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「遺言代用信託」をご存知ですか?解説と活用事例

監修者:本間 剛 (行政書士)

ここ数年、自分の財産を確実に特定の相続人に残すため、あるいは相続人どうしの争いを防ぐために遺言書を作成する人が増えています。

しかし、遺言書を作成しても、実際に効力が発生するのは亡くなってからであり、そのとおりに実行されるのかまで見届けることはできません。

そこで注目されているのが遺言代用信託です。

ここでは遺言代用信託について解説するとともに、その事例を紹介いたします。

遺言代用信託とは

遺言代用信託とは、亡くなった時に財産を引き継ぐ人を指定するという遺言と同様の機能を、契約により信託を設定する制度のことをいいます。

遺言代用信託の契約は、委託者となる財産所有者の生存中に行われます。

委託者の生存中に、自らを受益者(委託者の財産から利益を受ける人をいいます)とする信託契約を受託者(財産を管理処分する人をいいます)と締結してその効力を発生させておきます。

そして、委託者が亡くなった時に、それまで委託者が保有していた受益権(委託者の財産から利益を受ける権利)を承継させるのです。

遺言代用信託の契約を結んでおけば、財産の管理は受託者に任せる一方で、受益権の承継先を障害者・持病のある人・判断能力の低下などで自ら財産管理を行うことが難しい人にすることも可能になります。

残された遺族の生活に対する不安を少しでもやわらげたいと考える人にとっては、遺言とは全く違う方法として利用することができるのです。

また、複雑な親族関係がある場合では、資産承継の道筋を決めておくことができます。

相続人どうしの争いを防ぎ、かつ特定の相続人の生活を不安定にしないための方法をあらかじめ定めておくという利用法も注目されています。

遺言代用信託と遺言、遺言信託との違い

遺言は遺言書を作成する遺言者が単独で行います。

遺言書の作成方法には自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類があり、それぞれ作成方法や保管に関して法定の方式があり、それらを満たさない場合には無効となってしまうこともあります。

遺言者がどのような内容の遺言書を作成したのかは相続人でも分からないというケースは多くありますし、そもそも遺言書を作成していること自体を知らないケースも珍しくありません。

また、遺言書の内容は遺言者が簡単に変更できるため、受益者は不安定な状況におかれることとなります。

また、遺言は遺言者の死後に効力が発生しますが、受益者やすべての相続人が遺言書の内容に不満を持つと、遺言書の内容は実行されないこととなります。

遺言書があるからといって、必ずしもその遺言書に書かれたとおりに遺産分割が行われるとは限らないのです。

また、遺言代用信託とよく似た名称で遺言信託というものがあります。

遺言信託とは、信託法上の信託をいうのではなく、信託銀行や信託会社が取り扱う遺言を含む商品のことです。

遺言書の作成やそのアドバイス、遺言書の保管や亡くなった際に遺言書に書かれた内容を執行するための一連のサービスを提供するものとなっています。

遺言書を有効に執行するためには、作成方法や記載内容・その保管や開封にいたるまで法律上の要件を満たす必要があるため、信託銀行や信託会社がそのサポートを行ってくれるのです。

しかし、遺言信託とはあくまで遺言を利用したサービスのことであり、それ以上の特別な制度であるわけではありません。

遺言の執行を最終的に判断するのは相続人であり、遺言信託を利用したからといって遺言書に書かれた内容がそのまま実行されるという保証はないのです。

これに対して、遺言代用信託は委託者と受託者、そして将来の受益者との契約です。

遺言のように、誰かの意思によって一方的にその内容を変更することはできません。

そのため、受益者の権利は安定し、当初決定した信託の内容が確実に実行されると期待できます。

また、遺言代用信託の設定対象となった財産は生前に受託者に信託することとなるため、遺産分割協議の対象にはなりません。

そのため、委託者が指定した人に確実に引き継がれることとなるのです。

遺言代用信託の活用事例①

遺言代用信託を利用して障害者や判断能力の低い子供の生活を保障すると同時に、財産を管理してもらうことができる状況を作ることができます。

父親であるAさんは、現在自宅で障害を持つBさんと一緒に生活をしています。

この先、Bさんを残して先立つことには非常に不安を感じていました。

そこで、Bさんが将来安心して生活を送れるような仕組みを考えることとしました。

まず、Aさんが亡くなった後の自宅にBさんが住むこととします。

将来的に、Bさんが自宅で生活することが難しくなれば、自宅を売却して施設に入ることも視野に入れています。

ただし、Bさんが自宅や多くの預金を相続すると、誰かにだまし取られるのではないか、あるいはBさんが浪費してしまうのではないかという不安があるため、財産の管理はBさんの妹であるCさんに任せたいと考えました。

そこで、遺言代用信託を利用することとしました。

この場合、Aさんが委託者・受益者となり、Cさんが受託者になります。

Bさんは当初は契約の当事者ではありませんが、Aさんが亡くなった後には受益者となります。

受託者となったCさんは、自宅の所有権をAさんから譲り受け、自宅の管理・運用・処分を行う権限を有することとなります。

そして、父親であるAさんが亡くなった後には、Cさんから自宅に住むBさんに毎月一定額の生活費を渡すほか、自宅の管理も行っていきます。

また、Aさん自身もこの先、判断能力の低下といった状況が発生する可能性があるため、Aさんの生存中でもCさんがBさんの生活費の管理を行うことができるようにしておくと、より安心できる形となります。

自宅の所有権はBさんではなくCさんに移転します。

Cさんが自宅の所有権を持つのであれば、悪意のある人にだまされる心配もなく、財産を浪費してしまうこともありません。

一方で、Bさんは自宅に住み続けることができるため、Aさんが亡くなった後に住む場所がなくなってしまうと心配する必要もありません。

遺言代用信託の活用事例②

現在の妻との間には子供がいないが、前妻との間には子供がいるような場合、自分の財産を将来的に子供に残したいと考えることがあります。

Aさんは、現在の妻Bさんとの間には子供がいません。

Aさんが亡くなった後には、自分の財産はBさんに残したいと考えていますが、その後Bさんが亡くなった際には、子供がいないためBさんの兄弟姉妹が相続することとなります。

しかしAさんは、そのような遺産分割はできれば避けたいと考えています。

一方でAさんには、前妻Cさんとの間に子供Dさんがいます。

Aさんは、将来的にBさんが亡くなった後の財産をDさんに引き継いでもらいたいと考えて、遺言代用信託を利用することとしました。

この場合、Aさんが委託者・受益者となり、Dさんが受託者になります。

Aさんが亡くなった後にはBさんが受益者となり、さらにBさんが亡くなった後にはDさんが受益者となるように設計しておくことで、実質的にAさんの財産をBさん→Dさんと引き継ぐことが可能となるのです。

通常の相続ではDさんはBさんの法定相続人ではないため、Bさんの所有する財産を相続する権利を有しません。

遺言代用信託を利用することで、BさんからDさんへの財産の移転を実行することができるのです。

遺言代用信託を利用する場合の注意点

遺言代用信託を利用する際に注意しなければならない点があります。

いずれのケースでも受託者の権限が大きくなるため、権限濫用により受益者の権利が損なわれる可能性があることです。

受託者になれるのは親族のほかは、信託銀行や信託会社に限られることから、親族が受託者になるケースが多いと思います。

受託者には帳簿の作成義務がありますが、素人では難しい面もあるため、専門家のサポートが得られる状況を作っておくことが望ましいでしょう。

受託者の権限を監督することも想定して、税理士などの専門家を信託監督人としておくと、円滑な信託契約の実現につながることでしょう。

まとめ

遺言代用信託という言葉は、まだそれほどなじみのある制度ではないかもしれません。

しかし、将来の遺産分割について不安を抱える人にとっては、特定の相続人に財産を残す方法として遺言よりも実効性が高く、選択肢の1つになると思います。

活用事例では、障害者の子供を持つ場合や、前妻との間に子供がいる場合を紹介しましたが、実際にはもっと多くの活用方法があると思います。

生前贈与や遺言といった従来の方法とも比較しながら、より自分の状況にあった選択をするようにしましょう。

この記事の監修者

本間 剛 (行政書士)

相続サポートセンター(ベンチャーサポート行政書士法人)代表行政書士。
昭和55年生まれ、山形県出身。
相続手続等の業務に従事。相続はたくさんの書類の作成が必要になります。お客様のお話を聞き、 それを法律に謀った則った形式の文書におとしこんで、面倒な相続の書類を代行させていただきます。

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