう。
しかし、残念ながら相続を巡って相続争い、いわゆる「争続」は非常にたくさん発生しています。
兄弟同士、親族同士だけに、感情がもつれると激しい衝突になることがよくあります。
だからこそ、きっちりした遺言書を作る必要があります。

 

間違った遺言書を作ってしまうと、
無効になったり、大きな相続税になったりします

  • ・決まった形式での作成や、承認を受ける手続きを間違うと無効になります。
  • ・相続税を視野に入れた遺産分割案を考えないと大きな相続税を支払うことになります。
  • ・遺留分(※)を考慮して遺言書を作成しないと、親族で裁判になることがあります。

※遺留分とは、法律で定めれらた相続人が、遺言の内容に関係なく最低限相続できる権利のことです。

遺言書パーフェクトガイドでは、遺言・遺言書についての種類・効力・書き方・検認までを徹底解説していきます。

これから遺言・遺言書を作成される方は「間違った遺言書」を作成しないように。事前にこちらをお読みいただければと思います。

また下記に自筆証書遺言のサンプル、公正証書遺言のサンプルをダウンロードできるようにしていますので、ご活用ください。

遺言書の見本・雛形ダウンロード

・自筆証書遺言

・公正証書遺言

・自筆証書遺言ポイント

遺言書を作成する人は増えている

遺言書の作成状況

遺言書の作成状況

遺言書の作成状況

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昔にドラマで見た、複雑な家族関係の富裕層の相続争いに出てくる「遺言」のイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。一般の家庭に遺言は必要ないと思っている方もいらっしゃるかと思います。
しかし、少子高齢化、離婚増加といった現在の社会環境においては、相続による遺産分割で揉める家族も多く、「相続」が「争族」となり仲違いしたりするケースが多くなってきており、相続で揉めないために「遺言書」を作成する方がここ近年増えています。

遺言とは

遺言とは「被相続人の最後の意思表示」と定義されています。

死んだ後の財産処分等について自分の意思を反映していきます。民法で定められた形式により書き残さなければ法的効果が生じませんので細心の注意を払わなければなりません。
実際の相続の現場では、遺産分割について相続人間で争いが起こることもめずらしくありません。
相続が起きて、家族の争いが起こらないように遺言により、自分の財産を誰に帰属させるかを決めておくことで、自分の家族の相続によるトラブルを未然に防ぐことができます。
最近では遺言書に自分の想いを書き残す方もいらっしゃいます。今までお世話になった家族に遺言の最後に感謝の気持ちを記すこともできます。(付言事項という)
今までお世話になった家族の生活を守るため、自分が死んだ後の遺族の心身の負担を減らすために、法的に有効な事前対策ツールが「遺言」です。

遺言が無い場合にはどうなる?

もし遺言が残されていなかった場合には、民法という法律のルールに従って遺産が分割されることになります。

民法のルールも一応は平等な分割となるように配慮がされていますが、例えば「配偶者は2分の1、子はそれぞれ4分の1…」というように、ごく大まかな規定があるにすぎません。
そのため、遺言がない場合には遺族同士が集まって具体的な分割の方法を細かく話し合いで決める必要が生じます。
利害関係を持つ当事者どうしが財産をめぐって話し合いを行うわけですから、どうしてもトラブルになる可能性が高くなるのが現実です。
仲の良い親族が相続協議をきっかけにいがみ合うようになる…というのは、決してドラマの中だけの話ではないのです。
遺言を残しておくことは、残された遺族が相続をめぐる話し合いを解決する際の指針となりますから、財産を所有している人は何らかの形で遺産分割の具体的な方法について遺言を残しておくことが望ましいといえるでしょう。

遺言を作成しておいたほうが良い事例

自分が死んだ後の相続、遺産の分割をしっかり考えたことがあるでしょうか?
相続争いは富裕層だけでなく、一般の家庭でも起き得る問題です。遺言を作成しておいたほうがよい事例を紹介します。

  • ・同居している長男に自宅を相続させたい場合
  • ・子どもがいない夫婦で妻に全ての遺産を遺したい場合
  • ・愛人、内縁の妻など法定相続人以外の人に相続させたい場合
  • ・成年者の子がいる場合
  • ・会社を経営していて事業を承継する長男に株式を全て相続したい場合
  • ・介護が必要な家族がいる場合
  • ・おひとりさまでお世話になった人に財産を遺贈させたい場合

遺言の内容を決める際に注意するポイント

遺言書は遺産の分配について具体的に記載していくことがメインとなってきます。家族の今の生活を守れる内容を考え、家族が後で揉めずに納得できる分配になるようにとしなければなりません。
その際に注意するポイントを見ていきましょう。

1 相続人による不動産の共有はなるべく避ける

相続財産に土地等の不動産が含まれる場合には相続で揉める可能性があります。不動産を共有にするデメリットとしては、第一に不動産の活用や処分がやりづらくなることです。共有となっている不動産は、変更を加えたり、売却したりするときには共有者全員の同意が必要です。
賃貸物件として貸し出すようなときにも共有者全体の過半数の同意が必要となりますから、共有持ち分が平等となっているようなときには、結局は全員一致でないと何もできないという事態にもなりかねません。

また、共有者の1人に相続が発生したときには、その共有持ち分がさらに細かく分けられる形で相続されることになります。

こうなると1つの不動産の上に何人もの共有者がいることになり、法律関係が世代を重ねるごとに複雑になっていってしまいます。

共有による分割はなるべく避けるのが賢明といえるでしょう。

これを避けるためには、不動産を相続させる代わりに、他の相続人に対しては現預金の分配を多くしたり、自宅以外の不動産の場合には売却して現金化した上で分配することも検討したほうがよいでしょう。

2 遺留分に配慮する

遺留分とは、ごく簡単にいうと「最低限これだけの割合は遺産を分けてもらえる」という権利のことです。

これは、亡くなった人が残した遺言書でも侵すことができない非常に強い権利なので、亡くなった人とごく近い関係にあった人にだけ認められる権利です。

認められる遺留分の割合は、次のようになります。

認められる遺留分の割合は、次のようになります。

  • 配偶者だけが相続人となる場合 :遺産全体の2分の1
  • 子供だけが相続人となる場合  :遺産全体の2分の1
  • 父母だけが相続人となる場合  :遺産全体の3分の1
  • 配偶者と子供が相続人となる場合:遺産全体の2分の1
  • 配偶者と父母が相続人となる場合:遺産全体の2分の1
  • 子供と父母が相続人となる場合 :遺産全体の2分の1

父母(直系尊属)だけが相続人となる場合だけ、認められる遺留分は3分の1となります。

具体的には、遺留分は亡くなった人の配偶者と子供(直系卑属)、父母(直系尊属)にだけ認められ、遺留分を侵害された場合には遺留分減殺請求という形で裁判所を通した請求ができます。
こうなれば相続人同士が仲違いになることは避けられないでしょう。
特定の人に遺産が多めに相続されないよう、特に遺留分については十分に配慮することが大切です。

遺言書の種類


相続をめぐる争いを避けるために最も有効な方法の1つとして「遺言書」があります。被相続人(亡くなった人)が遺言書を作ろうと思った場合、まずどのような方式があるのかを知っておかなくてはなりません。
遺言はどのような形で残してもOKということではなく、必ず法律上指定された方法で残さなくてはなりません。
まず、遺言は大きく「普通方式」と「特別方式」の2つに分けることができます。名前のとおり、前もって遺言を残しておく場合には「普通方式」の遺言を行います。「特別方式」の遺言は、普通方式の遺言ができない、不可能な場合に用いられる遺言方式になってきます。

遺言の3つの種類

遺言を残す方法として、具体的には次の3つの方法が認められています。

自筆証書遺言
公正証書遺言
秘密証書遺言

逆に言うと、これら3つの方法以外のかたちで遺言を残したとしても、それは有効な遺言とは認められませんので注意しなくてはなりません。
以下、それぞれの形式の遺言について、作成時の注意点を解説させていただきます。

自筆証書遺言


一般的なものといえる自筆証書遺言について見てみましょう。自筆証書遺言は、遺言を残す人が自筆で遺言を作成するもので、現状認められている遺言の方式としてはもっとも簡便なものとなります。

自筆証書遺言の例

 

遺  言  書

 
遺言者相続太郎は、次のとおり遺言する。

1.妻相続花子に次の財産を相続させる。
        銀座
  所在 中央区京橋一丁目
  地番 A番B
  地目 宅地
  地積 100.00平方メートル
  所在 中央区銀座一丁目 A番地B

     銀座
所在 中央区一丁目 A番地B
  家屋番号 A番Bの1
  種類 居宅
  構造 鉄筋コンクリート造陸屋根2階建
  床面積 1階 90.00平方メートル
      2階 80.00平方メートル
 
2.前項に記載のない財産については、全て長男相続一郎に相続させる。

平成〇年〇月〇日

東京都渋谷区代々木一丁目〇番〇号

相続 太郎  
付記 本遺言書四行目「京橋」を「銀座」に訂正し、九行目第五字のあとに「銀座」の二文字を加入した。 相続太郎

 

自筆証書遺言は、自宅で自分の準備した筆記具などで書くことができるので遺言者としてはとても手軽な方法と思えるのですが、最大の欠点は「自宅などで保存されるので改ざんのおそれがある」「見つけた人が破り捨ててしまえばなかったことになってしまう」「真に本人が書いたものかどうかで死後、争いになることが非常に多い」「法的に有効になるための条件がいくつもあるので、遺言書が見つかっても結局無効になることが多い」などです。つまり、中途半端な知識と状況で書いた自筆証書遺言は逆に相続人の争いを誘発することにすらなってしまうわけです。ごく簡単にいうと、「手書きで書いて、印鑑を押す」というのが自筆証書遺言ですが最低限、知っておかなければならない自筆証書遺言のルールを確認してみましょう。

パソコンではなく手書きで書く

自筆証書遺言は必ず手書きでなくてはなりません。自分以外の人に書いてもらって本人がサインする、というような形もとることができません。

パソコン入力で作成して印刷したり、音声テープや動画で残したりする方法は不可です。また、本人が手を怪我していて文章を書くことができないというような場合には、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言や秘密証書遺言の方法によって遺言書を作成することになります。

(注)平成30年6月現在、パソコンを使って自筆証書遺言を作成する方法を可能にする法改正が検討されています。
法改正が成立した後にはルールが変わる可能性がありますので注意してください。

遺言を書いた日付が明確にわかるようにする

遺言を作成した日付が明確にわかるような記載にしておかなくてはなりません。

例えば「平成30年6月吉日」という書き方は不可で、必ず「平成30年6月17日」といったように、日付を特定できる形で作成日を記さないといけません。

日付がおせる印鑑などを使うのもNGとなります。
ゴム印等を使って日付を印字するようなやり方だと無効となってしまいますから注意しておきましょう。本文と同様自筆で日付を記入してください。

財産を明確に指定する

自筆証書遺言で遺産分割の方法を指定する財産は、正確に特定できるようにしなくてはなりません。

注意が必要なのが銀行預金や土地や建物などの不動産です。
これらは解約や名義変更を行う際に遺言の内容に基づいて行うことが多いので、正確な情報が記されていないと手続きに支障が生じる可能性があります。
具体的には、銀行預金については金融機関名と支店名、口座種類や口座番号を正確に記載しましょう。
不動産については登記されている内容を登記簿謄本を取得して確認し、その内容と同じ形で遺言に記す必要があります。

訂正や加筆の仕方

いったん作成した自筆証書遺言を、後から加筆したり訂正したりするときにも、厳密にルールが決められています。

具体的には元の文章内容がわかる形で二重線を引いて消し、新しい内容を書いたうえで、遺言で使っているものと同じ印鑑で訂正印を押します。

さらに、「本行二十字加入 十五字削除」といったように小書きをして遺言をする本人が自筆で署名をする必要があります。
このように、訂正や加筆の手続きは非常に煩雑ですので、内容を変更する場合にはいったん破棄したうえで最初から作成し直すのが良いでしょう。

署名押印に関する要件

自筆証書遺言には本人の署名と印鑑がないと無効になってしまいます。

この点は一般的な契約書と扱いが異なりますから注意しておきましょう(一般的な契約書は印鑑がなくても成立します:そもそも契約書も証拠書類としての意味がなく、口頭の約束であっても有効に契約は成立します)
印鑑の種類については特に指定はありません。
印鑑登録をしてある実印である必要はなく、シャチハタ以外の印鑑であれば三文判でも問題はないですが、なるべく実印を使うのが良いでしょう。
自筆証書遺言を封入する封筒にも同じ印鑑を使って封印を推しておくと良いです。
戸籍上の名前とは異なる名称を記載しても問題はありませんが、戸籍通りの名前を書いておくのが手続き上スムーズです。

遺言者1名につき1枚の遺言のみ認められる

法律上、遺言は2人以上の人が共同で残すことができません。

例えば、夫婦が共同で子供達のために遺言を残すというようなこともできませんので注意が必要です。

夫婦の場合、現金などの財産が夫と妻のどちらのものなのかが明確でないケースが少なくないために財産の混同が起きやすいです。
夫婦それぞれが自分の意思を遺言書にこめたいというような場合には内容について事前によく話し合いを行い、最終的にどちらか1名の名前で遺言書を残すようにするのが良いでしょう。

遺言執行者はできれば指定しておこう

遺言にはあなたの死後に遺言の内容を実現する役割を持った「遺言執行者」を決めておくことができます。(必須ではありません)

遺言執行者がいる場合、相続人は勝手に遺産に手をつけることができず、相続人の確定や遺産分割協議はすべて遺言執行者が行うことになります。
遺言執行者は親族である必要はなく、資格を持った弁護士などを指定しておくと遺族間でのトラブルも避けることができる可能性も高くなります。

自筆証書遺言が無効となってしまうケース

上で解説させていただいた要件を満たしていないと、自筆証書遺言は無効となってしまいます。
以下では具体的にどのような場合に自筆証書遺言が無効となってしまうのかについて確認しておきましょう。

相続財産の内容が特定されていないケース

遺言書は簡単にいうと「私のこの財産を、この人に相続させます」という内容を書いた書類のことですから、遺言書に書いた財産が実際にどの財産を指すのかが明確にわからなくてはなりません。
例えば、「私の土地は妻に相続させる」という書き方をしたとしても、その土地がどこにあるのか?ということが読み手は把握することができません。

不動産登記簿謄本などを参考に物件の正確な所在地を記入しておきましょう。
できればあなたが所有している財産の一覧表(財産目録)を作成して、それぞれの所在地、現預金であれば口座番号や支店名をすべて記入しておくのが望ましいです。

なお、財産目録についてもパソコンなどで作ってしまうと無効になってしまいますから、必ず自分の手で記入するようにしてください。

本人が認知症等の場合

問題になりやすいのが、遺言を残した本人に認知症などの症状が見られる場合です。
遺言を残すためには、遺言書を作成する時点で正常な認識能力がなければなりませんから注意が必要です。
医師から認知症と診断されているような場合には、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言を利用すると有効性について問題となりにくくなります。
(ただし、公正証書遺言であれば常に有効というわけではありません)
過去の裁判例ではうなずくことしかできないような状態の人が残した遺言や、複数残されていた遺言書で相互に矛盾があるような遺言の場合には無効となった事例があります。

自筆証書遺言の保管方法

自筆証書遺言は、遺言を行う人が自分で保管するか、弁護士や行政書士などの専門家に保管してもらう、あるいは銀行の貸金庫などに保管する方法があります。
また、平成30年の法改正においては自筆証書遺言を法務局で預かってもらえる制度が新しく検討されていることも知っておきましょう。
自分で保存する場合には、封筒に入れて保存し、保存場所は遺族が容易に見当をつけられる場所にしておかなくてはなりません。

公正証書遺言

もし、数ある遺言の種類であえておすすめするのであれば公正証書遺言です。
公正証書遺言は、公証人という役割の人の支援を受けながら遺言を作成する方法です。日本公証人連合会によると、平成29年度において公正証書遺言の形で遺言を残した件数は11万191件で、過去10年間で最大の件数となっています。

公正証書遺言の例







公正証書遺言は手数料こそかかりますが、公証役場で公証人の面前で面談の形式を取るため本人確認もしっかり行いますし、真に本人が望んだ遺言内容であるかということも確認してくれます。

つまり、これは本当に本人が書いたものなのか、本人がこの内容を望んでいたのかという前提に関する争いをしなくて済むわけです(それでも公正証書遺言の有効性を争う事例もあります)。ただ、公証人は遺言の中身が相続人全体に対して公平なのかといったことについて保証しているわけではありませんので、遺言内容の適切さということは次の問題になってきます。しかし、遺言書自体が本物であるという保証が得られることは相続手続き全体がスムーズに進むためには非常に重大な事柄ですから、特に争いの危険がある家庭では公正証書遺言作成は必須事項といえるでしょう。

公正証書遺言を作成する手続き

公正証書遺言は、おおまかな遺言内容を決めておいて、公証役場で公証人と相談しながら作成していくことになります(事前に電話でアポイントをとります)
遺言で実現したい内容さえ決めておけば、必要書類などは公証人が教えてくれます。
また、以下のような書類は公正証書遺言を作成するために必ず必要になりますから、事前に役所で取得しておきましょう。

  • •遺言者の印鑑証明
  • •遺言者の戸籍謄本
  • •相続人として指定する人の住民票
  • •遺産に不動産がある場合には、登記簿謄本と固定資産税の明細
  • •証人2名の職業や名前、住所や生年月日がわかるもの

遺言の原案が固まった段階で、証人となってもらう人2名を決め、あらためて公証役場に出向きます。
その場で遺言内容を確認し、遺言者と公証人、証人2名が署名押印して遺言が完成します。
完成した公正証書遺言の正本を渡してくれますので、手数料を渡して手続きは完了ということになります。

公正証書遺言を作成するときの注意点

公正証書遺言を作成する際には、以下のような点にも注意しておきましょう。

遺言執行者を指定する

遺言の内容をより確実に実現するためには、遺言の中で遺言執行者を指定しておくことが望ましいです。
遺言執行者は、その名の通り相続が発生した後に遺言の内容を執行するべく事務を行ってくれる人です。
遺産として残された銀行口座の管理を行ったり、不動産の名義変更などの事務を行ってもらったりする人ですので、法律的な実務知識がある人を指名するのが良いでしょう。
遺言執行者に必要な資格などはありませんが、司法書士や弁護士といった法律の専門家に依頼するケースが多いです。

証人になってもらう人の選び方

公正証書遺言を作成するためには、2名の証人が必要になります。
その際、証人となる人に次のような資格を満たしているかを確認しておいてください。

  • •未成年者は不可
  • •遺言に利害関係のある人や、その親族や配偶者は不可
  • •遺言書の内容を確認できない人は不可
  • •公証人の関係者や役場の職員は不可

こちらについても、法律家に遺言執行を依頼した場合には証人2名を準備してくれることが多いです。

公正証書遺言を作成するための費用

公正証書遺言を作成するためには、公証人に対して手数料を支払う必要があります。
この手数料の金額は、遺言の対象となる財産の金額によって決まります。
具体的な手数料の金額は以下の通りです。

100万円まで 手数料は5000円
200万円まで 手数料は7000円
500万円まで 手数料は1万1000円
1000万円まで 手数料は1万7000円
3000万円まで 手数料は2万3000円
5000万円まで 手数料は2万9000円
1億円まで 手数料は4万3000円
1億円を超える場合には、5000万円増えるごとに手数料が1万3000円ずつ(3億円を超える場合は1万1000円ずつ、10億円を超える場合は8000円ずつ)増えます。

公証人は法律知識を持った専門家ですので、遺言の方式や作成内容について心配がある方は自筆証書遺言よりも、公正証書遺言を選択するのが良いでしょう。

公正証書遺言を作成するときに準備するもの

公正証書遺言を作成するときには、公証役場に行く前にある程度遺言の内容を決めておく必要があります。

遺言の内容を決めるためには、何よりも遺言として残す遺産の内容を正確に把握することから始めます。

不動産などの遺産がある場合には法務局に行って登記簿謄本を取得するとともに、戸籍謄本や印鑑証明、住民票なども必要になります。
役所でこれらを発行してもらうためには発行手数料が必要になりますから、それらの費用についても考慮しておきましょう。
なお、印鑑証明や住民票の発行手数料は1通につき300円程度、登記簿謄本の発行手数料は1つにつき600円程度です。

公正証書遺言を作成するときの流れ

公正証書遺言を作成するときの流れは、①公証役場に行く前の準備と、②公証役場内で行う手続きの2つに分かれます。

①公証役場に行く前の準備

まず、どのような遺言を残したいかの内容について、遺言者自身の考えを整理しておきましょう。
具体的には、だれを相続人として指定するのかと、それぞれの相続人にどれだけの割合の遺産を相続させるのかを決めておきます。
また、以下のような書類は公正証書遺言を作成するために必ず必要になりますから、事前に役所で取得しておきましょう。

  • •遺言者の印鑑証明
  • •遺言者の戸籍謄本
  • •相続人として指定する人の住民票
  • •遺産に不動産がある場合には、登記簿謄本と固定資産税の明細
  • •証人2名の職業や名前、住所や生年月日がわかるもの
②公証役場内での手続き

以上のものが準備できたら、いよいよ公証役場に連絡をして公証人とアポイントをとりましょう。
指定した日程に必要書類を持っていき、公証人にあなたが残したい遺言の内容を説明します。
公証人は遺言の内容についてさまざまなアドバイスをしてくれますので、希望をあまさず伝えることが大切です。
決定した遺言の内容については公証人が法律上必要な書式をそろえてくれます。

遺言の内容が固まったら、後日に証人2名を連れて公証役場にいき、承認の立ち合いのもとで正式に公正証書遺言が作成されます。

作成した公正証書遺言は原本を公証役場で保管してもらえますので、紛失の恐れはありません。
また、正本と謄本を渡してくれますので、自宅などで大切に保管しましょう。

秘密証書遺言


秘密証書遺言という方式は、自筆証書遺言と公正証書遺言をミックスしたような方法です。

秘密証書遺言では、公証人と証人2名に「遺言の存在」だけを確認、証明してもらいますが、遺言の内容については本人以外の人に知らせる必要がありません。

遺言の内容は誰にも知られたくないけれど、死後に遺言が発見されない…という事態は絶対に避けたいという方は秘密証書遺言を選択するメリットがあります。ただ、この場合は2人以上の証人の立会が必要になりますし、手数料も必要になるため、そこまでやるのであれば公正証書遺言にするという人も多く、実務的にはあまり利用されていないのが実情です。
また、秘密証書遺言はパソコン作成や代筆もOKという特徴があります(署名は自筆で行う必要があります)
一方で、遺言の作成形式については自筆証書遺言と同様に自分でチェックする必要がありますから、もし不備があると無効となってしまう可能性があるのには注意を要します。
秘密証書遺言は作成の手続きや手間は公正証書遺言と同じなので、あえて秘密証書遺言を選択する方は少数派といえます(年間100件程度しか利用されていません)
遺言書は作り方を間違えると相続人の憶測を呼んで無用な争いを招き、むしろ最初から存在しない方が良かったということすらあるのです。自分で作ると何か問題が起こるのではないかと不安になる人は文案も含めて専門家に任せた方が安心できます。

※特別方式遺言とは?

遺言書の作成方式には大きく分けて「普通方式」と「特別方式」の2種類があります。普通方式は日常の生活を送る中で書かれる遺言書を、特別方式は日常とは異なる状況のもとで書かれる遺言書を想定した方式です。普通方式の中には、「公正証書遺言」「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」があり、中でも多く使われる方式が公正証書遺言と自筆証書遺言となっています。特別方式の中には、臨終の状態にあることを想定した「一般危急時(臨終)遺言」と「難船危急時(臨終)遺言」、そして隔絶された場所にいることを想定した「一般隔絶地遺言」「船舶隔絶地遺言」がありますが、特別方式はいずれも利用されることがきわめて稀であるといえます。

「特別方式の遺言書」が認められる場合

一方で、これらの方式によって遺言を作成している時間的な余裕がない緊急事態では、「特別方式の遺言書」の作成が認められます。
具体的には病気やけがで危篤状態にある人や、船が遭難したなどの状態にあるときに、一定の人数の証人の立ち合いを求めることで遺言を有効に残すことができます。
なお、このような緊急事態から脱してから6か月以上その遺言者が生存している場合には、特別方式の遺言書は無効となります。

※普通方式遺言、3種類の遺言書のポイント

種類 自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
作成方法

全文自筆で記載、氏名・日付を自書し、押印が必須。訂正は二重線で消し、正しい記述をする。

本人及び証人2名で公証役場へ行き、本人が遺言内容を口述し、それを公証人が記述をする。

本人が証書に著名・押印した後、封筒に入れ封印して公証役場で証明してもらう。

証人 不要 証人2名以上 公証人1名・証人2名以上
家庭裁判所の検認 必要 不要 必要
遺言書の開封

遺言書に封がされている場合、家庭裁判所において相続人等の立ち合いを以って開封

開封手続きは不要

家庭裁判所において相続人等の立ち合いのもと開封

メリット

作成が簡単、費用が安価、遺言内容を秘密にできる

保管の心配必要。自分の意志に従った遺言を確実に残せる。検認手続きは不要

遺言の存在を明確にできる
遺言内容を秘密にできる

デメリット

検認手続きが必要
紛失リスク、要件不備による争いが起こるリスク

遺言内容が漏れる可能性がある。若干手間と費用がかかる

検認手続きが必要
要件不備による紛争がおこりやすい

遺言書の効力

遺言の効力とは

遺言では自分の死後の財産の処分方法について、基本的に自由に決めることが可能になります。

例えば、

「自分の死後には財産を慈善団体に寄付する」

「愛人を相続人に指定してこれだけの財産を相続させる」

といった内容にすることも可能です。
このように書くと「民法という法律で相続についてのルールが細かく定められているのは、何のためなの?」と疑問を持たれる方も多いかもしれませんね。
しかし、民法のルールはあくまでも「遺言がないときに補助的に使うもの」ですので、もし遺言の内容と法律の内容が食い違うときには遺言の内容が優先されます。
このように、相続人や遺産分割の方法は遺言によって決めるのが大原則となっているのです。
以下では、具体的に遺言で定めることができる内容についてみていきましょう。

遺言の効力1 相続人となる人を指定できる

遺言では、だれが相続人となるかを自由に決めることができます。

法律上は一定の親族関係にある人が相続人となることになっていますが、遺言で相続人を指定する場合には、こうした縛りは何もありません。

まったくの他人を相続人として指定することも可能ですし、企業や慈善団体などの組織に財産を渡す事も可能です。

メリット1 
特定の相続人に遺産を残せる

相続財産には不動産、預貯金、株式、自動車などさまざまな種類のものがあり、それらすべてを法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)に法律の決まり通りに分けることが適切なわけではありません。

それぞれの家庭により、誰にどの財産をどのくらい相続させたいかという考え方は異なっていて当然なのです。しかし、基本的に民法では被相続人(亡くなった人)との関係によって相続分が決められており、それを覆すには遺言書で指定する、遺産分割協議をする、誰かが相続放棄をするかといった限定的な方法となります。
それらの中で、確実に「この人に相続させたい」という被相続人の意思を反映させるには遺言書が最も適しているのです。

メリット2 
相続人以外の人に遺産を残せる

法定相続人が遺産を相続することが必ずしも適切でないこともあります。

たとえば実の子供は実家をまったく顧みなかったが、同居していた長男の嫁が何十年も自分たちの世話をして介護まで担ってくれたようなケースでは、そちらに遺産を残したいと思うのも自然な感情でしょう。
ただ、嫁との間に養子縁組をしておくか、遺言書で「嫁の誰々にこの財産を遺贈する」。といった形の遺言書を作っておかなければ法律上は1円も渡らないのです。こういった事情での相続紛争も実際に多くの家庭で起きていますので、世話をしてもらった親の側が、意識レベルのはっきりしているうちに遺言書作成を検討するべきでしょう。遺言書は認知症により意思表示がしっかりできなくなっていたらもはやすることはできませんから、少し早いかな?と思うくらいの時期に作ることが大切です。

遺言の効力2 遺産分割の割合を指定できる

遺言では、相続人を指定できるだけでなく、それぞれの相続人がどれだけの割合の遺産を相続するかまで自由に決めることが可能です。

この点、民法では「配偶者は2分の1、子は残りの2分の1を人数で平等に分け合う」というように相続割合が決まっていますが、遺言でこれと異なる相続割合を指定しても問題ありません。
ただし、亡くなった人とごく近しい親族の遺留分が侵害される内容の遺言となっている場合には、その親族による遺留分減殺請求が行われる可能性があるので注意です。

遺留分に注意

法律で相続人となる権利のあるとされている人(配偶者や子供など:法定相続人と呼びます)は、遺留分と呼ばれる権利が保障されています。

遺留分とは、ごく簡単にいうと「配偶者や子供など、亡くなった人とごく近い関係にある親族が主張できる、最低限これだけは相続できるという割合」のことです。
例えば、配偶者の遺留分は遺産の総額に対して2分の1と決められています。
遺産が1億円あるときに、「愛人に遺産すべてを相続させる」という遺言があったとしても、法律上の配偶者は1億円×2分の1=5000万円は遺産の分割を要求できるということですね。

遺留分を侵害する遺言も一応有効

注意するべきなのは、遺留分を侵害する内容の遺言であっても、その遺言内容は一応有効であることです。

一応有効というのは、いったんは遺言の内容通りに遺産分割を行うが、遺留分を侵害された親族から訴えがあった時には、その遺留分の回復が検討されるという意味です。
何がいいたいかというと、遺留分を侵害する内容の遺言がある場合には、その遺留分を侵害された親族は、自分で訴えを起こさないと遺言内容そのままの遺産分割が行われてしまうということです(この訴えのことを遺留分減殺請求といいます)
実際には、遺産分割を行う段階で話し合いを行い、お互いが納得して遺産分割を行うのがトラブル回避につながるでしょう。

遺言の効力3 遺産分割を禁止することも可能

相続が発生した後、最大で5年間は「遺産分割を行ってはいけない」という内容の遺言を残すことも可能です。

例えば、「長男と次男の両方が大学を卒業するまでは、遺産分割を禁ずる」といった内容の遺言を残すことができます(ただし、この期間は5年間を過ぎることはできません)
財産が多額にある場合、遺産分割を行うことで遺族の生活が激変してしまうことも少なくありません。
相続人に未成年の人がいる場合や、病気療養中の人がいる場合には、相続が発生した直後に遺産分割協議を開始することは適切でない可能性もあるでしょう。
そのような場合には、一定期間は遺産分割を禁止する内容の遺言を残すことにも意味があるといえます。

遺言の効力4 相続人の廃除で「相続させない人」も指定できる

遺言で「この人には相続する権利を認めない」という内容を残すことも可能です。

これを相続廃除と呼び、相続廃除が認められるとその人の遺留分も認めないとすることが可能になります。
「子供から度重なる暴力を振るわれていたので一切の財産を渡したくない」などの事情がある人がこの相続廃除を遺言で指定します。
遺言に相続廃除が記されている場合には、遺言で指定された遺言執行者が家庭裁判所に対して廃除請求という手続きを行い、認められた場合にはその人は相続に関する権利を遺留分も含めて奪われることになります。
ただし、実際にこのような相続人の廃除が認められるのはレアケースといえます。
相続廃除された人は、家庭裁判所に対して異議申し立てを行うことが可能で、よほど重大な非行や虐待などの事実がない限りは家庭裁判所はこの異議申し立てを認めるケースが多いからです。

遺言の効力5 子どもの認知ができる

法律上の婚姻関係にない人との間で生まれた子(非嫡出子と呼びます)を、法律上の嫡出子と同じように扱うのを認めることを認知と呼びます。
この認知は生前の意思表示で行うのが原則ですが、遺言によって行うことも可能です。

遺言によって認知がされている場合には、遺言執行者が認知の届け出を役所に対して行います(遺言執行者が遺言で定められていない場合には、家庭裁判所に対して選任を申し立てることができます)
遺言によって認知された非嫡出子は、相続人の順位や遺産分割の権利について嫡出子と全く同じように扱われます。
平成25年の法改正以前は「非嫡出子の相続分は、嫡出子の2分の1」というルールがありましたが、現在はこのルールは削除され、嫡出子と非嫡出子の法律上の相続分はまったく同じという扱いになっています。

遺言の効力6 遺言執行者の指定ができる

遺言の内容が確実に実現されるように、遺言執行者を遺言の中で指名しておくことも可能です。

遺言執行者に指定された人は、遺産として残された金融機関の預貯金を解約したり、不動産の名義変更を行ったりといった事務を行う権限が与えられます。
遺言執行者は通常は資格を持った弁護士や、信託銀行などが指定されることが多いですね。
第1順位の遺言執行者、第2順位の遺言執行者…というように、複数の遺言執行者を定めておくことも可能です。
この場合は第1順位の遺言執行者が遺言執行の業務ができないときには第2順位の遺言執行者が、第2順位の人ができない場合には第3順位の人が…といった形で遺言執行者を定めることになります。
遺言を作成してからかなり長期間経過してから相続が発生することもありますから、遺言執行者については複数人指定することも検討しておくと良いでしょう。

遺言によっても指定できない内容とは?

ここまでは遺言で指定できる内容についてみてきましたが、遺言でも指定できない内容(つまり、遺言で指定されてあったとしても無効になる内容)もあります。

以下、遺言による方法では指定できない内容について理解しておきましょう。

結婚や離婚に関する事項

例えば、遺言で「妻と離婚する」といったような内容を記したとしても、その内容は無効となります。
離婚の意思表示は、生前にお互いの同意のもと、離婚届を提出する形で行う必要があります。

養子縁組

非嫡出子の認知を遺言で行うことは問題ありませんが、養子縁組については遺言で行うことはできません。
養子縁組は生前の意思表示として行う必要があるので注意しましょう。
養子縁組を行っていない人に対して遺産を相続させたい場合には、遺贈をすることが考えられます。
遺贈とは簡単にいえば遺言で相続人として指定しておくことですね。

つまり他人を相続人とする方法としては、生前に養子縁組をしておく方法と、遺言で相続人に指定する方法の2つがあることになります。

これら2つのどちらが適切か?は具体的な状況を見ながら判断する必要がありますが、遺留分や相続税の基礎控除の計算方法で違いが生じる可能性があることを理解しておきましょう。

遺留分を侵害する形での相続割合の指定

すでに何度か触れていますが、亡くなった人とごく近しい関係にある親族には、遺留分という権利が認められています。
遺言によってもこの遺留分を侵す形の相続割合を指定することはできません。
ただし、こちらもすでに解説させていただいたように、遺留分を侵害する形の遺言も一応は有効です。
遺留分を侵された人による遺留分減殺請求があって初めて遺留分は実現されることには注意を要します。

その他

その他、自分の死後には臓器移植をするとか、大学病院に解剖を依頼するとかいった内容は、遺言に記しても無効となります。
これらを希望する場合には、生前の意思表示として行う方法が認められていますから、そちらを検討しましょう(ドナー登録など)

遺言はどのように保管するのが良い?

せっかく残した遺言も、あなたが亡くなった後に遺族が発見してくれないと何の意味もありません。

公正証書遺言や秘密証書遺言の形で遺言を残した場合には、遺言が発見されずに放置されるという可能性はありませんが、自筆証書遺言の場合には問題となる可能性があります。
自筆証書遺言の形で遺言を残すときには、丈夫な紙に書いて封筒に入れておくとともに、家族が見当の付けられる場所に保管しておくようにしましょう(仏壇の棚や金庫など)
自宅に保管するのが心配な場合は、銀行の貸金庫を利用するか、弁護士などに依頼して保管してもらうことも可能です。
なお、平成30年の法改正においては、法務局で保管してもらう方法についても法整備が進んでいます。
今後は遺言の保管方法については選択肢が広がっていくものと思いますが、現状、不安がある場合には公正証書遺言や秘密証書遺言を利用するようにしましょう。

遺言執行者の指定

遺言書を利用すれば被相続人(亡くなった人)の思い通りに財産を承継させることができますが、確実に手続きを進めるには「遺言執行者の指定」が重要です。

遺言執行者とは

当然のことですが、遺言者自身は自分が亡くなった後に自分の遺言書の内容を実現させる手続きをすることはできません。確実に手続きしてほしいと考える場合、必要になってくるのが「遺言執行者」という役割の人です。遺言執行者は遺言の内容を具体化するために「相続人の代理人」としての働きをすることになっています。もし遺言執行者が選任されていないと、手続きの内容によっては相続人全員に協力を求めなくてはならないことになりますが、そうなると結局誰かが協力を拒めば実質的に手続きが進まないことになり、遺言書を書いた意味があまりなくなってしまいます。

遺言執行者しかできないこと

遺言執行者が指定されていれば、その人にしかできない手続きというのもあります。これは、遺言書により「認知」をした場合や「相続人の廃除(著しい非行があったので相続人から外す手続き)」や「廃除の取り消し」をした場合です。
これらはたとえ相続人がいるとしても、遺言執行者にしかすることができないことになっています。逆に、相続財産を相続人に配分する行為などは遺言執行者がいるケースにおいて相続人がすることも差し支えありません。

遺言執行者の選任方法

遺言執行者を選任する基本的な方法は「遺言書の中で指定すること」です。しかし、もし指定がなかった場合や、指定されていた遺言執行者がいなくなった場合には、相続人や遺言者の債権者や受遺者(遺言で財産を受ける者)は家庭裁判所に申し立てることにより遺言執行者を選任してもらうことができます。

遺言執行者の解任や辞任はできる?

遺言執行者になれないとされている者(欠格事由)は「未成年者」と「破産者」の2つだけですので、選任の際にはこれらの者を避けることが必要です。そして、いったん就任している遺言執行者を解任することについてですが、遺言執行者が任務を怠る、あるいはその他正当な事由があるときなどは、利害関係にある人は遺言執行者の解任を家庭裁判所に請求することができます。同様に、遺言執行者は正当な事由があれば家庭裁判所に辞任の申し出をすることができ、認められれば辞任することもできます。
遺言執行者は遺言者の意思を実現するという意味で非常に重要な役職です。相続人の中の一人であってもよいのですが、相続開始後の手続きが円滑に進められるかどうかなども考慮して慎重に選ぶことが必要です。

遺言書で良くある質問

遺言書の有効期限はあるか?
遺言書に有効期限はありません。
新たに遺言書を作成すれば、古い遺言書は無効になります。
遺言は何度でも書き直しが可能です。書き直した場合には古い遺言書は破棄してください。
認知症の人が書く遺言は無効になりますか?
遺言が出来る人は民法で遺言能力のある人、15歳に達した人と規定されています。
認知証を患っている方の判断能力がどれくらいあるかが問われます。
向こうと判断される可能性も高いです。
判断能力を示す資料があればしっかり保存をしておくことなど対策もありますが、やはり公正証書で遺言を作ることが一番覆されにくくなります。
ただし、認知証で判断能力がないと認められれば公正証書で遺言を作成することができなくなります。
夫婦共同で遺言作成は可能か?
一定の方式に従って単独の意思表示をするのが遺言となっているため、1通の遺言書を2人以上の人が共同で作成することはできません。
同じ内容の遺言を遺したい場合にはそれぞれ1通づつ遺言を作成する必要があります。
遺言はいつ書けばよいか?
思ったが吉日です。死んでしまってからは遺言を遺すことができません。
また、その不動産を担保に入れて融資を受けることもできません。
また認知証を患って判断能力がなくなってしまった場合にも同様です特に期限が定められているわけではないため、ついつい後回しにしてしまいがいちですが、いつ何時何が起きるかわからないのが人生です。
早めに遺言書を作成するのに越したことはありません。